いきなりだが俺は転生者だ。前世は男で今世は女。特技は星占いで好きな言葉は果報は寝て待て。名前はリアリスだ。
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今世の俺はトラキアと呼ばれる地方で生まれた少女だった。6歳の時にちょっとした事があった以外は普通の少女だった。
親と暮らし、家事を手伝い、たまにだけれど狩りの手伝いをしたりしていた。
父からは、弓を教えて貰っていた。俺には弓の才能があるらしく父も一生懸命教えてくれた。
母からは、家事を叩き込まれた。俺が10歳になる頃には何処に嫁いでも大丈夫だと言ってくれた。
…そんな日常が無くなったのは12歳の時、ローマのクソ野郎どもが俺たちの村を襲ってきたのだ。そこで父は死に、母はローマ人に捕まり俺と一緒に奴隷にされ売春婦として買われた。母は父を失った悲しみと男どもの慰みものにされた事により心は壊れ2年前に亡くなった。
俺だけが生き残り、今はカプアと呼ばれる場所にある剣闘士養成所で売春婦兼占い師として活動してる。まあ、占いの方はほとんどしてないが…そんで今日も剣闘士達が少ない金を握りしめて俺の事を売春目的であれ占い目的であれ買いに来るって訳だ。
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ちっ、あのヘタクソ野郎…
痛えんだよ!自分勝手な奴はこれだからいけない。女を触る時は優しくしろって習わなかったのかよ!あーあ、やる気なくなったわ…今日は5人しか相手にしてねぇけど終わるか…
そう考え店を畳もうとした時に一人の男が俺に話しかけてきた。
「少しいいかね?」
めんどくせぇ…今日は終わりの気分だってのに…
ま、しょうがねぇか。金もどうせいるしな。
俺はそう考え、男の方を向いて料金表に指を指す。その男を見た時、俺はかなり驚いた。
ーーその男は筋肉だったのだ。それはもう物凄い筋肉だったのだ。筋肉そのものが動いてるんじゃねぇのかってくらいに筋肉だったのだ。なんか笑顔だし!
…って、うぇぇえ!俺今からコイツに抱かれんの!?ちょっ、無理だって!こんなのに抱きしめられたら俺の骨ズタボロになっちまう!今からでも断れねぇかな…?そう俺が狼狽えていると男が喋り始めた。
「いや、今回私が君に話しかけたのはそちらが目的では無いのだ。私の行方を占って欲しくてね。お願いできるかな?少女よ。」
なんだ占いの方の客かよ…助かった…って珍しいな剣闘士のくせに占いなんざ。
ま、客は客。占ってやるかね。そう思い俺は男の方に向き直る。真っ先に目が行くのはやはり筋肉だが、よく見たら顔も整っている。金髪の髪に彫りが深い良い顔立ちだ。にしてもコイツずっと笑顔のままだな、何かいい事でもあったのか?
……こんな場所でそんだけ笑顔が浮かべられるなら他の剣闘士と違って俺に占いを頼むのも納得いくな。ここの剣闘士達は俺と同じだ。未来がなく、心なんてとっくの昔に折れちまって、反抗する気も起きはしねぇ。何も残さず、何も成せず、ただ苦しみながら死んでいく。そんな一生を終えるそう思いながら生きている。だから剣闘士達は俺を買う。そんな一生に少しでも楽しみを得たいから女である俺を買って
「分かった。占ってやるさ。俺の占いはこれでも評判はいいんだぜ?なんたって
「ほう…それは楽しみだ。では、よろしく頼む。占い師の少女よ。」
俺は男の目を見る。
…ああ…コイツの目はダメだ。俺とは真逆の未来を見ている目だ。
コイツの心はきっと折れないだろう。
俺はとっくの昔に折れているのに。
コイツには勇気がある、自分だけで無く周囲の人間にすら影響する程の勇気が。
俺には勇気なんて無いのに。
コイツには正義の心がある。弱きを助け強きをくじくそんな正義の心が。
俺には正義なんてものは無いのに。
コイツには何かを為せる様な強さがある。それこそこの時代を変えるような大きな事を起こすような力が。
俺にはそんな力なんて無いのに。
…でも、この男も最後には不幸な結末を迎えるだろう。戦った末に最後には命を散らし死体は辱められるだろう。
ああ…でも、だとしても!妬ましい。俺は、この男が妬ましい!俺の持たないものを何もかも持っているこの男が!妬ましい!妬ましい!妬ましい!妬ましい!!
「……っ!アンタはきっと大きな事を成し遂げる。でも、その最後はきっと不幸なモノだ。アンタは苦しみながら死ぬだけだ。」
嫌がらせの意味を込めてこの男に結末を告げてやった。
「おお!そうか!私は成し遂げられるのだな!」
男はなんとも思わない様な口調でこう応えた。ちくしょう、なんでそんな風に言えんだよ!アンタも俺と同じ奴隷じゃねぇかよ!
「だけど、アンタの最後は不幸に終わる!」
そうだ!アンタの最後は酷いもんだ。世界にとっちゃ意味はあるのかもしれないけど少なくともアンタ自身に意味はない。ただ、死ぬだけだ!
「ん?そんなことは関係ない。私は私のすべき事を成すだけだ。圧政者共の傲慢を蹴散らし、弱者の盾に慣れるのならばそれ以上のことは無い。」
目の前の男はそんなことを堂々と言い張った。
きっと、この言葉に嘘なんてモノは含まれていない。コイツは本当にそう思っている。
ああ…この男は本当に俺とは真逆だ。妬むのが馬鹿らしくなるくらいに真逆だ。コイツは最後の最後まで諦めず、そして、結果が分かっていようが突き進むだろう、より困難な道へと。
本当に、本当に眩しいくらいに真っ直ぐな男だ。だからこそ、俺はこの男が嫌いだ。絶望している自分が酷く惨めに見えるから。
「なら、なら俺もアンタを手伝ってやるよ。その大きな事を成し遂げるのを…さ。」
「ほう?君がかね?」
「ああ、なんだ?不満か?売春婦如きが…」
「おお!!ならば君も同志だ!弱者の盾となり民を解放せすべく戦う戦士だ。ハハハ!今日は実に良い日だ。私の行く末に神の加護が宿り、共に戦う同志も増えた!」
んだよ…嬉しそうじゃねぇか、この野郎。俺みたいなヤツが仲間になってそんなに嬉しいのかよ…てか…
「神の加護って俺の占いのことか?そんな大層なもんじゃねぇよ。所詮は売春婦の戯言さ。」
「ん?つまり先程の言葉は嘘だったと?」
「いや、そんなことはねぇけどよ…」
「ならば神の加護の様な物だろう!ハハハ!」
クソっ…調子狂うな…確かに、俺の占いはスゲェけどこんなに簡単に信じる奴は初めてだ。
「……そうかい、後、先に言っておく。俺がアンタに着いていくのはアンタの不幸な最後を見るためだ。決してアンタに惹かれたからとかそんなんじゃねぇからな、覚えとけ!それに、俺はアンタが嫌いだからな。」
「フハハハハ!その様なことは些事である!理由はどうあれ君は弱者のために剣を取った勇者なのだから!」
なんだよコイツ…俺みたいな女に対して恥ずかしげもなくこんな事言いやがって。しかもお世辞でも無く本当にそう思ってるみてぇだし…
「…っ、うるせぇな……リアリス。それが俺の名前だ。」
「同志リアリスか。良い名だ。」
「アンタの名前は?俺が言ったんだ。アンタも教えてくれなきゃ割に合わねぇだろ?」
「おお!そうだ、私の名も君に伝えねばなるまいな。これから共に同士として叛逆を行うのだから。私の名はーーー」
ーースパルタクスだ
これが、死ぬその時まで笑顔を浮かべ続けた筋肉達磨と叛逆者の妻となる陰気な女占い師の叛逆の物語の始まりだった。
あまりFateについて詳しくないのに書きました。fate警察の人達許して…許して…