僕と兄貴と銀河天使と   作:HIGU.V

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第27話 倍の倍で無限

 

 

第27話 倍の倍で無限

 

 

 

 

「アヒャハハ、いやぁー実体剣で受け止めたらダメでしょー。大ピンチだねぇ? 」

 

「ラクレット!! 」

 

「ラクレットさん!! 」

 

 

ラクレットのエタニティーソードは現在隻腕とまではいかないが、左側の剣が中程から完全に折れてしまっている。おかげで左の剣は臨界寸前のエンジンの様な異音を発しつつ、不規則に点滅している。この様子ではエネルギー剣を展開できそうもない。

 

 

「おっと、そう簡単には行かせないよ」

 

 

カースマルツゥのその言葉と同時に、戦闘機が即座に動き出す。ランファとミントの機体を足止めするように、正面に10機ほど展開し、残りはラクレットを鳥籠のように包囲し始める。

流石にラクレットも動揺から我に返り、包囲を突破しようとするものの、敵は群体の様なまるで一つの個のような統率のとれた動きで彼を逃がさない。当然だ、向こうはこの100近い数を一人によって操縦されているのだ。100機程度の戦闘機は手足を操るように動かせるのがヴァル・ファスクだ。

 

 

「左側が、お留守だぜぇ? 」

 

「ッ!!」

 

 

当然の如く、360度上下左右前後の包囲を維持しつつ、現在の彼のアキレス腱である左後方から機体を近づかせるカースマルツゥ。右腕の稼動可能範囲を考えれば当然のことであろう。瞬く間に機体の背後に取りつかれるエタニティーソード。得意の高軌道による戦闘も、これだけ包囲されて戦域を限定されてしまえば半減である。

そして何より、ラクレットにとってかなり不利な点もあるのだ。それは彼が今まで『自分よりも射程の短い相手』と戦ったことがないという事だ。先のミルフィー救助戦において、多少の経験を積んだとはいえ、まともな戦闘を行うのは初めてになる。今まで彼は『懐に入ればこちらのものである』という状況が普通であったのだ。兎も角近づくことで地の利を得る事ができる。自分の距離に入ったならば火力と手数で必ず上回る。遠距離攻撃ができないというのは逆に近づいてしまえばこちらのものという常識があったというわけだ。

 

しかし今回の敵は自分と同じように、もはや0と言っていい様な距離を得意とする機体だ。近づくことによって自分のみがメリットを得るということがない。敵がそこまで考えていたのかは知らないが、これは彼にとってかなり不利な状況であることには違いないのだ。

 

 

「ほらほら、逃げてばっかりじゃ、ダメだぜぇ? 」

 

 

右側の後部スラスターと左側の前面スラスターを同時に吹かし、その場で急旋回をして左からくる敵に対応するラクレット。回転と同時に敵に攻撃を合わせるのは流石であるが、エネルギーの刃が相手に当たっても、今までの様にバターへ熱したナイフを刺したようには入らない。向こうの機体にも同じようにエネルギー剣があり、シールド以外に受け止める事の出来る部位があるのだ。此方の方が俊敏性も破壊力も上であるが、防御をするだけなのならば、問題ない。

故に回避を重視していたのだが、それにも限界があるようで、天頂方向から2機同時に強襲され、対応が追い付かなくなる。

 

 

「はい、さよならー」

 

「ッ!! 」

 

 

下部スラスターを爆発させ、機体の軸をずらし対応しようとした彼の機体には、目の前から迫る4筋の蒼い光。2機編成のコンビネーション攻撃。回避することは不可能と言っても良い、その絶望的な光景を見ながらも、ラクレットは自身の思考回路が爆発的に回りだすのを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(どうして戦闘機なのに腕が2本なのであろうか? )

 

ずっと考えてきたことが、ラクレットにはあった。

自分の機体はどういったものなのであろうか? という疑問だ。武装は両手と一体となっている1対2本の剣だけ。その剣はエネルギーを纏う事で、リーチを伸ばし攻撃力を上げることができる。

しかしながら所詮は剣だ。冷静に考えてみてほしい、地球を舞台とした戦闘機やロボットバトルのゲームなどでは、SF要素が強ければ剣の装備はまだありうるだろう。しかし、こちとら宇宙空間だ。戦闘可能宙域の広さがウン十万km四方なのだ。射程が長い機体は5000km離れていようと攻撃を命中させるのだ。いくら秒速数100kmで動いているとはいえ、どんなに頑張っても射程1kmの剣では戦えるわけがどこにもないであろう。

そもそも自分がなぜ戦えているのかが、疑問になるくらいだがそれは置いておこう。

さて、ならばどうすればいいか考えた。武器を変えてみる? 現存の戦闘機とは規格が違うので何かしらのコンバーターが必要であろう。仮に合うモノがあっても、移動しながら射撃攻撃を当てる技術が身に着くまでの時間が必要だ。

剣の数を増やせないか? それも無理だ。何故か2本しかついていないのだ。これ以上拡張できる領域もない。できれば最初から4本腕で4刀流だったりすれば、まだ話も違っていたであろう。それこそ腕ごと取換えるなどをしなければいけない。

アンカークローの様な本当の意味での近距離武装をつける? 保留だ。機体に合う武器を敵から拿捕出来たのならば、それも一考に値するであろうが、現状は見送らざるを得ない。

 

結局のところ今は、2本しかないこの剣を大事に使っていくしかないのだ。そう考えてみると、このエタニティーソードという名前も実に皮肉気だ。永遠の剣ではなく、永遠に剣なのだ。最も同型の中には槍や斧といった物を装備した機体もあったらしいが。

しかし、嘆いたって話は変わらない。2本の剣をよりうまく活用する方法をラクレットはずっと考えてきた。考えて、考えて、試してみて、それでもダメで、また考えての試行錯誤を繰り返し。そして、彼はある極地に至った。

 

今双剣しか使えないのならば、今双剣で最強になればいいだけの事。

 

エネルギー剣の射程を伸ばす。剣自体のエネルギー量を上げる。この二つを行えばよい。これは供給量を上げることによってできることだ。しかし、機体のエネルギーは基本的に一定の割合で割り振られている。今までは、テンションを上げて、総量を上げることによって、比率的に上がる、そういったものを賄ってきたのだ。

 

今までのエネルギーで、回避運動を取りながら余裕で切り込みに行けるだけの事が出来ていたのだ。より剣の切れ味と長さを保つためにシールドやスラスター、ブースターなどに回しているエネルギーを減らして、攻撃に切り替えることだってできるはずだ。それこそ敵に当たる瞬間だけ射程を伸ばしたりや、ダメージの瞬間シールドを強化する。そう言ったこともいずれはできるようにしたい。

 

ヴァル・ファスクと人間の能力が合一したラクレットだからこそできる、瞬時に精密なエネルギー制御を極める。それがラクレットの出した結論であり、その方策を今までずっと考えてきた。ヴァル・ファスクよりも複数の物を自在に操ることに劣るが、数少ないものを爆発的に操るのならば彼に分がある。

 

 

さて、今はその双剣が片方折れてしまった。折れた剣へのエネルギーは、無駄になるどころか、H.A.L.Oシステムでクロノストリングエンジンの出力を上げれば、暴発しかねないような足手まといだ。かといって、此処は宇宙空間でもない、整備の時の様にパージすれば、たちまち地上に到達し甚大な被害をもたらすであろう。

 

そう、今こそ考えていたマニュアルでのエネルギー管理をする時だ。

今までも、多少の調整はしていたし、ネフューリアとの決戦の時は手動で行った。さっきだって、一瞬、切り結んでいる部分の刃のエネルギーを上げた。でもそれは言うなればセミオートのようなものだ。戦闘中に丸々全て行うのは初めてだがやるしかない。

 

目の前には4本の剣、此方は1振りの剣のみ。ならばどうすれば良いか。答えは簡単だ。

 

 

「倍の長さにして、倍の速さで動かせばいいだけだ!! この野郎がぁ!! 」

 

 

 

その言葉と共に、エタニティーソードの右腕から延びる剣のエネルギー光がより激しく発せられる。通常の蒼い光が、今や強すぎて白銀の様な、純白に見える。長さは普段の10分の1程度の100m程しかないが、それは彼が意図して行ったものだ。このような密集している状況で、尚且つ敵が遠距離の攻撃を持たないのならば、同射程にする程度で十分であろうとの考えに基づいている。

さらに今のエタニティーソードは、移動に用いるスラスターの性能をおおよそ敵機と同じ程度のレベルに『落としている』。敵と同じ条件であれば、負けることはないという、彼の自信の表れだ。これにより、さらに右腕にエネルギーが集中しており、このような発光現象が起こっているのだ。

 

 

「邪魔だ!! 消え去れ!! 」

 

 

速度落したと言っても、昔のエタニティーソードレベルではあるのだ。俊敏な動きで敵に向き直り、右腕の剣を横に動かした。直後、強い輝きが周囲を包み込み、そのことに気づき注視した瞬間には、機体および、武装であり命を刈り取りに来ていた、4本の刃は爆発し、無力化されていた。

 

 

 

「っな!! てめぇ! なにしやがった!! 」

 

「宣言通り、倍の速度で動かしてやっただけだ!! 」

 

 

仮に今のこの瞬間の映像記録を後に確認したのならば、驚かざるを得ないであろう現象がそこにはあった。今の彼は、右の外側から切り始めて、機体姿勢をそのままに、『右の外側に剣を向けて』止まっていたのだから。

 

ラクレットには、まだ目の前に迫る4つの剣を一振りで迎撃する技術がない。しかし、それならば、二振ならばどうであろうか?

彼の認知が及ばないほどの速さであっても、H.A.L.Oシステムを使いこなし、瞬間的な未来予知を持つラクレットならば、それは不可能な技ではない。どこを弾けば最高率で壊せるか、それを未来から知り後は実現するだけである。

 

神業はできなくとも、それを再現するような裏技をつかえばよい。それが最強になる為の第一歩だ。

 

 

「さあ、ここからが反撃の時間だ!! 」

 

 

その宣言と共にラクレットは一筋の光となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「畜生、畜生、畜生、畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生!! 畜生があああぁぁぁ!!!! なぜだぁ!! なぜ、ここまでお前らはこっちの予想を上回りやがる!!」

 

 

カースマルツゥは、激昂していた。今までも何度も敗走させられ、煮え湯を飲まされていた。しかしそれは、最後に勝てばよいからであって、戦略的には致命傷を受けなかったためである。煮え湯も冷まして飲めば白湯なのだ。

しかしながら、ここにきてようやく、自分が刈り取る側ではなく、刈り取られる側の可能性に思慮が至ったのだ。そう、自分は追い詰められている、既に享楽的に獲物を狩る猫ではない部屋の角に追い込まれた窮鼠なのだ。

 

 

状況は悪化の一方だ。流石にカンフーファイターにも、トリックマスターにも10機程度の戦闘機では、そう長くの足止めはきかない。射程が違いすぎるのだ。ラクレットがいい勝負ができているのは、単に彼の技術と、思い切りの良さ、そして『エンジェル隊を研究し尽くしている』からに過ぎないのだ。適正とシミュレーターさえあれば、彼はエンジェル隊の操縦をほぼ完ぺきに再現することができる。それこそ戦闘時の思考パターンまでも。ミルフィーをして、なんか少し気持ち悪いね。と言われるまでの変質的な愛情があってこそだ。

 

 

「さぁて! そろそろ落とし前をつけさせてもらうわよ!! 」

 

「報いを受けてもらいますわ」

 

 

二人が同時に特殊兵装を発動させる。瞬時に21のフライヤーがラクレットを囲っている戦闘機たちをさらに囲い始める。そして即座にレーザーによる一斉掃射が始まる。我先にと逃げ惑う戦闘機。包囲の薄い方向に何とかたどり着けばそこにはアンカークローが死神のごとく迫っている。エタニティーソード一機などとは比べ物にならない速度で破壊されていく。当然だ。リーチと手数に雲泥の差があるのだから。

 

 

その光景を見つめるカースマルツゥは、別段自分が万能なヴァル・ファスクであるとは思っていない。しかしヴァル・ファスクが万能であるとは思っている。彼自身が得意とする分野、それがだまし合いだ。残虐に非道に、それでいて相手が絶望する程度には、正道を進む手段。それを用いて叩き潰すのが、彼のやり方だ。それを真っ向から破られたのだ。

彼は、ヴァル・ファスクこそが至高の種族であるべきだという強い使命感を帯びている。故に、人間程度の下等種族は言語が理解できる家畜に過ぎず、そんなものに肩入れした兄を許せるはずがないのだ。

今回だって、ラクレットと言う認めることのできない存在を手早く殺したら、とっとと退避してダイゴを殺すためのプランに移るつもりだったのだ。しかし結果はどうだ。剣を破壊し追い詰めたは良いものの、その後時間を稼がれ挽回されている。その結果、今の様に、高火力の紋章機により殲滅されてしまうのだ。

そう戦力を生かしきれてないという致命的な弱点がヴァル・ファスクにはあるのだが、彼を含めたほぼすべてのヴァル・ファスクはその事実を無視していた。彼らは常に自身の勢力の多くをある一点に集中させて備えていなければならない事情があるのだ。

 

 

「この家畜どもが!! 」

 

「アンタの家畜になった覚えはない!! 」

 

 

ラクレットがカースマルツゥの叫びに、律義に反応する。今彼は、鳥籠の様に包囲された中で、全方位に対して射程に入ればすぐさま迎撃と言う技をこなしていた。当然の如く、ミントの攻撃はすべて回避している。

最初にいた周囲の敵は、瞬間的に加速し振り切ることで回避し、その後も同時に囲まれない様に位置を小刻みに不規則に変えながら、敵の迎撃をしている。

 

 

「一撃必殺────コネ……って、今は違うか!! まあいい、消え去れ!! 」

 

 

今の彼は一撃必殺の剣を右手に宿している。リーチが同じでも攻撃力に差があり、スキルに差があるのならば、ワンサイドゲームになってしまう。特殊兵装は使えないので火力は下回るが、小回りはこちらの方が聞くといった感じだ。最も現状の火力ですら既にオーバーなところはあるが。

 

機動の方も絶好調であり、目の前を飛んでいたのに、次の瞬間には急旋回をして後ろに回り込まれている。そんなことが何度も繰り返される。今の彼はまさに悪鬼の如き様相を誇っていた。

 

 

「糞!! ふざけるな! なぜ! なぜだ!! 」

 

 

怒りに意識を逸らし、精彩を欠いた戦闘機たちの動き。そんな状態の敵戦闘機がこちらの10倍程度になる頃、ようやく、タクト達が起動爆雷と付随する艦隊を撃破したとの報告と共に合流した

 

 

 

「カースマルツゥ!! 覚悟しろ!! 今日こそお前を倒す!! 」

 

 

無茶をしたのか、それなりの損傷を負いながら、『エルシオール』はカースマルツゥに相対する。護衛についていたザーブ級艦隊は既に対比済みだ。4機の紋章機はまだ無事であるが、消耗がないわけではない。

 

 

それでも、今の状況でカースマルツゥを追い詰めないという選択肢はなかった。

 

 

「散々飲まされた苦渋、倍にして返してやるよ!! 」

 

「私を操ったこと、許してあげません!! 」

 

 

士気も高い。場所はクロノドライブができる場所まで最低15分はかかる大気圏内だ。退路は無きに等しい。千載一遇のチャンスである。

 

 

「っく……」

 

 

カースマルツゥはこの瞬間、誇り高きヴァル・ファスクであることをやめた。意地汚く生きることを選んだのだ。

 

 

「ゲルン王陛下!! 援軍を!! 援軍をお願いします」

 

 

そう、軌道上に潜んでいたゲルンの映像を投射した艦に向かって通信を送ったのだ。さすがにゲルンの本人はいないであろう。彼には強力無比な母艦があるからだ。しかしそこに戦艦が、戦力があるのも事実だ。

 

 

「皆、応援を呼ばれる前に落とすぞ!! 」

 

 

────了解!!

 

 

 

すぐさま、攻勢に出る『エルシオール』とエンジェル隊。前方に控えているランファとミントとラクレットを追い越す勢いで、敵に迫っていく。しかし、彼等のその一気呵成の突撃は徒労に果てることになった。

 

 

「司令!! 軌道上より高エネルギー反応!! 目標は……敵旗艦です! 」

 

「なんだって!! 」

 

 

上空から、凄まじい量のエネルギーが、カースマルツゥのランゲ・ジオに向かって照射される。タクトの指示を待たずに、すぐさま紋章機は射線を計算させ、その方向に向かう。ランゲ・ジオを庇うためではない。貫通したエネルギーが、EDENの地表に到達するからである。

 

 

「何故です!! 王よ!! ヴァル・ファスクは、無駄をしないはず」

 

「貴様のような屑より、目の前の人間の方がまだましよ、死ね」

 

 

ランゲ・ジオではそのような通信が行われている中、ラクレットが機体のスラスターとブースターに全力でエネルギーを送り込むことによって、爆発的な加速力を得る。もの凄いGが体にかかり、加えてシールドも削っている為に機体へのダメージも深刻だが、それでも一番に到達することに成功した。

 

 

「させない!! 」

 

 

ラクレットは再び剣にエネルギーを集中させる。レーザーの太さを考え、エネルギー剣は最小限の大きさにしている。それはその分圧倒的な密度によって受け止める事ができるという事だ。エタニティーソードの利点としてシールド以外の部分で直接エネルギー攻撃を受け止めることができるというのがある。今回はそれを完全に活かす。数秒だけでいいのだ。時間を稼ぐ必要がある。

 

 

「ぐぅ……」

 

 

みしみしと、『自身の』エネルギーに耐えられないのか実体剣が挙げる悲鳴が聞こえる。この戦闘において酷使をしすぎた。これ以上はもう限界というタイミングで、距離の近かったランファとミントが到達し、シールドを展開する。

 

 

「アンタ一人にいい恰好させないんだから!! 」

 

「残りの皆さんの到達までは十分持ちます、ご安心くださいな」

 

 

ミントの言葉通り、4機の到達まで、エネルギーを受け止めきることに成功し、ついには7機で完全にエネルギーを防ぎ切った。

その場に残ったのは、木っ端みじんに消え去った、カースマルツゥのランゲ・ジオだけであった。

此方を騒がせた男のあっけない終わりであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「防いだか……『エルシオール』よ」

 

 

ゲルンの姿が再び、投影される。先ほどの攻撃をした艦は、主砲の砲身が過熱しすぎたのか、煙を上げているが、通信機器には問題がないようだ。

 

 

「試金石は済んだ。1週間後に余はクロノクェイクボムを起動させる。その時、余の配下になり、EDENと皇国とやらを献上し、永遠の忠誠を誓えば助けてやろう」

 

 

それだけ言うと、ゲルンの姿はまた掻き消えた。掴んだものは勝利であったが、どこまでも問題を抱える。そんな難しいものであった。

 


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