現代 地球
真田グループホールディングスは日本を代表する大企業のひとつである。
当主であり第2代社長の真田義信子爵は雄斗の母方の叔父にあたる人物だ。
真田家は元々は爵位を持たない家系であったが、義信の妹が山梨県知事綿部伯爵家に嫁ぐことにより男爵家に、そして義信の姪であった梓が義信の養子となったことで子爵家へと成長した。
今や日本有数の爵位を持つトップ企業になった真田グループホールディングスはJAPAN EDAの前総監四竈光一を中心に政財官界が巻き起こした怪獣災害特別支援金詐欺事件に関わらなかったため、損害を被ることはなく、健全な経営を続けている。
そんな真田グループホールディングスにJAPAN EDAが任したのは戦艦大和を改造し、宇宙空間での作戦時に使用できるようにすることである。
更には、ここにきて新たな要求がJAPAN EDAから提示された。
現在、時空の彼方に飛ばされ、過去の世界を彷徨っている雄斗とゼロを救出するための特殊な装置を改造中の戦艦大和に設置することであった。
いくらなんでもそれは無茶な要求だと誰もが感じていた。
しかし、ウルトラマンエックスこと大空大地の持つサイバーウルティメイトシャイニングウルトラマンゼロカードとウルトラマンオーブことクレナイガイの持つウルティメイトシャイニングウルトラマンゼロのフュージョンカード及びウルトラマンジードこと朝倉リクの持つウルティメイトシャイニングウルトラマンゼロカプセルを解析することによって、その力の抽出が可能になることが明らかとなった。
ただ、初期段階で、往復1回のみ使用できるという制限があるため、成功するかはかなりの賭けである。
失敗した場合、戦艦が永遠に時空の狭間を彷徨うことになる。
また、雄斗たちがいる時代を空間航跡にトレースするため、若干の誤差が生じた場合、雄斗たちが既にその時代にいないという状況もありえる。
このような感じで1ミリのミスも許されないかなり細かい作業に工員たちは連日連夜集中した。
義信「私たち経営陣もこの作業を手伝う。工員たちの負担を少しでも減らすために。」
これには社員たちも驚いた。
会社のトップが傘下企業の下部組織人たちの職務を手伝うなど前代未聞のことであったからだ。
口には出さなかったが、工員たちは全員わかっていた。
義信がこれを手伝う理由は、甥を心配するあまりじっとして待っていることができないということ、そして実兄の帰りを日々待っている梓を不憫に思ってのことだと。
このことで義信が社員たちから慕われ、梓を事実上の後継者へと誰もが認める出来事になるのは、数年後のことになる。
785年 地球
この年、長岡京で新年の儀式が開催された。
雄斗「陛下、ようやく宮殿が完成いたしました。」
種継「陛下、おめでとうございます。」
桓武天皇「うむ。私は帝の家系だが、渡来人の末裔でもある。そのために雄斗や種継の地盤があるこの地で安定した政をしたいのじゃ。」
雄斗「寺院勢力とも距離を置けられますものね。」
桓武天皇「その通りじゃ。我が弟早良よ、よろしく頼むぞ。」
早良親王「はい。」
それから9ヶ月後のある夜のこと
藤原種継が従者たちを引き連れ、造営現場の見回りをしていた。
種継「ここは、こうか。」
「ええ、そのようですな。」
種継「わかった。よろしく頼むぞ。うっ!」
「種継殿、どうしましたか?種継殿?種継殿?うん?ギャー!」
藤原種継は頭を矢で射られ、即死の状態だった。
その頃、桓武天皇の寝所で雄斗は桓武天皇と話をしていた。
ゼロ「うん?なんか今叫び声が聞こえたような。」
雄斗「なんだろう。気のせいだろう。」
桓武天皇「どうしたのじゃ?」
雄斗「今、叫び声がしたような。」
桓武天皇「わしもじゃ。まあ気のせいだろう。」
しかし、急使の知らせでそれは気のせいでないことがわかった。
桓武天皇「何だと!もう一度申してみよ。」
「ですから、藤原種継殿、何者かに射殺された模様。」
桓武天皇「雄斗、あとは任せた。」
雄斗「御意。」
雄斗は、そのまま自身の邸に帰った。
正室で桓武天皇の異母妹である縄努摩内親王が出迎えた。
縄努摩内親王「あなた、お帰りなさい。今日はやけに帰りが早いですね。」
雄斗「ああ、ただいま。藤原種継殿が何者かに射殺された。これから私は首謀者らを捕まえる。」
縄努摩内親王「まあ、そんなことが...。お気をつけて。」
雄斗「気をつけるよ。」
そして、廊下を出ると側室で藤原種継の妹である藤原清子に会った。
清子「兄の身の上に何があったのですか?教えて下さい!」
雄斗「詳しいことは言えぬが、種継殿が暗殺された。」
清子「そんな。」
雄斗「私は首謀者らを捕まえる。だから安心せい。」
程なくして、藤原種継暗殺事件の実行犯及び中心人物らが捕まった。
その中には東大寺に関わる役人も複数おり、雄斗の子孫である世襲雄人5世もいた。
雄斗「まさか、お前まで関わっていたとは。」
雄人「うっ!申し訳ございませぬ!私はあのお方に指示されてやっただけです。信じてください。」
桓武天皇「誰が指示したのじゃ。言え!」
雄人「皇太子早良親王さまでございます。」
雄斗&桓武天皇「!?」
雄斗「すぐに早良親王さまを捕らえよ!陛下の弟君ではあるが、容赦するな!」
「は!」
そして早良親王は拘束され、乙訓寺に幽閉された。
早良親王「私はなぜ幽閉されるのだ。」
「藤原種継殿を暗殺した罪だ。」
早良親王「知らん!私は知らん!私はやっていない。兄上が私を疑っているのは何かの間違いだ。」
雄斗「見苦しいですぞ、皇太子さま。あなたがやったことは私の子孫である雄人5世が白状したぞ。」
早良親王「おのれ!許さんぞ!」
雄斗は早良親王が幽閉された乙訓寺を出て、御所に向かった。
その道中
ゼロ「本当に早良親王が首謀者なのか?もう1度調べ直してはどうだ?」
雄斗「必要ない。何度調べても首謀者は早良親王で間違いなかった。」
ゼロ「確かにな。逮捕された全員が早良親王が首謀者だと言っていた。」
雄斗「仮に早良親王が無罪だとしてだ、彼は誰かに恨まれる性格か?」
ゼロ「確かに誰かが彼を恨んでいるという噂は聞いたことがない。ということは彼が首謀者であることに間違いはない。」
雄斗とゼロは、そう結論付けた。
そして、御所にいる桓武天皇に上奏した。
雄斗「何度も調べましたが、皇太子さまが種継殿暗殺の首謀者に変わりはございませんでした。」
桓武天皇「そうか。臣下の者たちを集めてくれ。」
雄斗「は!」
貴族たちが集められ、桓武天皇は事件に関わった者たちの処分を告げた。
そして、最後に
桓武天皇「従三位綿部中納言雄人5世は都にて斬首す。皇太子早良親王は淡路国に配流とす。」
「は!」
早良親王は幽閉先の乙訓寺から出された。
早良親王「兄上は私を無実と認めてくれたのですね。」
雄斗「残念だが、あなたは廃太子とし、淡路国へ流罪とすることが決まった。」
早良親王「そんな!私は無実だ!それは兄上もご存じのはずだ!そうだ!雄人5世は?あんたの子孫がよく知ってるはずだ。彼は今どこにいるんだ。」
雄斗「残念だが、死罪になると決まった。。明日の正午、斬首される。執行人は皮肉にも私だ。」
早良親王「信じてくれ!私は首謀者ではない。確かに連座した者たちと共に行動はした。しかし、首謀者は私ではないのだ。首謀者は実行した従三位綿部中納言雄人5世だ。」
ゼロ「ほう。ようやく吐いたか。移送せよ。」
「は!」
早良親王は、その後も自分は首謀者ではないと叫びながら、淡路国へと移送された。
翌日の正午
「罪人、従三位綿部中納言雄人5世、何か言い残すことはないか?」
雄人「ありませぬ。」
「そうか。では執行人正三位綿部大納言兼征物怪大将軍雄斗殿、よろしいぞ。」
雄斗「はい...。ごめん!」
こうして雄人5世は処刑された。
雄斗の手には和泉守兼定で首を斬った感触がいつまでも残った。
雄斗(少し首が太かったかな。)
一方、移送された早良親王は、その後も自身はやっていないの一点張りで更に抗議の意思を示してか断食をした。
そして、2週間後、河内国高瀬橋付近で憤死した。
この知らせは桓武天皇にも届けられた。
桓武天皇「そうか。」
この件は終わった。
皇太子には桓武天皇の第一皇子である安殿親王が立てられた。
それからしばらくして、安殿親王は病気となり、その直前には変な生物の出現が相次いだ。
雄斗は目撃した貴族たちにその生物の特徴を聞いた。
「瞬間移動するのじゃ。」
雄斗「瞬間移動?」
「この前現れたゼットンっていう物怪を細くしたような物怪じゃったわ。」
ゼロ「ゼットンを細くしたような体型か。」
「のう、雄斗殿、そなたなら正体がわかったであろう?」
雄斗「ハイパーゼットンだな。それは。」
「そう言うのか。そうそう2体現れた。」
雄斗&ゼロ「2体!?」
「何をそんなに驚かれる。そなたなら倒せるであろう?」
雄斗「ハイパーゼットンは1体でも苦戦するゼットン種類の怪獣では最も恐ろしい。それを2体も相手にするとは流石に。」
「そんなに恐ろしいのか。」
雄斗「ええ。」
「のう雄斗殿、もうひとつだけよろしいか?これも中納言殿と早良親王さまの祟りではないのか?」
雄斗「考えられるのはただひとつです。怪獣襲来の黒幕が密かに彼らに接触し、怨念を吸い取った。早良親王さまが亡くなったのは断食が原因ではない。そいつに怨念を全て吸い取られ、吸収の反動に耐えきれずにお亡くなりになった。」
雄斗は今までの経験からそう言った。
その時、その場にいる貴族たちとは違う声が聞こえてきた。
「ご名答。全て俺が仕向けたことさ。」
雄斗「ダークジャグラー、やはり貴様か。」
闇ジャグ「12年ぶりだな。雄斗。」
そう、この事件もダークジャグラーが裏で糸を引いていたのだ。
突然の登場に貴族たちは酷く狼狽していた。
「ゆ、雄斗殿、だ、誰じゃ。こ、こやつは。」
雄斗「危ないので下がって下さい!こいつは、この時代に怪獣を呼び寄せてこの世界を滅ぼし、全宇宙からこの惑星を消滅させようと企てている者どもの一味。」
「なんと!逃げろ!」
他の貴族たちは全員逃げ、雄斗とダークジャグラーだけが残った。
雄斗「怨念をまた集めて、そんなにこの世界を滅ぼしたいのか。」
闇ジャグ「当たり前よ。これから桓武天皇の身近な人間どもが病気やら何やらで死ぬぞ。更には天変地異まで発生するだろうよ。」
ゼロ「何!?」
闇ジャグ「出でよ、ハイパーゼットン及びハイパーゼットンデスサイス!」
ダークジャグラーはハイパーゼットンとハイパーゼットンデスサイスを召喚した。
雄斗「くそ!」
闇ジャグ「お前にこいつらは倒せるかな?フハハハハ!さらばだ!」
ダークジャグラーは何処かへと走り去っていき、雄斗はそのあとを追おうとした。
ゼロ「待て、雄斗!こいつらを倒すのが先だ。」
雄斗「そうだな、ゼロ!」
雄斗&ゼロ「ジュワ!」
ウルティメイトブレスレットからウルトラゼロアイを取り出した。
実に12年ぶりの変身である。
都は、2体のハイパーゼットンの出現で大混乱に陥っていた。
そこにウルトラマンゼロが現れたため、貴族たちは全員安心した。
ゼロはまず、ハイパーゼットンに蹴りを入れようとしたが、瞬間移動されて逆に蹴られた。
さらにデスサイスにも蹴られ、最初から苦戦を強いられた。
そして、双方から火球を浴びせられ、ついには倒れてしまった。
闇ジャグ「フハハハハ!どうだ?苦しいだろう?ウルトラマンゼロ!」
雄斗「ダークジャグラー!ふざけるな!」
闇ジャグ「貴様らはハイパーゼットンには勝てん。潔く負けを認め、我が軍門に降れ。」
ゼロ「断る。俺たちはウルトラマンだ。闇を取り除き、光に変える。それが俺たちの役目だ!」
闇ジャグ「そうか残念だ。とどめを刺せ!ハイパーゼットン!」
ダークジャグラーの命令に応えるかのごとく2体のハイパーゼットンは暗黒火炎コラプサーオーラを放ち、ゼロを飲み込んだ。
闇ジャグ「フハハハハハ!ベリアル様に逆らう勢力は皆死ぬのみ!フハハハハ!うん?」
ゼロは飲み込まれる直前にネオ・フュージョンライズしたため、無事であった。
闇ジャグ「そんな馬鹿な!うっ!」
なんとダークジャグラーの腹部に矢が刺さっており貫通していた。
おそるおそる後ろを振り返ると1人の貴族が弓を放ったあとだった。
闇ジャグ「貴様ァ!」
「お前は囲まれている。大人しく投降するんだ。」
見ると、草むらに何人かの貴族が潜んでいたが、ダークジャグラーは笑い出した。
「何がおかしい。」
闇ジャグ「貴様は何もわかっていないな。俺は闇が多ければ多いほど死なん。例え、俺が捕まっても怪獣は現れ続ける。」
「その時は雄斗殿が倒してくれるさ。」
闇ジャグ「ふん!」
その貴族は動揺せず、ゼロに向かって話しかけた。
「雄斗殿、今ですぞ!」
雄斗「は!この声は!」
ゼロ「従者の廣松!」
雄斗はインナースペースから外の様子を見た。
すると、雄斗配下の下級貴族たちがダークジャグラーを取り囲んでおり、更にはダークジャグラーの腹部を矢が貫通して刺さっていた。
ゼロ「よし!ハイパーゼットンを倒してやる!」
2体のハイパーゼットンが再び暗黒火炎コラプサーオーラを放った。
雄斗「無駄だ。クワトロスラッガー!」
4本のスラッガーがハイパーゼットンに当たり、暗黒火炎コラプサーオーラを放てなくなったハイパーゼットンは後ろによろけた。
ゼロ「とどめだ!バルキーコーラス!」
2体のハイパーゼットンは直立不動の体勢のまま後ろに倒れ爆散した。
闇ジャグ「くそ!」
叫んだあと自信に突き刺さった矢を引き抜き、捨てた。
そして傷口から血が大量に流れたが、すぐに止血し、闇で傷口も覆われ元通りになった。
「ヒー!バケモノじゃ!」
廣松「臆するな!相手は1人。捕らえよ!」
闇ジャグ「舐められたもんだな、小僧!これであの世行きだ!」
そう言って、廣松に斬りかかろうとしたが、金縛りにあったかのように動けなくなった。
闇ジャグ「な、なんだ?」
背後から雄斗の声がした。
雄斗「ここまでだ。」
声は雄斗だが、身体の主導権はゼロでウルトラ念力でダークジャグラーの動きを制限していたのだ。
闇ジャグ「やめろ!やめてくれ!放せ、この野郎!」
雄斗「いいだろう。その刀を鞘に収めるのが条件だ。」
闇ジャグ「...。わかった。」
渋々同意し、刀を鞘に収めたあと雄斗に近づいた。
闇ジャグ「今回は負けたが、次こそは貴様の首を取って、ベリアル様に献上してやる。」
雄斗「それはどうかな。」
闇ジャグ「フフ。」
不気味に笑うとそのまま闇に消えて、その場に雄斗と廣松たちが残された。
廣松「嫌な奴。雄斗殿、さっきの奴は誰ですか?」
雄斗「早良親王の怨念を利用して怪獣を出現させた全ての黒幕だ。少なくともこの世界に数万年前から棲む闇の化身だ。」
廣松「闇の化身...。とりあえず無事で何よりです。さあ帰りましょう。」
雄斗「ああ。」
雄斗は桓武天皇の御所に戻った。
桓武天皇「怪獣退治、ご苦労であった。」
雄斗「はい。」
桓武天皇「うむ、あれをここへ。」
「は!」
すると安殿親王が召し出された。
雄斗「もう大丈夫なのですか?」
安殿親王「心配をかけてすまなかった。もう大丈夫じゃ。」
雄斗「そうですか。よかった。」
臣下たちは安心した。
しかし、不幸はこれだけではなかった。
桓武天皇の妃であった藤原旅子が788年に、藤原乙牟漏と坂上又子が790年に病死した。
更に同時期に桓武天皇の生母であった高野新笠が病死、都では疫病が流行ったり、天変地異が起きるなど不幸が相次いだ。
この時、アントラー・キングパンドン・ブラックキング・タイラント・シーゴラス・イカルス星人が同時に出現した。
雄斗は苦戦を強いられるであろうと予想したが、イカルス星人が突如として怪獣軍団から離反し、雄斗側についた。
イカルス星人には侵略の意思はなく、ダークジャグラーに言われた通りに地球に来ただけであった。
この戦いに勝利したイカルス星人は、雄斗配下の渡来系下級貴族斑鳩類洲として桓武天皇に仕えることになる。
(もちろん今後のストーリーにも欠かせない存在となる。)
一方、桓武天皇は一連の出来事を早良親王の祟りであると判断し、鎮魂の儀式を何度も行った。
800年には崇道天皇と追贈し、近衛少将兼春宮亮大伴是成が淡路国津名郡の山陵へ陰陽師や僧を派遣し、陳謝させたうえ墓守をおいた。
それでも怨霊への恐れを抱いていた桓武天皇は805年、早良親王の遺骸を大和国に移葬した。
それ以前の794年には都を移し、平安京を新しい都とした。
801年には3度目の蝦夷征討を実行するため、坂上田村麻呂を征夷大将軍に任命した。
雄斗と類洲は田村麻呂の補佐として同行した。
この人選がなされた時、雄斗と類洲は猛反対した。
自分たちは未来人であり、特にウルトラ戦士は一体化しているその星の知的生命体を含め、文明特にその星の政治体制に干渉してはいけないという暗黙のルールがあると伝えた。
しかし、桓武天皇は、君らは既にその掟を破っており、普通に暮らしている。それに最近の蝦夷勢力はどうもおかしい。巨大生物を使役し、外部から来た人たちを攻撃している。これは雄斗の言うダークジャグラーという人物が関わっているのではないだろうかと言った。そう言われたら雄斗たちも見過ごすわけにはいかない。田村麻呂の追討軍に副将軍級の幹部として従軍することにしたのであった。
出発し、雄斗は田村麻呂と話をしていた。
田村麻呂「雄斗殿、少しよろしいか?」
雄斗「なんでしょうか?」
田村麻呂「帝はそなたにダークジャグラーの件だけは伝えた。しかし、もうひとつあるのだ。」
雄斗「もうひとつ?」
田村麻呂「はい。あれは数日前のことでござった。」
蝦夷追討軍出発の数日前
田村麻呂は桓武天皇に呼ばれた。
田村麻呂「帝、御用件は?」
桓武天皇「うむ。この前、謎の人物のお告げを夢で見たのだ。」
田村麻呂「どのような夢で?」
桓武天皇「『復讐の時は来た。赤い雨が降る。それが我ら復活の前触れ。』というお告げじゃ。ダークジャグラーの他にも蝦夷の件に関っている邪悪な宇宙人がいるのではないかと思うのじゃ。」
田村麻呂「単なる夢だと良いのですが。」
桓武天皇「しかし、どうも気になる。」
田村麻呂「雄斗殿と類洲殿にはお伝えしますか?」
桓武天皇「彼らには出発した後、そなたの口から伝えてくれ。」
田村麻呂「御意。」
この話を聞いて驚いたのはゼロだった。
近くにいた類州にテレパシーを送った。
ゼロ(イカルス星人、聞こえるか?)
類州(そのテレパシーはウルトラマンゼロじゃなイカ。聞こえるぞ。要件はなんだ。)
ゼロ(蝦夷の件に関わっているのはダークジャグラーだけではない。)
類州(どういうことだ?)
ゼロ(俺たちが出発する前、帝はとあるお告げを聞いたそうだ。『復讐の時は来た。赤い雨が降る。それが我ら復活の前触れ。』というお告げだ。俺はヤプールがこの件に関わっていると思う。)
類州(そうじゃなイカ。ヤプールは復活するに違いないんじゃなイカ。)
ゼロ(チェ、しぶとい奴め。ヤプールはエースとゼットに倒されたはずだが。)
類州(『ヤプール死すとも超獣死なず。』『ウルトラ戦士共への怨念があれば我らは何度でも蘇る。』そう言っているのじゃなかったんじゃなイカ。)
ゼロ(ああ、そうだった。とりあえず、田村麻呂のおっさんには俺が伝えておく。)
類州(わかった。)
類州とのテレパシーが終了したゼロは今度は雄斗に話しかけた。
ゼロ「雄斗、ちょっとお前の身体借りるぞ。」
雄斗「え?今?」
ゼロ「ああ。今だ。」
雄斗「はい。」
そしてゼロは自身の意識で雄斗の声で田村麻呂に話しかけた。
ゼロ「おい、田村麻呂のおっさん。ちょっといいか?」
田村麻呂「その口調、ゼロ殿か?良いだろう。」
ゼロが雄斗の身体を介して田村麻呂と会話をするのはこれで数回目であるため、田村麻呂は驚きもしなかった。
田村麻呂がゼロと初めて話した時も別に驚かなかった。
というのも、主だった貴族が会議をする時、ゼロが雄斗の身体を介して発言をすることがよくあり、平安京の人々の間では有名だったのだ。
それを人づてに聞いていた田村麻呂は、雄斗と初めて会った時、ゼロも挨拶したため、噂はこういうことかと実感したのであった。
ゼロ「さっきのあんたの話、俺の経験からするとヤプールに違いない。」
田村麻呂「ヤプール?」
ゼロ「ああ、俺たちウルトラ戦士を何度も苦しめてきた異次元人ヤプールだ。全ての異次元人の頂点に立つ存在。超獣を操る。」
田村麻呂「そんな存在なのか。」
ゼロ「そうだ。しかし、ヤプールは俺の仲間が倒したはずだ。また復活するとは。」
田村麻呂「そんな厄介な存在なのか。」
その時、類洲が話に割り込んできた。
類州「奴らはウルトラ戦士への怨念がある限り復活するのです。」
田村麻呂「しかし、どうして蝦夷側につくと思われているのか。」
ゼロ「蝦夷はあんたら大和民族に対しての憎しみが大きいからだろう。過去2度の討伐でこちら側も蝦夷側も家族を失った人たちが多いからな。」
田村麻呂「そうだろうな。そこで帝は彼らの族長である阿弖流為なる人物を探し出して捕らえるよう第2の命令を私に下した。帝は阿弖流為さえ捕らえれば、蝦夷の戦力を削ぐことができるとお考えだからだ。」
類州「問題は阿弖流為にヤプールが憑依しているかじゃなイカ。」
田村麻呂「そうだな。だから帝はゼロ殿と類洲殿も同行させたのかもしれぬのう。」
ゼロ「危なくなったら、おっさん、俺が助けてやるよ。」
田村麻呂「ハハハハハ!ゼロ殿、期待しておるぞ!」
ゼロ「おう!任せておけ!」
そう言うと身体の主導権を雄斗に返した。
雄斗「と、まあそんな感じです。ゼロがこんな感じにすみません。」
田村麻呂「よいよい。気にしてはおらぬからの。」
と明るく進軍中の蝦夷追討軍であった。
一方、東北
やはりこの男が加勢しており、怪獣も出現させていた。
790年の怪獣大進撃事件以降、雄斗たちの調査で消息不明と判定されて以降、行方をくらましていたダークジャグラーは、東北地方に流れ着き、蝦夷の族長である阿弖流為に仕え始めた。
当時、蝦夷追討を目的とした中央政府と度々衝突していた蝦夷は、ダークジャグラーの存在をどこからか聞いていたのか暖かく迎え、共に力を合わせることに決めた。
それから11年経ち、中央政府が蝦夷追討のために坂上田村麻呂を総大将とし、その中に因縁の相手である雄斗とかつて自分の手駒でありながら裏切った類州がいると知ったダークジャグラーは、怪獣を召喚し、蝦夷勢力を守護することに決めたのであった。
闇ジャグ「阿弖流為さま、怪獣はレッドキングのみでございます。それでもよろしいですか?」
阿弖流為「いいぞ。そなたと私は種族は違うが、打倒ヤマトという意志は同じだ。しかし、そんなことをして良いのだろうか。」
闇ジャグ「何をおっしゃる。追討軍は阿弖流為さまのお身内やお仲間を殺したのですぞ。憎くはないのかね。」
阿弖流為「確かに憎い。怪獣よりももっと強い奴を頼む。あのお方にそう伝えてくれ。」
闇ジャグ「よくぞ申した。しばしお待ちを。」
そう言うと異空間へと消えていった。
その異空間でダークジャグラーは何者かに話しかけ始めた。
闇ジャグ「阿弖流為は自分の身内や仲間を殺した相手が憎いと言いました。とうとう吐きましたぞ。」
すると、姿は見えないが、禍々しい声が空間に響き渡った。
「そうか。奴の憎悪を利用して憎きウルトラマンゼロを誘き出すことができそうだな。」
闇ジャグ「そのようですな。」
「しかし、いいのか。貴様はベリアル配下の者の雑兵にすぎん。その程度の分際が異次元人の長に協力を仰ぎにくるなど懲罰の対象になりはしないのか。」
闇ジャグ「ベリアル様の邪魔となる存在は消し去る。そのためには志を一緒とする者たちと手を組むのは当たり前のことです。」
「そうか。貴様のおかげで余は完全復活できそうだ。怪獣を超えた生物である超獣をそなたに貸す。その間に余は阿弖流為に憑依し、この戦争に介入してやるわい。そして、我が一族の繁栄を取り戻す。」
闇ジャグ「了解。」
そう言うと通常空間に戻って、阿弖流為のところに報告した。
阿弖流為「あのお方はなんと?」
闇ジャグ「超獣を私に貸し与えてくれるそうだ。お主の力になってくれるだろう。」
阿弖流為「そうか。ありがたい。」
ダークジャグラーは気づかれない程度にそっと薄気味悪く笑った。
闇ジャグ(フッ。蝦夷の族長とはいえ愚かな。貴様はあのお方とウルトラマンゼロとの戦いで利用されるただの捨て駒よ。フハハハハハ)
一方、その存在は阿弖流為の心に語りかけた。
(お主、自分の家族を殺した相手を憎くはないか。)
その声は阿弖流為の心に響いてきた。
阿弖流為(誰だ?どこから話しかけてくる?)
(お前があのお方と呼ぶ存在だ。今はお前の心に直接語りかけている。)
阿弖流為(わかった。用件はなんだ。)
(お主は中央政府が憎いだろう。彼らに味方する者も。)
阿弖流為(ああ憎いさ。皆殺しにしてやりたくなるほどにな。)
(ならば、余がお前に力を与えてやろう。そうすれば、余も肉体が復活し、完全復活できる。)
阿弖流為(本当か!?わかった。頼む。)
(よかろう。)
そう言うとその存在は誰にも気づかれない程度に阿弖流為の中に入り込んだ。
(フフフ、ありがとうな。これで余は完全復活だ。フハハハハ!)
阿弖流為(貴様!私を騙したな!ウワアアアアアア!)
そのまま阿弖流為の意識を潰してしまった。
阿弖流為の姿だが阿弖流為の意識でないその存在は阿弖流為の仲間のところに行った。
彼らは偽物の阿弖流為だと気づいておらず、いつものように接した。
そこへその存在が阿弖流為の声で告げた。
阿弖流為「我が一族の仇を討ち、完全勝利を果たそうぞ!いざ出陣!」
「オー!」
蝦夷軍は続々と出陣し、追討軍の待ち伏せをした。
彼らの近くには怪獣を召喚する準備を始めたダークジャグラーが不敵な笑みを浮かべて立っていた。
阿弖流為(今度こそ終わりよ。地球もウルトラマンもな!)
(続く)
縄努摩内親王も藤原清子も架空の人物です。