貴方の病んだ幻想入り 作:回忌
貴方は左手を拾って歩いた
雨が血を洗い直してくれた
洞穴の中に入って洞窟の壁の背に座る
そしてポケットの中から蘇生剤を取り出すと左腕に刺した
液体が体の中に入り込んでくる感覚は慣れないものだ
全て入ったのを確認すると注射器を投げ捨てた
注射器はバラバラに割れた
左手を取ると向きを直してくっつけた
数十秒した後動かしてみると、左手の指が動く
ふぅ
貴方はため息をついた。
もう疲れた
コルトのローディングゲートを開け、地面に置く
左手があるからやりやすい
そして右手に弾丸を生成すると弾倉に入れ、ゲートを閉める
コルトを持つとハンマーを起こし、銃口をこめかみに当てた
引き金に人差し指をかける
頬に冷たい感覚があった
触らなくても分かった、それが涙だと
自分が何故泣いているのか分からない
もう疲れた。心が壊れそうだ
今までの出来事をフラッシュバックする
そして最後に見えたそれを見て呟いた
…霊夢
カチッ
貴方はその音に目を見開いた
そして弾丸の位置を調整してまた引き金を引いた
カチッ
どうして
貴方は思わず呟いた
カチッ
カチッ
カチッ
何度引いても弾が出ない
カチッ
カチッ
カチッ
カチッ
ガタン
コルトが地面に落ちた
貴方は思い切り壁を殴った
まだこの世界の神は死んではいけないと言っているのか
少し目を瞑ると貴方は立ち上がった
ならば生きてやろう
今の状況に抗って見せよう
心にそう違うと目を開けた
今出来る事はこれだけだ
大穴の縁に立つと、重心を傾ける
「未来を変えてみせろ」
その声を聞いて落ちながら振り返ると貴方がいた。
紛れもないあの時の貴方だった
手を伸ばす頃にはその姿は小さくなって行き、やがて見えなくなった
いや見えなくなったのでは無い。
視界が真っ暗になっただけだった
貴方は浮遊感に身を任せると目をつぶった
「未来が変わってしまうかもしれない…が」
「今のお前さんならやってくれそうな気がするよ」
「んん?君はあの時何があったか知りたいのかい?」
「おお、分かった分かった。」
「俺が」
「僕が」
「ワイが」
「私が」
「説明してあげよう」
「まず、君は死んだよ」
「君の遺体は回収された」
「その後月の頭脳がお前さんの体を再生した」
「その後にな?亡霊の姫君がお前の魂を呼び戻した」
「本当なら転生もせずに地獄行きだが君は特別だったのですよ」
「そう、お前さんがこの物語の中心のようにな」
「まぁ蘇らせたら問題は起こる訳よ」
「そこで彼女達は考えた訳だ」
「そこで決まったのがアレだったという訳ですよ」
「まず一部以外の記憶からお前さんを消した」
「妖怪の賢者、博麗の巫女、フラワーマスター、亡霊の姫君、
紅魔館の主、里の守護者、月の頭脳、隻眼の白狼天狗。」
「上記の奴ら以外は全員だよ」
「その後皆は元に戻った」
「お前さんと博麗の巫女は結婚して、後は流れに任せる」
「まぁ、それが一番平和な解決方法だった訳や!」
「そういうことだよ」
「それじゃ、未来を変えろよ」
貴方は軽く札を投げると、粒子となって散った
〇
頭が痛い
体中がズキズキして上手く動かないのだ
視界が黒い茶色一色だった。
どうやらうつ伏せに着陸してしまったようだ
なんとか仰向けになると驚いた
それも向こうも同じだったようだ
「生きていたのね、生命力が強いなんて。妬ましい」
なんだろうか、こんなに意識が朦朧としていても面倒な事に
巻き込まれたというのはとても分かる
身体を起こそうとして、倒れる
その様子を見てかソイツは呆れたように言った
「その体じゃ無理ね…そこらに捨てて、奴らの餌にしようかしら」
そしてこちらに近づいて顔を見た
途端に顔色が変わった
「嘘…?貴方…」
そいつはしばらく考えるとこう言った
「家に運んだ後勇儀を呼ぼうかしら…」
貴方を抱えるとどこかへ行った
行先は何処か分からない。
でもまた、心が壊れそうな気がした
〇
起きるとそこは知らない天井だった
どうやらベットに寝かされているらしい…ふかふかだ
辺りを見回すと女が椅子に座っていた
「…目、覚めた?」
貴方は先程の声と同じと確認すると頷いた
金髪で羽織のような服を着た耳の先が長い女
その瞳は嫉妬に満ちた緑色だけど
「皆に追いかけられ続ける貴方が妬ましい…」
その後ブツブツ呟きながら妬ましい妬ましいうるさかった
兎も角早く移動したい…ここらに安全な建物は無いものか?
そうこちらも呟くとソイツはこう言った
「地霊殿に勇儀が連れて行ってくれるそうだから」
「それとそこは安全だから」
貴方が質問する前に言った
「今頃酒を飲みながら来ているのでしょうね…妬ましい」
なんだろうか、最高に面倒臭い女と聞かれればコイツを1番に上げるだろう
それ程までに陰湿な妖怪だった…地底の妖怪とか皆損なものだと思うけど。
貴方はそう思いながらベットから体を出し、座った
「ちょっと…そんな体で大丈夫かしら」
貴方が問題無いと言うと
「そう…丈夫な体を持っている貴方が妬ましい」
もう面倒臭すぎる
早くその勇儀とか言う奴が来ないだろうか
こんな奴といるとこっちまで嫉妬にかられそうだ…と貴方は思った
しかし現実は非情だ。
早く時が進んで欲しいと思う時だけ遅く。
上手くいって欲しいと思えば失敗する
それから数時間貴方は女と一緒だった
もう中盤と言うことに驚いている
こりゃ100は行かないだろうな…