とある鎮守府の戦争番外編   作:秋月雪風

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第5話(赤海作戦と赤雲作戦)

本土奪還作戦からしばらくたち

 

2009年6月10日

 

秋雪鎮守府提督室

 

桜「・・・よしっと」

 

電「提督、何を書いてるのです?」

 

桜「遺書、これから死にに行くようなものだから」

 

電「・・・大丈夫なのです。提督は私達が守るのです!」

 

桜「いや、私は電達とは行かない。上陸隊と一緒にハワイ諸島攻略を行う」

 

電「そっちも十分に危険なのです!」

 

桜「・・・この戦い、前でも後ろでも危険はかわりないよ。それより電、どのぐらい戦力を用意できた?」

 

電「・・・それはまもなく・・・」

 

三日月「提督、失礼します。戦力報告です」

 

桜「ありがとう。それでどのぐらい?」

 

三日月「えっと、陸上戦力が約3万、車両約1000両、航空戦力約5万、海上戦力が艦娘12名、揚陸艦120隻、輸送船200隻、護衛艦280隻、その他艦艇400隻、です」

 

桜「よくそんなに集めれたね・・・」

 

三日月「航続距離が足りない機体や輸送艇と、とにかく武装したものを集めました」

 

桜「なるほど・・・、敵戦力は?」

 

三日月「・・・海上戦力がおよそ1万、航空戦力、20万、陸上戦力、10万、です・・・。ハワイ諸島には少なくとも艦船500はいるかと・・・」

 

桜「・・・この戦い、一度の攻勢で勝敗が決まるね・・・」

 

三日月「はい!なので・・・私にお任せください!あれを使って・・・」

 

桜「・・・0式禁型砲を?」

 

0式禁型とは、通称40cm電磁破滅砲のことであり、島を消すほどの威力を持つ代わりに、使用者及び、付近の生物は死亡するという秘匿兵器のことだ。

 

しかし、あまりにも威力が強いため雪翔はこれを処分したが、三日月がこれを回収、改良していた。

 

そのため、使用方法は三日月しか知らなかった。

 

三日月「提督。提督が止めようが私は使います」

 

桜「・・・いいよ。でも、今後は使わないでね?」

 

三日月「はい!もちろんです」

 

吹雪「提督、全作戦隊員集まりました」

 

桜「・・・分かった。それじゃあ向かおっか・・・」

 

電、三日月、吹雪「はい!」

 

桜達は集結している秋風市役所前に向かった。

 

市役所前には隊員や妖精、さらには多くの市民が見に来ていた。

 

秋風「久しぶりだな、秋雨の嬢ちゃん」

 

桜「その言い方、やめてください」

 

秋風「わるいわるい。じゃ、どうぞ」

 

桜は用意されたマイクの前に立った。

 

桜「・・・えー、今回の作戦に関わる隊員にまずは忠告する。辞めるなら今のうちだ。今回は全員死ぬ、ということが普通に考えられる。それは陸軍、空軍、海軍、全部だ。先ほど、どのぐらいの損害が出るかシュミレーションの結果が出た。勝っても負けても8割から10割は戻れない。死にたくなければ、後ろに下がれ」

 

全員「・・・」

 

1分ほど沈黙が続いたが誰も下がらなかった。

 

桜「・・・では、この辞退表は破り捨てる。いいですね?」

 

全員「はっ!」

 

桜「それでは演説を始めます。と言っても、話が長くなると寝る人が出るかもだから手短にします。今回の作戦は勝てばこの戦争が終わる、負ければ我々そして市民全員が死ぬ、このどちらかしかない。そして数は圧倒的に負けている。さらに、こちらは旧式、軽武装、航続距離が足りないものもある寄せ集め、相手は均一の装備をした強力な軍隊。しかし、我々にはこれまでの経験を活かし戦う」

 

その後を桜は数分間演説を続けた。

 

桜「・・・最後に、全隊員に伝えておきます。油断せず戦え。しかし、生き延びることも考えろ。ここにいるほとんどの人は、家族、愛人、友人と、大切な人がいます。その人達のためにも生きてください。私も、死ぬ気で戦います。以上です」

 

演説を終えると拍手が飛び交った。

 

桜「・・・では、総員、出撃準備!」

 

全員「はっ!」

 

隊員は次々と街を後にし、基地に戻っていった。

 

秋風「桜、生きて帰ってこいよ」

 

桜「はい!わかっています。しかし、なにかあった時は、任せます」

 

秋風「・・・わかったよ」

 

大野「桜、車の準備ができたぞ」

 

桜「ありがとう。それじゃあ、行ってきます」

 

秋風「武運を」

 

桜は車に乗って基地に戻っていった。

 

数時間後

 

桜「出撃準備は?」

 

三日月「全艦出撃準備完了、航空隊発進準備完了。全員覚悟は決まりました」

 

桜「・・・三日月。頼んだよ。電達も、三日月を射撃ポイントまで送っていって・・・」

 

電「はい!命をかけて守ります!」

 

吹雪「提督、時間です」

 

桜「・・・よし、出撃!」

 

2009年6月10日午後3時、最後の戦いに挑むために桜達は出撃した。

 

秋風市沿岸部からはたくさんの市民が手を振り、漁船に乗り、近付いた人たちは秋雪鎮守府の紋章である、紅葉の結晶が描かれた旗を振りながら見送った。

 

そして桜達は沖で待っていた艦隊と合流、艦隊名を赤雨艦隊とし、旗艦を航空戦艦大和にした。

 

赤雨艦隊はソロモン諸島、豪州を通りハワイ諸島に向かう上陸艦隊と、直進し、ミッドウェー島に向かう特殊艦隊に別れ航行した。

 

そして、最初に接敵したのは上陸艦隊だった。

 

山上「・・・全艦砲雷撃戦用意。死んでも上陸部隊を守れ」

 

弥生「山上指令。我々海兵隊は輸送船を守りながら敵艦隊を突破、上陸します」

 

山上「了解。敵の主力は任せろ。武運を」

 

弥生「後武運を」

 

上陸艦隊は山上が指揮する栞那連合艦隊と、弥生が指揮する上陸連合艦隊に別れた。

 

敵主力は栞那艦隊に向かったが援軍として送られてた500隻が上陸艦隊を攻撃した。

 

結果、秋雪鎮守府側1000隻と、深海棲艦側1000隻によるハワイ諸島での激しい艦隊戦へ広がった。

 

妖精1「9時方向新たに5!距離5000、撃てー!」

 

妖精2「浜風、そっち雷撃機が行ったぞ!」

 

妖精3「三熊轟沈!長月航行不能!」

 

機関妖精「こちら機関室。機関大破、修復不可能!機関室隔壁閉鎖!」

 

弥生「小型挺は漂流者の救助を急いで!ミサイル発射・・・っ!、被害報告!」

 

戦闘妖精「右舷ミサイル発射管被弾!隔壁閉鎖急げ!」

 

弥生「左舷ミサイル発射!距離8000、右120の戦艦、空母!」

 

妖精4「周囲に味方艦がいないため動けません・・・」

 

妖精1「後方から新たに10、いや15!戦艦もいます!距離2000!」

 

弥生「・・・防ぎきれない・・・っ、あれは・・・」

 

敵艦隊の後方からミサイルが降り注ぎ、爆煙の中から駆逐艦が現れた。

 

弥生「あれは・・・栞那艦隊の駆逐艦?」

 

通信妖精「そちらの所属を言え」

 

駆逐艦通信員「こちら栞那艦隊第一分隊所属8番艦時風!曳航します!」

 

弥生「了解。・・・栞那艦隊の状況は?」

 

通信員「半数がやられましたが、まだ戦闘能力はあります」

 

妖精1「上陸地点まで500!」

 

通信員「切り離す。武運を」

 

通信妖精「時風、離脱します」

 

弥生「上陸用意・・・うっ・・・」

 

妖精3「艦橋被・・・」

 

敵の航空機が弥生艦橋に機銃を撃ち込んでから、艦橋に突っ込み爆発した。

 

大野「・・・よい、や・・・、おい、・・・か・・・」

 

弥生「・・・お、お父、さん・・・っ・・・、そっか、気絶してる間に・・・」

 

弥生が外を見ると、艦艇は浜辺に乗り上げていた。

 

大野「おい、弥生、聞こえるか?」

 

無線ごしに大野の声が聞こえてる。

 

弥生「・・・うん、大、丈夫・・・、前部ハッチ、解放・・・海兵隊、出撃、せよ・・・」

 

大野「・・・弥生?おい、どうした?答えろ!」

 

大野がいくら問いかけても聞こえてくるのは雑音と爆発音だけだった。

 

戦闘妖精「・・・隊長、発進します」

 

大野「・・・、拓磨、雫。俺の戦術、頭に叩き込んであるか?」

 

拓磨「はい。毎日聞かさせれましたので全て叩き込んであります」

 

大野「ならばこの隊を頼む。弥生を見てくる!」

 

そういって大野は装甲車から出ていき、火災で崩壊しかけてる艦内に戻っていった。

 

隊員「隊長!!」

 

拓磨「・・・きっと、父さんは助けたいんだろうな。父さんにとっては大事な娘、俺と雫にとっては大切な姉を・・・。皆、俺が指揮をとることに異論は?」

 

隊員「隊長の息子なら異論ありません!」

 

拓磨「よし、では、戦いが終わったら、ここにまた集まろう。全車出撃!」

 

隊員「おう!」

 

上陸艦隊は9割もの艦艇が沈んだものの上陸には成功した。

 

一方、三日月達特殊艦隊も発射地点まであと50㎞の地点まで進んでいた。

 

しかし、数千の深海棲艦と数万の航空機が迎え撃った。

 

対して特殊艦隊は11名のみだった。

 

電「航空隊、もっと敵を牽制してなのです!」

 

瑞鶴「そんなこと言っても航空機はもう数機しか残ってないよ!!」

 

吹雪「こっちも、あと12機しかない!ミサイルは?」

 

電「全部撃ちきってるのです!」

 

春雨「左から敵艦隊!数20!」

 

文月「三日月、大丈夫?」

 

三日月「大丈夫!お姉ちゃんも気をつけ、て・・・えっ?」

 

文月「・・・」

 

文月は三日月を庇うように被弾し衝撃で後ろに飛ばされながら海に沈んでいった。

 

吹雪「三日月、前を向いて。気をしっかり」

 

三日月「・・・うん・・・、よし、大丈夫」

 

吹雪「・・・死んでいった子達のためにも終わらせましょう」

 

三日月「・・・はい」

 

三日月達はその後も敵艦隊の真ん中を進み、遂に電磁砲発射地点に到着した。

 

三日月「皆さん、下がっていて・・・、えっ?たった、これだけ?」

 

この時点での残存戦力は三日月、電、吹雪、初霜の4人だけだった。

 

吹雪「・・・三日月、急いで!敵が近づいてる!」

 

三日月「は、はい!装填完了、エネルギー充填開始!」

 

初霜「・・・三日月・・・」

 

三日月「・・・照準、よし、エネルギー充填率30・・・40・・・50・・・、っ、ハアハア・・・」

 

充填も順調に進み照準も合わせたが、力がない三日月にとって、重量60kgは持つだけでも大変だが、それに加え死ぬということが怖いのもあり手が震えていた。

 

吹雪「・・・三日月、震えてるよ」

 

三日月「・・・っ!、お、お姉ちゃん、離れてい、あっ・・・」

 

吹雪は三日月のそばに近づくと三日月の首を叩いて気絶させた。

 

そして破滅砲を奪うと再び島に照準を合わせた。

 

吹雪「・・・電、初霜。三日月を、そして、提督を頼みます」

 

電「・・・吹雪・・・」

 

吹雪「・・・エネルギー充填率80!いいから行って!」

 

電「・・・ごめんなさい・・・」

 

電と初霜は三日月を持ち上げると離脱していった。

 

吹雪「・・・あそこまで行ったら、大丈夫か・・・、っ!」

 

深海棲艦は砲撃を止めるために吹雪に攻撃を集中させた。

 

多数の砲撃が吹雪を掠めていったが、そのうちの数発が胸や腹部、そして顔を貫通した。

 

吹雪「・・・やっぱり、三日月には、この任務は大きすぎたよ、雪翔(そして、もっと、あの子の成長を、見たかったな)、っ」

 

多量の出血で吹雪はバランスを崩したが、すぐに立て直した。

 

深海棲艦「もっと撃ち込め!」

 

吹雪「・・・よし、エネルギー、100パーセント・・・ハアハア・・・これでも、食らいなさい・・・発射ー!!」

 

吹雪は揺れが安定した瞬間に引き金を引いた。

 

深海棲艦「ま、まずい。あれを撃ち落と・・・」

 

砲弾が放たれたあと、周囲に電磁場が生成され吹雪を沈めるため、接近していた多くの深海棲艦が感電死して海の上に倒れた。

 

放たれた砲弾はまっすぐミッドウェー島に飛んでいった。

 

着弾点まで10㎞の距離があったが10秒も経たないうちに到達した。

 

着弾してから少し遅れて島を覆うほどのきのこ雲が空へ上がっていった。

 

それはハワイ諸島にいた艦隊にも見えた。

 

桜「・・・作戦は成功したか・・・」

 

海兵隊員「提督!敵が降伏すると言ってます」

 

桜「よし、降伏を受け入れる。敵には武器を捨て、手を上げて来るように言って」

 

海兵隊員「はっ!」

 

桜「・・・終わったか」

 

大野「おーい、提督ー!」

 

桜「大野元帥、弥生は?」

 

大野「重症だったが、応急措置はしといた。艦も一応修理はできる」

 

桜「・・・よし、総員に伝える。現時刻をもって作戦を終了する。総員秋風島へ帰投せよ」

 

2009年6月11日午前10時、第2次ミッドウェー海戦は多くの犠牲を出しながら秋雪鎮守府が勝利した。

 

この戦の後、無事に秋風島に帰投できたのは、揚陸艦6、輸送船10、護衛艦8、小型艇2、艦娘3、そして航空機213機のみで、死傷者は5万人を超えた。

 

しかし、この戦いの結果は少しして世界を大きく動かした。

 

アメリカ記者「本日未明、ワシントン市内に潜んでいたレジスタンスが深海棲艦と戦闘し、ワシントンから深海棲艦を追い出しました!これにより・・・あ、たった今、ホワイトハウスに星条旗が掲げられました。42年ぶりに星条旗があがっています!」

 

ドイツ報道官「速報です。ヨーロッパ連合軍の発表によりますと、来週より戦艦ビスマルクを旗艦とする第一ヨーロッパ連合艦隊がジブラルタルとスエズ運河、そしてアフリカを奪還するために出撃すると言うことです。この作戦には200隻もの艦艇と500万を超える陸上戦力を投入すると言うことです」

 

各国や各地のレジスタンスはこの深海棲艦の敗戦を気に一斉攻勢に出た。

 

2009年6月15日のワシントン奪還から始まり7月2日にはジブラルタル、7日にはスエズ運河を奪還され、深海棲艦は完全に衰退の道に入った。

 

しかしそれは艦娘も同じだった。

 

海戦から少し経った7月10日

 

この日秋雪鎮守府では戦死した隊員達の追悼式が行われた。

 

それが終わって少ししてからその知らせは入った。

 

桜「・・・そうですか。やはり・・・はい、分かりました・・・では・・・」

 

電「提督、今の電話は?」

 

桜「・・・電、他の3人を呼んできて」

 

電「了解なのです・・・」

 

少し経ち・・・

 

初霜「提督、なんでしょうか?」

 

桜「・・・全員揃ったか。ではまず、ご苦労様でした」

 

電「提督こそ、ご苦労様なのです」

 

桜「弥生、怪我は大丈夫?」

 

弥生「だいたいは治ります。でも、左目はやっぱり・・・」

 

桜「・・・そう・・・、三日月、大丈夫?」

 

三日月「・・・はい・・・」

 

桜「・・・、わかった。では本題に入る。先ほど本部より連絡があった。2010年12月31日までに三郷諸島内の基地を閉鎖せよ、と」

 

電「・・・ついに、ですか・・・」

 

桜「うん。でも、代わりに響島に防衛隊の基地を作ることにしたよ」

 

初霜「私達はどうなるのですか?」

 

桜「うん、そのことについてだけど、これを使う」

 

桜は注射器を机に置いた。

 

三日月「なんですかこれ?」

 

桜「・・・艦娘の能力を消す薬」

 

電「・・・何で、こんなものを・・・」

 

桜「おそらく解体されるだろうから、これで普通の人間になる」

 

三日月「・・・副作用とかは?」

 

桜「私が試したから大丈夫。でも、まだ時間があるから、覚悟ができたら・・・」

 

電、初霜、三日月、弥生「いえ、できてます」

 

電達は注射器をとると腕に打った。

 

電「これで、戻れるんですね」

 

桜「うん。さてと、今から基地設計でもしますかな」

 

三日月「あ、私も手伝います!」

 

電「私も!」

 

弥生「私もしたいです」

 

桜「じゃあみんなでやろっか」

 

全員「はーい!」

 

そして桜達は提督室をあとにした。

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