僕と兄貴と銀河天使と   作:HIGU.V

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警告

この話は当SSの本筋には一切関係ありません。ランファENDですが、物語の都合上、一部キャラに都合のいい改造を含んだりします。
エンジェル隊及びタクトへの愛が崩れるという方はどうぞ飛ばしてやってください。
もう一度申し上げます。本筋とは一切関係ないランファENDです。


それでも良いという方はどうぞ





IFEND1 ランファEND?

 

 

 

「……できちゃった」

 

頬を赤く染めて彼女はそう呟いた。金色の髪は柔らかくゆれていて、彼女────蘭花・フランボワーズの魅力を良く引き出している。ただでさえ美しい彼女は幸せな笑みを浮かべ、優しく慈愛に満ちた手で自分の下腹部をそっとなでる。その姿はまさにその名の通り天使であった。

 

 

「…………え?」

 

「3ヶ月だって…………『お父さん』」

 

 

だからこそ、ラクレットは目の前の光景が信じられなかった。

 

 

 

 

 

IfEND1 あの時、引き止めるを選んでいたのなら。

 

 

 

 

 

ラクレットの横を、誰かが早足に通り過ぎた。振り向くと、俯き顔でランファが格納庫を後にする所だった。彼女に続いてラクレットは力を振り絞り、早歩きを敢行して追いかける。格納庫を出た時点で、ランファは10メートルほど前方を離れていた。

 

「ランファさん!! 」

 

「……なによ」

 

ラクレットは彼女を呼び止めた。ラクレットの大きな叫び声にランファは足を止める。しかしながら、彼女はそのままこちらに背を向けたままだ。恐らく涙をはらんでいるであろう表情を浮かべているであろう、彼女の表情を見ないですむので、ラクレットは少しばかり安堵した。

泣いている女の子なんぞ、対処に困るし。ましてや、その状況で上手く励ますなど、彼にとっては、地球外侵略者を、一人で殲滅し解決する方が楽だと思ってしまうほどだ。彼にとって女生徒は誠に不可思議な存在であるのだ。

 

「その…………」

 

現に表情が見えない今ですら、言葉に詰まっている有様だ。何を言うべきか、励ましていい者であろうか。そんな逡巡の中にある彼は、このまま黙り込んでいるのもまずいとの自覚はあるが、最適解を探すあまりに、何もできないでいた。黙り込んでしまう彼に、追い討ちをかけるように事態は動く。

 

 

「あーもう!! なによ!! アンタ、急に黙ったりして。私をからかいに来たの!? 恋に破れた惨めな私を馬鹿にしに来たの!? 」

 

「そ!! そんなわけじゃないです!! 」

 

 

ランファが振り向いて、こちらに向かって叫んできたのだ。話しかけたは良いものの、何もしないラクレットに業を煮やしたのだ。呼び止めてくれたのは、まあ彼女的には嬉しかった。そんなはずはないと思うものの、全員がタクト達の事を祝福している中、自分に注目するというのは、まるで一種のサイレントテロをしているように追従せずにここに来たという事なのだから。

しかしながら、そのまま黙っている彼の、その沈黙がまるで、哀れんでいるようにも取れ、わずかに芽生えた喜びも苛立ちに転換されてしまう。

 

 

「じゃあ、なによ、励ましの言葉でもくれるの!? もっといい男が居るよとか!? 」

 

「え、いや、あの、その……」

 

「はっきりしなさい!! アンタ男でしょ!! 」

 

「はいっ!! 」

 

 

あっという間に場の雰囲気(ふいんき)が壊れる。女性との間を深めるすべを悉く無効化する、ラクレットのそれはもはや、天賦の才といえるであろう。この時点である意味で彼の目的は達せられているのは、この際スルーしておこう。

 

 

「それじゃあ、私に話しかけた理由を完結に述べなさい」

 

「了解!! 自分はランファさんに、諦めたらそこで試合終了だ。と伝えたくてここに来ました」

 

「……続けなさい」

 

「はっ! 確かにミルフィーさんとタクトさんは今想いが通じ合いました。しかしそれだけで諦めるべきものなのでしょうか? 自分は疑問に思いました。皇国では特に貴族はよく複数の女性と結ばれたりもしています。タクトさんは伯爵の三男であり、なおかつ本人も懐の広い男性です。そして、ランファさん自身もミルフィーさんとの仲が良く、場合によっては大変羨ま……いえ、妬まし……失礼、三人仲良く結ばれるという、愛の結末もあるのではないかと愚考しました!! 」

 

 

もう、なんかいろいろとひどいことを口走っているラクレットなのだが、ランファは驚いていた。その発想は無かったと。青天の霹靂である。彼女の価値観を形作っている人生を振り返ると仕様。決して裕福とは言えない、田舎惑星にある小さな農村の長女として生まれた彼女は、幼少時から弟妹たちの面倒を見てきた。本人の面倒見の良い気質はそう言った土壌によるものだ。そんな彼女は本質的なところで 一歩引いてしまうという性質を持っている。親から言われたわけでは無いが、心の根の部分は素直で優しい彼女は自分から『お姉ちゃんだから』と言い聞かせ多くの事を我慢して来たのだ。そんあ彼女には衝撃的な意見だった。

皇国において多夫多妻制は推奨こそされていないものの普通に認められている。貴族などは世継ぎの問題もある。一部の星はいまだに子供の成育率が高いとはいえず、多くの子供を設けるべきであるといった価値観が残っている。もっと深刻な話として、惑星によっては、男女の比率が非常に偏っていたりもするのだ。

事実、ランファやミルフィーが通っていた士官学校でも母親が3人居ると教えてくれた友人もいたことを彼女は思い出した。加えて言うと、その子の母親間の関係はきわめて良好だとも言っていた。

 

 

「つまり、まだチャンスはあるかもしれないということ? 」

 

「はっ!! そのためにはまずミルフィーさんの合意が必要と思われます!! こういう場合は女性の方から外堀を埋めていかれるのがセオリーですので」

 

「……ちなみに、アンタはそういうのどう思うのよ? 」

 

「個人的にハーレムは大嫌いです。だって、自分じゃ絶対実現できないから。ねーよっていう感情が先立つ。ハーレム作っているやつは、よほど好感を持てるような存在じゃないと受け付けられない。流されてとか、個性薄いやつは絶対に無理。逆に言うなら、それだけの器や人間性があるなら行けるんだが……あ! でも誰かがセッティングしてくれるなら喜んで!! もちろん、修羅場もないようにして、ラブコメ時空的味付けも加えて、社会的に認められているようにしてくれよ!! つーか男って皆そういうものだと思うよ、そうだろみんな!! 」

 

「そう……まあ関係ないけどね、あんたの意見何て」

 

「その通りであります!! 」

 

 

グダグダになったが、ここでようやくラクレットは自分の目的が果たされていることに気付く。ランファの瞳から悲しそうな色は見て取れない、代わりにあるのは再燃した情熱の炎だ。略奪愛に目覚めている女性はきっとこのような目をしているのではないかと、そんなどうでも良い事を彼は思った。

よかった、一息つき安堵するものの、彼は自分が物凄いことを口走っていたことに気付く。ああ、またしばらく夜寝る前に悶える生活が続くんだなと煤けた表情で内心呟きつつも。やはり誰かの力になれるのは嬉しいもので、自然と表情が緩んでいることに気が付いた。

しかし、心のどこかでは、ランファが幸せに成れればいいのだが、まあ恐らく無理であろうと彼は考えていた。なにせ『銀河一のカップル』とまで揶揄されるようになるタクトとミルフィーだ。(ゲームだとランファの場合はカの前にバが付く)その二人の間に入り込んでタクトの気持ちの半分を向けさせるのは、そりゃ全部を奪い取るのよりは容易であろうが、お世辞にも容易いと言えるようなものでは無かろう。

 

 

「そうと決まればすぐに行動ね……ありがと、アンタのおかげでやるべきことが見えたわ」

 

「……いえ、お力になれたのなら光栄です」

 

 

その間ぶつぶつと何かを呟いていたランファだったが、方針が決まったのかラクレットにそう告げると立ち去っていった。部屋で計画でも練るのかな? と思いつつ先程から格納庫の出入り口からこちら覗いているミントに、どう言い訳するかを考え始めた。

 

 

「あらあら、大変面白いお考えをお持ちの様で」

 

「いえ、今のは一般論ですよ? 」

 

 

目が笑っていないミントを見てラクレットは、狩られる草食獣の気持ちになるのですよと誰かに言われた気がした。彼らは逃げ足や擬態といった武器を駆使して生存を量る。ならば自分も、得意な分野を使ってこの状況を逃げ切る!!

 

 

「ランファさんを断ちなおさせた手腕は見事な者でしたが、方法が少々同じ女性としては納得いきません。ミルフィーさんが少しでも悲しむようになった場合責任をとって頂きたいものです」

 

 

考えろ!! 自分の強さを! 特技を! 自分にある物を!! そう言い聞かせて自分のステータスを確認するラクレット。得意なことは近接戦闘と運動。会話は苦手、演技は普通、嘘は作るのは苦手。つまり────

 

 

「無理でしょ」

 

「あら? この期に及んで口応えですか? 随分と冗談がお得意になったようで」

 

 

New! 特技・墓穴を掘ること が追加されたのを認識したラクレットは、全力でミントに頭を下げる事にした。謝罪スキルが上がることを祈りながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後のことを記そう。白き月に着いて、何やかんやでエオニアを倒しちゃったり、黒き月を壊しちゃったりしたよーな感じだ。そして時間が出来たランファは迅速な行動に移る。

 

まず、決戦前にミルフィーに話をつけておいた。私もタクトが好きだと。牽制でもあり宣言でもあった。彼女の部屋に呼び出して、ニコニコしているミルフィーに真面目な雰囲気だと認識させたうえで明かしたのだ。この時に『偶然』ミルフィーが、三角関係がこじれて親友同士で殺し合いをしてしまう恋愛小説を読んでおり、『偶然』物凄く深く感情移入してしまったのが原因か、『運良く』同盟締結は速やかに行われた。

要するに、ミルフィーにとって、幸せというのは分けるものではなく、重ねるものだったという訳なのかもしれない。親友の涙の上にある自分の幸せを無意識に感じ取った故の行動だったのかもしれないのだが、ランファがあきれるほどあっさり彼女の気持ちを肯定したのだ。まるで『アニメのような』人間離れした感性具合でもあったが。

戦後、幸運を使い果たしたミルフィーが軍をやめると言い出した時に、ランファも同時にやめ、タクトと3人で『ドキッ! 俺と彼女とその親友のドタバタハーレム同居生活!』を始めた。

戦後のこの糞忙しい時にと、レスターがぼやいていたが、ミントの

「ラクレットさんがその分働けば良いのでは?」

という提案により何とか乗り切られた。とある少年の最終学歴が高校中退になるという、尊い犠牲の上にだが。

その半年後、烏丸ちとせがエンジェル隊に加わり、偶然デートに来ていた『タクト達3人』がエルシオールに合流。なんだかんだで司令に復帰したり、ミルフィーの運が復活したり、ランファがちとせを警戒したりしたものの。ヴァニラを絶対に加えないように阻止もするという条件で同盟を結んだ『ヴァニラちゃん親衛隊』という、優秀なエキストラ&情報収集要員の協力もあって急速に3人の中は接近した。その片手間で、ネフュ……なんとかは倒されていた。特にそこにはドラマが無かった。しいて言うならば最終決戦で利用した決戦兵器は、2人用から無理矢理3人乗りに改造されたのと、その調整の為エース二人が不在の艦隊の最終決戦では、青年が一騎当千の活躍を果たした。その代償にエルシオールクルー全員に出た1月の休暇の間は寝台の上で過ごすことになったが。

しかし、そんなある日ランファが気持ち悪いと訴えた。実際に嘔吐等の症状がみられ、ケーラ先生の診断を受けた結果。見事!! ランファの懐妊が発覚したのだ。

 

来る決戦をどう乗り切る!! ラクレットの明日はどっちか!! 銀河の趨勢を結する闘いは、副官を評して『色ボケ野郎』なタクトの双肩にかかっている!!

 

なお、最大の貢献者である少年は、様々の要因が重なった結果、15歳にして出家し悟りを開くことに成功したという、

 

 

 

続くわけが無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




────
私はラクレットのランファENDと申し上げておりません。
(タクトのハーレム )ランファ(より)ENDですので、何処にも問題がございません


文量が1.5倍になったのは誤字修正の範囲ではないと思う

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