貴方の病んだ幻想入り   作:回忌

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紅と白

「…んんっ…ん…」

 

 …

 

とある一室

博麗神社のとある一室

そこで二人の男女が重なり合っていた

既にお互い体を貪り合った後だ、ほぼ自己満足のキス程度だった

 

貴方はいつも貪られ、キスする体力も無かった

 

そういえば、そうらしいだろう

本当は、貴方が彼女を狂わせてしまった為の償いとして抵抗していないだけ

霊夢をずっと浮かせることが出来ず、錨となってしまった自身を懺悔する為

 

そう、自分に言い聞かせた

 

変な所で頑固なのが行動から分かる

貴方自身、それが何なのかも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、貴方はただ、快楽に溺れることに対しての言い訳をしているだけ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全てを投げ出して、相思相愛で体を貪り合うことなんて出来ない

貴方の、貴方の"霊夢を妹と思う気持ち"がそれを許さない

 

しかし、全ての終わりとして、彼女と身を交えたい

 

そんな矛盾が貴方の頭を駆け巡り、ぐちゃぐちゃにしていく

ふたつの感情に板挟みにされた貴方が選んだのは、言い訳

 

己が霊夢を壊したから、そんな理由で

 

頭はそれで納得して、快楽を受けて入れてしまっていた

だが、体は…自分から貪りに行こうともしない

体は言い訳だと知っているから、動こうともしない

 

「良いのよ」

 

甘い口付けが止まった時、言われたことがある

優しい笑顔で、どことなく嬉しそうに

 

「貴方は私を赦した、だから私は貴方を赦した

 今も私は貴方を赦して…貴方のモノになっている

 …だから、あなたも」

 

貴方はそれに直ぐに答えられなかった

というより、それが直ぐに理解できなかった

 

どうして赦されている?俺が?私が?この自分が?

何故?何故何故何故何故何故何故何故何故?

何故に私が赦されなければならないのだ

それに何で私が謝られている?

 

馬鹿が、謝るのはこちらの方だろうが

 

彼女をこうしたのも、荒らしたのも、全部私のせいじゃないか

どうして…どうして私が謝られている…

 

意味がわからない、謝らければならないのは私の筈なのに

 

心の中でそれがずっと、渦巻いていた

言葉には出さなかった

 

出したらたぶん、霊夢は泣いてしまうから

 

それでも勘のいい彼女は察した…察してしまったのだろう

私を軽く抱きしめ、顔の横に顔を落とす

耳の傍で、悲しい嗚咽…いや、鼻をすする音がする

こんな素晴らしい妹…妻を召しとって、いいのか

私ではない他の人間、私よりもいい人間は居る

 

「それでも、貴方が良いの」

 

口から漏れていたらしく、彼女は私を強く抱き締めた

柔らかい乳房が私の胸板に押し付けられる

彼女は目の端から透明な雫を落としながら体を絡める

 

 

 

 

 

 

「私には、貴方しか居なくていい程、貴方が好きなの」

 

 

 

狂おしい程綺麗な黒曜石色の瞳を私の瞳に重ねる

私の瞳の中に霊夢が写り、そして霊夢の瞳に私が写る

写し鏡の様に増殖するそれと共に、ある感情がムクムクと芽生えてくる

 

 

 

 

 

このまま、沈んでいきたい

 

 

 

 

もう、全てを赦て、この感情を終わらせてしまおう

そう考えてると全ての考えはそっちに向かう

先程まで思っていた拒絶の感情は既に見えなくなってしまっていた

 

ただ、彼女を犯したい気持ちが、湧いてくる

 

私は彼女の腕を掴み上下反転した

一瞬、戸惑いの表情を浮かべた彼女だが、直ぐに笑顔に変わる

嬉しそうな顔でコチラを待っていた

 

「そう、それで良いの」

 

私は彼女をぎゅっと抱き締めた

それと同時に、失神しそうな快楽も襲ってきたのだった

 

 

「お盛んねぇ」

 

「もう最近居住区に入りたくないんだけど

 折角の酔いが覚める」

 

片方はくすくすと扇子で口を隠しながら

片方は不満を隠さずに瓢箪の酒を呷る

 

八雲紫と伊吹萃香である

 

片方はただの居候の穀潰しだが最近お盛んなせいで入りずらいらしい

というか最近は若干敵意がある

直ぐに御札やら針やら投げてきおる

 

「あれだけの好意を受けるとか私しゃゴメンだよ」

 

「私も遠慮しときますわ」

 

右手を大袈裟に振る

萃香としてはコレが気に入らないのだろう

彼、ではなく居候で飯が食えない事だが

 

「陰と陽、よく言えたもんだよ」

 

「文字通りの存在でしょ?」

 

陰と陽

博麗に昔から存在する者

今現在の者で言えば陰は彼、陽は博麗霊夢だろう

 

影と光、陰と陽

 

昔から相容れない存在とされている

ただ、それは皆が、周りがそう言っているだけだ

同調圧力、それによって真実が歪められた

 

実際は陰と陽はたがいを求め合っているのだ

 

陰は陰には無い光を陽に

陽は陽には無い影を陰に

 

ふたつが交わるとき、全ては調和に向かうとされている

混沌を生む訳でもない、ただ全てがいつものどおりになるだけ

むしろ単体であることが問題なのだ

 

陰は混沌を生み出し、辺りを憂鬱にさせる

 

陽は調和を生み出し、辺りを快くさせる

 

しかし、その片方だけでは完全あとは言えない

不幸があるからこそ、不完全であるからこそいいのだ

 

 

 

「面倒だねぇ、紅白にしたのもそういう事かいな」

 

「陰と陽、光と影、紅と白

 全ては二つに分けられる、良いか、悪いか

 …ここではただそれだけに分けられるのよ」

 

それが、この幻想郷に丁度いい

単語に溢れた現代社会より、数単語の方がこの都に丁度いい

ここではそんなに頭を悩まさずに生きていける

学歴なんて関係ない、全ては1つの為に、1つは全ての為に

 

 

それが、ここの摂理だ

 

 

2人はそう思いながらピンクに変わる紅白を眺め続けるのだった




一人称は阿呆みたいに多いので「私」で統一しています
色々あると面倒だからね、仕方ないね
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