僕と兄貴と銀河天使と   作:HIGU.V

6 / 98
無印
第五話 オリ主らしい……?


僕はラクレット。フリーの傭兵さ!

いや、別に今まで戦闘経験があるわけじゃないのだけどね。

まだ僕は14歳になったばっかりなのだし。

 

 

ああ、学校はクリオム星系の第4星ハイスクールに通っている。エレメンタリーから直接入学したから、ミドルスクール分を丸々飛ばしたことになる。もちろん飛び級です。トランスバール皇国では結構一般的に行われているからね……

僕が学校を選んだ理由は、学校の制服が黒のどっかで見たことある学ランだから。(そもそも星系内に飛び級を積極的に受け入れてるハイスクールがここしかなかった事は秘密)

 

制服の上にブラマンシュ製の白い陣羽織を着て、準備完了。最近伸ばし始めたツンツンとはねた髪と一緒で、まんまソゥユートです。本当にありがとうございました。まあ、あくまで格好だけで、転生しても顔は良くも悪くも無く(自己評価)だから、似てないけどね。目つきとかむしろたれ目だし、僕。

 

いや、僕がやりたくてコスプレ……もといリスペクトしているのだけどね……。エメンタール兄さんはコレを見せた瞬間に、牛乳吹いていた。アナタもこっち側の人でしたか…。あ、兄さんにその後、『求め』のレプリカ貰った。作ってもらったらしい。

そのお金は何所から……と突っこみたかったし、何でこんなに精巧なデザインなのか聞きたかったけどとりあえずスルー。結構重いし、何故か実際に切れる。毎日素振りをしてる。まあ、筋トレ見たいな物だね。どーせつかわないろーし。趣味みたいなものかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、いきなりだけど今は、皇歴412年────つまりクーデターの起こる年。というか

 

現在進行形で起こっています!! しかも、原作より若干規模が大きいです!!

おそらく、兄さんのせいです。きっと何か発明しているでしょうあの人が!! と言っても、エオニアが制圧した本星とその周辺の宙域の範囲が広くなっているだけです。だからそこまで原作に関係ないよね………とか思っていたのだけど。

 

 

よく考えるとそれって、『エルシオールの本星宙域離脱が難しくなる』という事だよね?

原作でも確かしばらくエルシオールが動かなくなるくらいだったのだし。

ヤバイ………エルシオールが沈んだら……ヴァル・ファスクに勝てないじゃん……ゲームオーバーだよ。

 

 

今さらどうすることが出来るわけじゃないけど………まあ、それに今のところは大丈夫みたいだ。だって、シャトヤーン様に渡した『エタニティーソード』も発信機が動き続けている。まあ、発信機の信号が受信できる位置に来るまで不安で胃が痛かったけどね………

 

ともかく今は、タクト達の船が、エルシオールにミルフィー達の先導で向かったから、それを追いかけることにする。近づくと気付かれるからすごく離れてだけど。さて、ここからが本番だね………楽しみだよ。

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

ルフト・ヴァイツェンは、ブリッジで歯がゆい思いをして戦況を見ていた。このクリオム星系の端まで逃げてくる為に幾度となく戦闘を行ってきた。

騙し騙し警戒をすり抜けながら戦闘行動をとり、取り繕うように間に合わせてきた。そして流石にそろそろ限界が見えた頃に漸く、自分の教え子であるタクト・マイヤーズとレスター・クールダラスと合流できたのだ。その時の安堵は一入であろう。

 

しかしながら、その後修理の終わる前にエオニア軍の士官に見つかってしまい戦闘に移行したのだ。通常時であるのならば、紋章機で難なく撃退できるであろう敵だ。しかし今では連戦によりエルシオールの移動ならびに攻撃もできないという悪条件のもと戦っている。

 

頼みの紋章機のほうは、辛うじてきちんと整備された状態ではあるが、連戦によりパイロット達の疲労の色が濃い。当然のことである、ここまで24時間警戒態勢で、なおかつ数の減らない得体も知れない敵と、先行きが見えない状況で戦ってきたのである。むしろよくがんばってくれているほうだ。

 

こうも過酷な状況で、自分の半分も生きていない少女達にすべてを任せて、自分はせいぜいダメージコントロールしか出来ないこの現状に対して彼は歯がゆく思っているのである。

 

 

 

「『カンフーファイター』は一度下がれ!! 『ハーベスター』はナノマシンで『カンフーファイター』の修理を。二機の抜けた穴は『トリックマスター』がカバーしてくれ!!」

 

タクト・マイヤーズが『高速式リンクシステム』により動き続ける戦況の中、必死に指示を出す。流れるように動く状況の中、こうも的確な指示を出し続けている彼は、非常優秀な指揮官なのであろう。戦略家としては優秀だが、普段はサボってばかりの彼は、この状況下では誰よりも思考して勝利を目指せる人間だ。

 

この作戦の目的はあくまで、指揮をしているであろう『猪士官(レゾム)』の乗る敵旗艦の撃退だ。そのため無人機をすべて無視して突っこませるのが有効な策だ。しかし複数の方向からこの動けないエルシオールを狙われている。こういった場合1機を護衛に残しエルシオールは逃げるのが良いのだが、動けない現状では致し方あるまい。タクト達が乗ってきた3隻ぽっちの艦隊だけではとても守りきれないのである。

 

 

「こちら1番機『ラッキースター』エネルギーが10パーセント切りました!!」

 

「4番機『ハッピートリガー』エネルギーがもうない!! 補給を要求するよ!!」

 

 

そんな中でも、どんどん状況は動く。今まで、攻撃の要であったミルフィーユ・桜葉の操縦する機体『ラッキースター』のエネルギー残量は警告域に達したのだ。彼女の機体は総合的に高い性能を持っているが、そこまで燃費が良い機体でもない。高速で戦場を『カンフーファイター』と共に駆け回るが、『カンフーファイター』よりも燃費が悪いため先に燃料が切れてしまうのである。最高火力を持つ『ハッピートリガー』はもっと燃費が悪い。二機とも早いうちに補給が必要だ。

しかし今は戦闘中。無理やり補給しようものならかなりの時間を要してしまう。この刻々とせまる状況では、一秒の時間が黄金のように貴重なのである。補給したために戦闘に負けましたでは、お話にならない。

 

 

このエルシオールには、シヴァ皇子が乗っているのだ。今彼を失えばトランスバール皇国はおしまいだ。エオニアが完全に支配することになってしまうであろう。それだけは避けなければいけない。

 

そう、既に皇族の血は途絶えてしまっている。簒奪者であるエオニア廃太子を除く、唯一の生き残りがシヴァ皇子であり、彼を失うことは事実皇国現皇権の完全な滅亡になってしまう

 

 

(クソッ………せめてあと一手あれば………このままじゃジリ貧だ!!)

 

 

表面上は真剣な顔をしていても、内面では彼の心境かなり揺れていた。このままじゃどうしても手詰まりなのだ。燃料は減っていく一方であるが、実はまだ希望はある。敵の旗艦は馬鹿なのかこっちに突っ込んできているのだ。この周辺の敵戦艦を2,3沈めればその勢いで相手を撃てる。

 

しかしそれまでエネルギーが持つかといわれれば本当に瀬戸際で、計算予測させているコンピュータが示すこちらの継戦可能時間と、敵の到達予想時間がほぼ重なっているのだ。

 

 

「タクト!エルシオールのシールドも低下しているぞ!!」

 

 

彼の副官のレスター・クールダラスがタクトに報告する。いつも冷静沈着な彼らしくなく顔にはやや焦りの表情が見える。当然であろう、優秀な彼だからこそ手に取るように分かるのだ。この状況がいかに不利であるかが。

 

 

そんな時だった、レーダー担当のココ・ナッツミルクが一機の戦闘機が戦域に接近しているのに気がついたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正統トランスバール皇国軍 レゾム少佐の最大の不幸は、彼の率いていた戦艦が無人機で、それを率いるためのシステムが 正史よりも発展していた ことであろう。『高速遠隔同時指揮システム』ならびに 『高性能AI』 エオニアの配下の科学者が作った無人艦隊用の指揮システムだ。

通常のそれより、状況の伝達速度や、指揮の精度を上げるシステムと無人艦自体のAIの向上によりより高いレベルでの自動戦闘が可能となった。

その為、一つの艦隊に指揮官1名のオペレーターだけで回るようになったのだ。(最も、彼らの生活レベルはかなり低いのだが)

つまりは、戦闘になると、オペレーターが読み上げる戦況と自分で判断する状況を元に指揮をするので精一杯になってしまうのだ。コレは、人員の絶対的不足は解決しているものの、戦艦の戦闘力が人員の質に左右されてしまうという問題が出てきたのである。

その解決策として人間の指揮を助ける学習型の高性能AIが、経験を共有蓄積し時間経過とともに強くなっていくのだが、不運なことにそのAIには『その経験』が無く対処ができなかった。

故に、レゾムは自身の左後方から超高速で接近する機体になかなか気付かなかったのである。もっとも

 

 

「少佐!左後方距離8000から、戦闘機らしきものが高速で接近してきます。」

 

「フン!戦闘機一機に何が出来る、多勢に無勢だ。対空砲に任せ捨て置け」

 

 

 

早期に気付いたことで対応できたかどうかは甚だ疑問であるが。

 

 

 

「戦闘機、なおも本艦に接近!! 距離4000………3000!! このままだとまもなく衝突します!」

 

 

「なーにぃ!? えーい! 何をやっている迎撃だ!!」

 

 

「それが敵戦闘機が速過ぎて、敵の回避動作に追いつけません!!」

 

「か、回避だ! 回頭急げぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「よっと!! 実弾とか思ったよりたいしたことないな! まあ、当たっても幾分かは耐えられるからそこまで怖くないからだろーけど!」

 

 

ラクレットは、彼の『エタニティーソード』を移動形態にしてレゾム艦に高速接近していた。彼がこの宙域に来たときすでに戦闘が始まっていたのである。彼は護衛を置いて飛び出しているレゾム艦を見つけて一直線で突っこんでいるのだ。

 

 

「よし! 攻撃形態に移行!! そのままぶった切ってやる!!」

 

 

ある程度接近すると、彼は機体の形態を攻撃用に変える。途端に格納されていた装甲が展開し碗部が伸びて来る。宇宙空間故速度が落ちる事はないがスラスターが減る為加速性能は落ちる。そのまますべるように旗艦に接触し碗部の先に握られている、エネルギーを纏った剣で切り付ける。彼の狙いは砲門だ、相手の火力をそぐのは戦術の基本である。

旗艦の左後方下部に接近し、そのまま追い越しざまに右の剣を突き立てると、まるでバターに熱したナイフを入れるかのように、剣は艦隊を切り裂いた。

そのまますれ違うと、今度は敵艦の前方で高速旋回し、敵艦正面上部に接近し、剣を機体の下に回しなぞるように飛ぶ。艦上部に設置してある砲門もこれですべて沈黙する。

いくつもの砲門を破壊し、テンションが上がってきた彼は、レゾムを挑発しようと思い通信のチャンネルのサウンドのみを入れた。

 

 

「どーだ、戦闘機一機だからと侮って貰っちゃ困るぜ!!」

 

「誰だ、貴様!!」

 

「はっ! お前みたいな小物に名乗る名はない!! 通りすがりの一般市民だ!」

 

「一般市民が戦闘機に乗って戦闘に介入するわけがあるか!」

 

 

レゾムからの最もな指摘を受けるが、中二全開モードの彼は、直前に言った台詞に酔っていてほとんどアタマに入らない。さらにテンションの上がってきた彼は、そのまま特殊兵装を使うために、さらに自分に酔う言葉を吐く。この数年間でわかったことだが、彼は素の自分でいるよりも、何かのキャラクターの科白を吐いたほうがテンションがあがるのだ。

 

「いくぜ!! 『H.A.L.Oシステムよ、我が求めに応じよ。オーラとなりて、刃の力となれ。インスパイィィィィッアッ!!!』(結構必死に声を作って成りきっています。)」

 

 

彼がそう叫ぶと、『クロノストリングエンジン』から『H.A.L.O.システム』によってエネルギーが引き出される。手に持つ剣が強烈に青白く輝く。両手を合わせ一つと成る。そして勢いを殺すことなく、むしろ加速しながらラクレットは機体を敵の旗艦の前方に接近させる。

 

そして、彼は再び叫ぶ

 

 

「今だ!!コネクティドゥ……ウィル!!」

 

 

その言葉がスイッチとなったのか、『エタニティーソード』は猛烈に加速し、一つになった大剣を振る。その動きには洗練された美はないが、ただ長い歴史を感じる鋭い動きである。その剣が敵の旗艦の前方の何割を削り取った。荒々しい剣舞の跡を残しながら機体はそのまま敵を通り過ぎ、ある程度進むと旋回し停止する。

 

 

「き…旗艦大破! 戦闘続行不能! 少佐! 直ちに撤退を!!」

 

 

「うぬぬぬ……ここは引いてやる!! 小僧!! それにエルシオール、覚えていろよ~~!」

 

「っへ、見かけ通り小物の台詞だな! いや、やられ役か、(アレで沈まないのかよ……ご都合主義な話だなおい。それとも 『コレが歴史の修正力か!?』って驚くべきなのか?)」

 

 

レゾム艦はそのまま撤退する。ラクレット的にはそのまま追いかけて行っても良かったのだが。ここで沈ませると歴史が変わりすぎてしまうし。と転生者特有のおごり高ぶった思考のままそう結論付けた。

 

何より、エルシオールがいまだにピンチである。数隻の無人艦は戦闘を中止して逃げた場合に受ける被害が大きいであろうことを計算して、戦闘を続行していたのだ。

彼はエルシオールの応援に向かうために機体を移動形態に変更した。そしてエルシオールに通信をつなぐ。特に意識したわけではないが先ほどから設定を変えていないので、サウンドオンリーである。

 

 

「こちら、個人所有機とそのパイロットです。航行中に攻撃を仕掛けられたために、自衛権の行使で敵旗艦を撃退しました」

 

 

 

 

 

 

時は少し遡ってエルシオール。

 

ラクレットの機体『エタニティーソード』が接近してきているのは、エルシオールの優秀なレーダーがキャッチしていた。最初に確認した時は、どこかの方面軍の生き残りか? などと思ったが、圧倒的な速度で接近するその機体には、民間機であるという識別番号しか出てこなかった。アルモは民間機に戦場へ入ってくるのを止めるように通信を試みた。しかし突然民間機が紋章機のような『どことなく生物を連想させられる』形に変形したのである。

 

 

「あれは! 紋章機!!」

 

「いや、それにしては少し小さいぞ!」

 

「内部にクロノストリング反応! 紋章機で間違いありません! そもそもあの速度が出せるのは紋章機だけです!」

 

「そんな……エンジェル隊以外の紋章機だなんて………」

 

 

タクト達が驚いている間に、その機体は敵の攻撃をかわし接近する。

そのまま接触するくらいの近さまで来るとそのまますれ違った。すると、レゾムの乗っている戦艦の砲門が爆発した。

 

 

「馬鹿な!! すれ違いざまに、剣で切っただと!? どんな操縦技術だ!」

 

「速い……カンフーファイター並の速さが出ています」

 

その機体が二度ほどレゾム艦とすれ違ったあと、両手の剣を一つに合わせて今までより一段上の速さで接近する。そのまま振り下ろし巨大になった剣でレゾム艦の先端部を削り取った。その規格外の動きにブリッジは沈黙した。

 

 

「うーむ、あの機体はもしや……」

 

 

今まで黙って眺めていたルフトの言葉に振り向く一同。しかし、ルフトの表情はやや気難しめであった。なぜならば彼は、もしあの機体を操縦している人物が、シャトヤーンの言っていた『彼』であるのならば、その年齢は14,5歳なのである。

しかしながら今の動きはいくら高性能な紋章機といえども、そう簡単に再現できるものではなかった。きちんとした教育を受けたパイロットが何年も自身を磨いてようやくできるような、いわば超一流の動きであった。

 

 

「知っているのですか? 先「あの機体より通信が入りました! どうします? マイヤーズ司令?」」

 

 

タクトが問いかけようとすると、その機体から通信が入ったのである。

 

 

「モニターに出してくれ。」

 

「いえ、それが、サウンドオンリーです」

 

 

その言葉に、クルーメンバーの顔が曇る。一般的にこの時代ではどのような通信も動画付きである。サウンドオンリーなんてそれこそ本当に一部の数世代前の船か、宇宙海賊のみである。あの戦闘機はどう見てもそんな数世代遅れのものではない。むしろ数世代先のものであろう。ということならば………などという考えであろうか。

 

 

 

「わかった、つないでくれ。」

 

 

 

タクトは、アルモにそう言うと、まだ宙域では戦闘は続行されていたが、エルシオールから離れていたし、何よりもあらかたが撤退していたので、大した事ではなくタクトは高速式リンクシステムによる指揮を一端切り止めて通信に集中した。

 

 

「こちら、個人所有紋章機とそのパイロットです。航行中に攻撃を仕掛けられたために、自衛権の行使で敵旗艦を撃退しました」

 

 

その声は、少々タクトの想定していたものより子供の声であった。

 

 

「こちら、エルシオール。艦長のタクト・マイヤーズだ。とりあえず君には悪いけれど確認が取れるまで、本艦の距離3000以内に近づかないでくれるかなあ?もちろん火器によるロックオンもね。俺達は、君が誰だか分からないからね」

 

 

とりあえず害意はなさそうなので、アンノーンに対するマニュアル的な対応をするタクト。その間にも、ココとアルモは戦闘機の持っている発信機の登録番号を皇国の膨大なデータバンクから検索していた。

 

 

「了解しました。一応許可証のデータを送りますね」

 

 

その言葉とともに送られてきたデータには、ラクレット・ヴァルター という名前とともにこの機体の所有を許可するとの旨が書かれており、最後に月の聖母シャトヤーンのサインもあった。そのことに、ココ・ナッツミルクは驚きつつも、紋章機であるから当然かもしれないと思い直し、そのサインが本物であるか鑑定を行った。

 

その間にエンジェル隊の紋章機が残存艦の砲門を沈黙させたと、アルモから報告が入ったために、タクトは一回全機を帰還させ後は味方艦隊に任せることにした。

 

 

「ラクレット・ヴァルターか……それで君はどうしてここに?」

 

「はい、そちらに自分の紋章機の発信機の反応を確認したので……」

 

「うむ、コレのことじゃな。シャトヤーン様より預かっているぞ」

 

 

今まで横で通信を聞いていたルフトは、その言葉に自分の胸ポケットしまってあった、シャトヤーンから渡されたカード大の大きさの物を見せた。タクトはルフトのその行動にやや驚いたものの、ラクレットに確認をとる。

 

 

「なるほど、じゃあ少なくとも敵ではないのだね?」

 

「はい、クーデターと聞いて、この機体の整備を行っていた所に、シャトヤーン様にお渡ししたその発信機の反応が動いたのを発見しましたので、契約の元に参上しました」

 

「そうか……じゃあ、エルシオールに来てもらえるかな? 直接話を聞くよ」

 

「解りました。一応シャトルの収容スペースがあれば搭載できるので、お願いします」

 

「わかったよ」

 

 

そう言ってタクトは通信を切ると、格納庫に向かうのであった。

そのあまりに自然な流れに、レスターはツッコミを入れることが出来なかった。数秒して気付いたレスターは何事もなかったようにタクトの後を継ぎ、味方艦隊に指示を出すのであった。

 

 

 




Q.ルフトが正体不明の紋章機操縦者が裏切っている可能性を懸念して、発信機を破壊しなかったのは?
A. シャトヤーン様がそう言ったから。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。