赤き弓兵、錬鉄の記憶   作:ハウンド・ドッグ

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楽しんでいってね!


Ep.18 オシオキ ~キツい一撃!~

「───覚悟なさい。ここが貴方の墓場よ」

 

 次の瞬間、琴葉はサソリモドキの直上に転移していた。

 

「キシャァァアア!!」

 

 サソリモドキは初手として、空中にいる琴葉を狙い、尻尾の針から紫色の液体を噴射した。かなりの速度で飛来するその液体を琴葉は転移して躱す。着弾した紫色の液体はジュワーッという音を立てて瞬く間に壁を溶かしていった。どうやら、溶解液のようだ。

 

「あっぶないわね!」

 

 ″心眼″で()()()()()()()()溶かされていた、という事実に琴葉は戦慄する。

 躱されたことを悟ったサソリモドキはもう一本の尻尾の針の照準を琴葉に合わせた。その尻尾が一瞬肥大化したかと思うと、凄まじい速度で針が撃ち出された。更に、針が途中で破裂し散弾のように広範囲を襲う。

 

「チッ……。調子に乗るな!」

 

 琴葉は舌打ちしながらも再転移し、針の弾幕から逃れる。

 

(全力で撃てば周囲を吹き飛ばす……。勿論、ハジメとユエも巻き込んで。だけど、それはダメだ)

 

 琴葉はその手に持つ捻れた剣を改造し、細長く作り替える。

 

(全力の半分くらいで加減する。これなら大丈夫なはず)

 

 琴葉は眼下にいるハジメとユエを視界に収め、叫ぶ。

 

「ハジメ! 塹壕を作って! 吹き飛ばされるわよ!」

 

「塹壕!? ……何をしようとしてるか知らんが、判った!」

 

 ハジメはユエを小脇に抱え、すぐに撤退。床に″錬成″をかけ、深さ二メートル程の塹壕を作り、そこに入って身を隠す。

 

「琴葉は……大丈夫なの……? どうして、逃げないの……?」

 

 ユエはハジメに問い掛ける。彼女の瞳は、自分を置いて逃げれば助かるかもしれない、その可能性を理解しているはずだと訴えていた。それに対して、ハジメは呆れたような視線を向ける。

 

「大丈夫だよ。アイツは強い。あんなのでくたばる程柔じゃねぇさ」

 

 それに、とハジメは付け足す。

 

「俺も、アイツも、お前を見捨てて逃げる程落ちてねぇ」

 

 安心させるように、ユエの頭を撫でるハジメ。

 

「だからさ、信じて待とうぜ。アイツが戻ってくるのをよ」

 

「んっ……」

 

 ハジメが撫でるのを気持ちよさそうにしながら、ユエは頷いた。

 

 サソリモドキは苛立っていた。先程から攻撃が読まれているかのように回避され、″焦燥″を募らせていた。また、いつまでも自分を見下ろせる位置におり、小馬鹿にしているかのように挑発を繰り返すかのような琴葉への″憤怒″に囚われていた。もはや、サソリモドキは冷静ではない。めちゃくちゃに暴れている。

 

「どうしたの? 守護者ってのも大したことないわね!」

 

 琴葉は挑発しながらサソリモドキの攻撃を回避していく。サソリモドキの次の一手は″心眼″によって()()()()()為に回避は容易いが、一切の油断をしていない。不測の事態に対応できるよう、警戒心を最大にまで上げている。

 

「いい加減終わらせましょう。キツい一撃、喰らわせてあげる」

 

 琴葉は漆黒の、強靱な弓───剛弓に捻れた剣を番え、眼下のサソリモドキに照準を合わせ、思い切り引く。剛弓はギチギチと音を立てている。

 

「───真名解放」

 

 限界まで引き絞られた剣には膨大な魔力の奔流が。

 

「───我が骨子は捻れ、狂う(I am the bone of my sword)

 

 琴葉は祈るように詠唱を行う。

 

「───偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)!!」

 

 捻れた剣──偽・螺旋剣が放たれた。

 放たれた剣は空気を斬り裂き、ソニックブームを発生させ、それすら置き去りにしながらサソリモドキへと迫る。そして───

 

ドガァァァァアアン!!

 

───着弾した。

 剣はサソリモドキの背中に命中し、空間を削り取る程の衝撃と、″壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)″による暴走した魔力の爆発で威力を底上げされ、サソリモドキの外殻を吹き飛ばす。加減したとはいえ、ミサイルが爆発したような凄まじい爆風が周囲を吹き荒れる。

 琴葉は爆風を涼しい表情で流し、その桃色掛かった銀髪を靡かせ空中を舞う。

 

「キシャ……アア……」

 

 サソリモドキは存命。どうやら、仕留め切れていなかったらしい。威力を落としたのが裏目に出たか。

 

「チッ……。かったいわね」

 

 サソリモドキの外殻を吹き飛ばし、抉ることに成功したものの、とどめにはまだ足りない。抉られた箇所から、心臓らしきものが脈打っている。

 琴葉は確実にとどめを刺すために、その手に魔力を迸らせる。

 

「───身体は剣で出来ている(I am the bone of my sword)

 

 電光と共に、琴葉のその手には一本の槍が。その槍は血のように紅い。

 槍をくるくると回して構え直した後、琴葉は″空力″によって空中で体勢を立て直す。

 

「───その心臓、貰い受ける……!」

 

 琴葉は投擲姿勢を取る。

 

「───刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)……!」

 

 ゲイ・ボルク───その槍は、かの英雄、クー・フーリンが駆ったとされる魔槍である。その魔槍は因果逆転の呪いによって必殺必中の一撃であり、『心臓に槍が命中した』という結果を作ってから『槍を放つ』という原因を作る。

 琴葉が投影で作り出したこの魔槍は限りなくオリジナルに近い偽物ではあるが、オリジナルと同じく因果逆転の呪いを保持している。

 渾身の力で放たれた魔槍は紅い残光を描きながら飛翔し、サソリモドキの心臓を貫いた。

 

「……っ!?」

 

 すぐさま発動する回復阻害の呪い。サソリモドキはもがき苦しむが、遂には動かなくなった。

 

「ふぅ……。少し手古摺ったわね」

 

 琴葉は衝撃を殺すように着地し、振り返る。既にサソリモドキは絶命していた。役目を終えた魔槍もまた、消滅した。

 

「終わったわよー。出てきなさい」

 

 琴葉は離れた場所にある、ハジメが作ったのであろう塹壕に向けて声を掛ける。するとハジメがユエを小脇に抱えてひょっこりと出て来た。

 

「お疲れ様」

 

「アリガト」

 

 ハジメの労いに礼を言う琴葉。その時、ユエが抱き着いてきた。

 

「おわっ……どうしたの?」

 

「……心配した」

 

「あははは……ゴメン、一人で突っ走りすぎた」

 

 申し訳なさそうにする琴葉。ユエは「無茶……めっ」と叱られ、更にしょぼくれる琴葉。

 その微笑ましい光景にハジメは自身の表情が柔らかくなるのを感じていた。パンドラの箱には厄災と一握りの希望が入っていたという。どうやらこの部屋に入る前に出したその例えは、中々どうして的を射ていたらしい。

 これからは三人で迷宮を攻略することになる。

 

 

 その先の試練を、彼らはまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

 拠点へと戻ることにした三人。琴葉はハジメとユエの少し後ろを歩いていた。

 

(ふぅ……。バレてはいないみたいね)

 

 大分勘が鋭いハジメ。突っ走った理由がもし、万一にでも知られたりでもすれば、ハジメが鬼になる未来が見えて仕方が無かった。

 

(言えるわけないじゃない……。ハジメとユエの進展が気になって、それを邪魔されたことに思わず感情的になっちゃったなんてさぁ……)

 

「おーい。何やってんだ。置いてくぞ」

 

「んっ……。琴葉、おそい」

 

「今行くわ!」

 

 保護者に加え、下世話が追加されてしまった琴葉であった。勿論、そのことはハジメとユエの知る処ではない。

 

オマケ、おわり




余談
公式ですら間違えることがあるそうで、槍ニキの宝具は「ゲイ・ボルグ」ではなく「ゲイ・ボルク」らしいです。




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完結後、カルデア召喚編やる? やるとしたら琴葉はどのクラスで召喚する?

  • やれ。クラスはセイバークラスで。
  • やれ。クラスはランサークラスで。
  • やれ。クラスはアーチャークラスで。
  • やれ。クラスはライダークラスで。
  • やれ。クラスはアサシンクラスで。
  • やれ。クラスはキャスタークラスで。
  • やれ。クラスはバーサーカークラスで。
  • やれ。クラスはルーラーで。
  • やれ。クラスはアヴェンジャーで。
  • やれ。クラスはムーンキャンサーで。
  • やれ。クラスはアルターエゴで。
  • やれ。クラスはフォーリナーで。
  • やらなくていいんじゃない?
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