貴方の病んだ幻想入り   作:回忌

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暖かく、寒い

とても暖かい布団

 

起き上がった貴方は暖かい布団の中で色々考えた。

 

ここは何処か。

 

あのあと自分はどうなったのか

 

貴方は自分の体を見た。お風呂場の鏡でよく見る自分の姿

貴方の体には、所々古傷があったが、今は包帯が

巻かれていてあまり見えない

 

貴方はふと、布団の匂いを嗅いだ(なんてこった)

自分の匂いに混じって、別の女性の匂いがする

花の様に華麗で、凛とした匂い

貴方はこの匂いの主を知っている気がした

貴方は立ち上がる隣に畳まられた自分の服を羽織って。

貴方は此処が誰かの日本家という事を察した

貴方はキョロキョロと周りを見る

 

 

 

 

 

「そんなに歩いて痛くないんですか?」

 

と、誰か聞き覚えのあるような声がした

貴方は後ろを振り返った

服装は比較的シンプルで黒いフリルの付いたミニスカートと白いフォーマルな半袖シャツを着た女性が居た

それだけ見ればただの人間であるが、背中に黒い羽根が

生えている為、貴方はこれが人間でないと思った

 

そして貴方は彼女を凝視した、それは何処かで

見たことある姿で……

 

「あややや、そんなに見られると恥ずかしいです」

 

貴方は聴覚をシャットダウンすると記憶を探る

貴方は視覚を使ってその女性を見る

貴方はなんとか思い出すことが出来た

この女性は文という名前で、普通の仲だったと思う

貴方は名前を聞いた。自分は知っていて

相手は知らないなんてよくある事である

「私の名前は清く正しい射命丸文です。これからよろしく

 お願いしますね!」

貴方は手を差し伸べてくれた文に対して握手をしようと

したが、痛みと違和感に襲われ膝をつく。

痛みは純粋に貴方に襲った痛みだった。だから文は

歩いて痛くないか聞いてきたのだ

そしてもうひとつが、これからよろしくお願いしますということ。

貴方は怪我が治るまで居るだろう。だが怪我が治れば

ここから出ていく。文はどちらの意味で言ったのだろう

 

 

 

 

純粋に治るまでか

 

 

 

逃がさない為か

 

「それにしても貴方は結構仲がよかったのにリセット

されてますねぇ。でも大丈夫。私があの頃よりも

もっと仲良くしてあげますから」

 

貴方が倒れた後に見えた文の顔

 

貴方が記憶を失う前に何度も見たことがある様な顔

 

それは、濁った瞳と三日月の様な笑みを浮かべて…

 

貴方は意識を手放した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

貴方は意識を取り戻した

先程は朝だったのに、もう夜だ

貴方は布団から出ようとすると左腕に違和感を感じた

少しの時間で慣れてきた夜目で目を凝らすと文がいた

しかも左腕にガッチリとホールドしており離すことが

出来ない。貴方の左腕は文がガッチリとホールドしている。しかも本人は無意識なのか、胸の谷間に

貴方の左腕が挟まっている

貴方はすこし頭がほわんとしたが、これよりも柔らかい胸を貴方は知っている気がした(なんでだよ)

貴方は頬を抓るとその無意識の誘惑から脱出する

貴方はキョロキョロと周りを見た。

窓から月が見え、そこから月明かりが射す

その月明かりは貴方を優しく包み込んだ

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

貴方は夢を見ている

 

文との記憶

 

意識の底

 

絡め合う文と貴方

 

文は幸せそうに見える。それはとてもとても

 

対する貴方は悲鳴をあげていた

 

恐怖。恐怖で屈服した後にこの行為をしているのだろう

 

次の日。貴方はここからいなくなった

 

文は泣いていた。

あの濁った瞳で

 

「今度は逃さない。」

 

機械的な声を、出しながら

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

「絶対に外に出ないで下さいね。

まあ、出られないでしょうけど」

 

足枷が右足にはまっている貴方を見ながら文はワラッタ

文は貴方をひとしきり眺めると、満足そうな顔をした後

鉄格子を開けて仕事に行った。

「仕事なんて無ければ愛を注げるのに」と貴方は言われたが

貴方は心から思った、あの夢の様になるなんて嫌だと

貴方は部屋を眺めた。

 

特に何も起こらなかった

仕方なく貴方は立ち上がり、部屋を探索する事にした

痛みはもう来ることは無い。

来ることがあっても、貴方はそれを無視するだろう

貴方はまず状況確認をした。

木造の部屋。だが窓とドアが鉄格子になっており

逃がさないという意思がありありと見える

中心に柱があり、それに貴方を繋ぐ鎖が繋がれている

部屋の隅にタンス、貴方はそれには届くと思った

チャリチャリと音を立てながらタンスへと近づく

3段構造の一般的なタンス。貴方はそれの中身を見た

 

ビンとゴム…?と貴方は直観で思った

貴方はこれらに対してあまりいい思い出がないようだ

貴方は1つだけ白くドロドロな液体が入ったビンを

見なかった事にして次の棚を開けた

 

今度は自分の服が入っている。

貴方は鳥肌が立った、それも当たり前である

貴方は今着ている服以外、リュックに入って無かった筈だ

文が持っているはずが無い。何故だろうか

気味が悪くなった貴方はスっと棚を閉めた

 

最後の棚を開けると今度は当たりのようでリュックが

入っていた。貴方は柱の近くにリュックを投げると

他に何かないか探すことにした

貴方はふと、腰に目を当てる

貴方は今そこで気づいた…ナイフがホルスターごと無く

なっているのだ。貴方は少し硬直した後、気分を紛らわす為

鉄格子から外を覗こうとした所だった。

鉄格子付近にホルスターに入ったナイフと鍵を見つけた

貴方は希望を抱き、鉄格子に近づこうとして転んだ

どうやら鎖がちょうど届かないように調整してあるらしい

痛みを感じたが、直ぐに感じることは無くなった。

時間はどんどんと過ぎてゆく

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

あれから時間は夕方になったが文は帰ってこない

時間が何故かかなりかかっているのだろう

放心状態の貴方は甲高い音を聞いた

それは窓の鉄格子…では無くそこから手が届く範囲に落ちた

自分のナイフと鍵だった

貴方は鉄格子に目を向けた、するとそこには銀髪のケモ耳の女の子がいた

 

「それで脱出して下さい。」

 

貴方は立ち上がるとナイフを手に取りホルスターを腰に差す

ナイフを足首付近の足首…の鎖が1番短くなる様に切った

 

鉄が、鉄を斬る音が響く

 

キリキリと甲高い音

 

パキンと鎖が取れると貴方ははすぐさま鍵を鉄格子に

差し込み、部屋から出た

 

 

 

 

 

 

「生きてください。私の愛しい貴方…」

女の子の呟きを聞かずに

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

貴方は結論から言うと外に脱出することは出来た。

しかし今、

「ゼッタイに逃がさない!」

狂った文と突風が飛び交う鬼ごっこだ

無論のこと捕まれば移動手段を無くすどころかダルマに

されてしまうかもしれない

貴方は駆け出した。林を抜け、貴方が最初に目覚めた崖に

 

崖に。

 

「追い詰めましたよぉ〜ふふふふ。」

 

狂った笑い声を出しながら近づく文

貴方は後ろにすり足で移動するしかなかった

ふと、貴方は音を耳に拾った

ドドドドと何かが流れ落ちると音、すぐ後ろから聞こえる

貴方は走りだした。崖の先に向かって

 

「待って!行かないで!」

 

泣き叫ぶ声が聞こえたが貴方のケツイは変わらない

 

貴方は

 

崖から身を投げ出して

 

凄まじい勢いの滝へと

 

姿を消した

 

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!

 

文の叫び

それは愛する人に逃げられたからか

それとも、あの時と同じ逃げ方だったからか

知るものは、居ない

 




戦艦録はもうやらないと思います
Uaが即超えるってどーよ
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