はいはい、どうも主人公のラクレットです。
機体をあっさり動かせるようになった僕は、現在7歳です。
アレからすでに、2年たっているんだよねー。
最近では、機体を実家の上空で飛ばしたり、許可とって近くの小惑星帯で訓練したりしています。
しかも、僕の機体は変形するのだ!!戦闘形態と移動形態のふたつに!!
戦闘形態でも速度はカンフーファイター並で、装甲はハッピートリガーより少し弱い程度、さらに燃費は物凄く良い。
移動形態は攻撃がほとんど出来ないけど、カンフーファイターより少し速く飛べる。というチート性能!!
すごく順調な、僕のオリ主ライフ!!
このまま原作まで突っ走るぜ!!
今回は別に嘘は言っていない。
僕は、機体を動かせることがわかった後に、とりあえず白き月に報告しようと思って、ちょっとしたコネクションを持っている兄に頼んだ。
ぶっちゃけると、シャトヤーン様を見たかったって言うのもあったのだけれど。
今まで説明してなかったから言うけど、僕が生まれたのは、皇国暦398年 解りやすく言うと、ヴァニラの一個上になる。
だから、僕が5歳になったのは原作開始9年前、だいたいシャトヤーン様がシヴァ皇子を出産したくらいになるのかな。占領と同時に妃になっていたからね。
それはともかく、そういう理由で、謁見は難しいかなと思っていたのだけど、案外半年後にあっさり謁見することになった。やっぱ、紋章機? っていうのは大きいね。
「ここが、白き月か………外から見た以上にでかいな………とても人工の天体だとは思えない」
今僕は白き月の謁見の間に向かって案内されている。家から、トランスバール本星にある白き月までいろいろ経由しなければいけないから4日かかる。子供が一人で行くのには少し長い旅程だと思ったのだけど、両親は別に僕一人で行くことを許可してくれた。まあ、カマンベール兄さんみたいにもっとしっかりしている人もいるしね………。
それで、白き月の港についてから、移動用の乗り物(名称がわからない、エレベーターみたいになっているから暫定的にそう呼ぶことにする。) に乗って移動して。さらにその後今20分ほど歩いている。
「ええ、とても驚いたでしょう?ここにはたくさんのロストテクノロジーがあってね、私や貴方のお兄さんはそれを研究しているの」
僕を案内してくれているのは、兄さんの知り合いというか、大学時代同じカリキュラムをとっていたらしい、タルトさん(25歳)だ。
僕の口調が若干大人びすぎているのにも特に気にしない良い人だ。大抵の人は驚くものなのだけど。
まあ、直接聞いてみたら「君のお兄さんで慣れているよ。だって、6歳で私と同じ大学に入ったんだよ?」 だそうだ。 なるほど、確かにそうだね。
「さて、この扉の先に、白き月の聖母シャトヤーン様がいらっしゃるから。決して粗相の無い様にね」
「はい。ありがとうございます」
僕が、扉に近づくとブゥゥゥンという音とともに緑色の光があふれて、扉は開いた。 無駄に凝った自動ドアだと思う。
そのまま中に入ると、そこには
「貴方が、ラクレット・ヴァルター君ですね。私が白き月の聖母シャトヤーンです」
僕が始めて見る原作キャラがいた。正直見惚れてしばらく声が出なかった。皇帝が戦争をしてまで妃にしたのも解った気がした。
まあ、どんなことを話したかは詳しくは省くけど、
許可はするから、緊急時になったら力を貸して欲しい。
てことを言われただけ。 僕も元からそのつもりだったし、僕の機体についていた、『名刺サイズの発信機』を渡した。(どーせ、使わないからね………、この後、市販の民間用つけたし)
コレで、9年後に白き月からエルシオールが出る時、シャトヤーン様がルフト准将に渡してくれれば良い。
一応将来何かあって脱出しなければいけないときが来たら、それがある場所へ駆けつけます。みたいなことを言っておいた。さすがに黒き月の事は言わなかったけど軽くほのめかしておいた。
無理でも僕の機体所持の許可のために契約書を書いてもらったからそれでいいし。
あと、「将来は白き月の近衛隊に入ってくれるとありがたいのですが」て言われたけど、まあそれは、僕が大きくなってからということでお茶を濁した。
なんせ、これからかなり体制が変わるからね。
さて、一応僕の機体は、分類的に金持ちの持つ小型の宇宙船舶扱いになった。
速度は戦闘機を余裕で越えるのにね。
何でそんなことになったかというと、シャトヤーン様の許可が出たからもあるけど、何よりの理由は。
この機体 「武装がない」 のだ。
腕みたいな部分が剣を握っているだけで、レールガンも、レーザーも、ミサイルも、フライヤーも、アンカークローも、ナノマシンもない。それどころか一般的な火器管制システムすらない。
剣にしたって、僕が乗って『クロノストリングエンジン』を動かして初めて使える。(剣の周りに、エネルギーが展開されて青白く輝く)
要するに燃費がいいのは、剣しか武器がついてないからなのだ。
そして、戦闘機が持つ剣は、皇国の法において兵器ではなく、装飾品になるのだ。船につける飾り扱いである。実際に切れるにもかかわらずに。
つまりは、所持はシャトヤーン様に、使用は皇国に認められたのだ。
だから、一応税金を払っとけばそれでいいのである。
「よし!! 行くぞ!!」
そう言って僕は、左右のレバーを握る。頭上に天使の輪の様な『天使環(エンジェルリング)』が展開する。
『Human-brain and Artificial-brain Linking Organization System』 通称 『H.A.L.Oシステム』が起動し、僕の精神と機体のシステムがリンクする。
『クロノストリングエンジン』から、エネルギーが全身と機体にめぐるのが解る。
戦闘形態で離陸した後、機体を移動形態に切り替える。
今僕がいるのは、スペースデブリの集積場の入り口だ。と言ってもただの小惑星帯だけど。
ここはよく僕が訓練に使う場所だ。決められた曜日の決められた時間以外は無人なので、誤射の心配がないのだ。
さっきも言ったが僕の機体は、弾薬が全く搭載できない。
だから訓練中の武器代でお金がかかることもないし、燃料も『クロノストリングエンジン』から発生するエネルギーなので、『短時間で大量に消費する』といった戦闘行動でもしない限り問題ない。
パーツの劣化とかは当初心配していたが、ナノマシンによる修理をしてくれる会社があるのでそこに頼んでいる。本業は宇宙ヨットの整備などの会社だ。ちなみにその費用は親が出してくれている。
と言ってもこの訓練自体二ヶ月に一回くらいだし、たいした事はしないから、半年に一回で済んでいる。
出力も、自分のテンションで引き出せる3割くらいでしか動かさないことにしているし。
上下左右、直角に曲がったり、回転したり。時には機体を90度傾け縦にして。
とにかく進む、このゴミの山の中。さっき軽く言ったけど僕がやっているのは訓練だ。
『クロノストリングエンジン』を使っての高速移動で、障害物のすれすれを通ったり。それを慣性飛行でやったり。戦闘形態に切り替えて、自分より大きなデブリに近づいて切りつけたり。要は近接戦の練習だ。
この訓練は、もう1年以上続けているけれども、正直あんまり上達した感じはしない。機体の操縦自体はかなり簡単だった。まあ、乗れるか、乗れないかの問題がメインだったと言うのもあるし、ミルフィ-ルートですらミルフィーはエースだけど機体の腕はそこまでじゃない、といった旨の事を言われてたんだから。
もちろん上達した部分もある。僕は最初からどうやって動かすのが理想的なのかがなんとなく解った。けれど、どうやって攻撃すればいいのかよくわからなかったのだ。とりあえず両手についている剣で、いろいろ切りつけていると、なんとなく最適な使い方が解ったのだ。他にも、慣性飛行やら、そういう普通に動かす以上のやつは、何度かやってみてコツを掴む必要があるのだ。
あと、一回だけ全力で動かしたけど、別に普通に小惑星のなかを潜り抜けることが出来た。
なんかよくわからないけど、周囲の状況が頭に伝わってくるのだ。そういえば、機体というより、『H.A.L.Oシステム』には予知能力があったからそれか、または僕のオリ主補正のどっちかだろうと思う。
そんな感じで、この小惑星帯の9割くらい進んだところで、自分の集中力が最大になったのを感じた。
目の前にあるのは、直径80メートルくらいの星だ。
僕は自分の集中力を解き放ち叫んだ。
「今だ!! コネクティドゥ……ウィル!!」
僕のその言葉に反応して既に戦闘形態になっている僕の機体の両手の剣がよりいっそう輝く。
両手に持つ剣を合わせてより一つの大きな剣へと変える。
そのまま星の中心よりやや上部に突っ込むと剣が流れるような動きで、何度も星を切りつける。その剣の太刀筋は剣術のとある型の模倣に過ぎないが、それでもこの程度の物を砕くのには十分だ。
その勢いのまま、星の上半分を貫通して、僕は小惑星帯を抜けたのであった。
僕の機体につけられていた名前は 『エタニティーソード』 だったのだ。
特殊兵装は この、機体自体にプログラムされてある剣術の型どおりに高速で剣を振る『コネクティドウィル』
なんというか…すごく、ソゥユートを思い出す名前だ(破壊神? 誰それ? )。特に特殊兵装が。
名前にしたって、あれは The Spirit of Eternity Swordだったし。
まあ、名付けた人が同じく転生者だったとか、偶然だとかそんな理由だろうけど、気にしてもしょうがないので、深く考えないことにする。
そんなこんなで、たまに訓練とかしているけど、原作に対しては布石を打っといただけで介入はしなかった。
あ、一応言っておくと、僕は6歳から普通に学校に通っている。そのうち飛び級でもしようと思っているけど、忙しくなるのである程度操縦の訓練をしてからにしようと思っているからね。
そんな生活がしばらく続き、僕が9歳になってしばらくした頃、エオニア皇子がクーデターを起こした。毎日のように戦況が入ってくる劇場型事件の様なものであり、皇国民の注目を集めた事件だった。
最も、2週間ほどで、ジーダマイヤが裏切ったことで早々に決着はついたけど。
そんなことより問題だったのは、国外追放になったエオニア皇子の映像を見たときだ。
彼の後ろには、もちろんシェリーだと思われる人がいた、だけどそれだけじゃなくてその横に
僕の下の兄 カマンベール・ヴァルターがいたのだ。