貴方の病んだ幻想入り   作:回忌

87 / 97
貴方が博麗の者ではなく

外の世界の者の世界線――


同級生

貴方はこの町に住む高校生だ

親も普通の、一般ピープル

 

ただ、一つ言うならば

 

この守矢神社の神主であることくらいだ

 

せん君!お掃除お疲れ様です!」

 

 あ、早苗

 

笑顔で駆け寄って来る同い年の子

 

東風谷早苗という風祝だ

風祝といっても巫女と変わりはない

 

「いつも仕事熱心だねぇ、せんは」

 

「私たちにとっては貴重な男手だからな

 それに料理も出来るし」

 

 諏訪子さん、神奈子さん、こんにちは

 

この2人はこの神社の神様である

はっきりと言ってその存在感は無に等しい

このような性格だからこそ見えたのかもしれない

 

…ちなみにこの場にいる3人の女は皆料理が出来ない

 

それこそ舌をシビラセル薬でも飲まない限りだ

こいつらの料理センスはハワイで長期休暇中だ

その期間なんと生きている限り、驚きである

 

せん君も最初より穏やかになりましたね!」

 

 あー、マシになった気がする…

 

 

親は事故で死に、1人で全てを片付けてきた

税金だの相続だの色々なものだった

高校生活で必要な金は全て遺産で払えた

 

だが、親が死んだ事は貴方に深い傷をつけた

 

あれから1人で全てを片付ける人間になってしまったのだ

薄暗い服と目を深く隠す帽子、長ズボン

そして火のついたタバコがフリーの姿となっていた

 

高校では他と関わりを持たない人間に

 

最初こそ「辛い?」とか言われたけど、もはや視界に無い

それが貴方にとっては好都合だった

このまま誰も自分を注目しないでくれと

 

―――それは簡単に破られた

 

「東風谷早苗です、よろしくお願いします」

 

そいつは美少女だった

無論すぐにハイエナが群がった

彼女はすぐに人気になったが、すぐに潰えた

 

そして腫れ物のような扱いをされるようになったのである

 

理由は単純「神様を信仰して下さい」である

まぁ宗教勧誘としか思えない言葉である

 

そして彼女は貴方と同じ図書委員に入った

ちょうど奇数だったクラスメイトが偶数になったのだ

1人しか居なかった図書委員に配属されたのも無理はない

 

 …この本を

 

「…はい」

 

貴方が渡した本を彼女が受け取って棚に戻す

これの繰り返しだ

 

「これをあそこに」

 

 了解

 

派手な見出しを人気な本の横に置く

そのPOPは派手に目立った

 

「…帰ります」

 

 お疲れ様

 

そして仕事が終わり彼女は先に帰る

俺は姿が消えたのを見て窓を開ける

そしてタバコを咥えて火をつけるのだ

 

 …ふぅ

 

煙が外に出ていく

火災報知器は鳴らない

 

これがいつものだったのだ

 

―――

 

「帰ります」

 

 お疲れ様

 

もはやテンプレとなったセリフを言う

彼女はドアを開けて外に出ていく

俺はまた彼女の姿が消えたの確認し、煙草に火をつける

 

 ふぅ…――!?

 

「忘れ物をしま――!?」

 

見られた

俺は即座にタバコをもみ消し、ココアシガレットに持ち替える

彼女がジリと迫る

 

「今、吸ってましたよね」

 

 なんの事だか、これはシガレットだ

 

「煙草じゃないですか…ココアシガレット?」

 

彼女は箱の文字に気づく

少しの間赤面し、コホンと咳をする

 

「失礼しました、本当に吸っているのかと」

 

 余程ストレスがないと吸わんよ、煙草は

 

彼女は扉に向かった

そしてそのドアを開けて姿を消した

 

 …は

 

俺は鼻で笑う

 

 ストレスがないと吸わない?ストレスしかねぇよ

 

タバコを咥えてまた火をつける

 

 俺はこれ以外にストレス発散方法を知らないんでね

 

ふぅと煙を吐く

 

 …俺の気持ちも分からない癖に、はぁ

 

心はどんよりとしていた

煙草の煙が更に口を開かせる

 

 俺はもう疲れたぜ…人生が決まっている美少女はいいよなぁ

 

貴方は嫉妬の声を零した

あの顔、体、性格(?)、どれもが良い

 

 俺の両親は死んだ、もう信じる奴なんて居ねぇ

 

また煙を吹き出した

 

 

「こんにちは、せん君」

 

 よお

 

挨拶が普通になって来た頃だ

貴方はいつも通りに本を指さす

 

 あれ、よろしく

 

「そんな口きいて良いんですか?」

 

 …あ?

 

今日、早苗の様子がおかしい

なんだかニヤニヤしているような気がする

 

 なんだなんだ…そういうのに付き合ってる暇は――

 

その瞬間、ある音声が聞こえた 

 

『ストレスが無いと吸わない?ストレスしかねえよ――』

 

 ばっ…!

 

思わず飛びかかるが彼女は軽く横に避ける

すぐに体制を立て直す

 

「あ、煙草落ちましたよ」

 

 んな…

 

見てみると綺麗な床があるだけ

煙草などどこにも無かった

 

 …嵌めたな

 

「なんのことでしょうか」

 

そういうと彼女は近くの椅子に座る

 

「さて、吐いてください、これでも吸ってないといいますか」

 

彼女は沈黙を許さないトーンで話しかける

このような彼女を見たことがない

あれから髪がやけに目立つ奴としか思っていなかったのだが

 

 …吸ってるさ

 

タバコを取り出し、火をつけて口に咥える

 

 こう見えて地獄を見てるんだ、快楽は無いと始まらない

 

「…何があったのですか?」

 

 は、俺は喋ら…分かった、喋ろう

 だからその携帯を置いてくれ

 

スッと取り出したケータイを手で制す

そして俺は語り出した

 

今まで、1人で生きていた事

 

親はもうこの世にいない事

 

疲れたということ

 

それを東風谷に話すと、彼女はうんうんと頷く

 

「私も分かります、親は居ないので」

 

 居ない?

 

「親代わりというか…その、神様です」

 

 …はぁ

 

意味が分からなかった

こいつはいつも神神言っているが…

 

「?どうしたんですか?」

 

 お前の神社に行くんだよ、真偽を確かめに行くのさ

 

「霊感がある程度ないと…」

 

 煙草よりかマシだ、いくぞ

 

 

 ここが守矢神社…

 

そこは寂れた神社だった

人が来ていないことがまるわかりだ

 

 はあ、本当にいるのかね

 

俺は罰当たりだと分かっていながら煙草を咥える

火はつけていない、怒らせるのには十分だ

 

「…人の子」

 

 …

 

oh......本当に出てきた…

後ろから聞こえる声

だが、それに反応する訳にはいかない

 

「あ、神奈子様」

 

「早苗、私はこいつに話があるんだ」

 

 神奈子?誰だそれ

 

貴方は自然に振り返る

目の前に赤い球があった…いや、鏡

それが豊かな胸と分かるまで時間は掛からない

だが、それで声を上げるほど弱くはない

 

「あー、この神社の神様です、目の前に居ますよ?」

 

 居るか…?お前しか見えない

 

俺は首を傾げた後振り返ってまた歩き始める

 

「人の子、ここで煙草を吸おうなどという…」

 

 スパー

 

煽るように煙草を吸う真似をする

それが神奈子の神経を逆撫でしたのだろう

怒りの声がうしろからした

 

「この…!」

 

 あー――「ふぅー」―ひやっ!?

 

耳に感じた暖かいもの

それは誰かの吐息だった

 

「あはは、やっぱり見えてたんだね、君」

 

「え、見えてたんですか!?」

 

 …やったわ

 

貴方は煙草を箱に戻した

ここで反応しなければ良かったのにな…

どちみちにしろ追いかけられそうだが

 

「…お前誘ったな」

 

煙草について八坂神奈子が怒ったように言う

 

 神なんて信じなかったんでな…お前は

 

「私は洩矢諏訪子、ここのもう1人の神だよ」

 

カエルの目玉がついた帽子を被った女の子

それこそ早苗より幼ない…でも年齢は凄いBBA…

 

「呪うよ?」

 

 祟り神かよ

 

そんなたわいも無い会話をしていた

 

 

「ここが…幻想郷」

 

「こらー!ここは天狗の領域だぁー!」

 

「おいおい、なんだこりゃ、すげぇな」

 

「斬鬼が前言ってたわね、でかいのが来るって」

 

「これは大きすぎますねぇ…」

 

天狗達が呆れたように言う

 

「阿呆!斬鬼だって想像できだろ!」

 

「神奈子、文句は幻想郷の管理者兼妖怪の賢者に言え」

 

「私は洩矢諏訪子、君はだれかな?」

 

「私は紅白舞、こっちは同期の射命丸文よ」

 

「清く正しい射命丸文です!最初にインタビューを…」

 

「こっちにもジャーナリストなんているんだねぇ」

 

風神録の始まり

 

 

 早苗、好きかもしれない

 

「私は貴方が好きですよ」

 

天狗と神の言い争いを見ながら貴方達は抱きつきあった

 

 

ふふふ、彼はもう私のものですね

タバコももう滅多に吸っているところを見ません

 

彼との一時はとても気持ちが良いです

 

時たま霊夢さん達がくるのが気に食わないですが…

 

彼の優先順位は私から変わらないですからね!

 

これも全て"奇跡"のようですね…

 

ん?あぁ、聞いていますか

 

私は貴方を撫でています

 

私が好きなのは貴方自身であって"貴方"ではありません

 

それを、分かっていてくださいね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしの、せん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方を膝枕をしながら私は撫でた

その寝顔が、とても可愛いものだった

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。