貴方の病んだ幻想入り 作:回忌
…?
いつの間にか、貴方は地霊殿の外に出ていた
地霊殿では何か騒ぎ声が聞こえる
だが、そんな事はどうでもいいと貴方の脳は思った
眠い様な感覚が体を支配している
起きそうで、起きないような
眠りそうで、眠らないような
なんとも言えない不思議な感覚が支配している
彼女達に襲われる前に地霊殿に戻らないと
歩く方向を地霊殿に変更する
…こっちだよ
その声が聞こえた瞬間、足はその方向へ向いた
もはや地霊殿に戻るという意思は無くなっていた
あるのはその声の主に会うことだけ
それを考えていると、意識がシャットダウンされた
〇
「…彼は何処よ」
地霊殿のエントランスで霊夢は尋ねる
辺りは酷い有様だった
お燐は地面に倒れ、お空は翼を広げたまま壁に横たわっている
レミリアとの戦闘で疲弊したフランは小さな呼吸だけを仰向けでしていた
魔理沙は胸に箒が突き立てられ、壁に貼り付けられている
その胸元が小さく動いていることから、まだ生きている事が分かる
「…さぁ」
霊夢の前に倒れたさとりはそう言う
本当は分かっている
「嘘は承知よ、早く言いなさい」
「…」
霊夢の心がドス黒く染まっているのをさとりは確認する
やはり、彼女は彼に依存している
これは今更の事実だった
「は…はぁっ!」
「遅い」
「ぎっ」
椛が後ろから攻撃を仕掛けるが、大幣でいなされる
「暫し動かないでちょうだい」
「く」
それからの声は出ない
金色の札が椛の動きを封じてしまっているからだ
「ヒントでも教えましょうか」
「早くしなさい」
「私の妹に聞いてみるのですね」
「…」
それだけで霊夢は察した様だ
辺りを一瞥したのち地霊殿を出ていった
「よ、よぉ、さとり」
「ああ…勇儀…ちょっと手を貸してください」
「分かったよ」
勇儀が入れ替わるように入ってくる
彼女はさとりに手をかして立ち上がらせる
「これは…いったい?」
パルシィが爪を噛みながら聞く
「これですか?」
「いわば戦争ですね、恋の」
〇
いつの間にか、地上に出ていた
またこれだ
空には月が浮かび、辺りは月に照らされている
いつものように綺麗な月、と思うことは無かった
こっち
またその声が聞こえたからだ
まるで水面に浮かんでいるかのような感覚に囚われながら進む
不思議な事に妖怪達は貴方に気付くことは無かった
皆アホズラを晒してすれ違うだけだ
そして、目の前にあったのは我が家
なんの躊躇うことも無く戸を開く
「おかえり、随分早かったね」
そこには緑髪の少女が居た
囲炉裏に火をつけて暖を取っている
前屈の体制だ
緑の目に、黄色の服
そして紫のサードアイコード
なにより、サードアイが閉じている事が興味を引く
彼女は横に置いた帽子を撫でるように触る
貴方は何言わずにその横に座った
「疲れた?」
貴方は疲れた、と返した
実際にはそんな感覚は無いのだけれど
「やっぱり、貴方って私と同じだね」
古明地こいしはニコリと笑って言う
何が、と聞くまでもない
「貴方の体はあるけど、心は無いの」
足をプラプラと揺らしながら言う
「いつもここから浮かんでる」
彼女はどこかを指した
それは、幻想郷自体…いや、それどころじゃない
もっと"次元の違う物"な気がした
「貴方にやっぱり惹かれちゃう」
いつの間にか彼女は目の前に居た
そのハイライトの消えた緑目がすぐ目の前にある
「貴方の目、いつも光がないの…知らなかったでしょ」
目を見開く
それはこいしにとって嬉しい反応だったようだ
「あはは、やっぱり知らなかったんだね」
貴方の頬を愛部するように撫でる
「まぁ、もうこんな会話必要ないよね」
彼女は貴方を抱きしめる
ふーっ、ふーっ、と興奮する吐息が聞こえる
よく見なくても彼女の頬は紅潮していた
「これから、私達はひとつになるんだから」
彼女は顔を貴方の目の前に移動させ、頬を舐める
熱い舌が頬をなぞった
「ん…」
そのまま口内に舌が侵入する
貴方は抵抗しなかった
むしろ、その快楽に身を任せる
「ちゅぅー…ずず…むちゅう…」
口内だ舌と舌が触れ合う
「…んふー」
口から彼女が離れる
「ほら、そのままでいいよ」
数本のコードが彼女のサードアイから抜け、貴方に接続される
そこからナニかが注入されていく
「貴方は私と同じ存在になる」
「そして無意識で私と一緒になるの」
ふわんふわんと揺れる声
その声は貴方に快楽をもたらす
「気持ちいい?」
「気持ちいいならもっとやってあげる」
「さとり妖怪になっても、同じことをしてあげる」
こんなに意識が揺らいでいてもその言葉はよく聞こえた
「その"目"は私がちゃんと縫ってあげるね、貴方」