貴方の病んだ幻想入り 作:回忌
…うん
貴方は布団から起き上がった
どうやら何処かの和室らしい
あの後気絶して、誰かが起こしてくれたらしい
立ち上がり、襖を開けて外の景色を確認する
そこは地上ではなく、冥界だった
…ここは白玉楼か
貴方は現在地を更新する
今は礼を言ってここをでなければ
と、気配が後ろにあった
「起きましたか?」
…妖夢?
後ろから声が聞こえたので貴方は振り返る
銀色のボブカットヘアー
水色よりの緑の服を着た女、魂魄妖夢が居た
「今すぐここを出発しますか?」
そうだ、すまないな、礼は後で…
「出させない」
…っ!?
そこで貴方は気付いた
彼女の目が濁ってハイライトが消えている
おいっ!妖夢!どうした!
「黙って獲物を構えて下さいっ」
いつ間にか2振りの刀を持っていた
明らかにこちらを殺すつもりでいる
くそっ…死んでも文句いうなよ!
「…はぁっ!」
斬撃が飛ぶ
当たれば即真っ二つの攻撃だ
っ…手加減くらいしろっ
貴方は二振りの刀を抜き、構える
霊力は戻っている…刃が青い霊力に包まれる
「それでいいのですよ、簡単に死んではつまらないので」
死ぬなよっ!
貴方は最初に防御しにくい突きを使う
それを妖夢は横から弾き、更に横から切り上げる
突きをしなかった右の刀で弾き、後ろに退く
「甘いですね、貴方本物ですか?ガッカリしますよ」
口の利き方に気をつけておけ
苦戦している訳では無い
むしろ圧すことは出来る
それが出来ないのは彼女が仲間であるからだ
彼女を上手く気絶させなければならないが、それは向こうも分かっているだろう
いや、違う、彼女の場合は生死はどうでもいいのだろう
「来ないならこちらから行きますっ!」
くっ
瞬時に迫り来る斬撃
それは全て見えない程速く、速く、速く…
青の線を残すほど速かった
…っ、離れないと…ぐっ!
それに気付くまで時間がかかってしまった
青い線が貴方を囲うように作られていたのだ
そして、妖夢が呟く
「人鬼・未来永劫斬」
数多の斬撃が貴方を襲う
多分、貴方はこの程度、と油断していたのだろう
その斬撃を余裕で避け、次に備えた、瞬間だった
血が、舞っていた
―え…―
見えたのは、居合の状態の妖夢
不味い、このままじゃ、斬られる――
「おしまいです、コレで」
銀色の線が、貴方の腹をかっさばいた
○
体から力が抜け、倒れる
持っていた刀もカランと地面に落ちる
「あが、あああ…」
出たのは、無念の声
こんな、こんなところで、こんな…
「な、…こ…ちくしょう…」
「残念でしたねぇ、貴方」
妖夢が、貴方を抱え上げた
そして、どこかに連れていく
どこか、といってもそこは白玉楼のどこかだった
一室、その中心に貴方を下ろす
そして、目の前から抱きついた
服と肌に血がつくのも気にせず
いつやったのか分からないが、半霊がお腹に挟まっていた
冷たい感覚が、腹越しに伝わる
「こうしていると本当、落ち着きます」
ふと、妖夢が目の前で言う
耳に甘い言葉を這わせて、笑いながら
「ね、今、貴方とひとつになれてるの」
彼女はぎこちなく笑う
「幽々子様には悪いけど…貴方の一部、私が貰う」
妖夢は、そう言うと立ち上がった
時はいつの間にか3時間を進み、ソレが終わった事を示していた
何かが、抜けた
体を構成する筈の、何かが
「…これで良し、では」
スラリと刃が抜かれる
それは血が拭き取られておらず、ヌメリとしている
それを介錯の構えに
貴方は、黙って首を差し出す他、何も選択肢は無かった
「これは別れではありませんよ」
ふと、妖夢がそんな事を言い出した
「これは、儀式なのですから」
「貴方が、生まれ変わる、亡霊に」
何かが、言う
妖夢か?幽々子か?
それとも…紫…
いや…レイ、ム…?
「おやすみなさい」
意識は、何を認識することも無く、途絶えた
○
白玉楼には、現在"4人"の入居者が居る
そのうち2人は後から入居したものである
博麗せんと博麗霊夢
博麗せんは直々に招かれた者として知られている
なぜなら、主の従者が直々に首を切り落としたから
それを西行妖の根元に埋めて楔とした、故に彼はこの白玉楼から成仏することは出来ない
だが、博麗霊夢は、後を追った者である
彼女が自害した事により幻想郷が揺らいだ事件もある
だが、それはとある魔法使いが博麗巫女として就任した事により事なきを得た
荒れ果てかけた幻想郷に彼女は反省をしている
尚、その魔法使いは霊夢の親友だったとの事である
4人は白玉楼で幸せに暮らしている
そう、幸せに