貴方の病んだ幻想入り   作:回忌

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文との出会い

射命丸文は天狗だ

とりわけ速さに勝る烏天狗という種族に属する。

速さを追求するものも居れば引きこもりだっている

その中で文は新聞を発行しているのだ

彼女、彼らの中で初代と言われている通りコイツが始まりだ

元は幻想入りした古い新聞を見て感化されたという

そしてその新聞にある写真を取れる物を貴方が持っているという噂を

何処からか聞いたのかいきなり突撃された

その所為で自宅の天井に大穴が空いたのだった

 

「そのカメラ…?ですか?それを下さい!」

 

その前にお前は誰だ。そして天井を直せやコラ

 

「私は射命丸文です!ですからそれを下さい!」

 

何がですからだ。帰れ

 

「その古い奴くらいいじゃないですか!」

 

今すぐ天井直して帰れ

 

「むぅ…!絶対に貰いますからね!それ!」

 

そう言って結局天井を直さずに言ったのだった

天窓を作るにはガタガタだし直すのも面倒だ

にしてもアイツは誰だろうか、見た限り翼が生えていたが

貴方は応急処置として木の板を貼り付けて釘を刺すと

いつも愚痴っている椛の所に行くことにした

何、いつも愚痴を聞いているのだからこれくらい良いだろう

 

「それで私の所に来たんですか?」

 

あぁ、そういうことだ

 

将棋の駒を並べながら不服に言う椛

どうやらせっかくの休暇を潰されてご立腹のようだ

…尻尾ブンブン振っているから気にする事も無いようだ

今は椛宅にいる

洞窟を長方形に調整して木の板とかで部屋らしくした家。

下っ端らしくそこまで広くないが、狭くもない

ともかく中途半端な部屋だった

先行は貴方だ。

 

パチン

 

で、アイツは何なんだ

 

「私の上司です」

 

パチン

 

へぇ、成程。どんな仲だ?

 

「さぁ…私からじゃ分かりませんね」

 

パチン

 

個人的には?

 

「こう、言い方にイライラするというか。

 やり方が強引と言うか…飄々しているというか」

 

パチン

 

それは分かるぞ。天井を破壊したクセに直さずに行ったからな

 

パチン

 

「う…嫌な所に。」

 

アイツよりかマシだろう

 

パチン

 

「こうですかね」

 

そんな嫌な所でも無いだろう…で

 

パチン

 

「はい?」

 

アイツの偉さ…もとい位は?

 

パチン

 

「大天狗…の下…くらいですかね」

 

何処だよ

 

パチンパチン

 

「それは浅はかですよ」

 

ぐ…で、どのくらい職権乱用できる?

 

「うーん…烏天狗を指示出来るくらいです」

 

パチン

 

王手。

 

「いつの間に!?」

 

パチン

 

王手

 

「挟まれた!?」

 

王手

 

「ま、参りましたぁ…」

 

椛の玉は隅に追い詰められ飛車と角と金に囲まれていた

無論の事1つを潰しても直ぐに首を取られるだろう

ともかく勝てて気持ちが良い

 

「つ、次は勝ちますからね!」

 

実力は五分五分だろ

 

そして駒を自分の陣地に戻し、取った駒は椛に返す

今の所両者2連勝は叶ったことが無い

1回負ければ1回勝つのだ。それが続く。

全ての駒の配置が終わって第2回戦が始まろうとしたその時

 

「椛ー?ちょっと用が…」

 

「あ」

 

 あ

 

思い切り目が合った

見られなければ床下に隠れたりしてやり過ごしたのだが

ここは妖怪の山、そして貴方はお忍びでここに来ている

今まで誰もここに来なかったので油断していた

 

「成程?貴方はここに定期的に来ているようですねぇ」

 

な、なんの事かな?

 

「このクソ真面目が追い立てていないことですよ!」

 

「そういえば文様、今日会議が…」

 

「人間である貴方が何故ここに居るのです?」

 

どうやら言い逃れは出来ないらしい

しかし天狗どもに叩き出されるのは癪だ

ここで潰すか…

 

「まぁ、カメラをくれるなら見逃す事も無いですよ?」

 

 

思い切り借りを作ろうとしている上にこちらに利益が

ひとつもなさそうな提案をしてきやがった。

でも、悪くは無い案…なのだろうか

何故かカメラを持ってきていたし逃れは出来そうだ

 

 

「で、どうするんです?」

 

仕方ない…

 

貴方は懐からカメラを取り出すと投げる

せめてものお返しと言ったところか

しかし誠に残念な事にコイツは落とさずにキャッチした

こいつの笑顔が腹立つ。殴りたい

 

「あやや、怖い顔してますねぇ」

 

…そういえば俺の仕事は退治屋なんだ

 

「んん?」

 

ここで殺したら妖怪の動きを抑えられるかもしれないなぁ、ん?

 

「いやーそれはありえないと…」

 

死ぬがよい。

 

「いやー!?刀を抜くのが見えなかったんですが!?」

 

そら鍛えてあるからな

 

「うつ伏せになっておる人の背中に立つのは止めて!」

 

グリグリと腰と背中の間にある窪みの様な所に足を沈ませる

ちなみにダイレクトに背骨を攻撃している

そのうち文の声に艶のある声が入ってきた

 

「あ!あぅ…んん…!」

 

ほらどうだコノヤロウ。修理代キッチリ貰うからな?

 

「あ、あぁぁぁぁ…」

 

一瞬痙攣したかと思えば畳にひれ伏した

…もしかしてやりすぎたか?

まぁいい。

貴方は刀を抜くと、構える

 

スパーン

 

「文ー!ここに居る…」

 

…やらかしたわ

 

「なんだお前か!また文がやらかしたか!」

 

「天魔様。お疲れ様です」

 

「何、こいつに付き従っているお前の方が大変だろう」

 

天魔、コイツに何か用があるのか?

 

「あぁ、会議に来る気配がしなかったからな!」

 

男口調だが、この天魔は女である

先に言っておくがかなり強いのだ

ここにするりと入れるのは彼女のお陰でもある

 

「…は!私は何を!?」

 

「あ〜や〜?」

 

「ひぃ!?」

 

「お骨は取っておきますよ」

 

なんまんだぶ…

 

「助けてぁああああああああああ!!」

 

風が吹いたかと思うと、2人は居なくなっていた

おそらく今、想像を絶する程の事が起きているんだろう

 

「…」

 

…帰る

 

物凄く気不味くなってしまったので帰ることにした

そして、次の日

 

「こんにちは──さん!毎日私の新聞を見てくださいよ!」

 

帰れ

 

これがほぼ毎日繰り返されることになったのだった

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