便宜上、しばらくの間、蝦夷勢力で登場するヤプールを「その存在」というふうに呼称しておきます。
現代 帝星ガトランティス
白色彗星帝国という別称もあるこの星間国家もまたベリアル軍の脅威にさらされていた。
ガミラスと同様に徹底抗戦していたガトランティスはガミラス軍敗北と同時期に劣勢に陥っていた。
大帝玉座の間では、これから200年ほど未来でガミラス・地球連合軍と戦う際にガイレーンを名乗るズォーダーが部下の報告を受けていた。
ズォーダー「ガミロンは敗北、他の星間国家もほとんどがベリアル軍の手中にあるのか。」
帝国機動艦隊総司令長官のゲーニッツが答える。
ゲーニッツ「そのようです。現在、中立的な位置にいるのはイスカンダルとテレザートです。抵抗しているのは、テロン、ジレル、デザリアムのみです。」
ズォーダー「そうか。しかし、聞くところによるとテロンには外宇宙からきたと言われるウルトランが多く駐在して怪獣と戦っているそうな。」
ゲーニッツ「そのようです。既にベリアル軍の手中にある星間国家にはレジスタントの援助にウルトランが混じっているそうです。」
ズォーダー「ああ、聞いているぞ。星間国家の王族や貴族たちはウルトランの星にある宇宙港に亡命しているそうだ。」
ゲーニッツ「しかし、大丈夫なのでしょうか?」
ズォーダー「何がだ?」
ゲーニッツ「ベリアル軍の首領である宇宙大皇帝ウルトラマンベリアルは闇に堕ちる前、ウルトランの星を出生地としていたそうです。故郷なら尚更、急所がわかるはずです。」
ズォーダー「確かにあの星のセキュリティシステムはガバガバだと聞く。しかし、過去2度に渡るベリアルの襲来にきちんと対処しているのは周知の事実だ。」
ゲーニッツ「ほう。どこからその情報を。」
ズォーダー「ウルトラマンキングからの情報だ。」
ゲーニッツ「あのお方からですか。」
なぜガトランティスがウルトラマンキングのことを知っているのかというとキングは様々な次元宇宙を繋げてしまうほどの伝説の超人である。
そのため、ノアと並び様々な次元宇宙で元から知られているのだ。
そして、この当時、キングはベリアル軍に占領されていない星間国家を渡り歩き、その星とトップと密談を重ねていた。
そのようなことからもズォーダーはキングから与えられた情報を知っていたのである。
それから数日後、ベリアル軍は帝星ガトランティスに最後の大攻撃を果敢し、占領してしまった。
ズォーダーと側近たちはベリアル軍に渡っては困る武器だけを持って光の国に亡命した。
これ以降、帝星ガトランティスはベリアル軍による圧政の中、レジスタントによるゲリラ戦が多発することになる。
彼らが勝利するのは、そう遠くない未来である。
801年 地球
とある存在が阿弖流為に憑依する前のことである。
進軍中の坂上田村麻呂率いる蝦夷追討軍はあと少しのところで蝦夷の本拠地に到着するところであった。
既に雲行きは怪しく、雨が降りそうな雰囲気であった。
田村麻呂「雨が降りそうだな。」
雄斗「そうですな。」
すると、本当に雨が降ってきたのだが、
「なんだこの雨は。赤いぞ!」
従軍している兵士たちが騒ぎはじめた。
ウルティメイトブレスレットの中から何かを感じたゼロは類洲にテレパシーで話しかけた。
ゼロ(この赤い雨、もしかして。)
類洲(ああ、ヤプールが復活したんじゃなイカ。)
ゼロ(これはまずいぞ。)
そう言うと、断りもいれずに雄斗から身体の主導権を奪うと、田村麻呂に話しかけた。
ゼロ「田村麻呂のおっさん、まずいことになった。」
田村麻呂「ヤプールが復活するのか?」
ゼロ「そのようだ。急がなくては。」
雄斗「よし、田村麻呂殿、行きますか。」
田村麻呂は雄斗に言われると決意を固めたかのように頷き、兵士たちに告げた。
田村麻呂「者共、目指すは阿弖流為の首ただひとつ!全軍突撃!」
「「お!」」
大勢の兵士たちのどよめきで追討軍の士気は上がり、その声は蝦夷たちのところにも届いていた。
阿弖流為に憑依していた異形の者は蝦夷たちに告げた。
偽阿弖流為「今こそ、憎きヤマトの者どもを 皆殺しにし、親兄弟親類縁者の仇を取ろうぞ!」
「「うおー!!」」
偽阿弖流為はダークジャグラーと無言で頷きあい、ダークジャグラーはその場を離れてダークリングを取り出すと、超獣を呼び出す準備をした。
そして追討軍と蝦夷軍は激突した。
雄斗「阿弖流為はどこだ。私があの男をヤプールの呪縛から救ってやる。」
類洲「私もお供します。」
ゼロ「わかった。行くぞ!」
雄斗&類洲「おー!」
2人は本軍から離れて、阿弖流為とダークジャグラーのいる敵本陣を目指した。
最高指揮官として前線で剣を振るっていた田村麻呂はそんな2人を見て、一部の兵士たちに呼びかけた。
田村麻呂「2人を援護するのじゃ!」
「「おー!」」
10数名ほどの兵士が雄斗たちに群がってくる蝦夷たちを斬っていき、道を開いていった。
廣松「雄斗殿、類洲殿、ゼロ殿あとは任せましたぞ!」
田村麻呂「生きて勝利を掴み取れ!必ずまた会おうぞ!ガハハ!ガハハハ!ガハハハハ!」
雄斗「おう!」
2人は猛スピードで本陣に向かった。
斬りかかろうとする蝦夷たちは皆、衝撃で吹き飛ばされた。
そして、遂に本陣に到着
護衛をしていた蝦夷たちは2人を取り囲んだ。
そこに偽阿弖流為とダークリングを持ったダークジャグラーが姿を現した。
闇ジャグ「誰かと思えば、ウルトラマンゼロにイカルス星人か。」
雄斗「阿弖流為いや阿弖流為の姿をしているヤプール!ダークジャグラーと手を組み、日本国内で争わせるつもりか。」
ヤプール「ふん!全てはベリアルのためだ。」
類洲「そのために中央政府に恨みを持つ阿弖流為の心に入り込み、利用したのか。」
ヤプール「そうだ。そしてそのまま地球を邪魔なウルトラの一族もろとも消し去ってやる。」
雄斗「そんなことはさせない!」
ヤプール「どうかな。」
そう言うと手を上げた。
すると、空が割れ、異次元空間が剥き出しになった。
闇ジャグ「星のまたたく狭間の闇よ、暗黒のパワーを我にもたらせ。光から闇へ、闇から闇へー!」
ダークリングから出てきた無数の邪悪な闇は異次元空間に入っていき、4つの邪気が実体となって地上に降り立った。
一方で、ダークジャグラーはベムスターも召喚した。
ミサイル超獣ベロクロン、液汁超獣ハンザギラン、殺し屋超獣バラバ、大蟹超獣キングクラブである。
ヤプール「さあ、お前たちならどうする?ウルトラマンゼロ、イカルス星人。」
雄斗は、ギガバトルナイザーNEOを取り出して、ゴモラ、リトラ、ウィンダム、アギラ、ミクラスを召喚した。
雄斗「超獣は俺が使役する怪獣たちだけで十分だ。」
類洲「ヤプールとダークジャグラーに告ぐ。私と雄斗と戦おうじゃなイカ。」
闇ジャグ「良い度胸だ。ここでくたばれ。」
雄斗はレイモンに変化すると阿弖流為に憑依したヤプールに、類洲は本来のイカルス星人の姿に戻ると魔人態の姿になったダークジャグラーに立ち向かった。
ベロクロンはミサイルを発射、しかし、ウィンダムが目から発射した小型ミサイルに全て破壊された。
ハンザギランは溶解液を吐き出したが、リトラの火球で全てを打ち消された。
バラバは色々なところから攻撃してきたが、ミクラスに妨害され、ダメージを与えることが難しい状況である。
キングクラブは長い尻尾でゴモラを絞殺しようとしたが、EXゴモラNEOに変化したゴモラの尻尾がキングクラブを拘束しようとするので、なかなかできない。
ベムスターは、アギラと交戦、これも互角の戦いであった。
一方の地上戦
レイモンは、ギガバトルナイザーNEOにシャイニングウルトラマンゼロのカードとイカルス星人のカードを読み込ませた。
[シャイニングメタフィールド四次元空間モード発動!]
シャイニングメタフィールドが四次元空間とつながり、レイモンたちの力が有利となった。
イカルス「これで俺たちの庭になるんじゃなイーカ!」
レイモン「ああ。ヤプール!阿弖流為を解放しろ!」
ヤプール「断固拒否しよう。」
そう言うとシャイニングメタフィールド四次元空間モードを無効化し、五分五分の戦況になった。
元から戦闘力が優れていないイカルス星人はダークジャグラーに斬られまくって何とか立っている状態であった。
イカルス「イカ、イカ、もうダメイカ。」
そのまま倒れた。
レイモン「よくも類洲を!ウオオオオオ!」
レイオニクスバーストモードに移行し、ヤプールを一方的に叩きのめした。
ヤプール「うお!やめてくれ!この身体は地球人から借りた姿なんだぞ!」
レイモン「黙れ!貴様は地球人を利用した!意識を食い潰し、貴様は完全復活した!今は自分の身体だろうが!」
ヤプール「ふん!地球人ごとき何になる。人間は何もできないちっぽけな生き物だ。」
そう言って、腕を振り上げ、レイモンは側に落とした剣をカラータイマー目がけて刺そうとしたが、
ヤプール「うん?」
途中でやめてしまった。
阿弖流為(やめろ!ヤメロォ!)
ヤプール「馬鹿な!貴様は確かに意識ごと潰したはず。」
いつの間にか通常モードに戻っていたレイモンが反応する。
レイモン「阿弖流為、頑張れ!」
ヤプール「小賢しい人間め!」
阿弖流為(人間を、人間を舐めるなぁ!)
ヤプール「貴様は中央の人間が憎くはないのか?」
阿弖流為(そりゃ憎い。だけどいつまでも憎み合って戦い続けるのは間違っている。)
ダークジャグラーとの一戦で瀕死の重傷を負った類洲が息も絶え絶えに反応する。
イカルス「...やっと...気付いたのか...。」
ヤプール「馬鹿な!我々の計画を貴様は邪魔するのか!」
阿弖流為(俺を騙して身体を乗っ取った奴が何を言う!この身体から出ていけぇ!うわぁぁぁぁぁ!)
ヤプール「やめろ!やめろぉぉ!」
ヤプールは強制的に阿弖流為の身体から追放され、阿弖流為はやっと自我を取り戻した。
既に超獣たちは雄斗が使役する怪獣たちによって倒された。
長らく阿弖流為に憑依していたヤプールは実体を取り戻し、ひとりの人間の姿になった。
闇ジャグ「ヤプール、ここは決死の覚悟で望みましょう。」
ヤプール「ああ。」
ダークジャグラーとヤプールは巨大化し、蝦夷の集落を襲い始めた。
女性や老人、子供たちが逃げ惑う声が聞こえてくる。
阿弖流為は自らの兵士たちに呼びかけた。
阿弖流為「みんな、もうやめよう。争いは結局憎しみしか産まない。武器を捨て、ヤマトに投降しよう。」
それを聞いた蝦夷の全軍は武器を捨て追討軍に投降した。
阿弖流為「田村麻呂殿、いくらでも罰は受けます。しかし、罪を受けるのはこの私だけで十分。一族は生かしてください。」
それを聞いた田村麻呂は感激した。
田村麻呂「阿弖流為殿、そなたのような漢を私は気に入ったぞ。私がそなたを死なせはしない。しかし、そなたをヤマトに連れ帰る前に、どうしてもやらねばならぬことがある。」
阿弖流為「ヤプールとその仲間を倒すことですな。」
田村麻呂「ああ。雄斗殿、任せましたぞ!」
雄斗「はい!行こう、ゼロ!」
ゼロ「おう!」
雄斗&ゼロ「ジュワ!」
雄斗はウルトラゼロアイを装着し、ゼロに変身し、ヤプールとダークジャグラーの行く手を遮った。
ゼロ「勝負だ!ヤプール!ダークジャグラー!」
ヤプール「望む所だ。」
闇ジャグ「ここでくたばれ。」
所詮は2対1、ゼロは圧倒的に不利な戦いを強いられた。
ダークジャグラーに羽交締めにされ、ヤプールからは鎌状の右腕で殴られる、その繰り返しである。
雄斗「何か手はないのか!」
ヤプール「大人しく死ね!」
ヤプールは鎌状の右腕から破壊光線を発射、ゼロに直撃した。
ゼロ「うっ!」
ダークジャグラーはここぞとばかりに殴り続けた。
その直後にはヤプールが念動力でゼロを自在に動かしはじめた。
ここまで、ヤプールとダークジャグラーの予想通りであったらしい。
一瞬の隙を突いて、ゼロが反撃に転じた。
ルナミラクルゼロにタイプチェンジしたゼロは地面に寝転がったまま技を繰り出していく。
ゼロ「ミラクルゼロスラッガー!」
無数のスラッガーが宙を舞い、ヤプールに突き刺さった。
ヤプール「何!?」
次にストロングコロナゼロにタイプチェンジしたゼロは座ったまま技を繰り出した。
ゼロ「ガルネイトバスター!」
高熱の火炎光線がヤプールを包み込んだ。
ヤプール「うわ!熱い!」
ゼロ「からのウルトラハリケーン!」
ヤプールとダークジャグラーはウルトラハリケーンに巻き込まれ、上空に飛ばされた。
ヤプール&ダークジャグラー「うわー!」
ゼロ「ほらよっと。」
すかさずゼロはウルトラゼロランスを投擲、これはヤプールを貫通した。
ヤプール「ぬおおおおお!ヤプール死すとも超獣死なず!」
ヤプールは最後にその言葉を言い残し、爆散した。
残されたダークジャグラーもワイドゼロショットが放たれた直後、これを剣で吸収して生き延びると何処かへと逃げていった。
等身大の姿になったゼロは瀕死の重傷を負った類洲と廣松を自らの能力で治癒させ、まもなく2人は回復した。
田村麻呂「いやーしかし、惜しかったですな。ヤプールは倒しましたが、ダークジャグラーは取り逃しましたなあ。」
雄斗「これからも奴との因縁は続きそうですな。」
田村麻呂「奴が予言した怪獣は何体現れましたかな。」
雄斗「17体ですな。」
田村麻呂「あと残り2体ですか。その2体を倒すと雄斗殿は別の時代に去っていくのか。」
廣松「寂しいですな。」
類洲「私はお供して良いことになっておる。ウルトラマンと同様、私は不老長寿なもので。」
廣松「言いおったな、こいつめ!」
田村麻呂「フハハハ!」
戦場に男たちの笑い声がいつまでも響いた。
数日後、田村麻呂は戦勝の報告を兼ねて阿弖流為ら捕虜を都に連行した。
帰京した田村麻呂は桓武天皇と謁見し、阿弖流為らの処刑を中止するよう申し出た。
桓武天皇「そなたたち3人はよくやってくれた。褒美にそなたらが今最も望むことを聞いてやろう。」
田村麻呂「陛下、あの男は殺すのに惜しい男、命だけはお助けください。」
桓武天皇「うーん。」
雄斗と類洲も懇願した。
雄斗「お願いします。彼はヤプールとダークジャグラーに利用されていただけなのです。」
類洲「私からもお願いします。」
桓武天皇「うーん。考えておこう。3人とも今日はゆっくり休め。あとのことは私が決める。」
田村麻呂「御意。」
3人は御所を退出、その間に桓武天皇は阿弖流為らの処遇を決めてしまった。
出てきた答えは、もちろん処刑であった。
このことは阿弖流為や田村麻呂の耳にも入った。
阿弖流為「私は処刑されるのですね。」
田村麻呂「私たち3人はそなたたちの助命を懇願した。しかし、無駄だった。」
阿弖流為「私は都に対する反逆者。これからの治世を考えると、反乱が起きても処刑されない者が出てくるのは色々と弊害が生じよう。仕方のないことだ。」
雄斗「怖くはないのですか?」
阿弖流為「我らは最後まで一生懸命に戦った。それだけでも誇りだ。」
類洲「最後に言い残すことはないか?」
阿弖流為「そなたたちに会うことができて私は幸せだ。これで本当にさらばだ。」
阿弖流為は処刑された。
この情報は東北にも伝わったが、不思議なことに反乱は起きなかった。
田村麻呂は処刑の報を聞き、人知れず泣いた。
田村麻呂「惜しい人を亡くしてしまった。」
彼は阿弖流為のことを思い出す度に言い続けた。
戦うことが宿命の武人貴族、彼もまた背負う物が雄斗や類洲と同じように大きかったのである。
804年
桓武天皇は最澄らに新しい仏教を学ばせるため唐に派遣した。
この時の大使は藤原葛野麻呂、副使は石川道益であった。
この遣唐使には雄斗と類洲も同行することになった。
桓武天皇「最近、余は自分が死ぬ夢を見る。もしかしたらそなたたちが帰ってくる頃にはこの世にはいないかもしれぬ。雄斗、そなたは未来から来たのじゃろう。余が死ぬのがいつかわかるはずじゃ。」
雄斗「2年後です。」
桓武天皇「2年後か。それまでに安殿が安心して政ができるよう取り組まなければいけないことがたくさんある。」
類洲「例えば?」
桓武天皇「都の造営や東北遠征じゃ。誰かに相談せねばのう。」
廣松「保守派の菅野真道、そして革新派の藤原緒嗣。この2人で議論させるのはいかがでしょう。道理に合っている方を採用するのです。」
桓武天皇「廣松とやら、素晴らしい考えじゃ。落ち着いたらこの2人を集めよう。」
廣松「御意。」
雄斗は廣松に告げた。
雄斗「私の屋敷の管理と一族の世話を頼んだ。」
廣松「わかりました。」
そして遣唐使の一行は出発した。
雄斗は最澄の乗った船と偶然同じだった。
最澄「雄斗殿、よろしくお願い申し上げます。」
雄斗「こちらこそよろしく。」
船は様々な苦難を乗り越え、到着した。
とはいうものの大使と空海らが乗った第1船、副使と菅原清公・最澄らが乗った第2船だけであった。
つまり、雄斗と類洲の乗った船は無事に到着したのである。
しかし、先に到着したのは第1船で、その次に到着したのは、第2船であった。
しかも福州の海岸に漂着した第1船は海賊ではないのかというあらぬ疑いをかけられ、50日以上、待機する羽目になった。
空海が疑惑を晴らしたため、一行は当時の皇帝であった徳宗に謁見した。
明州に到着した第2船は、最澄・義真らは天台山へ向かうために別れ、長安へ向かった一行は第1船の人員と合流し、805年1月の徳宗の崩御と順宗の即位式を見学した。
道益は明州で亡くなった。
遣唐使の一行は留学生の橘逸勢と空海を残して日本に帰った。
雄斗と類洲は、桓武天皇の要請と順宗からの強い要望で、しばらくの間、唐に留まることになった。
滞在中、平安京にいる坂上田村麻呂から手紙を唐をたびたび訪れる親しい商人から受け取っていた。
1通目
『雄斗殿、お久しぶりでございます。
唐の生活には幾分慣れてきましたか?
私は太政官符で音羽山清水寺の寺地を賜りました。
また連絡します。』
2通目
『雄斗殿、お知らせです。
本日、帝は藤原緒嗣殿と菅野真道殿の2人をお呼びになり、議論させました。
その結果、帝は緒嗣殿の案を採用なさいました。
平安京造営と東北遠征は今後なくなり、農民たちの負担も減ります。
これで阿弖流為殿も浮かばれることでしょう。
また連絡します。』
3通目
『雄斗殿、大変です。
帝は、ご病気になり、このところ政務を取らない日が多くなりました。
お隠れあそばされる前兆なのか怪獣が時々現れますがすぐに消えます。
雄斗殿から教えられた怪獣の知識によると、その怪獣はレッドキングです。
渡唐前に預からせていただいたゴモラをいつでも出せるようにしておきます。
ちなみにゴモラは、時々スペアのギガバトルナイザーNEOから出させていますが、今では都の子供たちに人気です。
それでは。』
3通目を読み終えた時、雄斗と類洲は吹き出してしまった。
雄斗「これはありか?」
類洲「ありじゃなイカ。」
その手紙が届いた直後の平安京
田村麻呂は子供たちと一緒に遊んでいた。
そこへ皇太子の安殿親王が走ってきた。
田村麻呂「これは皇太子さま、どうしましたか。」
安殿親王「父上が危篤状態じゃ。お主を名をしきりに呼んでおる。」
田村麻呂「なんですぞ。今行きます。」
安殿親王に連れられ、田村麻呂は桓武天皇がいる寝所にきた。
既に多くの臣下たちが集まって、桓武天皇の最期を看取ろうとしていた。
安殿親王「父上、田村麻呂殿が参りました。」
桓武天皇「おお、田村麻呂か。」
田村麻呂「帝、お気を確かに。」
桓武天皇「余の命はもう少しで尽きる。雄斗や類洲が予言していた通りじゃ。」
田村麻呂「ええ。」
桓武天皇「田村麻呂や。お主、彼らと度々連絡をとっているようじゃな。」
田村麻呂「そうですが。」
桓武天皇「余の亡き後、安殿が次の帝となる。余の葬儀が終わり次第、即刻彼らを呼び戻してほしい。唐の政治を学んできた彼らならまた役に立ってくれよう。」
田村麻呂「お気持ちはわかります。しかし、彼らはマガゼットンを倒したあとは元に時代に帰るか、それとも違う時代を漂流しながら怪獣を倒し続けなければならないのです。」
桓武天皇「わかっておる。ワームホールとやらが出現するまでの間じゃ。」
田村麻呂「はい。」
桓武天皇「田村麻呂、余は立場上、阿弖流為を処刑しなければならなかった。彼もそのことを理解していたように思う。」
田村麻呂「はい。」
桓武天皇「最後にお主に会えてよかった。」
田村麻呂「ありがたきお言葉。」
その言葉を聞いた桓武天皇は満足そうに息を引き取った。
宝算70歳、在位中、様々なことに翻弄された人生であった。
桓武天皇の崩御からしばらくして、レッドキングが出現したが、田村麻呂が使役したゴモラによって倒された。
田村麻呂は、同時に出現したダークジャグラーと剣で一騎討ちをしたが決着はつかなかった。
田村麻呂「ダークジャグラー、いつか会う日は貴様が死ぬ時よ。」
闇ジャグ「フハハハハハ!その時は貴様を含めて人類を滅ぼしてやる!フハハハハハ!」
数ヶ月の唐
雄斗「田村麻呂から手紙が届いた。」
ゼロ「どれどれ。」
類洲「見てみようじゃなイカ。」
『雄斗殿、類洲殿、この手紙が届いた数日後には朝廷より帰還命令が出されるでしょう。
延暦25年3月17日、帝は平安宮正寝柏原大輔にて崩御し、安殿親王が新たに帝に即位しました。
先帝の大喪儀は4月7日に執り行われました。
元号は大同に変わり、即位礼は大同元年5月18日に行われました。
雄斗殿の予言通り、レッドキングが出現しましたが、お借りしているゴモラが倒してくれました。
それでは、帰国後お会いしましょう。』
雄斗「そうか。陛下はお亡くなりに。」
類洲「悲しいですな。」
その手紙が届いた数日後、雄斗が滞在していた憲宗の弟である郯王李経の邸に日本からの勅使が到着した。
雄斗と類洲は憲宗に別れを告げ、唐を去り、日本へ帰っていった。
帰国後
雄斗「ただいま。」
縄努摩内親王「お帰りなさい。」
清子「お帰りなさいませ。」
雄斗と類洲を一族が出迎えた。
そこに雄斗と清子の娘であり、もう30代となった雄美子が現れた。
雄美子「お父様、子供が生まれました。お父様にとっては孫です。私と廣松殿の子供です。」
廣松「申し訳ございませぬ。殿の御息女を娶るなどご無礼をいたしました。」
しかし、雄斗は笑って答えた。
雄斗「よいよい。良い婿殿をもらえた。どれ、帝からお呼び出しが来るまでしばらくは休もう。」
雄斗がこの時代に来て30年以上が経過していた。
孫も生まれるのは当然のことであろう。
数週間後、雄斗と類洲は安殿親王改め平城天皇に呼ばれた。
平城天皇「久しぶりだな、雄斗。」
雄斗「ご即位おめでとうございます。」
平城天皇「うむ。早速だが余は父上がやってきたこと全てを見直す。」
雄斗「と言いますと。」
平城天皇「藤原薬子を許し、その夫藤原縄主を太宰府に赴任させる。」
類洲「まさか、先帝が恐れていたことをまたしでかすのではなイカ。」
平城天皇「ふん。私は帝だ。文句を言ったらタダじゃおかない。」
呆れてた雄斗は一言だけ発した。
雄斗「はあ。ご勝手にどうぞ。」
その件があって、すぐに雄斗と類洲は引退し、家督も息子に譲った。
縄努摩内親王「何も引退までしなくても。」
清子「そうですよ。」
廣松「わかってないな義母上たちは。義父上たちは、帝に失望してやめたのですから。」
縄努摩内親王「それならわかるわ。」
清子「そうねえ。あの方じゃ付き合いきれないかもね。」
雄斗と類洲が引退したことで平城天皇は暴走を始めた。
薬子との不倫関係を公然化させ、薬子の兄である仲成を出世させた。
人々は、このことをよく思わなかった。
翌年には、観察使制度の設置され、縄主は大宰帥のまま西海道観察使にも任ぜられる。
既に引退していた雄斗は縄主から怒りとも取れる手紙を受け取った。
『雄斗殿。
帝は私に帰ってくるなという意味で私をこの職にしたのでしょう。
その隙に我が妻である薬子とよくない関係になっているのです。
私はどうすることもできません。
このようなことを引退したあなたに申し上げるのもだめでございましょう。
それではまた。』
雄斗は、この手紙を田村麻呂に見せた。
田村麻呂「どうしようもないことじゃな。帝にたてつくことなど私にはできぬ。」
雄斗「でしょうな。」
田村麻呂「帝の弟君である神野親王さまがそなたたちに会いたいそうじゃ。」
類洲「会ってどうするつもりだろうか。」
田村麻呂「仕えてほしいのではないか。」
雄斗「しかし、今は慎重にすべき。いくら皇太弟さまであってもそれは。」
田村麻呂「そうだな。かわいそうだが今は保留にしておこう。」
そのまま月日は過ぎ去り、809年、平城天皇が病気のため突然譲位し、神野親王は嵯峨天皇として即位した。
皇太子は平城天皇の子で甥にあたる高岳親王となった。
ゼロ「俺のウルトラ念力が効いたぜ!」
田村麻呂「そ、そうか。」
雄斗と類洲は嵯峨天皇に請われて、政界に復帰した。
しかし、1年後、事件が起きた。
平城上皇が平城京に移り、復位しようとしたのである。
田村麻呂「上皇さまには困ったものだ。」
雄斗「ですな。」
そして、更に驚くべきことになった。
類洲「なんですと。都を平城京に戻せ?」
嵯峨天皇「そうじゃ。兄上は何を考えておるのだ。平安京を永遠の都にせよというのが父上の遺言なのに。」
田村麻呂「おそらくは仲成・薬子兄妹の入れ知恵かと思われまする。」
雄斗「最悪の事態に備えなければなるまい。」
嵯峨天皇「兄上があの2人に唆されて挙兵すると申すのか!?」
嵯峨天皇の一言に周囲の者はしばらく黙ってしまった。
しばらくして、田村麻呂が口を開いた。
田村麻呂「ここはあえて静観するというのはどうでしょうか。」
嵯峨天皇「静観して様子を見るのか?」
雄斗「左様にございます。」
田村麻呂「元はと言えば、事の発端は陛下が蔵人所を設置し、観察使を廃止して参議を復活させたことが上皇さまを刺激しました。」
雄斗「されど陛下は悪くございません。」
類洲「その通り!」
嵯峨天皇はため息をつくと、しばらくして命令を下した。
嵯峨天皇「余は兄上の様子を見て、あえて今は何もしないことに決めた!」
しかし、平城上皇は平城京への遷都の勅書を出したことに動揺が広がった。
そこで、嵯峨天皇は坂上田村麻呂・藤原冬嗣・紀田上らを造宮使に任命して、ひとまず勅書に従った。
一方、平城京にいる平城上皇たち
平城上皇「フハハハハ!お主らの言った通りじゃ。やはり神野は造営使を遣わすことに決めたそうじゃ。。」
薬子「何もかも、院さまの思い通りですわね。ホホホホホ。」
仲成「本当じゃのう。それもそなたのおかげよ。のう。」
仲成が側にいる男に声をかけた。
そう、その男こそ、今回の事件というより怪獣を出現させている黒幕ダークジャグラーである。
闇ジャグ「俺はウルトラマンゼロと共にいる輩が嫌いなだけだ。別に貴様らが好きで協力しているわけではない。」
仲成「ホホ。言うのう。ささ、もう1杯。」
闇ジャグ「ああ。」
平城上皇「このまま思い通りにいってくれると良いがのう。」
「薬子の変」、歴史上そう呼ばれる大事件がいよいよ始まろうとしていた。
(続く)
随分と長い尺になってしまいました。
申し訳ございません。