とあるocgプレイヤーの決闘日記《凍結中》   作:花岡隊長

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師弟対決(後編)漆黒の英雄

「俺のターン! ドロー!」

 

「そしてスタンバイフェイズに入りたいんだが......」

 

「ええ、スタンバイフェイズに墓地のガルドニクスの効果を発動! 効果で破壊されたこのカードが墓地に存在するときスタンバイフェイズにフィールドに特殊召喚する。そしてこの効果で特殊召喚に成功した時このカード以外のフィールド上のモンスターを全て破壊する! 行けガルドニクス!」

 

 神楽坂の声と共にフィールドが炎に包まれモンスターが呑み込まれる。数分だろうか、少しの時間が過ぎた後フィールドにはガルドニクスしかいなかった。

 

「モンスターが破壊されたので補給部隊の効果発動。それによりデッキからカードを1枚ドローする」

 

 そう言いながらデッキからカードをドローしこちらの反応を待っている。

いつカウンターが来るか。少しの隙も見逃さずに俺を見据えていた。

 

(ここまでとは正直驚いたぞ)

 

 俺はそう思いながらこの状況を楽しんでいた。この世界に来てここまで喜んだことは今までなかっただろう。教えを守りいつ、どんな手で来ても対策をとれるようなプレイングとお互いの手の内の読み合い。

この世界でここまでのデュエルが出来るとは思わなかったので俺は気づかずもテンションが上がっていた。

 ここまではテンプレな炎王の動かし方となんら変わりない。さてどうしようかと思い、取り敢えず引いたカードと手札を確認し、よしいけると思いながら行動した。

 

 

 

「まず俺は《闇の誘惑》を発動する。効果でデッキから2枚ドロー! そして手札の《トラゴエディア》を除外する」

 

「トラゴエディアだって!?」

 

俺の除外したカードを見た神楽坂の目が驚愕に染まる。

 

「...師匠、それ最初から握ってましたよね?」

 

「ほう、なぜ俺がトラゴを初手で握っていたことを問う? 今ドローしたカードかもしれんぞ」

 

「だって師匠、俺がエアーマンに攻撃するとき一瞬手札に目線を泳がせたじゃないですか?」

 

「!?」

 

 まさかここまで読みが深くなっていたなんて...いや元から持っていた才能が開花したのか。

あいつは何人ものデッキとその動作を真似し続けてきた。その数はこの学園全体にまで及ぶくらいだ。

 その経験がここまでの鋭い読みを生み出している。前まではただ人の真似だけだった。

しかし今では経験から相手の動きを予測し上を行く。いわば神楽坂の集大成ともいえる。

 

(このデッキはついこの間まで奴が使用していた。なら予測できるのもなんら不可能なことじゃない)

 

そう、全く同じであればな。

 

「確かに強くなった。お前がこの間まで使っていたデッキだ細部までどんな動きをするのか知り尽くしているだろう。だが、まだまだ甘い! これは本気のデュエルだ! その対策はとうにしてある」

 

「次に俺は《天使の施し》を発動。デッキから3枚ドローし2枚捨てる」

 

捨てたカード

《E・HEROシャドー・ミスト》

《E・HEROエアーマン》

 

「墓地へ送られたシャドー・ミストの効果発動! デッキから最後のエアーマンを手札に加える。そして墓地の闇属性シャドー・ミストと光属性フォトン・スラッシャーを除外し手札から《カオス・ソーサラー》を特殊召喚!」

 

「ソーサラーの効果を発動しガルドニクスを除外する。ただしこの効果を発動するターン、このモンスターは攻撃できない」

 

フィールドにカオス・ソーサラーが降り立つと同時に呪文を唱え次元を歪ませる。ガルドニクスはそれに抵抗し炎を吐くがソーサラーには届かずそのまま次元の歪みに引きずり込まれていった。

 

「くっ、流石師匠! ガルドニクスを破壊以外の手段で除去するとは! だがまだまだこれからです」

 

「まだ俺のターンは終わっていない。エアーマンを召喚、効果で《E・HEROバブルマン》をサーチしバトルフェイズに入る。エアーマンで直接攻撃ダイレクトアタック!」

 

「ぐっ!」

 

 神楽坂

LP4000→LP2800

 

「メイン2に入りカードを3枚セットしターンエンド。__どうした? その程度の実力じゃないだろう? それとももう息切れか?」

 

「__そんなわけないでしょうここからが本番です!」

 

俺の挑発に対抗するように奴は笑みを浮かべターンを開始した。

 

「いきます。俺のターン、ドロー! そしてスタンバイフェイズ墓地のバロンの効果発動! このカードが効果によって破壊され墓地に送られていた場合デッキから炎王と名の付いたモンスター1枚を手札に加える。それにより俺は《炎王神獣ガルドニクス》を手札に加える!」

 

 これで神楽坂の手札はドローの分と合わせて5枚となった。

分かっているのはさっき加えたガルドニクスだけ一体どんな戦法をとってくるか?

 

「そしてメインフェイズ! 手札から強欲な壺を発動しデッキから2枚ドロー! 続いて魔法カード《トレードイン》を発動! ガルドニクスを捨てさらに2枚ドロー!」

 

!? ここでドロー加速をしてくるか!!

 

「では、いきます! 俺は《カードガンナー》を攻撃表示で召喚し効果を発動! デッキから3枚墓地に送り1枚につき攻撃力を500ポイントアップする」

 

墓地に送られたカード

《フレムベル・ヘルドッグ》

《炎王獣ヤクシャ》

《炎王の急襲》

 

「よし! これならいける。師匠、これが俺の全力です! 俺は《真炎の爆発》を発動!」

 

 やばい!?

 

「その表情からやっぱり焦りましたね。効果により墓地の守備力200の炎属性モンスターを可能な限り特殊召喚します。いでよモンスター達よ!」

 

神楽坂 

《炎王獣バロン》

攻1800/守200

 

《炎王獣ヤクシャ》

攻1800/守200

 

《フレムベル・ヘルドッグ》

攻1900/守200

 

「あのデッキには全体除去は激流葬しか入っていなかった。あなたの性格とデッキ傾向から考えてミラーフォースのような攻撃反応は入れてない筈。よってこれで終わりです! バトル! まずはヘルドッグから攻撃!」

 

__流石だ。デッキ内容が変わっても俺のデッキ傾向をよく記憶している。確かにこのデッキには全体除去カードなんてあまり積んでいない。だがな__

 

「__まだまだ甘い! 俺は速攻魔法《瞬間融合》を発動! ソーサラーとエアーマンを融合し現れろ闇のヒーロー! 《E・HEROエスクリダオ》を召喚!」

 

《E・HEROエスクリダオ》

闇・星8・戦士族融合

攻2500/守2000

「E・HERO」と名のついたモンスター+闇属性モンスター

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

このカードの攻撃力は墓地の「E・HERO」と名のついたモンスターの数×100ポイントアップする。

 

《瞬間融合》

魔法カード・速攻

自分フィールドから融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスターを特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。

 

 モンスターが押し寄せる瞬間。フィールドのエアーマンとカオス・ソーサラーが融合し闇を纏ったヒーローが登場しモンスターの攻撃を止めた。

 

「!? 攻撃を中止! メインフェイズ2、手札から2枚目の《炎王円環》を発動しヤクシャを破壊し墓地からガルドニクスを特殊召喚する」

 

「そこだ! 炎王円環にチェーンし速攻魔法《マスク・チェンジ》を発動!」

 

「ま、《マスク・チェンジ》だって!?」

 

「このカードは自分フィールド上の「HERO」モンスターを対象として発動できる。そのモンスターを墓地へ送り、そのモンスターと同じ属性の「M・HERO」モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する」

 

「俺はエスクリダオを墓地に送り融合デッキから《M・HEROダーク・ロウ》を特殊召喚する」

 

 エスクリダオの身体が闇に包まれ変化する。

 

「__全ての闇を切り裂く漆黒のヒーローよ、今我に従いここに顕現せよ。 《M・HEROダーク・ロウ》!」

 

 闇が晴れヒーローは姿を変えそこに存在していた。

 

「ダーク・ロウの永続効果、このカードがモンスターゾーンに存在する限り相手の墓地に送られるカードは全てゲームから除外される」

 

「何! と言うことは!?」

 

「そうだ。お前が破壊したモンスターは墓地へは行かずゲームから除外される。炎王円環の蘇生効果は問題なく発動するが、ヤクシャの効果は墓地へ送られた場合に発動する。お前はヤクシャの効果を使いカードガンナーを破壊でもしドロー効果を使うつもりだっただろうが当てが外れたな」

 

「それだけではなく炎王共通に言えることだがそいつらは破壊され墓地に送られた時初めて効果を発揮できる。こいつがいる限りお前は動くことさえままならないということだ」

 

「っ!? くそっ! 俺は補給部隊の効果でカードを1枚ドローそして伏せリバースカードを3枚セットしてターンエンド! そしてこのエンドフェイズ真炎の爆発で特殊召喚されたモンスターは全て除外される」

 

 

「俺のターン。ドロー、スタンバイ、メイン」

 

 これで神楽坂の場にはガルドニクスとカードガンナーだけだ。

俺のターンに攻撃力3200以上のモンスターでカードガンナーを破壊すれば俺の勝ちだ。幸い手札には《ミラクルフィージョン》がある。これでシャイニングかトルネードでも出せばそれで済む。問題は神楽坂が何を伏せたかによる。

 

(まぁ、防ぐ手段は一応あるがな)

 

「神楽坂! このデュエルこのターンで決める! 俺は手札から《ミラクルフュージョン》を発動。墓地のエアーマンとエスクリダオを除外し「E・HERO」と名のついた融合モンスターを融合召喚扱いとして特殊召喚する。舞い降りろ風のヒーロー《E・HERO Great TORNAD》!」

 

 光属性が来なかったので取り敢えずトルネードを選択したがこの状況だとうまみがないんだよな。

そう思いつつもデュエルを進めようとカウンターはあるのかを聞こうとした。

 

「何か発動するカードはあるか?」

 

「......いや。何もないです」

 

「ならトルネードの効果発動。このカードが融合召喚に成功した時、相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスター攻撃力・守備力を半分にする」

 

《炎王神獣ガルドニクス》

攻1350/守850

 

《カードガンナー》

攻200/守200

 

「だが念のため俺は《死霊騎士デスカリバー・ナイト》を召喚する」

 

《死霊騎士デスカリバー・ナイト》

闇・星4・悪魔族

 

このカードは特殊召喚できない。

効果モンスターの効果が発動した時このカードを生贄に捧げなければならない。

その効果モンスターの発動と効果を無効にし、そのモンスターを破壊する。

 

 

 

 

「__神楽坂、お前はよく頑張った。だが、それもこれで終わりだ! バトルフェイズ! まずはダーク・ロウでガルドニクスを攻撃する」

 

 

「まだ終わりません! 手札から《虹クリボー》の効果発動!」

 

「無駄だ! デスカリバーナイトを生贄にその効果は無効だ!」

 

「それにチェーンしてダーク・ロウを対象に《強制脱出装置》を発動!」

 

 (やはりそのカードを伏せていたか)

 

「ならばチェーンして伏せリバースカード《トラップ・スタン》を発動! このターン、このカード以外の罠カードの効果を無効にする。残念だったな! さぁこれで俺の勝利だ!」

 

「ええ、このターンで終わりです。ただし__」

 

 

 

 

 

 

「__俺の勝利でね!!」

 

 

「何だと!?」

 

 何故だ!? どうして神楽坂が笑っている。

今は俺のターン【炎王】で相手ターンに勝つカードなんて...いや待て炎王じゃなく、炎属性なら!?

 

「神楽坂! まさかお前!?」

 

「流石師匠。お察しの通りですよ! 俺はトラップ・スタンにチェーン。罠カード《炎霊術「紅くれない」》を発動! フィールドのガルドニクスを生贄にしその元々の攻撃力分のダメージを相手に与える! このコストは墓地へ送るじゃなくて生贄だ! ダーク・ロウがいても問題なく発動できる」

 

 ああ、なるほど。まさか【炎王】にそのカードを入れてるなんてな確かにこの世界じゃあライフが4000だし問題なく入れられるよな。だが、__まぁこれは俺の負けだな。

 

 橘

LP1300→LP−1400

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふぅ、初めてだな。この世界で負けたのは。

俺はデュエルの衝撃で吹っ飛ばされた後、寝ながらそんなことを考えていた。

 

(ただ、取り敢えず__)

 

 

「師匠ぉぉぉ! 大丈夫ですかぁぁぁ?」

 

 

この後デッキの再構築をするか。と思いながら起き上るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぅ~ん。にしても珍しいわね。あなたが本気の勝負で負けるなんて?」

 

 部屋に帰った後アトラに今日のデュエルの勝敗について説明したらそんなことを言ってきた。

いつもは部屋に帰ったらだらだらしてるのに何故か今日は真面目な顔をしながら部屋に待機をしていた。

 

「まぁな。俺がここに来て結構経つが負けたのは確かに今日が初めてだな。使ったデッキの調整不足と言い訳なら色々思いつくが俺は本気で戦い、結果負けた。そのことから多少慢心や油断があったかもしれない。そのことを省みることが出来た。...これもまたいい経験になったと俺は思う」

 

「そう、それは良かったわね。__ああ、そう言えばあなたに頼まれていたことなんだけど?」

 

「...頼まれていたこと?」

 

 そんなことあったっけ?

 

「...呆れた。まさか自分の頼み事を忘れるなんて、ほらシンクロ使いとエクシーズ使いのことよ」

 

「! ああ、それか! で、どうだった?」

 

 

「そのことなんだけど奴ら今日は妙にそわそわしながら購買で神楽坂を探していわよ。そして、微力だけど精霊の気配が感じ取れたわ?」

 

「...そうか」

 

 なるほどこれで奴らはこの世界の流れを大体知っていることになる。

俺の目的を達成するために利用しなければいけないがどうやって接触するか?

そう考えながら日が過ぎていくのであった。

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