貴方の病んだ幻想入り   作:回忌

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紅き館

貴方は階段を下りる

長く、先が見えない階段

しかし冥界と現界の出入口は以外と早く現れた

そこから見えるのは人里などの幻想郷の風景だ

何処に居ようと変わらない、幻想郷

 

…貴方が居るから、変わった幻想郷

 

シンギュラリティなんて、必要か?

 

必要だ、退屈な妖怪には必要な者だ

 

それが幻想であったって

 

彼女達も彼等も、今もなお、幻想郷を歩む

 

その穴から飛び降りる

 

行先は決まっている

 

悪魔が支配する紅き館

 

運命を読む吸血鬼の姉

 

狂えし吸血鬼の妹

 

そこに向かって、全てを終わらせる

 

今から幻想郷は騒がしくなるだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ショータイムだ

 

貴方はそう、1人呟いた

 

 

 

 

 

 

 

「…そうするの」

 

「ええ、彼と戦うなら"平等"でしょう?」

 

「そうだね、これが一番…だね!」

 

吸血鬼の妹は嬉しそうに言う

あれから姉妹の仲は改善された

会えば唾を吐き合う…みたいな事は無い

翼が無ければ、外国人の仲のいい姉妹…にしか見えないのだ

 

やる事は単純明快だ

 

「でも、いきなり私達っていうのは…」

 

「そうね…咲夜」

 

「はい」

 

瞬時に銀色のメイドが現れる

吸血鬼の姉は命令する

 

「小手調べね、お願い」

 

「承知しました」

 

メイドが消える

門番には通すように言っているが…

まぁどう転げようとあれくらい乗り越えないと困る

そうじゃないとこの先挫折しかしないだろう

 

 

 

 

 

「さぁ…貴方の実力を証明してみなさい」

 

「何時でも、来ていいから」

 

 

 

 

 

 

 

霧が晴れぬ湖を通過する事三分、ようやく見えてきた

空中でも赤くて見える魔の館が

 

…っと

 

門の前に門番が居た

彼女は何時ものように眠りこけることなく仁王立ちしている

 

「こんにちは、」

 

…通してくれないか

 

貴方は一応尋ねた

レミリアから指示を受けているなら簡単に通してくれるが…

 

「レミリア様から指示を受け取ってはいる…だが」

 

…お前も、か

 

貴方は二振りの刀を抜く

美鈴は拳を構える

 

前座に構っている暇は無いっ!

 

「かかってこい!」

 

刀の突きをまず初めに入れる

それを拳の裏で逸らしたのを確認すると左の刀を振る

 

「はっ!」

 

そこっ

 

それに反応して片腕で防ぐ、つまり両手を使っている

逸れた右の刀を振りかぶって思い切り振る

刃は美鈴の横腹に切り傷を生む

 

「ぐっ…はっ!」

 

うおっ

 

それの反撃か、妖力を込めた正拳突きが飛んでくる

紙一重で躱して硬直の隙が出来た美鈴の腹に刺さった刀の柄を掴む

そして美鈴の横を刀を持ったまま走り抜け、止まる

 

ごとり

 

「…やっぱり、駄目ですか」

 

この程度じゃ止まってられない

 

貴方は真っ二つの美鈴にもう目を向けること無く歩く

上半身と下半身は2つとも分かれている

血は辺りに飛び散り、今もなお吹き出す

この程度で美鈴が死なない事は貴方は知っていた

 

門を軋ませながら開く

 

中庭の花達は貴方を歓迎しているように揺れる

 

貴方は門と同じ様に扉を軋ませて、中に入った

 

 

 

 

 

…来た

 

私は直ぐに分かった

あの時と同じ、彼女達と彼が来た時と同じ扉が軋む音

 

あぁ、どうしてこうなったのだろう

 

あぁ、どうして私は彼に味方したのだろう

 

あぁ、どうして

 

 

 

 

 

 

どうして、独占したくなるのだろう…

 

 

思わず溜息が出てしまう

こんな気持ち、抱いた事が無かった

レミリア様だけにも抱いた事が無かった

 

これが、これが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           "恋の力"

 

 

 

 

 

 

これがあれば、いつもは出来ない事が出来たりする

でも、行き過ぎると彼女達みたいに狂ってしまう

 

狂ってしまう?

 

 

 

 

 

「あはっ、あははは…!」

 

 

 

 

 

何を言ってるんだ?

 

もう既に皆狂ってる

 

…敵も味方も、皆狂ってる

 

時を止め、エントランスの階段の中腹に立つ

目の前には扉を開けた状態で止まった彼

 

さぁ、始めよう

 

 

…よぉ

 

「こんにちは」

 

貴方は扉手を離し目の前の存在に注意を向ける

銀髪の時を操るメイド、十六夜咲夜

彼女は腰に手を当ててこちらを見下ろしていた

 

「…貴方は」

 

 これでいい

 

貴方は彼女の言葉を遮り、柄に手をかける

今目の前に居るものは貴方にとって障害物でしかない

早く、倒して、倒して、倒して…

 

「良いでしょう」

 

彼女はナイフを指の隙間に余りなく挟み、構える

その表情と気配はあの時から凄く変わっている

 

その場が時を止めて、再始動したように一瞬で殺気に満たされる

 

「…行きます」

 

 来い

 

 

まず初めの攻撃は咲夜からだ

挟んだナイフを時を止めて飛ばし、再始動し、また投げる

これをあらゆる方向から繰り返す

 

 ふんっ!

 

「…まだ想定済み」

 

貴方がナイフを全て弾くのは計算の内のようだ

彼女を倒すには"想定外"を作り出す他無い

 

 はぁ!

 

「くぅ!」

 

二振りの刀を同時に咲夜に向けて振り下ろす

それをナイフで受け止めるが一瞬のうちにヒビが入る

咲夜は時を止めて離れ、牽制のナイフを投げておく

そして再始動する

 

 …

 

「化け物ね…」

 

貴方は飛んでくるナイフを弾きながら接近する

貴方の射程圏内は近距離、得意な戦法は近距離戦だ

咲夜はそれを理解すると、スペルカードを発動する

 

「幻符・殺人ドール」

 

時を止め、あらゆる場所にあらゆる方向に飛ぶナイフを投げる

それは攻撃というより錯乱の運用に近かった

やがて、時は動き出す

 

 …シィ!

 

「…!?」

 

貴方の方向に来るナイフだけを的確に落としていき、時を止めたかのようなスピードで迫る

咲夜がラストワードを構える頃には首に刃が当てられていた

 

「…降参です」

 

 悪いな

 

貴方は謝っておき先にすすむ

刀は既に仕舞ってある

咲夜が時を止めて貴方の位置を移動させたのだろう、目の前に大きな門がある

そこの中から、殺気が溢れ出ている

 

貴方は躊躇せずに扉を開けた

 

「はぁい、久しぶりね」

 

「こんにちは、お兄様」

 

…始めよう

 

貴方は刀を構える

心の中から全ての感情が消え失せる

 

「そうね、御託は必要ないかしら…じゃあ先行は私から」

 

「頑張って!お姉様!」

 

レミリアが足を踏み出す

手に持たれるは紅き槍、グングニル

緊張がこの場を支配して止まらない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Come on!(来い!)紅魔の吸血鬼!

 

 

「やってやるわ、It looks fun today(今日は楽しくなりそうね)

 

 

 




さぁ、姉を切り飛ばそう!
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