EDA日本支部の隊員に選ばれた雄斗と妻の美郷。
翌日には、雄斗の実父である雄樹に呼び出され、山梨県に戻ってきていた。
県庁の県知事執務室に入った2人を待ち構えていたのは、鞘に収まった刀を両手でうやうやしく持っていた雄樹だった。
雄樹「2人とお帰りなさい。さあ、こちらに掛けたまえ。」
雄斗「失礼します。」
美郷「失礼します。」
雄樹「2人に来てもらったのは他でもない。この刀を2人に預けようと思う。」
美郷「お義父さん、この刀って。」
雄樹「ああ、綿部家に代々伝わる初代和泉守兼定だ。」
雄斗「初代和泉守兼定!?。」
綿部家は平安時代末期に当時の甲斐国に根を下ろした清和源氏の
雄斗も幼い頃から、その刀に慣れ親しんでおり、綿部家の人間は成人すると綿部一族の目の前で、その刀を使って刀剣乱舞をするのだ。雄斗も7年前にそれをした。
これらの中心にある初代和泉守兼定を雄斗と美郷に託すというのだ。驚くのも無理はない。
雄斗「この大事な刀をどうして?」
雄樹「来たるべき時に必要になる。」
美郷「来たるべき時?」
雄樹「この刀には、状況を覆す力がある。しかし、長篠合戦では使われなかった。今、この未曾有の状況下だからこそ、この刀でベリアル来襲時に戦う時が来たのだ。雄斗、美郷さん、受け取ってくれるかね。」
2人「はい!」
その足で雄斗は一族に挨拶回りをしていた。雄斗の一族は、山梨県議会や山梨県内の市区町村議会に多数の議席を持っていた。山梨県議会16人、県内の市区町村議会20人という有力者だ。一方で衆議院1議席、参議院2議席と国政では存在感が乏しい。
「あれ?雄斗?」と言ったのは、雄斗の第2夫人である子二本春香だった。
春香「あー美郷ちゃんも一緒じゃーん。」
美郷「春香ちゃん、久しぶりー。」
基本的に華族や皇族は一夫多妻が原則で妻同士、仲が悪い場合が多い。しかし、雄斗の妻たちはどういうわけか仲が良いのだ。
久しぶりに再会した2人はさておき、雄斗たちが次に向かったのは、美郷の実家である甲府市長を代々務める瀬内子爵家だった。ちなみに瀬内家は綿部一族の支流であり、雄斗の師匠である七山米行自国党筆頭副幹事長は瀬内家の傍流だ。つまり、綿部家と七山家は遠縁の親戚というわけだ。
当主の瀬内義隆氏が出迎えてくれて、客間に通された2人。目にしたのは、銃だった。
雄斗「お義父さん、これは?」
義隆「これか?これはな甲府市内に拠点を置く銃製造会社に頼んでもらった特注品だ。」
美郷「特注品?」
義隆「ああ、そうだ。この銃はな、ただの銃ではない。光線銃だ。」
雄斗「しかし、光線銃ならEDAでもう貸与されましたが。」
義隆「知ってるよ。これは宇宙での戦いで道に迷った時にだけ使いなさい。それ以外の目的で使用することは禁ずる。」
美郷「わかった。」
こうして雄斗たちは自身の家族から贈り物をもらって、EDA日本支部基地帰路に着いた。
同じ頃、総監に任命された光一は墓参りをしていた。
両親をとある事件で亡くし、親戚の家を転々としていた光一。大学入学後、都内で暮らし始めた光一は、ある人物に出会った。
それは、今は自身が秘書を務める、当時は首相の宇部慎一公爵だった。
話は6年前の5月上旬に遡る。
街を歩いていた光一は、突然何者かに襲われそうになった。
?「まだ、あの時の生き残りがいたとはな。目撃した者は抹殺する。」
光一「い、生き残りって。」
?「今から死ぬお前には関係ないがな。」
その時、銃声が響き、「犯人確保!」の声が。もうダメかと目を開けた光一が目にしたのは、自分を襲おうとした男が永田町風情の人間数名に麻酔銃を撃たれていたのだった。
そのうちの1人が光一に近づいてきた。
光一「あの、助けてくれてありがとうございます。」
男「礼には及ばんよ。光一君。」
光一「何故、僕の名前を?それにあなたはどなたですか?」
男「え?私を知らん?この自国党政調会長の宇部慎一を。」
光一「あ、そうなんですか?ところで、どうして僕の名前を知っているのですか?。」
宇部「それは、長くなるぞ。私は君のご両親と長い付き合いがあった。だが、あの事件で君のご両親は亡くなり、君は1人生き残った。」
光一「そんなことが…」
宇部「君を襲おうとした男はあの事件の最後の指名手配犯だった。」
光一「そうだったのですね。」
宇部「あの人のご子息である君がどうしているか、ずっと気になっていた。でも良かったよ。今日会えた。」
光一「お会いできて光栄です。」
宇部「私もだ。ところで、光一君、私の元で働く気はないかね。」
光一「はい!喜んで!」
これが政治家秘書四竃光一の軌跡であった。
それから6年の月日が経っていた。
その時のことを思い出していた光一は宇部の到着を墓参りの場で待っていた。
宇部「いやー待たせてすまないね。光一君、これを渡したかったのだよ。」
光一「これは?」
宇部「未確認生物探知機だ。これを君に渡したい。」
光一「ありがとうございます。ん?製造者は四竈公造?」
宇部「君のご両親が作った機械だ。君のご両親は地球外生命体研究のスペシャリストでね、早くから宇宙人による地球侵略を予言していた。だが、ある日…」
〜宇部回想〜
公造「よし!この機器は完成した。これで地球外生命体がどこにいるのかわかるはずだ。」
その時、公造の妻で光一の母である美紀子の声がした。
美紀子「とにかくですね、ここには来ないで下さいって何回言ったらわかるんですか?」
?「うるせえ!あんたらがな、おかしな機械を完成させて、それが原因で宇宙人が地球に攻め込んできたら、どう責任を取ってくれるんだ!
「そうだ!そうだ!」
公造「あんたら、うるさいよ!俺はな、政府からの許可を取って製造してるんだ!文句があるかよ!」
?「大有りだよ!者どもやっちまえ!」
公造「待ってくれ!妻と子には手を出さないでくれ!」
美紀子は家の奥にいた光一に未確認生物探知機を渡して言った。
美紀子「光一、よく聞いて、この機械を自転車に積んでおくから早く逃げて、それから、この近くに宇部慎一っていうお父さんとお母さんの友達がいるの。その人にこの機械を預けなさい。いい?」
光一「あの人たちは?」
美紀子「お父さんがなんとかしてくれる。だからあなただけでも生き延びて!」
光一「わかった。」
そして、光一は、宇部の自宅を訪れた。たまたま家にいた宇部は事情を察し、例の機器を預かり、光一の自宅に直行した。
しかし、宇部の目に飛び込んできたのは、血だらけになり、瀕死寸前の公造と美紀子だった。
宇部「おい、大丈夫か!公造!美紀子!今助けて呼ぶからな!」
公造「…宇部…先生…私は…もう…ダメ…です…」
宇部「何を言っているんだ!気を確かに持て!」
美紀子「…先生…光一を…息子を…よろしく…お願いします…」
宇部「わかった。ん?光一君、来ちゃだめだ!」
光一「え?父さん、母さん?うわーん。」
病院に運ばれた公造と美紀子はすぐに亡くなり、暴行を加えた運動家30名は1人を残して逮捕された。
宇部「光一君、今日起きたことは忘れて、これからの人生を歩みなさい。」
光一「はい…」
その後、大学生となるまでの12年間、孤児院で過ごしてきた光一は、大学生となると同時に東京で一人暮らしを始め、それからすぐの時期に襲撃事件に巻き込まれ、宇部に助けられたのだった。
光一「そんなことがあったのですね。」
宇部「ああ、暗示の力で君はその時のことを忘れた。私との家族ぐるみでの付き合いもね。」
光一「ところで、僕の両親を殺した運動家たちはどうなったのですか?」
宇部「彼らは無期懲役になったよ。」
光一「そうなんですね。」
宇部「今回のベリアル襲来予告は、あの機械とは何の関係もない。それが世間一般の考えだ。だが、彼らは獄中で、未確認生物探知機がベリアルを引き寄せたと声明している。そういう過激思考の人たちがいるのも事実だ。」
光一「でも、未確認生物探知機は全くの無意味ではないと思います。宇宙人が特定の人物に化けたりしたら、すぐに見破れると思います。」
宇部「確かにな。だが、ガイさんとジャグラー君の近くには置かない方が良いな。彼らの近くに置くと反応音がうるさいだろ。」
光一「ですよねえ。」
未確認生物探知機が威力を発揮するのはそう遠くない未来であるのをこの2人が知るのも無理はない。
各隊員や幹部が各々の親族から貰った物は次の通り
座野正順 携帯型レーザー機
富畑憲三郎 非常用持ち出し袋
白本李莉子 パワードスーツ
神津勝子 石化銃
松屋加奈 倍増光線銃
矢崎晴子 スピード靴
小鞠海子 防光線チョッキ
井伊隆信 筋肉増強スーツ
大中臣俊三 神鏡
ということになった。
そして、ベリアル来襲が近づいてきていた。
〈次回予告〉
遂に怪獣が世界各地へと侵攻を開始する。
最後に怪獣が現れるのは日本の東京。
絶体絶命になりかけた雄斗たちの前に現れたのは、光の巨人ウルトラマンゼロ!
第4話「光との対面」
次回もお楽しみに!
和泉守兼定についての詳細は、ネットとかで調べると詳しく載っています。
綿部家は現実世界の武田家をオマージュしています。