勇者としての力を身に纏った千景達は勇者になれている事に感動を覚えている数人がいた。
「これぞ、勇者って感じだな!」
「合同訓練はまだしてないけどね~」
「まぁ、しゃあないやろ。敵が早よに来たしな!それよか勇者としての力を振るいたいわ!」
「少し落ち着けよ凉哉」
「あはは(汗)」
(私がしっかりしないと!!)
各人の気持ちと一緒に大橋へと向かう為に行動を開始する勇者達である。
「おっ先!」
「待てや、銀!」
「何をやってるの貴方達は!?」
銀と凉哉は真っ先に飛び出し、須美も2人を叱りながら後を追って先に向かう。
「こんなんでいいんですかね?」
「行くぞ」
「カゲさんはマイペースだね~」
その後にも千景と一輝に園子がそこまで離れない距離で付いていく。
「それにしても根っこしかないんやな」
「あぁ~それは思ったな」
「もう!神樹様の神聖な結界に何を言ってるの!!」
「・・・・・」
「千景は速いな」
「カゲさんらしいね~」
そんなやり取りをしながらも目的の場所の大橋を通って、大橋の中間地点に到着していた。
「ここまで1分も経たずに来れるとはな」
「普段から使いたい気持ちになるな」
「貴方達は何を言っているの!」
千景と凉哉の発言に真面目な須美は怒る。
「鷲尾がキレた!」
「逃げるで千景!」
「そうだな」
「あ!?待ちなさい!」
その行動を見ていた残りの勇者メンバーは少し笑っていた。
「何やってるんだか」
「でも~いい具合に緊張も解れてるよ~」
「そうですね」
そうこう話している内に目前に迫ってきた敵であるアクエリアス・バーテックスを勇者達は認識する。
「こっからはおふざけは無しやな」
「気を抜いたら速攻で負けるな」
「負けたら死確定ですけどね」
千景達、男性側の勇者たちは敵たるバーテックスをみて気合いを入れて、少しばかり残っていた緊張した雰囲気がかき消えていた。
「大きいね」
「やってやるか!!」
「っ!?」
須美達、女性側の勇者たちもバーテックスに気を更に引き締めた。
すると、アクエリアス・バーテックスの真下から樹海の根が少しずつ朽ちていく。
「浸蝕!?」
「あれが拡大すればする程、現実での被害が拡大します!」
敵の浸蝕に須美と一輝がそれぞれに言う。
「なら、一番槍は貰うで!」
「私も行くぞ!」
凉哉と銀が真っ先にアクエリアス・バーテックスに突き進んだ。
「全く、あの2人は……」
「俺達も行くぞ。一輝、園子」
「了~解」
千景、一輝、園子も凉哉と銀に続いて前に出る。
「しっかりしないと!!」
須美は前に出ず、その場から弓による遠距離攻撃の準備をする。
勇者達の接近に反応したのか、アクエリアス・バーテックスは頭にあるポコポコと出ている水球から小さな水の塊を放出してきた。
「攻撃か!!」
「おらぁぁ!」
「躱せば問題ないやろ!」
「くっ!?」
「わわわ!」
その攻撃に千景達は、それぞれ回避行動や迎撃をし躱していくが物量が多すぎる為に身の危険が迫る位置まで対処が難しくなっていく。
「がっ!?」
最初に銀の両手に当たってしまい、両手が水球に拘束されてしまった。
「銀!」
「僕が行きます!」
「頼むで!」
一輝が銀の所に向かうが銀は自身の腕を振り上げて、
「だらぁぁぁぁ!!」
無理矢理水球を破壊した。
「えぇ!?」
「ほえ~」
その光景に一輝と園子がそれぞれ声を上げた。
そして敵の本丸に距離を詰めていく千景と凉哉はアクエリアス・バーテックスから放たれた水のジェット噴射に緊急回避をするが、身体に少し当たってしまう。
「がっ!?」
「ぐへっ!?」
威力が強すぎる為か、少し身体にかすった程度で少し後方にいた銀達の所に吹き飛ばされてしまった。
「千景!凉哉!」
「大丈夫か!?」
「厄介だね」
吹き飛ばされ身体が傷付いている2人を心配し一輝は反射的に声が出る。同じように銀と園子からも心配する空気を感じた。
「っ!?」
須美は前に出ている皆が少しずつ傷付いているのを見て、皆を助けるために弓を引き絞りエネルギーを溜めた一矢をバーテックスに放つ。
「南無八幡大菩薩!」
須美の放った矢はそのままバーテックスに直撃する軌道であった。だが、バーテックスはいくつもの水球を出して矢にぶつけ威力を全て途中で相殺した。
「っ!!やるやないか!」
「くそが!」
「距離を一気に詰めるしかなさそうですね!」
凉哉、千景、一輝は迫りくる小型の水球を躱し迎撃しながら近付こうとするが、迫りくる水球の数が多すぎて中々近付けない現状だった。
「がば!!」
「っぐぶ!!」
「凉哉!千景!」
「この野郎!」
「早く助けないと!」
「!!」
ついに避けきれずに千景と凉哉は小型の水球が顔に直撃し2人の顔には水球がその場に残り続けて呼吸が出来なくなってしまった。
2人を心配して一輝と銀と園子は2人に近付く。須美は動揺してしまい動くのが遅れる。
(こんなのどうすればいいの!?)
千景と凉哉は張り付いた水球を外そうとするが、水の弾力性により掴めはするが一向に剥がれない現状になっていた。
「グガ…ガァ!」
千景を自身の武器の大鎌を巧みに使い顔に張り付いていた水球を破壊した。
「千景、無事か!?」
「ハァ‥ハァ……俺は無事だ!」
「そうか」
「俺よりも凉哉の方は!?」
それぞれの近さにより銀は千景の方に来て、一輝と園子は凉哉の方に来ていた。
「弾力が凄くて!」
「剥がせない!」
一輝と園子は凉哉の顔に張り付いている水球を剥がそうとしているが3人係りでも剥がせない。
「ググッ!!」
その時、凉哉がクワッ!と目を見開いた。
「え?」
「あれ?」
一輝と園子はそれぞれ声を出した。
「ゴクゴクゴク」
凉哉が顔に張り付いている水を飲み始めた。そのおかげなのか水は段々と小さくなっていく。
「飲んでるのか?」
「飲んでるな」
千景と銀はいきなりの事で思考レベルが落ちていた。
(えぇ)( ゚д゚)ポカーン
須美はポカーンとした表情で凉哉を見てしまう。
「ゴクゴクゴク」
「リョーさん大丈夫?」
「・・・・・」
園子は心配して声をかけるが、一輝は須美よりも思考が停止してしまう。
「ぷはー!」
「飲みきりやがった」
「身体は大丈夫なのか!?」
「水を飲み干すなんて勇者である
顔に張り付いた水を凉哉は全て飲み干して力強く言うが気持ち悪そうに吐きかけていた。
「気持ち悪そうだな」
「リョーさんお味はどうだった?」
「最初はサイダーやったのに途中で烏龍茶に変化して最後にはめんつゆに変わりやがった」
「うぇぇ不味そう」
「不味そうじゃなくて不味いだろうな」
「凉哉、お腹は壊してませんか!?」
「飲みたいとは思わないが、それでこそ勇者だぞ凉哉!」
凉哉の頑張りによる一気飲みで自分で解決した。味が気になった園子が聞くが、聞く限り不味い味なのが全員に伝わった。
その後、やっと一輝の思考が回復して銀は勇者として凉哉を称えた。
(あれって大丈夫なのかしら?)
世界を滅ぼす敵がいる時に人知れず須美は頭を悩ましていた。