貴方の病んだ幻想入り 作:回忌
ここまで見てくれた方々に大感謝です!
これからもよろしくお願いします
花映塚の記憶
あれから幽香の家に戻り、残りの花達への水やりを任せた
どこかしら疲れたような顔だったがそれもわからなくなった
こちらを見た途端すぐに駆け寄って「乱暴されてない?」とか
言われたので大丈夫と伝えたのだ
しかし、幽香は休んだほうがいいと言ったのだ
こちらとしては匿ってもらっているので手伝いたいところだ
しかし、どんなに言っても譲ってくれなかったので
渋々彼女の言った通りにすることにしたのだった。
ともかく彼女から少し休んでいていいと言われたので
貴方は幽香から借りている部屋に戻って椅子に座った
この部屋にはベットと机に椅子しかない
窓際に花瓶が置かれているがそれがなかったら
ここは少し高級な牢獄だろう…鉄格子がないけど。
今からやることは何かがあるわけでもない
ともかく疲れたのだ、とてもとても。
あいつらに励まされて、泣いていいと言われた
だが、あいつらは同時にこうも言っていた。
吐き出したい感情を今吐き出すんだ
…
じゃねーとお前は大変なことになる
そう言っていたのだ
もしかしてだがこれらの出来事がまだ続くと言うのだろうか
貴方は泣きたくなった。涙は既に枯れていると言うのに。
もうたくさんだった
散々だった。
今この感情の濁流を乗り切るのは困難だ
怒り、哀しみ、恐怖、畏怖。
これ以外にも様々な感情が渦となって貴方に押し寄せる
心の傷と言うものは治りにくいのだ。
それは本人に本人の自覚以上の傷を深く負わせて忘れない。
ひどい時にはそれが原因で死んでしまうこともある。
こいつを治すには己と向き合うしかないのだ
自分が壊れていて、自分しか治し方を知らないのなら
他人に他人の心を修復することはできない
できるのはこれ以上壊れないようにすることだけだ
どんなに励ましても本人が向き合わない限りは
心の病というのは治ることはないのだ
しかし、貴方は目を背けた
あの花たちのいう通り殺しを依頼だと言って心の負担を少なくした
妖怪たちを殺すのは簡単だった。
ただ刀を振っていれば相手は死ぬ
これが今までだった。
そしてこれからも変わらない
限界だったのだ
これ以上は見たくなかった
どんなに耳を塞いでも、目を閉じても聞こえてくる。見えてくる
だったら逃げるしかないじゃないか
夢と言う、他人が干渉できないところに。
人間は嫌なことがあればふて寝する。
寝てしまえば幾分か気持ちが楽になるからだ
貴方も例外ではない
寝れることがどんなに幸福か知ってる。
ふかふかのベットに倒れると意識はすぐになくなった。
○
数十年に一度、それはやってくる
外からの大量の霊が押し寄せ、幻想郷に花を咲かせる
人間でも一生に一回見られるかどうかの周期だ。
ただ、人間の寿命を超えているならばそれは見れる
貴方はそれが起きる時にたまたま生きていたのだ
そして霊夢と仲違いをしてしまった時でもある
おかしい
貴方はそう思ったのだ
今は春なのだ。だから桜が咲いている
貴方自身何を言っているかよくわからないのだ。
ただ決定的におかしいと言えるのはこの光景だ
桜と紅葉が二つとも咲き誇っていることだった。
よく見ると鈴蘭や百合にハイビスカス。
たんぽぽ、松に竹に梅、イチョウ。
コスモスにつくしに薔薇とか。
他にも向日葵にジンギスカン…
いや、それだけではなさそうだ
博麗神社の屋根に登り、幻想郷を見渡す
見てみるとそここらじゅうがペンキを撒き散らしたかのように
ぐちゃぐちゃな色合いになっているのだ。
「こんにちはー!ーーさん」
風が吹いたかと思うと文の声がしてきた。
貴方は彼女に顔だけを向けた
文はかしゃかしゃとカメラというもので撮っている。
新聞を一度見てみたがその出来に感服した
…捏造がなければだが。
そこだけを除けばかなりいい新聞だと思う
貴方は質問を文に投げた
この状況はいったいなんなのかと
すると文は別段驚くこともなく平然という
「これは自然的に起きるんですよ」
首を傾げてしまった
「詰まるところこれは異変ではないんですよ。
かなり前に見ましたが、このタイミングですか…」
少し面倒そうな顔をしている
実際面倒なのだろう
おそらく山の面倒事から逃げてきたのだろう
と、思っていると絶叫が迫ってくる
「あぁぁぁぁぁヤァぁぁぁっぁさぁぁぁぁぁぁまぁぁぁぁぁ!!!!」
見てみると椛が大剣を振り被りながら迫ってきた
狙いは文のようなので心配はない
カメラを急いでしまうと文はこちらに指を指した後撃つような仕草をする
「邪魔が入った。また会おう!」
くんな
貴方がそれを呟く頃には文は既にいなくなっていた
ぜいぜいと肩で息をしている椛が横に降りる
「あの人…だけ…なんですよ…会議に…出てないの!」
どうやら文の給料天引きと降格処分が決まってきているらしい
一応上司だからかこうやって連れてこようとしている
そんなお疲れ気味の椛の頭に貴方は手を乗せて撫でる
「わふ…」
それきり椛はこちらに体を預けてくれた
しばらくしたのち彼女は文を追いかけに行った
貴方は境内に降りると縁側に座った
しばらくすると巫女服姿の霊夢がきた
「ーー。異変よ」
は?
「これは異変よ」
思わず声が出てしまった
もしかして彼女はこれが異変ではないと知らないのか?
貴方はこれが異変では無いと言ったが
軽く笑われるだけだった
「もしかして行きたく無いのかしら?腰抜けねぇ」
貴方は立ち上がった
今ので何か吹っ切れた
俺が先に解決する
「へぇ、青二歳の癖によくいう」
お前のほうが青二歳だ
「…いいわ。言ってるがいい。後悔するわよ」
黙れ
貴方は軽く霊夢を睨んだ後飛んだ
目的地は彼岸。魂が運ばれる場所だ
「…あんなこと、言いたくなかったのに」