今回もデュエルシーンはありません。
今日は俺の部屋で先日弟子となった神楽坂の特訓を行うこととなった。
部屋でするに至ってアトラにはあらかじめ特訓することを伝えて現在は火山の方面に調査に行ってもらっている。そのことには駄々をこねられはしたが、デュエルで決めることとなり、俺が勝利したので今この部屋にはいない。
そういうわけで悠々と特訓に力を入れることが出来る。
では、そろそろ特訓を始める事にした。
取り敢えず神楽坂君は強くなるためには何をすればいいと思う?
「えっと、強いデッキを作ることだと思います」
では聞こう? 強いデッキとは何か?
「どんな相手でも絶対に勝てるようなデッキです」
バカやろぉぉぉ!
と、つい神楽坂を殴ってしまった。だがこの世には絶対に勝てるデッキなんて存在するはずねぇだろ。
デッキ一つ一つに相性があってどのデッキにも弱点はあるのだから、絶対に勝てるデッキなんて夢物語だ。
「でっ、でも決闘王デュエルキング武藤遊戯さんはどんな相手にも無敗だったとお聞きしますが?」
それはデッキが強かったからじゃない、使っている人が強かったからだ。
「ではデッキよりも俺自身を強くした方がいいのでは?」
それはまずいい、どうせデッキなんて回してるうち強くなってるから。
だがデュエリスト自身に注目するとはいい着眼点でもある。
さて、カイザーこと丸藤寮、遊城十代、若干癪だが遊崎行人。こいつらは学園でまず挙がるであろう強いデュエリストだ。こいつらは他の人ではまず持っていないであろう凄いドロー運を持つ。そのコピーデッキを使ってそいつらに成りきったところで相手に勝てるとは限らない。
だから、神楽坂お前に必要なのは運を必要としないデッキ、凡用性が高いデッキを作るデッキだ。
「運を必要としないデッキですか?」
そう神楽坂が言葉を繰り返す。
それに対しデッキとしては【グッドスタッフ】に近い感じであるだろう。
それと少ない手札でアドバンテージを取ることも重要であることを伝え、強いデッキの例を出しどのような特徴があるのか詳しく説明する。
こういう時に元の世界だと環境があったからガチデッキの説明など環境を基準にすれば楽だったのだがこの世界だとそんなものは存在しないので説明するにしても一つ一つがやりにくかった。
一応説明するが俺が異世界に迷い込む前の環境は【先史遺産AFオーパーツアーティファクト】や【シャドール】などが主流で【征竜】、【マドルチェ】、【テラナイト】がそれに追随していた。
それにしても【征竜】はおかしいと思う。
なんであいつら翼や四肢をもがれても環境入りしてんだよ!
と、話がそれてしまったがやはり征竜はチートだったということで環境の話は締めたいと思う。
「でも、それだけでコピーデッキじゃない俺自身のデッキが出来るのですかね」
どういうことだ。と呟いた言葉に対し反射的に聞き返す。
「いや、俺はデッキを作るときつい人のデッキとか想像してしまってその人のコピーデッキを作ってしまうんです。デュエルするときもその人に成りきってしまって人から非難されたりしたことがあったので少し不安なんです」
その言葉を聞き終えると俺はついこう言ってしまった。
別にコピーデッキって悪いことじゃなくねぇ?
こう言っては何だが別に俺はデッキを真似るなんてことはどうでもいいと思っている。
人のデッキレシピを真似ることによってその人のデッキの弱点などが見えてくるし、自分で色々とデッキを構築する時元とすることが出来て戦略の幅を広げることが出来る。
確かに元の世界でもコピー厨は割と嫌われる方向にあったが、俺は別にそういうのは気にしなかった。
そこでふと思ったのだが神楽坂は一体何人くらいのデッキを作ったことがあるのか? と。
聞いてみると少なくとも名の知れた学園の生徒と教師のデッキは作ったことがあるらしい。
そこまでとは思わなかったのでそれは驚いた。
まぁ取り敢えずはデッキを回しているうちに自分はどういうデッキにしたいか見えてくることもあるだろうから自分自身のためのデッキはそのうちと言う結論が出た。
あ、言い忘れていたことがあったのだがお前墓地には気を配っているか?
「墓地ですか? そこまで考えたことはないですね」
このぉ! バカちんがっ!!
「またですかっ!」
と神楽坂を再び殴りつけた。
いいか。墓地は第二の手札と言っていいくらい重要な場所だ。
通常、デュエルモンスターズというゲームは手札からモンスターを召喚するよりも墓地からの方が出しやすくなっている。あまり墓地肥しという概念は少ないがデッキが少なくなればなるほど欲しいカードを引ける確率は上がる。【ライロ】なんかが墓地が多ければ多いほど強いデッキの典型例だな。
だから相手の墓地には必ず注目するほど公開データでもあるから注意することによって色々と対策などが興じられるから覚えておけよ。
と、最後にそう言い放ち今日の特訓は終了するのであった。
最初の特訓から何日も過ぎ、途中遊城十代と丸藤翔、遊崎行人の制裁デュエルや三沢と万丈目の学園残留デュエルなどがあったりし万丈目が学園を出ていったがここでは割愛しよう。
あれから神楽坂は特訓を繰り返すことによりある程度自分のデッキのコンセプトが決まってきたらしい。
それまでは俺と一緒に構築したデッキを使用している。それについては後日書き記そうかと思う。
そんなこんなで学園は冬休みとなった。
三沢や神楽坂は今は帰郷している。
かくいう俺もアパートにアトラと共に帰省していた。
「ねぇ、湊斗。色々と調査したけど次元を超える方法なんてどこにも見つからなかったわよ。これからどうすんの?」
「ああ、そうだなぁ。本当どうすっか?」
アトラの質問に対し俺はだるそうに返し、デッキ構築やゲームをしたりして暇を持て余していた。
「やっぱり、学園に残った方が良かったんじゃないの? あっちの方が手掛かりが多そうだし」
そう言われると何ともいえないのだが、俺は試したいことがあったのでアパートに戻ったのだ。
この世界に来た中で俺は不自然なことがあった。
それはなぜかスマホの電波が通じるのである。通話をしようとするとノイズが走る以外のことは一通り出来た。それならば別のことが出来るんじゃないかと。
これはその実験だ。
そうして一時間後、
ピンポーン。とチャイムが鳴った。
俺はまさかと思い玄関の扉を開けると宅配便が来た。
俺は
「……すげぇな、a〇azon世界越えちゃったよおい。」
そう言いながら俺は元の世界で新しく発売された構築済みデッキを手にしama〇onに対し畏怖の念を抱くのであった。
「ちょっと、届いた荷物に何があったのよ!」
乾いた笑いをしている俺に驚いたのかアトラは慌てながら荷物について尋ねた。
最初これは説明すべきか悩んだのだが一応アトラは協力者なので俺がしたことを一から話した。
話し始めた当初はこちらを馬鹿にするような、というか明らかにかわいそうなものを見るような目で俺の話を聴いていたのだが実物を見せ、話し終えるとやはりと言うべきか驚愕に染まった顔となり騒ぎ出した。
流石に近所迷惑だと思い、本格的に騒ぐ前に拳でアトラを黙らせた後落ち着かせてこのことについて話し合った。
「え、本気でこれあんたの世界のカード? なんでここに届けることが出来たのかとかどうやって届けたのかはどうでもいいから、一言言わせて頂戴。__〇mazonって凄いのね」
「ああ、確かにすげぇな。まさか本当に届くとは思ってなかった」
そうアトラとamaz〇nについて語り合いながら冬休みは過ぎていった。
__そして再び舞台は学園へと移っていく。新カードを加え、湊斗の学園生活へと戻るのであった。