この作品はオリジナルモビルスーツ、オリジナルキャラクター、オリジナル設定など多数含みます。
また死ぬタイミングが変わるキャラも出ます。
【追記】
原作と違う設定
Nジャマー → Eジャマー。
核エンジンじゃなくてエーテルリアクターってものに変えてます。
核=エーテルとでも思ってもらえれば、幸いです。
設定語り
ちょろっとオリジナルの設定のお話をすると。
世界再編大戦が始まった原因がエーテルリアクター。
超都合のいいエネルギーの発明されたことで既得権益がぶち壊されたので戦争。
エーテルリアクターはクリアなエネルギーですって言われてたけど、
通信関係の阻害が出るってそこでわかって、
ミサイルぶっぱされた地区は通信繋がりにくいところに、
追い打ちでEジャマーで通信がもっと繋がりにくくなっていった。という世界。
ザフト軍所属ナスカ級高速艦ヴェサリウス。そのブリーフィングルームに人が集まっていた。
モニターの前に立って話をするのは白い仮面の男。ラウ・ル・クルーゼだ。
その部屋には、緑、白、黒の他に、赤い軍服の少年たちが五人いた。
「――以上が作戦概要だ」
「中立国を攻撃、でありますか?」
その作戦の内容を聞いたアスラン・ザラは驚きの声をあげた。
彼だけではない。話を聞いていた仲間たちは一様に驚愕していた。
「何が中立国だ! やはりナチュラル共は滅ぼすべきだな!」
ひとりの少年が怒りを顕にする。銀髪に青い双眸の少年は強い言葉を続けた。
それに同意する声があがる。
「ふっ飛ばしてやりたいな」
褐色の肌をした金髪の少年だ。
「イザーク。ディアッカ。君たちの気持ちは嬉しい」
「クルーゼ隊長」
白い仮面を被ったクルーゼは彼らの気持ちを汲む。
「だが、間違っても民間人に怒りを向けるな。それでは野蛮なナチュラル共と変わらないからな。何より、我々は軍人だ」
不敵に笑う彼に、アスランたちはナチュラルに対する皮肉だと受け取る。
彼らの部隊の隊長は「民間人に被害を出さないように」と繰り返し付け加えた。
それが自分たちコーディネイターなら出来るとも鼓舞する。
「そのため、今回の作戦ではジンの武装は標準装備となる」
アデスが補足。それを聞いていたパイロットたちは頷くと「やってみせるさ」と言ってみせた。
「侵攻するモビルスーツ部隊の指揮はミゲル。お前に任せる」
「了解」
金髪の男が自信満々に頷く。
「繰り返しになるが、今回の作戦は敵の新型兵器の奪取が最優先だ。できなければ破壊だ。――他に今回の作戦についての質問は?」とクルーゼが促す。
イザークは再び口を開く。
「本当にモビルスーツは五機だけなのか?」
「スパイの話が本当ならば、な。作戦に予定外はつきものだ。臨機応変に対応してもらいたい。それが君たち赤服なら、私は出来ると信じている」
「できればかっこいいのがいいなぁ」とオレンジの頭髪の少年が口にする。
アデスは「悪いが選んでいる暇はない」と淡々と言う。
「時間との勝負にもなる。厳しい作戦だが、同胞たちを守るためだ」とクルーゼ。
そして彼は最後に「ザフトのために」と締めくくると、一同もそれを復唱した。
「陸戦装備は装着したか?」
緑と黒の装甲服を身に纏った男性がアスランたちに声をかける。
彼らもまた赤と白の装甲服をノーマルスーツの上から装着していた。
「ナチュラル共が作ったコックピットに、このまま入れると良いんだけどね」とディアッカが皮肉交じりに言う。
イザークは「引っかかるだろうな」と装着具合を確認。手を開いたり握ったりして見せる。
「その場合は、俺たちがお前たちの装備を回収してやる」と緑の装甲服の男は笑う。
「ジンだったら、そのまま乗れるタイプもあるのにな」
「なら、ラスティ。お前はジンのままでいいぜ」とディアッカ。
「冗談。俺もミゲルみたいに専用機持ちたいので、Aタイプでもいいぜ」
「無理しなくていいのに」
「ディアッカこそ」
「おっと、ならどっちが早く奪えるか勝負だな。こりゃあ」
「ああ、いいぜ。受けて立つ」
二人のじゃれ合いにイザークは溜息をつく。
「作戦を台無しにするなよ。おい、ニコル急げよ。作戦時間まで後少しだ」
緑髪の少年に声をかけた「もうすぐ終わります」と各部を確認していく。
「お待たせしました」
そう言うとニコルは装甲服の装着を済ませて立ち上がる。
「よし、坊主共行くぞ」
「ガキ扱いするな。赤服だぞ」
「俺より年下なら坊主だ」
イザークは男に噛み付くが、本気で怒っているわけではない。
相手が冗談で言っていると理解しているからだ。そんな二人を見ながら四人は笑う。
「っしゃ、じゃあいっちょやりますか」
「さっきの話、忘れるなよディアッカ」
「あたぼうよ」
ディアッカとラスティーは軽く拳をぶつけ合う。
「アスラン、行きますよ」
アスランは最後にロッカーの扉を開けて、貼り付けてある女性の写真に向かって一言。
「行ってきます母上」
潜入は滞りなく進む。
「ここからは二手に分かれる。一度全員の顔を確認したい」
そう言い終えると全員ゴーグル上の装甲を上へとずらす。そこから覗くのは、オレンジとパープルのバイザー。
緑の装甲服はオレンジ。赤の装甲服はパープルの色をしていた。全員が首元をいじると色が消え、透明となり顔が鮮明になった。
陸戦部隊の隊長は全員の顔を見回す。
「生きて帰るぞ。繰り返しになるが、我々はコーディネイターだ。そして軍人だ。無闇に民間人を巻き込むな」
了解の返事を聞くと、男は続ける。
「イザークとディアッカは俺達と一緒に来い。スパイの連中と合流する。アスランたちの班は敵母艦のある工場を爆弾設置だ」
「こちらの人数が少なくありませんか?」とニコルが首をかしげる。
「スパイの連中もきな臭い。地球軍の罠の可能性と」
「と?」イザークが先を促す。
「俺があんまりスパイの連中を信用していない」
イザークは「だがコーディネイターなのだろう?」と聞く。
「坊主覚えておけ、人の数だけ思惑があるってもんだ」
「ガキ扱いするな。それくらいわかっている」
「――なら覚えておけ。戦場では何が起こるかわからないんだ」
「それも知っている」
「そうだな。お前達は赤服だ。頼りにしてるぞ坊主」
イザークが何か言うより先に、アスランが口を開いた。
「では、作戦行動に入ります」
「おう。そっちの指揮は任せたぞアスラン」
「ふん! 指揮を任せられたからといって、いい気になるなよアスラン。次は俺だ」
「わかっている」
イザークは顔をしかめるが、すぐに柔らかいものとする。
「待ってるぞ」
「ああ。そっちは頼んだ」
五人は腕をぶつけ合い、互いを鼓舞する。それを見た他の面々も真似をして別れていく。
「そういえば、バジルール少尉。新型のモビルアーマーも開発しているって聞きましたが」
「初耳だな。Gだけと聞いていた。ノイマン曹長はどこで?」
爆弾設置に動いていく中、アスランたちは敵の将兵の話を盗み聞く。
アスランはハンドサインで、ラスティとニコル。それと他の面々に素早く指示を出す。
将兵たちがいなくなると、彼らはすぐに相談をした。
「どう考えますノムラさん」とアスラン
「情報にないな。多少ムラが出るが爆弾の設置を急がせて、隊長と合流を急ぐとしよう」
アスランたちは爆弾を設置し終えると、素早く来た道を戻っていく。
「しっかし、女ねぇ」
ラスティは「呑気だな」と話を続ける。
新造の戦艦に、秘密兵器の開発をしている場所だ。ならば厳格だろうと考えていたが、敵の軍人は女の話をしていた。
ラスティは呆れるどころか、どこか共感してしまう。
「確かにうちの部隊も、女っ気少ないよな」
「そういう話はディアッカとしてくださいよ」
ニコルは困ったように笑う。アスランも同意見だったが、他の面々は違ったようだ。
誰が可愛いだの、ガモフにいる整備兵に女性がいるだので、大いに話は盛り上がった。
爆弾が起動すれば、そこから先はこんな馬鹿な会話はできない。アスランはノムラが何も言わないのを確認して、しばらくそのままにした。
「アスランはこういう時、話に入ってこないよな」とラスティ。
「アスランにはラクス様がいますし」
「かー、お高く止まって」
「親同士が決めたことだ」とアスランは自嘲気味に言う。
「でも、足繁く通っているって聞きましたけど? なんでも自作ロボットをプレゼントしたとか」
ニコルの指摘にアスランは渋い顔となる。ゴーグル型の装甲が顔を覆っているとはいえ、急に無言になった彼に、部隊の面々は小さく笑い出す。
「微笑ましいことで」とノムラ。
「あーあ。俺もアイドルと結婚したーい」
「ラスティ。さすがにそれは夢見すぎでは?」
ニコルに言われた彼は「えーでも」と言った後にしばし考える素振りとなった。
「ニコルはあれか? お姉ちゃんみたいなのが好みだったりするの?」
「あ、姉は関係ないでしょう! あ、でも気の強い人は好きです」
「やっぱ、お前の姉ちゃんじゃねぇか」
「で、でも姉は関係ありません」
「そうだよな。じゃあ今度俺に姉ちゃん紹介してよ。アイドル諦めるから。その代わりエースパイロットの方と――」
「じゃあってなんですか。僕は認めませんよ!」
アスランは内心驚く。ニコルの頑なな一面を見たのは初めてだった。
ラスティも同様だったのかしばらくポカンとした後、笑い出す。
「姉ちゃん大事にしろよ」
「言われなくても。むしろ心配されるばかりで」
「だろうな」
ノムラが口を開く。
「そろそろ合流地点だ。静かに――」
銃声が響く。
それと同時に会話は終わり、アスランは素早く指示を出す。
ラスティとニコルが先行し、通路抜けると彼らはハンドサインをした後、左右に飛ぶ。
直後、爆煙。煙の中を手榴弾が無重力をふわふわと浮いてアスランたちへと迫る。
それを緑の装甲服を来た兵士が手に取り素早く遠くへと投げ飛ばす。予めハンドサインで伝えられていたからこそ、彼らは冷静に対応できたのだ。
爆発と同時にアスランたちは突撃した。
銃撃戦が行われたが、ほぼほぼ散発的なものだった。コーディネイターたちは、その身体能力を遺憾なく発揮し、バッタのように、あるいはうさぎのように飛び跳ねて攻撃。
瞬く間に鎮圧した。
戦闘が終わるとあたりは残骸と、人だったものが浮いていた。
「何があったんですか?」
「スパイの連中がヘマしやがったんだよ」
「俺たちじゃねぇ! あいつだ! そ、それにまだ兵士はこんなにいるじゃねぇか!」
イザークたちの班はスパイと合流した。しかし、そこを襲われたのだ。
予め用心していたことが幸いし、負傷者だけで済んでいるが、戦力の大幅なダウンは免れない。
陸戦部隊の隊長はスパイたちに冷たい視線を向けた。
「ノムラ。何人か連れて、負傷者を連れて帰れ」
「了解」
ひとりの男が咳き込む。彼の周囲には巨大な赤い血溜まり。
「よお班長。お目覚めかい? よくも俺様に泥を塗りつけてくれたな。落とし前はつけさせてもらうぜ」
「オリバー。てめぇ……」
「あばよ。くそったれなジジィ」
オリバーは心底忌々しげに銃口を向けた。
「俺を殺すのか?」
「当たり前だ!」
「そうかい。あの二人には悪いことしちまったな」
「なんのことだ?」
「まあせいぜい後悔しなってことだ」
班長は「孫に会いたかったなぁ」と言い残すと、乾いた銃声。班長と呼ばれた男は二度と動かなくなった。
「これで安全だ。俺たちをプラントに連れて行ってくれ」
そこには総勢四人のコーディネイター。彼らは中立国にいた人間だが、昨今の世界情勢を受けてプラントに亡命を考えていた。
「――まだお前たちにはやってもらうことがある」
「そろそろ時間だな」
クルーゼが言うとブリッジに緊張が走る。オペレータたちは口早に状況を報告していく。
「機関出力最大」
アデスが言うとオペレータのひとりが復唱する。
「Eジャマー起動」
「Eジャマー起動します」
「微速前進」
「微速前進」
「続いてジンの発進準備急げ。装備は標準だ。コロニーを傷つけるなよ」
ヘリオポリスイレブンからはすぐに警告と、状況報告を求める通信が入るものの、Eジャマーの効果からか、通信は途絶する。
「以降ガモフと僚機にはレーザー通信と光通信による交信とする」
程なくしてヘリオポリスイレブン所属のミストラルが多数出撃。次いで、先程入港した地球軍の艦とモビルアーマーが三機出てくる。
「メビウスゼロいち。熱源さらに増」
ヴェサリウスとガモフはある程度の距離まで来ると、艦砲射撃で敵艦を集中砲撃した。
出てきた地球軍と入れ違いにミゲルたちのジンが潜入。そしてガモフ所属のジンたちは、出てきた戦力の足止めを開始する。
クルーゼ隊の作戦は次の通りだ。
まずヴェサリウスとガモフがヘリオポリスイレブンへと攻撃。次いで敵の新造艦を工廠ごと爆破。
攻撃されたヘリオポリスイレブンと地球軍が混乱したところで、ミゲルたちを送り込み、敵の新型モビルスーツの奪取を行うというものだった。
ミストラルなどはジンの相手にならず、瞬く間にその数を減らしていった。
地球軍の主力兵器であるメビウスも同様に、一機のジンに翻弄されたところ別の機体が援護して撃墜。
残った一機もモビルスーツの旋回性能に追従できず、すれ違いざまに重斬刀で真っ二つとなった。
地球軍の艦はというと、巣穴から出たばかりのため航路は容易に予想がたち、そこへ集中的に艦砲射撃を浴びせるだけで終わった。程なくして蜂の巣となり宇宙の塵となる。
「コロニーの損傷は?」とクルーゼは確認を急がせる。
彼なりに大義名分はあっても、後の面倒事は極力減らしたいと考えていた。
「認められません」
「まあ、この後どちらにせよ敵の工廠地区は吹き飛ばすのだがな」
クルーゼは自嘲気味に笑うも、それは一瞬で終わる。
溜息をつくと、口元大きく歪めた。程なくしてジンの被弾報告が来たのだ。
仮面の男は内心「またあの男か」と笑う。
「運命という言葉を、信じたくなる時があるな」
「はい?」とアデスは振り返った。
「なんでもない。厄介な敵がいるな。私も出よう」
「隊長が、でありますか?」
アデスは驚くが、すぐに格納庫へと通信。隊長機の準備を急がせた。
「アデス。爆破予定は?」
「そろそろです」
程なくしてコロニーの一部が真っ赤に光る。音は伝わらないが、小さな破片などがヴェサリウスを時折叩いた。
「隕石でもぶつかった?」
「デブリ回収する時にそんなこと聞いてないよ」
サイの言葉にトールは「知らない」と口にする。ミリアリアは不安気に彼の手を掴んだ。
「と、とにかく、こここから出ないか?」
カズィの提案に誰も反対しなかった。
おかしい、異常事態だ。宇宙にあるコロニーで揺れなど、尋常ではない。
誰もがなんだろうと思っていると、さらに振動が続く。
「ねえ、これ爆発の音?」
「なんでコロニーの中で?」
「隕石じゃないの?」
誰もが首を傾げた。何が起きているのかわからないといった様子。ただひとりだけ除いて。
帽子を深く被った人物は何かに気づくと、慌てて研究室を飛び出していく。
それに続くようにして、キラたちも研究室を後にした。
「キラ?」と呼び止めるミリアリア。
彼は非常口とは別の方向、帽子を被った人物を追いかけ始めたのだ。
「先に行ってて、避難場所知らないのかも」
「早く来てね」
「わかった」
後にキラは思う。この時彼女を追いかけていなければ、色々と変わったのかもしれない、と。
「ナチュラル共の慌てふためく顔が浮かぶな」
イザークは眼下に運ばれる兵器たちを見て小さく笑う。
「もう遅いってのにな」
今、まさに地球軍は巣穴を突かれて、自分たちの秘密兵器を運び出していた。
ジンとは違うモビルスーツ。スパイの話によればジンを軽く凌ぐ性能の兵器だ。
ザフトのお家芸であるモビルスーツを真似するどころか、強いのを作った。それが気に入らないとイザーク。
「ラスティ忘れんなよ」
「吠え面をかかしてやるディアッカ」
ニコルは素早く事前の報告と違うことを指摘。
「数が少なくありませんか?」
「新型のモビルアーマーも見当たらないな」
「まだ格納庫にあるのかもしれない」
「作戦の最終段階だ。気合い入れろ」
陸戦部隊の隊長が言うと、全員は素早く動いた。
友軍のジンも到着したことで接敵は比較的に容易で、瞬く間に地球軍の兵士たちを排除していった。
彼らはなるべく民間人を巻き込まないように戦闘したが、地球軍は違ったようだ。奇襲されたためか、混乱しており、放った砲弾などが民間人を吹き飛ばしている。
「民間人すら吹き飛ばすのか! ナチュラルってのは!」
イザークは怒りをぶつけるように叫ぶ。
「敵味方の区別もついてないんじゃないか?」
ディアッカの視線の先では地球軍同士で撃ち合っていた。
「急いだほうがいいな」とアスラン。
誰よりも早く、イザークは地球軍の新型モビルスーツのコックピットへと潜り込む。
案の定装甲服のままだと、座るには支障はあったが、中は広かった。そのため外した装甲部分をそのままコックピットに置いて持ち帰ることとする。
「なんだこのOS……」
ひと目見て、とても動かせるような内容ではなかった。
イザークは舌打ちすると、自爆コードを解除しつつ、最低限動くようにOSの修正を始める。その事実を仲間に報告。
「ディアッカ、早くしろ」とラスティはディアッカの援護していた。
「爆弾投げ込まれないように頼むぜ」
すでに勝負はどうでもいいのか、彼らはやるべきことを進めていく。
「オーケー。大体把握した」
「ラスティこちらは大丈夫です」
「まだ敵兵がいるんだよ。気にするなニコル」
ディアッカに次いでニコルが地球軍のモビルスーツに乗り込む。
イザークはOSの応急処置を済ませると、外の状況を素早く判断。
「ディアッカ、ニコル。急げよ。アスランたちに負担がかかっている」
二人は短く「了解」と言うとキーボードを操作していく。
「後、二機はどこにあるのでしょうか?」
「ちっ、援護するぞ」
三機のモビルスーツが立ち上がったところで、別の爆炎があがる。
ひとつの機影が煙を突き破って現れた。
「あれは、メビウスゼロってやつか?」
「いや、よく見ろ。データと違う」
メビウスゼロと呼ばれる機体に酷似しているが、オリジナルと比べ、全体的に鋭角化していた。
機体の配色も黒と白であり、機首の下についている砲門の数も二つ。胴体部の下部にも大きな兵装が二つ。
イザークは資料で見たのより、攻撃的なイメージを抱いた。
『三人は行ってくれ』
イザークが判断するより早く、アスランが指示を出す。
「――そうだな。アスラン、ラスティ。しくじるなよ」
イザークは去り際に、機体の武装を使って、地上の地球軍へと攻撃。
機体の頭部から発射された攻撃は、地上の武装車輌や兵士たちを瞬く間に塵芥にした。
三機のMSと二機のジンがコロニーの空へと消えていく。
それを新型のモビルアーマーが追跡するが、一機のジンがそれを阻んだ。
「ミゲルが残ったか。急ぐぞ」
陸戦部隊の隊長の言葉に、アスランとラスティは首肯する。
「おい、アスラン。倉庫から出てきてるの含めると後三機ないか?」
「なんだって?!」
キラの目の前の少女は、自身の父親に対して罵詈雑言を叫んだ。
彼らの眼下には見たこともないモビルスーツが二機。いや、三機。一機は工場から持ち運び途中だったのか、機体の半分が外に出ていた。
叫んだ声に反応して、銃が向けられる。キラはとっさに少女を引っ張る。
彼の目の前にあった手すりから火花が散る。寸前のところで銃弾から少女を守った。
しかし、少女は泣き出してしまう。キラは必死に少女を励ましながら避難シェルターへと急いだ。
背後では銃声と爆発音。
(嘘だ。こんなの嘘だ)
キラも叫びたい衝動を抑えて必死に逃げた。
銃声が聞こえない場所まで来ると、避難シェルターの入口に到着する。
端末を操作して、中に呼びかけるが、中からは「二人も入れない」と断られてしまう。
「ひとりだけでも、女の子なんです」
「わ、わかった。君は?」
「別のシェルターを使います」
「すまん」
それまで呆然としていた少女が急に我に返る。
「ま、待て。私は」
「良いから入れ。僕は別の避難シェルターに行く」
キラは少女を無理矢理押し込むと、周囲を見渡す。
(戦争しているんだ……)
彼は自身の臓腑が、零れ落ちていくような錯覚がした。
血の気が引く。だが、すぐに冷静になると周囲を見渡す。
目につく避難シェルターは満員であり、来た道を戻るしかないと告げていた。
「来た道を戻るしかないのか」
彼は戻る道中「どうして」と叫びたくなった。
ただ暮らしていただけなのに、なぜ地球とプラントの戦争に巻き込まれなくてはならないのか。
今も下では、銃撃戦はまだ続いていた。
「そこの君! どうして戻ってきたの?」
叫び声がキラの耳朶を突き刺す。声の方へと向くと、下で女性が銃を手に戦っていた。
「満員でした」
「どうする気?」
「ぼ、僕は、大丈夫です。奥のブロックに向かおうと思います」
「入口だけしかないわ。あそこは」
キラは一瞬思考が止まる。それを引き戻したのは、一発の銃声。
見れば半分出ていた機体のコックピットに赤白の装甲服を来た人物が潜り込んでいた。
それを援護するように赤と緑の二人が立ちふさがる。二人は驚くべく速さで、その場にいる面々を、殺していった。
「ラスティ急げ!」と陸戦隊の隊長は叫ぶ。
『了解! ってひでぇOSだなおい……』
「アスラン援護だ!」
「了解」
時間がないと悟った女性は口を開く。
「降りてこい!」
キラはその言葉に従って、その場から飛び降りる。高さは十メートルを超えているのだが、彼は難なく着地。
それもモビルスーツの上という、不安定な場所にだ。
女性は驚いたものの、すぐに銃撃を再開。
気炎の雄叫びがキラたちを叩いた。緑の装甲服を来た男が突撃してきたのだ。
女性は咄嗟に銃弾を浴びせるが、装甲に阻まれて弾かれていく。
「やめろぉ!」
キラは咄嗟に跳躍して蹴りを見舞う。
無我夢中だった。自分も殺される気がして、体が動いたのである。
だが、相手は冷静だ。食らう寸前に後ろへと飛び跳ね、威力を殺す。
そして銃口をキラに向け――。
「だ、駄目! その子は民間人なの!」
「民間人?!」
女性の悲痛な叫びに相手は動きが鈍る。
「隊長! ロケットランチャーです!」
「何?!」
アスランが、緑の装甲服の男を援護しようとして、咄嗟に突き飛ばされる。直後に爆発。
三人は吹き飛ばされる。
「くそっ!」
アスランの頭部を守る装甲部分が消失していた。
ロケットランチャーの爆風で吹き飛んだのだ。彼は素早く武装を確認するが、どれも爆風で使い物にならなくなっていた。
装甲服と武装の損傷で済んでいるが、相手はそうではない。余波で負傷したのか女性も肩から血を流していた。
アスランは舌打ちすると、装甲服をパージ。ナイフを抜き放つ。そして女性士官へと飛びかかり――。
間に飛び込んだ人物を見て動きが止まる。
「キラ……?」
「え? アスラン?」
その瞬間。格納庫から半分だけ出ていた機体が動き出す。
『二人共無事か?』
上体を起こす際、周囲の建物を破壊していく。
そして先程のロケットランチャーや、その前から起きていた戦闘の余波で、火が燃え広がっていった。
キラはその時、音を立てていくように、平和が崩れていくのを感じた。
小規模から、中規模の爆発が発生する。
見つめ合う二人の少年。別れたあの日の光景を二人は思い出す。
女性が目を覚ますと、呻きながら銃を構える。
アスランはそれに気づくと、跳躍して銃弾を躱していく。
「あっ!」
キラは手を伸ばそうとしたが、それを女性が阻む。彼を無理矢理コックピットに押し込むと、自分も中に乗り込んだ。
炎が工場全体に広がっていく。アスランは炎の海の中を進み、残った一機の機体へと乗り込む。
キラと女性が乗り込んだ機体が動き出す。
機体を拘束していた、あるいは保護していたハンガーを壊わし、繋がれていたケーブルたちが外れ、徐々に機体が動き出す。
燃え盛る炎の中、二機のモビルスーツが立ち上がった。
~続く~
ラスティにもガンダムを与えて、アスランの前で死んでもらう。絶対にだ。
評価や登録はお任せしますので、次のお話も見ていただければ嬉しいです。
【追記】
次の話は2021年10月16日土曜18時位目安に更新します。