僕と兄貴と銀河天使と   作:HIGU.V

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第四話 前世のバーゲンセール +閑話

 

それは、久しぶりにエメンタール兄さんが、家に帰ってきた時だった。

僕はその時9歳、エメンタール兄さんは18歳で、ハイスクールの休暇を利用した帰省の時だった。直接来たわけじゃなく、首都星でやってたアイドルのコンサートに参加してきたらしい。

遠回りなのに……よほどのファンなんだろうね、僕は興味ないけど。

 

兄さんが家に帰ってきたあたりでクーデターが始まったらしい、2週間くらいで鎮圧されてたけど。何気なくテレビを二人で見ていた時、エオニア廃皇子国外追放 というテロップを見て ようやくエオニアが出て行ったなーと 考えていた時だった。

 

画面が切り替わり、写真の右後ろ、エオニアの背後にいるシェリーの、横にいる家の兄貴に気がついたのは!!

 

 

────なんでアイツがシェリーの横に!!

 

 

奇しくも、エメンタール兄さんとタイミングと台詞がかぶってしまった。

すぐに執務室にいる父さんのところに兄さんが走っていって、僕は画面を保存した後、録画を始めて急いで母さんのところに行った。

僕と兄さんはほとんど同時に母さん達を連れて戻ってきた。兄さんが父さん達に説明しながら動画を見せている間、僕は兄さんの研究室に連絡を入れてみた。

 

すると、クーデターが始まる頃から、自分で休暇を入れていたらしい。よって全く知らなかったそうで、今ニュース見て研究所でも騒ぎになっているそうだ。

無論、兄さん個人に繋いでみたけど、反応は無かった。父さんと母さん達のほうを見ると、ショックで茫然自失としていた。

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくのことはあまり思い出したくない。ものすごい徒労感と疲労感がこみあげて来るからだ。

母さんはショックで気絶してそのまま寝込んでしまった。父さんは確認の為だ。と言ってトランスバール本星に行った。兄さんも、僕に母さんを任せると父さんについていった。

 

 

別に、僕は転生していたから精神年齢が高いからよかったけど、普通の子供ならどう考えてもトラウマものだろ。

だからそれを受け取ったのは僕が一番初めだった

 

 

「母さん!!兄さんから手紙が来ている!!」

 

 

いつもの太陽がちょうど真上に昇ったときくらいに来る郵便配達のおじさんから受け取ったのは、カマンベール兄さんからの手紙だったのだ。

後から知ったことだけど、クーデターが始まってすぐに別の星を経由して送っていたらしい。この時代は、手紙は小包みたいなのがメインで郵便はそこまで送られない。通信が便利すぎるからね………

 

 

 

 

 

兄さんからの手紙にかいてあったのは、

 

 

5年位前からエオニアと会っていて、たまに使えそうなロストテクノロジーの軍事転用が出来れば報告したりしていたらしい。

自分は、今のままじゃ、満足に自分のやりたいように研究が出来ない。

だからエオニアに付いて行けば、自分の好きなことが出来そうだから自分は付いたのだと。

それと、自分の名前を出さないことを条件にしてもらっているから、家族には迷惑をかけるつもりは無いとも書いてあった。

後は両親と兄に対する謝罪が書かれていた。(僕には書いてなかった)

 

ただ最後に『自分は前世の記憶がある。しかも一つだけじゃなくて二つも』と書かれていて、そんな俺でも育ててくれてありがとうという言葉で締められていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コレを読んだ母さんは、僕の予想を裏切り泣いたり取り乱したりしなかった。というか、「だからあの子あんなに頭良かったのねー」とかいってニコニコしていた。

正直今まで寝込んでいたのはなんだったのかと思ったが、本人曰く、「自分のやりたいことが出来ないのなら仕方ないわ」とのこと。

 

 

なんでも母さん実はとある貴族の次女に生まれたけど、父さんと会って半場駆け落ちのごとく結婚したのだそうだ。最終的には認めてくれたらしいけど、物凄く苦労したのだそうだ。

だから、本当に自分がやりたいことならそれはしょうがないとのこと。

 

 

 

「じゃあ、あの時寝込んだのは何でさ?」

 

「いきなり、息子がクーデターに加担していて、首謀者とともに国外追放だったら驚くでしょ?」

 

 

いや、まあ確かにそうですが………お母様切り替え早すぎでは?

それこそ、まるで台本があるかのような代わりぶりだ。それならきっと名女優だろうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、母さんの問題は思ったよりずっとあっさり片付いたけど問題なのは、カマンベール兄さんが転生者だったことだ。

正直、理解できないほど高度なことをやっていたって言う点から、気付こうと思えば気付けたはずだ。

だって、そんな六歳から大学に通う様な人だぜ?

 

しかもその後の研究成果に『重力制御を利用した頭につけると飛べる竹トンボ型の飛行機械製作に関しての論文』とか書いているんだぜ? 

青狸のアレだろ………何で気付け無かったのだと自分に言いたい。父さんや兄さんは手紙が届いた三日後に戻ってきた。一応手紙内容はメールで送っておいたけど。

 

 

そして、二人曰くカマンベール兄さんは、行方不明者扱いに成るそうだ。皇王自らが投資している研究所の職員が、エオニアと一緒について行った事は皇国的には秘匿したいそうで、ニュースを流していたテレビ局に圧力が掛けられたそうだ。

 

 

まあ、顔が一度出てしまっているのでそれがどれだけ効果があるかはわからないけど、それでもやらないよりはマシだっていうことだね。結果的に家族に迷惑はかからなかったのだし。

というより原作の時には、5年たつわけで、16歳の兄さんが(タクトと同い年)21になればそれなりに顔も変わってるから問題ないか。

 

 

「にしても、カマンベールには前世があったのか。通りで頭が良かった訳だな」

 

「夫婦そろって同じ台詞かよ」

 

「俺と母さんの愛は最強だからな」

 

 

うぜーよ親父、外見はともかく。実年齢考えろよ。もう50手前だろが。

母さんも笑って「もー、アナタったら」じゃねーよ。

そういえば気になったので祖父のことも聞いてみたが、父さんに家任せたあとどっかにふらりと旅に出てそれっきりらしい。前は近所────と言っても結構あるけど────の駄菓子屋ダイゴの近くにある一軒家に住んでたそうだが、ある時書置きと共に消えていたらしい。

 

 

 

「カマンベールは、自分のやりたいことをするためにエオニアに協力した。その結果国外追放になった。それはもう変えられない。だろ?父さん」

 

 

兄さんが、年齢を考えない馬鹿夫婦によって、この微妙になってしまった空気を元に戻してくれた。

 

この役目はいつもエメンタール兄さんの仕事だ。いつもご苦労様です。

 

 

「それで、エメンタールが母さんとお前に言いたいことがあるそうだ」

 

「僕と母さんに?なにさ、兄さん?」

 

 

せっかく思ったよりずっとあっさり片付いたんだから蒸し返すようなことは言って欲しくないのだが。今僕はエオニアが5年後攻めてくるという歴史が変わったらどうしようかとか、実際に戦う時にどうしようか?悩むことは多いのだから。

 

 

「ああ、母さん、ラクレット。俺も実は前世が有るんだ。自分が覚えている限り3つ」

 

 

 

………………え? なんだって?

で済ませられればどれだけよかったか。

 

 

「驚くのも無理はないと思うのだが………それと、多分ラクレット。お前もだろ?」

 

 

ちょ!! 何いきなりカミングアウトした後に暴露していますかこの人は!! にしてもなぜ解った?

自慢げに原作知識で物の名前とかをカマンベール兄さんに教えている時か?それとも、よく歌っていた時か?前の世界の曲を。

あーもう、別にもうなんか言ってもいいけど、このタイミングでかよ………息子が国外追放されたすぐ後に、息子達が全員前世持ちでしたとか。

普通の親ならショックで気絶するぞ?

 

 

「………そうだけど………別に今言わなくたっていいだろ? 」

 

「今言わなかったら何時言うんだよ? むしろタイミング的は最高だろ?」

 

「確かにそうかもしれないけどさ………母さん達的にはどうなのそれ?」

 

 

そういって僕は母さんのほうを見る。するといつもどおりニコニコ笑っていた。父さんのほうも別に驚いた様子も無く………………まあ兄さんから聞いていたのだろうけど。その表情は何時も通りのそれだった。

 

 

「別にお前達の前世がなんだろうと、何か変わるわけでもないだろ?」

 

「そうよ、エメンタールも、カマンベールも、ラクレットも皆私達の可愛い息子でしょ?」

 

 

いや、まあそうだけど。ここはもっと、

オリ主的に、こんな元々生まれたかもしれない人格を塗りつぶしているかもしれないのに、自分を本当の子供として扱ってくれてありがとう。

的なイベントにシーンだろ?もっとこう感動的というか、BGMが流れているとかCG一枚手に入ったりする様なイベントだろ?涙を誘うシーンだろ?

 

 

「なんとなくお前が何を期待しているかわかるけど、案外そんな物だろ?両親共々すんごい緩いから特に」

 

 

前もそうだったしなー。とエメンタール兄さんは言うと。「喉が渇いた」と言って、台所に向かうためにリビングから廊下に出て行った。

父さんも「仕事が滞っているから」残して兄さんに続いた。

 

 

「こんなにあっさりでいいのかよ………」

 

 

そうつぶやいて、残された僕は二人の出て行った扉のほうを呆然と見つめていその場に立ち尽くしていた。

そんな僕に母さんは一言

 

「さて、この部屋も掃除しちゃうから、部屋に戻って宿題でもしてなさい」

 

 

といって。なんかもうどうでも良くなった僕は部屋に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話 長男エメンタール・ヴァルターの野望

 

 

 

 

 

俺は、多分銀河最強の存在だ。

自惚れでは無くそう思う。

そもそも、これから起こり得る未来をある程度まで把握しているし、

チートな能力も持っているのだ。

 

 

 

エメンタール・ヴァルターそれが俺の名前。全く、エメンタールと言えば、チーズの王様ではないか、俺にふさわしい。

そんな俺は、何回も生まれ変わりと言うものを体験している。

 

神に会った事は無い。なぜ生まれ変わり続けているのかは知らない。

最初は、主人公の双子の兄として生まれ、幼少時に故郷が悪魔の襲撃にあった。その時に弟は父親の杖を、俺は魔法の呪文が書いてある紙を貰った。そのまま、最強オリ主としてのテンプレのような生活を続けて、封印されていた吸血鬼を救い。何もかもハッピーENDとして生を終えた。

 

 

 

二度目は、全く知らない世界だった。超常の力が普通に存在する世界であったが、前世の影響もあり生まれながらにして俺は最強だった。なにせ前の世界の能力が、そのまま使えたのだ。その結果、俺は調子に乗りすぎて、全世界に狙われるようになってしまった。結局、死ぬ直前俺が思ったのは、自重するべきだったと言う後悔だった。

 

 

そして、今、ギャラクシーエンジェルという、また知っている世界に生まれた。前と違い、魔法と呼ばれる力は一切使うことが出来なかった。

俺なりの考察だが、コレは、EDENと呼ばれる銀河に魔法と言う概念が存在しないからではないかと思う。まだ未来は確定していない為、NEUEが存在しているわけでは無いので魔法が使えない。

つまり、NEUEの存在が観測されれば、使えるかもしれないという事だ。しかし、前回で学んだ俺はそんなに勢いよく介入しようと思わない。俺は、介入して原作が崩れたら……などと気にすることは無い。

俺以外がやるなら勝手にやれ、責任は自分で。仮に世界が滅びても、まあこれだけ生きているならばもういいかとも思えるからか? だけど、何もしないと言うのは面白くないから、安全そうなイベントには参加してみようと思う。

 

 

と言うか、戦闘以外ならいくらでもだ。

また、コレは5歳になったときに気付いたことだが、俺の能力の本質と言うのは、『一度手に入れたものならいくらでも使える』という、なんともまあ、中二臭漂う、転生者向けの能力だった。

とりあえず、自分の最初の世界で使っていたラップトップを何も無いところから取り出してみたり、いろいろ試してみたら、無機物なら何でもいけるみたいだ。

そういう訳で、きっと自分の能力である、魔法もすでに身についてはいるのだが、世界の法則ゆえに発動できないのであろう。

 

 

そして、今10歳の俺は、ひたすら普通に生きるフリをしつつ、良く二次創作で見る、現代日本のサブカルチャーで金儲けと言うのをやっている。最初は、自分のホームページに、冗談半分でとあるアニメに字幕をつけてアップしてみたところ、物凄い量のアクセスがあったのだ。

 

100以上の星系からなる国なわけで、人の数が多いのもあってか、広告料が入ること入ること。一日に300万人も来るのだ、正直阿保かと、馬鹿かと思うような勢いで俺の口座にお金が入ってきた。

なんでも、アニメーションという文化はあるものの、ここまで娯楽に特化したものはロストテクノロジーであり。しかも、全く知らない言語で話している辺りが、歴史的価値すら有ると言われたのだ。

 

殺到する「誰が作った」と言うメールには、無回答のまま3ヶ月ほどそのようなペースで回してたある日。俺は、いろいろよからぬ事を思いついたのだ。どうせ親の仕事をついでも暇になるのだから、自分で商会でも作ってみようと。そうして、アニメ、漫画、ゲーム、小説、音楽、他エンターテインメントなど。娯楽を与えることに特化したグループ 「チーズ商会」を立ち上げたのであった。

 

 

弟が、原作に介入したいと言っている。俺が転生者だとわかってから、その手の話題をよく振ってくるようになった。こいつは、自分の機体を手に入れてから、どんどん自分に酔っている。学校の通信簿に、奇怪な言動が目立つと書かれるくらいだ。どーやら、こいつの原作知識は1のほぼ全てと、2のおおまかなストーリーくらいしかないみたいで、エルシオールについていきたいと言っている。まあ、それは問題ないので、頑張れと言ってやった。俺は、原作ヒロインとかあまり興味ないし。

 

一目見れればそれでいいくらいかな? 弟が、接点持ってくれるなら、むしろありがたいくらいだ。と言うより、大学で彼女できたし。幼馴染の娘。彼女もいるし、将来も安定しているし、副業(こっちのほうが収入がすごい)もかなりの成果を挙げている。

適当に引き出したアニメなどを字幕つけて渡せば、勝手に声を当てたりなどしてくれるのだ。

 

 

俺が、実質の最高責任者だと知っているやつはほとんどいないので、気楽なもんだ。いろいろ、ノウハウをつませたり模しているので、オリジナルの作品もそろそろ評価を受けてきている。

 

そして、一つの作品ごとに、それの関連商品まで売れるのだ。製造はこちらでやって、販売はブラマンシュに任せている。あと俺の指示で、とある艦を作らせている。コレは原作介入をするために使おうと思うっている。

まあとにかく、銀河有数の金持ちで、恋人もいる俺は。

 

 

 

「保険も作らずに命を懸けて原作介入なんて、割にあわねーよ」

 

 

コレに尽きるわけである。

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