赤き弓兵、錬鉄の記憶   作:ハウンド・ドッグ

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待 た せ た な

ドーモ、ハウンド・ドッグです。

楽しんでいってね!


Ep.11 再会

 琴葉は走る。迷宮の中を走り抜ける。

 

「待て……!!」

 

「キュ……!!」

 

 迷宮内部でハジメを捜索している最中に鉢合わせした白い毛並みを持ち、脚部が発達したウサギのような見た目の魔物、"蹴りウサギ"を琴葉は追いかけていた。交戦している時、何を思ったのか蹴りウサギが言葉通り、脱兎の如く逃走したのだ。

 

(はっや……! ってか、何なのよあの変態機動! 頭おかしいんじゃないの!?)

 

 何より、早い。そして、空中を蹴ることで蹴りウサギは移動している。それは、もはや生物が為せる動きではない。武道の達人の如き身のこなしで追跡する琴葉の攻撃をひらりひらりと躱していく。

 

 

「キュ……!!」

 

「っ!?」

 

 突如、蹴りウサギが空中で反転。次の瞬間、轟音を立てて加速。琴葉の頭蓋を蹴り砕かんと、飛び蹴りを放つ。

 

(そこ……!!)

 

 だが、()()()()()。琴葉は蹴りウサギの放つ蹴りが直撃するその寸前で、蹴りウサギのすぐ後ろに転移。攻撃が外れた蹴りウサギは大きく目を見開く。慌てて振り返り、防御態勢を取ろうとするが───一瞬遅かった。

 

「おとなしく……しろ!!」

 

 琴葉は二振りの夫婦剣、干将・莫邪を振り下ろす。それはしっかりと蹴りウサギを捉え───斬り殺した。

 

「はぁぁ……ギリギリだったわね、ホント」

 

 成功したことに安堵し、琴葉は胸を撫で下ろす。

 蹴りウサギを縄で縛り、拠点へと運んで行った。

 

 

 

 

 

 固有結界から解放され、琴葉の体内時計ではおおよそ二日が経っていた。蹴りウサギの肉を咀嚼しながら、琴葉は焦燥を感じていた。現時点で、ハジメの生存確率は絶望的になりつつあるということに。

 

(マズいわね……。早く見つけないと)

 

 蹴りウサギの肉を食べ終え、琴葉は拠点から這い出る。ハジメを探す為に、再び迷宮を進むのだ。

 

(見つからない)

 

 かれこれ二時間が経った。捜索範囲を拡げていってはいるものの、点で見つからない。それどころか、痕跡すらも見当たらない。

 

「───同調、開始(トレース・オン)

 

 琴葉は迷宮の壁に手を当て、魔術を行使する。

 

「───基本骨子、かい『バチッ!!』……っ!!」

 

 魔力が逆流し、鋭い痛みと共に壁から弾かれた。

 

(……これで十二回目。迷宮が解析されることを拒んでいる……?)

 

 何度も正しい方法でアクセスを試みるが、全て失敗。琴葉の推測通りならば、迷宮が構造の解析を拒んでいるのだろう。

 

(せめて、解析できれば探せるのに……)

 

 琴葉は不甲斐なさに歯噛みする。

 

(地道に探すしかない、か……)

 

 再び歩みを進めたその時、

 

 カラン……

 

「……っ!? そこにいるのは誰!!」

 

 後方からの物音。琴葉は反射的に洋弓を構え、放つ。矢は真っ直ぐ飛んで行き、壁に突き刺さる。物音を立てた下手人は突き当たりの通路を曲がったところにいるはずだ。

 

「武器を捨てて出て来なさい。でないと……」

 

(───身体は剣で出来ている(I am the bone of my sword)

 

 矢を番え、構える琴葉の周囲に二十本の剣が投影され、空間に固定される。

 

「……蜂の巣にするわよ」

 

 琴葉は通路を睨む。いつでも交戦できるよう、臨戦態勢に入る。

 

 通路から出て来たのは───白髪の男。右手を挙げ、『降伏』の意を示している。何故か、()()()()()()()

 

「衛宮、なのか……?」

 

 その男は琴葉の姿を認めると、そう言葉を洩らした。

 

「……はぁ? アンタ誰よ。何で私の名前を知ってるの? 答えなさい。さもないと……」

 

 琴葉は疑念を深め、その男を睨む。その様子に、男は慌てだす。大方、『殺されたくない』とでも思っているのだろう。

 

「待て待て待て! 俺だ! 南雲ハジメだ!」

 

「……ウソおっしゃい。南雲は髪白くないし、一人称がまるで違う。それに、雰囲気が完全に別物」

 

「あークソ……どうやったら信じて貰えるんだよ……」

 

「まさか、声まで南雲と同じだなんて……新種の魔物? 擬態能力を持っているの……? いや、だとしても、わざわざ南雲の姿を取ることもないはず……いや、記憶を読み取れるとしたら? そうすることで、″対象が殺しを躊躇う″姿に擬態しているとしたら……? そう考えると辻褄が合うな……」

 

 ブツブツと呟きながら考察を続ける琴葉。この数日で随分と疑り深くなっていた。だが、それが過ぎる、ということは無い。一瞬の慢心が命取りとなるこの状況で、そう考えるのは何ら間違っていないからだ。

 

「そうだ……! ステータスプレート! 今そっちに渡すから、な?」 

 

「ブツブツブツブツ……」

 

「いや、話聞いて!?」

 

「はあ? ……コイツ、揺さぶっているのか?」

 

「擬態から離れろよ!?」

 

「……信用できないな。射るか」

 

「ちょっ! 待てって!!」

 

 射られては堪らない、とその男は懐をまさぐりステータスプレートを取り出し、琴葉の方へと放る。琴葉は投げ渡されたステータスプレートをキャッチし、確認する。

 

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:12

天職:錬成師

筋力:200

体力:300

耐性:200

敏捷:400

魔力:350

魔耐:350

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・言語理解

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「……なんでさ」

 

 ハジメのステータスプレートを見てそう洩らしてしまう琴葉。その直後、自身の心が安堵に包まれるのを感じた。

 

「……そっか。生きてたんだ。良かった……本当に、良かった……」

 

 ぽろぽろとその双眸から涙を流し、蹲る琴葉。どうやら、安堵からか力が抜けてしまったらしい。

 ハジメは琴葉のその様子にどう声を掛けていいか判らずおろおろとするが、寸刻の間考え込み、言うべき言葉を見つけた。

 

「……その、心配かけたな。済まない」

 

「……なんでアンタが謝るのよ。謝らなきゃいけないのは私よ。あの時……何も出来なくてゴメン。今の今まで、探し出せなくてゴメン……」

 

 琴葉の語気は弱弱しいものだった。安堵と共に押し寄せたのは罪悪。彼女は無力な『己』を恨んだ。

 

「気にすんなって。ほら、生きてるだろ?」

 

「そう、だね。うん……生きてる。良かった……良かったぁ……」

 

 再びぼろぼろと大粒の涙を零す琴葉。

 

 

 

 

 

 

 泣き止むまで、三十分はかかったそうな。

 




感想。評価を頂けると嬉しいどす。

完結後、カルデア召喚編やる? やるとしたら琴葉はどのクラスで召喚する?

  • やれ。クラスはセイバークラスで。
  • やれ。クラスはランサークラスで。
  • やれ。クラスはアーチャークラスで。
  • やれ。クラスはライダークラスで。
  • やれ。クラスはアサシンクラスで。
  • やれ。クラスはキャスタークラスで。
  • やれ。クラスはバーサーカークラスで。
  • やれ。クラスはルーラーで。
  • やれ。クラスはアヴェンジャーで。
  • やれ。クラスはムーンキャンサーで。
  • やれ。クラスはアルターエゴで。
  • やれ。クラスはフォーリナーで。
  • やらなくていいんじゃない?
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