貴方の病んだ幻想入り 作:回忌
投げられたのはレミリアのグングニル
それは一直線に貴方に向かってゆく
危ないな
「小手調べよ」
レミリアは挑発的にそう言う
これが小手調べなら咲夜と美鈴はそれ以下と言うことだ
あいつら泣いてるよ
「彼女達も承知の上でしょう?」
最もだな
もし来客を殺す様に言われたら速攻退職するだろう
それをしないということはそういう事だ
忠実だな
「完璧なメイドだもの、これくらいね?」
そうか、ならお前は諦めとけ
貴方はそういいながら走る
レミリアは妨害として弾幕を発射する
それらを避け、斬り、走り続ける
「貴方は止まるということを知らないのかしら」
止まれないだけだ
最も、止まれば死ぬだけだが
どいつもこいつも高火力の弾幕をぽんぽん飛ばす
当たれば致命傷だと言うのに、はぁ
ほらほら最も激しく行けよ!
「仕方ないわね…紅符・不夜城レッド」
ようやくレミリアがスペルカードを発動する
バツ型の大きなレーザーが配置される
そこから更にビームがピュンピュン発射される
ともあれそれを越えれば一撃は与えられる
「させない」
…!
横からのナイフの群れ
それが何かは嫌でも分かる
2体1か?卑怯者め
「これはちゃんとした戦法よ、残念ながら」
「すみません」
こうした戦法は過去にもあった、天狗がその一例だ
だが、まぁそれらには弱点は必ずある
天狗の場合は統率があまり取れていない所を突く
もしくは頭を叩く、するとあら不思議勝手に散っていく
面白くなりそうだ
「私はラストスペルを発動するだけですので」
「まだまだ私のスペルカードは続いているわよ」
こうしている間にもビームやらなんやらが飛んで来ている
それらは時たま頬に赤い線を残すだけで何もしてこない
これだけなら止まっていられる
「さて…」
問題は、それか
咲夜のラストスペル
それが何なのか、あまり知らない
どんな効果があるのか、何をされるのか、全く分からない
貴方は刀を握り直す
何をされようが狙うはレミリアただ1人だ
「デフレーションワールド」
それが唱えられる
一瞬貴方はナイフの檻に閉じ込められたのかと思った
それは違った
連続したナイフの線があらゆる場所からあらゆる方向に伸ばされている
それの密度が濃すぎて檻に見えたのだ
チェーンソーかよ
「即死はしません…即死は、ね?」
咲夜のその顔を見て、よく理解した
その瞳の色と笑顔はよく知っている
彼女も狂っている
線が徐々に動き出す
それらはナイフで出来たチェーンソーと変化していた
当たれば、無数の切り傷が出来るか、輪切りにされる
く…
当たるのは覚悟の内だ
これだけの弾幕だ、グレイズは当たり前
…この場合グレイズすると切り傷が生まれる
掠っているからだと貴方は理解した
「…っ、すみませんお嬢様」
「いえ、十分よ」
十分だった
咲夜のラストスペル、レミリアの弾幕が重なり不利だった
レミリアの弾幕の避けようとすればナイフが邪魔をする
咲夜の弾幕を避けようとすればレミリアの弾幕が邪魔をする
それの一つが終わるならばありがたい
貴方は咲夜のラストスペルが終わった瞬間に翔ぶ
「そう来ると思っていたわ」
…く
紅き槍を構え、貴方を待ち受けるレミリア
刀ではリーチで負けてしまう
ならば懐に入り込んで殺るしかない
一旦貴方は槍と刀の打ち合いをする事にした
「く…馬鹿力ね」
この
手と手首に掛かる重さは尋常なものでは無い
それは㌧と言うものを軽く超えるものだった
少しでも力を緩めれば刀は飛ばされ、槍で貫かれる
はぁ!
「なっ」
下からの切り上げで槍を真っ二つにし、レミリアを斬る
それは下から上に一文字の赤い線を産む
「…いいわね」
レミリアは己から出た血を舐める
まずは一発
これが最初の一発だ
次の攻撃で諦めさせる
っ!
蹴りを入れられ、強制的に離される
その動けない僅かな隙にレミリアはスペルカードを唱える
「神槍・スピア・ザ・グングニル」
貴方は身を捻り、その紅い槍を躱す
一瞬世界がスローモーションになった気がした
紅い槍が貴方の前髪を焼きながら直進し、通り過ぎてゆく
数センチ上にズレていたら頭がパーンしていただろう
危ない事だ
貴方は体勢を空中で直し、翔ぶ
レミリアは気分が高くなっているようだ
「いいだろう、お前がそこまでするならラストスペルをお見舞いしてやる」
何時でも来い
レミリアが一枚の紙を翻す
それが淡い光となって消えてゆく
「スカーレット・デスティニー」
バババババと赤い刃が何本め現れ壁となって進む
時折円型の弾幕がレミリアから等間隔で発射される
そして10秒の1回程、大きな泡のような弾幕が発射される
これが…レミリア・スカーレットのラストスペル
はっ!
「やるわ」
赤い刃を弾き、泡のような弾幕を切り裂き、進む
貴方は横からの攻略は不可と見たか、下から攻撃する
弧を描くように下から向かう
「な…」
シィッ!
どうやら下から来るというのは彼女の予想外だったようだ
そして彼女は目を瞑り、笑いながら言う
「あぁ、見た事あるわ、この光景」
目の前に、蒼き刃が迫る
「あの運命は…」
「私の負ける運命は、間違ってなかったのね」
斬っ!
バツ印の切り傷がレミリアに生まれる
その傷は貴方が二振りの刀で斬った事を意味していた
「私の、負けよ」
レミリア・スカーレットは潔く負けを認めたのであった
ラストスペルはロスワドから取ってきてます