貴方の病んだ幻想入り 作:回忌
体の感覚がおかしい
なぜだか動けないのだ
周りには貴方を囲うように向日葵が並んでいる
そして円の模様を描くように色とりどりの花も咲いている
さくさくと地面を踏みしめる音が聞こえてきた
「兄さん」
霊夢だ、彼女が来てくれた
「…話せないよね」
そうだ、話せない
それを伝える為に案山子のように貼り付けられた腕をパタと振る
これを見て霊夢は少し悲しそうだった
「そう…もう話せないんだ…」
彼女は貴方の足元の辺りに花束を置いた
そして持っていたお酒を撒く
「ほら、兄さんが好きだったお酒だよ」
ああ、美味しい
口の辺りにお酒が掛かり、美味さが伝わる
「お花にお酒は毒よ?」
「うるさい、まだ生きているわ」
幽香がふらりと現れる
傘を優雅に回し、霊夢に近づく
「"それ"は私の物だから、困るの」
「貴方の"もの"であっても、私の兄よ、退く通りは無いわ」
「それじゃあ…」
幽香が傘を構える
それに合わせて霊夢も大幣を構えた
「ねぇ、兄さん…どっちが勝つと思う?」
貴方は霊夢の方にある腕をパタパタさせる
「へぇ…今夜は楽しみね」
幽香が妖艶に笑う
「その口の聞き方、普通に暮らせると言う事かしら?」
「否定はしないわ」
「勝ったら、そうさせてもらうわよ」
「勝ってみなさい」
頑張れ、貴方は見守る他無い
動けるけど、場を刺激したくないから、ね?
〇
ぐっ…
膝をつく
刀を突き立て、なんとか倒れない
「上々、惜しかったわね」
畜生
なんとか立ち上がり、刀を構え直す
それを見て幽香は嗤う
「まだやるのかしら?」
まだ、やれる…さ
左腕は吹っ飛び、足にもダメージがいっている
頼みの右腕もフラフラとしている
それはあまり見たくなかったのだろう
幽香は首を振った
「腕は後でくっつけるけど、これ以上消失したくないわ」
勝つ前提で…話を進める…なっ!
刀を振る
それは虚しく空を斬った
くそっ…
「お返しよ」
…ぐあっ!?
幽香の手が心臓辺りに刺さる
そのままゴソゴソと何かを弄られる
「…ここくらいかしら」
〜!?ー!!!
声にならない叫びを叫ぶ
数秒の後、ようやく引かれる
ごふっ…
口から大量に血が溢れる
「どう?」
何をした…?
「種を植え付けたの、私に従順になる、ね」
…なんだそれは
「大体分かるでしょう?」
聞かなくても分かる
恐らく脳に根が到達して幽香の思い通りにされる
ある程度の自由はあるだろう
「まず最初は花になってもらうわ」
十字の木板をどこからが持ち出す
案山子にする気か?
「間違っていないわね」
体が持ち上げられた
〇
そこからの意識は無い
気付けばこんな姿にされ、太陽の畑ど真ん中に植えられている
何度も言うが自由がない訳では無い
ちゃんと移動も出来る、喋れる
それを幽香が許可していないと言うだけなのだ
「はぁ!」
「諦めろ!」
2人の弾幕を見ながら、腕を動かす
ポケットから煙草を取り出し、咥える
そしてZIPPOで火を付ける
何をするにも、これが1番だ
貴方はそう1人で思っていた