誠にありがとうございます!
今後も頑張ります!
追記
1月12日23時38分現在、日間ランキング8位……!
言葉ではもう言い表せない程に拙は興奮している!
閲覧してくれた方々、本当にありがとうございます!
琴葉とハジメの迷宮攻略は続く。
現在、タールザメの階層から更に五十階層程進んでいる。二人に時間の感覚は既にないので、どれくらいの日数が過ぎたのかはわからない。それでも、驚異的な速度で進んできたのは間違いないだろう。
その間にも理不尽としか言いようがない強力な魔物と何度も死闘を演じてきた。
迷宮全体が薄い毒霧で覆われた階層では、毒の痰を吐き出す二メートルの虹色のカエルや、麻痺の鱗粉を撒き散らすモスラのような見た目の蛾に襲われた。常に神水を服用してその恩恵に預からなければ、ただ探索しているだけで死んでいたはずだ。
虹色ガエルの毒をくらったときは直接神経を侵され、一番最初に魔物の肉を喰った時に近い激痛を二人にもたらした。奥歯に仕込んだ噛み砕ける程度に薄くした石でできた容器に入れた神水がなければ死んでいただろう。緊急用に仕込んでおいたのが幸いした。
勿論、二体とも喰った。グロテスクな見た目の蛾を食べるのは流石に抵抗があったが、自身を強化するためだと割り切り意を決して喰った。カエルよりちょっと美味かったことに、なんとなく悔しい思いをする二人であった。
また、地下迷宮なのに密林のような階層に出たこともあった。物凄く蒸し暑く鬱蒼としており、今までで一番不快な場所だった。この階層の魔物は巨大なムカデと樹だ。
密林を歩いていると、突然、巨大なムカデが木の上から降ってきたときは、流石の二人も全身に鳥肌が立った。余りにも気持ち悪かったのである。しかも、このムカデ、体の節ごとに分離して襲ってきたのだ。一匹いれば三十匹はいると思えという黒い台所のGのような魔物だ。
その気持ち悪さに琴葉は半狂乱。絶叫を上げながら空中に夥しいほどの、それこそ百は超えているであろう数の剣を投影し、それらを一斉に射出。着弾時の
ハジメは、ドンナーを連射して半狂乱の琴葉が撃ち漏らしたムカデの節を撃退しようとしたがリロードに手間取り、"風爪"で切り裂く方法に切り替えた。それでも間に合わず慣れない蹴りも使って文字通り必死に戦った。この時、ハジメは素早くリロードする技法と、蹴り技を磨くことを決意した。分裂ムカデの紫色の体液を全身に浴び憮然としながら。
ムカデを始末し終えた琴葉は肩で息をしながらもイイ笑顔で「汚い花火だ」と呟いていた。
樹の魔物はRPGで言うところのトレントに酷似していた。木の根を地中に潜らせ突いてきたり、ツルを鞭のようにしならせて襲ってきたり。
しかし、このトレントモドキの最大の特徴はそんな些細な攻撃ではない。
ピンチなると頭部をわっさわっさと振り赤い果物を投げつけてくるのだ。これには全く攻撃力はなく、二人は試しに食べてみたのだが、直後、数十分以上硬直した。毒の類ではない。ありえない程に美味だったのだ。甘く瑞々しいその赤い果物は例えるならスイカだろう。
二人はこの階層が不快な環境であることなど頭から吹き飛んだ。むしろ迷宮攻略すら一時的に頭から吹き飛んだ。実に、何十日ぶりかの新鮮な肉以外の食い物である。二人の眼は完全に狩人のそれとなり、トレントモドキを狩り尽くす勢いで襲いかかった。ようやく満足して迷宮攻略を再開した時には、既にトレントモドキはほぼ全滅していた。
そのような調子で階層を突き進み、気がつけば五十層。
未だ終わりが見える気配はない。
下記が現在の二人のステータスである。
===============================
南雲ハジメ 17歳 男 レベル:49
天職:錬成師
筋力:880
体力:970
耐性:860
敏捷:1040
魔力:760
魔耐:760
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・言語理解
===============================
===============================
衛宮琴葉 17歳 女 レベル:62
天職:弓兵
筋力:790
体力:950
耐性:800
敏捷:1350
魔力:1050
魔耐:800
技能:魔術・投影魔術[+解析][+複製][+強化][+改造][+憑依経験][+壊れた幻想][+無限の剣製]・弓術・軽業・破壊工作・気配遮断・鷹の瞳・転移・心眼・過程省略・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・気配感知・魔力感知・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・言語理解
===============================
二人はこの五十層で作った拠点にて銃技や剣技、蹴り技、錬成、投影魔術の鍛錬を積みながら少し足踏みをしていた。というのも、階下への階段は既に発見しているのだが、この五十層には明らかに異質な場所があったのだ。
そこは不気味な空間だった。
脇道の突き当りにある空けた場所には高さ三メートルの装飾された荘厳な両開きの扉が有り、その扉の脇には二対の一つ目巨人の彫刻が半分壁に埋め込まれるように鎮座していたのだ。
二人はその空間に足を踏み入れた瞬間全身に悪寒が走るのを感じ、これはマズいと一旦引いたのである。もちろん装備を整える為で避けるつもりは毛頭ない。ようやく現れた"変化"なのだ。調べないわけにはいかない。
二人は期待と嫌な予感を両方同時に感じていた。あの扉を開けば確実になんらかの厄災と相対することになる。だが、しかし、同時に終わりの見えない迷宮攻略に新たな風が吹くような気もしていた。
「さながらパンドラの箱だな。……さて、どんな希望が入っているんだろうな?」
「……絶望を払った先の希望。期待させてくれるじゃない」
自分の今持てる武技と武器、そして技能。それらを一つ一つ確認し、コンディションを万全に整えていく。
全ての準備を整え、ハジメはゆっくりドンナーを抜いた。
そして、そっと額に押し当て目を閉じる。覚悟ならとっくに決めている。しかし、重ねることは無駄ではないはずだ。ハジメは、己の内へと潜り願いを口に出して宣誓する。
「俺は、生き延びて故郷に帰る。日本に、家に……帰る。邪魔するものは敵。敵は……殺す!」
目を開けたハジメの口元にはいつも通りニヤリと不敵な笑みが浮かんでいた。
琴葉はその手に夫婦剣、干将・莫邪を投影する。だらりと干将・莫邪を持つ手を下げ、瞼を閉じる。さながら、何かに祈るように。そして、ゆっくりと瞼を開ける。
「私は前に進む。『理想』を『理想』のまま終わらせない為に。地球に帰る為に。切嗣……どうか私を導いて」
手元でくるりと二振りの陰陽剣を回し、琴葉は決然とした様子で前を見据えた。
扉の部屋にやってきた二人は油断なく歩みを進める。
そして、特に何事もなく扉の前にまでやって来た。近くで見れば益々、見事な装飾が施されているとわかる。そして、中央に二つの窪みのある魔法陣が描かれているのがわかった。
「……? わかんねぇな。結構勉強したつもりだが……こんな式見たことねぇぞ」
ハジメは無能と呼ばれていた頃、自らの能力の低さを補うために座学に力を入れていた。もちろん、全ての学習を終えたわけではないが、それでも、魔法陣の式を全く読み取れないというのは些かおかしい。
「つまり、相当古いってことじゃない? それこそ、神代の」
琴葉は推測を述べる。見たことが無いということは、少なくともこの百年間で使われることが無かった魔法だということだ。だとすると、神代の魔法の可能性がある。
二人は推測しながら扉を調べるが特に何かがわかるということもなかった。いかにも、な感じが漂っているのでトラップを警戒して調べてみたのだが、解読できるものではなさそうだ。
一応、扉に手をかけて押したり引いたりしたがビクともしない。
「仕方ない、いつも通り錬成で行くか」
「その方が手っ取り早いわね。任せたわ」
いつもの如く錬成で強制的に道を作る。ハジメは右手を扉に触れさせ錬成を開始した。
しかし、その途端、
バチィイ!
「うわっ!?」
「……っ!? 大丈夫!?」
扉から赤い放電が走りハジメの手を弾き飛ばした。ハジメの手からは煙が吹き上がっている。悪態を吐きながら神水を飲み回復するハジメ。直後に異変が起きた。
オォォオオオオオオ!!
突然、野太い雄叫びが部屋全体に響き渡ったのだ。
二人はバックステップで扉から距離をとる。ハジメは腰を落として手をホルスターのすぐ横に触れさせいつでも抜き撃ち出来るようにスタンバイする。琴葉はその手に持つ陰陽剣を構え、戦闘態勢に入った。
雄叫びが響く中、遂に声の正体が動き出した。
「まぁ、ベタと言えばベタだな」
「ベタね」
苦笑いしながら呟く二人の前で、扉の両側に彫られていた二体の一つ目巨人が周囲の壁をバラバラと砕きつつ現れた。いつの間にか壁と同化していた灰色の肌は暗緑色に変色している。
一つ目巨人の容貌はファンタジー常連のサイクロプスだ。手には一体どこから出したのか、四メートルはありそうな大剣を持っている。未だ埋まっている半身を強引に抜き出し無粋な侵入者を排除しようと二人の方に視線を向けた。
その瞬間、
ドパンッ!
凄まじい発砲音と共に電磁加速されたタウル鉱石の弾丸が右のサイクロプスのたった一つの目に突き刺さり、そのまま脳をグチャグチャにかき混ぜた挙句、後頭部を爆ぜさせて貫通し、後ろの壁を粉砕した。
左のサイクロプスがキョトンとした様子で隣のサイクロプスを見る。撃たれたサイクロプスはビクンビクンと痙攣したあと、前のめりに倒れ伏した。巨体が倒れた衝撃が部屋全体を揺るがし、土埃が舞う。
「悪いが、空気を読んで待っていてやれるほど出来た敵役じゃあないんだ」
「まあ、そういうワケ。悪く思わないでね」
いろんな意味で酷い攻撃だった。二人の経験してきた修羅場を考えれば当然の行いなのだろうが。
おそらく、この扉の
左のサイクロプスが戦慄の表情を浮かべハジメに視線を転じる。
ハジメは、動かずサイクロプスを睥睨する。ハジメの武器、銃というものを知らないサイクロプスは警戒したように腰を低くしいつでも動けるようにしてハジメを睨む。
すると……
ドスドス!!
「……!? ……!?」
サイクロプスの瞳から二振りの白と黒の剣が飛び出した。訳が判らない、と言ったようすで瞳を抑え藻掻く。
「ふぅ……。ぶっつけ本番だったけど、上手くいったみたいね」
下手人は琴葉だった。
琴葉は別に陰陽剣を投擲したわけではない。では、何をしたか。
答えは単純。干将・莫邪をサイクロプスの瞳に転移させたのである。
投影品を体内に転移させる───実をいうと、これは彼女が以前から考えていた運用方法だ。だが、それを行うには対象の身体の内部構造を把握しておく必要がある。戦闘中に解析魔術を用いると、その間の時間が命取りになってしまう為、一時は諦めていた。しかし、ここで彼女は未来の自分───エミヤとの戦いを思い出した。もしかして、と思って琴葉は自身のステータスプレートを見ると、あった。"過程省略"の技能が。憑依経験によるエミヤとの同化に伴って発現した技能だ。これがあれば、『内部構造の把握』という過程を飛ばすことが出来る。そして、今の状況だ。練習無しのぶっつけ本番。どうやら上手くいったようだ。
「それじゃ……バイバイ」
手元に再び投影した干将・莫邪を再び転移させる。
転移した陰陽剣はサイクロプスの脳髄に座標移動し、絶命させる。
「終わったわよ」
「おう。お疲れ様」
「そっちもね」
「肉は後で取るとして……」
二人は、チラリと扉を見て少し思案する。
そして、"風爪"でサイクロプスを切り裂き体内から魔石を取り出した。血濡れを気にするでもなく二つの拳大の魔石を扉まで持って行き、それを窪みに合わせてみる。
ピッタリとはまり込んだ。直後、魔石から赤黒い魔力光が迸ほとばしり魔法陣に魔力が注ぎ込まれていく。そして、パキャンという何かが割れるような音が響き、光が収まった。同時に部屋全体に魔力が行き渡っているのか周囲の壁が発光し、久しく見なかった程の明かりに満たされる。
二人は少し目を瞬かせ、警戒しながらそっと扉を開いた。
扉の奥は光一つなく真っ暗闇で、大きな空間が広がっているようだ。二人の"夜目"と手前の部屋の明りに照らされて少しずつ全容がわかってくる。
中は、聖教教会の大神殿で見た大理石のように艶やかな石造りで出来ており、幾本もの太い柱が規則正しく奥へ向かって二列に並んでいた。そして部屋の中央付近に巨大な立方体の石が置かれており、部屋に差し込んだ光に反射して、つるりとした光沢を放っている。
その立方体を注視していた二人は、何か光るものが立方体の前面の中央辺りから生えているのに気がついた。
近くで確認しようと扉を大きく開け固定しようとする。いざと言う時、閉じ込められたら困るからだ。
しかし、二人が扉を開け放って固定する前に、それは動いた。
「……だれ?」
かすれた、弱々しい女の子の声だ。ビクリッとして二人は慌てて部屋の中央を凝視する。すると、先程の"生えている何か"がユラユラと動き出した。差し込んだ光がその正体を暴く。
「人……なのか?」
「ええ……人、ね」
"生えていた何か"は人だった。
感想、評価を頂けると励みになるのです……
完結後、カルデア召喚編やる? やるとしたら琴葉はどのクラスで召喚する?
-
やれ。クラスはセイバークラスで。
-
やれ。クラスはランサークラスで。
-
やれ。クラスはアーチャークラスで。
-
やれ。クラスはライダークラスで。
-
やれ。クラスはアサシンクラスで。
-
やれ。クラスはキャスタークラスで。
-
やれ。クラスはバーサーカークラスで。
-
やれ。クラスはルーラーで。
-
やれ。クラスはアヴェンジャーで。
-
やれ。クラスはムーンキャンサーで。
-
やれ。クラスはアルターエゴで。
-
やれ。クラスはフォーリナーで。
-
やらなくていいんじゃない?