個人的には長く書いたかもって思いますけど、自分的には満足な出来になりました!
凉哉がバーテックスの水を飲み干した後、凉哉の所に勇者達が1ヵ所に集まる。
「それでどうしましょう?」
「分け御霊の数が多い!?出口が近いんだ……」
「あいつはヤバい」
一輝が聞いてきたことに須美が大橋の出口が近いことを指摘し、銀が敵の脅威の高さを示唆した。
「追撃を!」
「そやけど、簡単には近付けへんで……」
「……それに効かなかったもんね」
「でも早くしないとヤツが大橋から出てしまうわ!!」
「出たら撃退出来なくなるもんな……」
バーテックスに追撃をしようとする須美に凉哉と銀が自分達の攻撃が効かなかった事実を言われて須美も動きが鈍る。
「取りあえず足止めは必要だろうな」
そんな中、千景は皆から飛び出してバーテックスの元へと向かった。
「千景!?」
「何やってんねん!?」
「おいおい、マジかっ!!」
「何をしてるのあなたは!?」
千景の唐突な行動に声を上げる4人だったが、たった1人──園子だけは声を荒げずに思考を回していた。
「あ!」
突然園子が声を上げる。
「「「「ッ!?」」」」
4人は突然の事で園子の方を見る。
「ピッカーン!と閃いた!」
園子は自身が閃いた作戦を4人に説明する。
◆
◆
──ところ変わって、千景はバーテックスを追っていた。
「さて……使うか」
何かしらの作戦を立てるにしても、実行するにしても時間稼ぎと足止めは必要だと考えて追撃をしていた。
本来ならば複数人での足止めをするのが定石だろうが千景を含めた男の勇者には女の勇者にはない機能が2つ存在している。
「……〈七人御先〉」
千景をそれを呟いた瞬間、千景は白い笠を被り、服装も白い装束に変化し
7人に増えた千景には一切の違いは存在していない。これこそが千景の切り札である。
今ではもう男の勇者にしかない機能の内の1つが"切り札"と呼ばれるシステムである。
これにより千景、凉哉、一輝の3人は強力な力をその身に降ろし行使することが出来る。
「オラァァ!」
千景は大鎌を振るい、アクエリアス・バーテックスの攻撃を斬り棄てていく。
「チッ!?」
「俺が斬る」
1人の千景の手に水球が当たり動きが鈍るが、近くにいたもう1人の千景が手を拘束された千景の腕ごと切断した。
「助かった」
腕を切断された千景は礼を言って、
「ガッ…ガハッ!?」
さらに別の千景が近付いていくなかアクエリアス・バーテックスは千景にジェット噴射を千景に直撃させた。
その威力と勢いによって千景は吹き飛ばされるが、その直後に吹き飛ばされた千景が消え、直撃した位置の真横に無傷の千景が存在していた。
「これが切り札の力…か」
千景の持つ切り札の力は七人御先と呼ばれるものである。七人御先は死した人の怨霊が7人集まって形成されたものだとされている。
この七人御先の特徴は上限下限の絶対数が"7"であることだ。
何があろうと7人から増えることはなく、何があろうと7人以下には減らない。
取り憑いた相手を呪い殺し、殺した相手を新たな七人御先にする。そうすると人数が増えてしまうが、呪い殺した古い怨霊の1人は成仏して消える。
そうすることで絶対数が7人のままとなる。
千景の切り札はこの七人御先の特性である絶対数が7ということを利用して絶対的な生存率の高さと手数の多さを得ている。
七人御先を使用した千景を倒すには7人全ての千景を誤差なく全く同時に致命傷を与えない限り死にことはないと言えよう。
それ故に7人に増えた千景は1人が無事ならば6人が同時に致命傷を負おうと次の瞬間には全く無傷の7人の千景がいるのだ。
「これならやれる!」
千景は何度もバーテックスの攻撃を避けたり、直撃しても七人御先の力で無傷の状態で場に戻ったりを繰り返しながら近付いていた。
「千景~~~~!!」
「ん?」
千景は自分の名を呼ばれてそちらに振り向くと、両足が炎で包まれて飛んでいる凉哉とそれに掴まって一緒に飛んでいる他の勇者たちが来た。
「来たか」
どうやら千景の時間稼ぎの行動は無駄にはならなかったようだ。
「おわっ!?千景が7人もいる!それに服装も何か変わってるな!」
「千景も切り札を使ったんですね」
「カゲさんが7人もいるんだぜ~!ワーオ!イェーイ!」
「吾が一番に使ってドヤりたかったのにぃぃ!?しかも吾には服装の変化がないのにぃぃぃ!!」
「そんなことはどうでもいいでしょ!」
銀達が驚いた。特に同じく切り札を使った凉哉の面倒な姿を見ながら千景は自身の切り札を解除して7人から1人に戻る。
「何や千景も切り札を解くんか?」
「使ってたお前も分かるだろ。凉哉」
「まぁな」
千景と凉哉は切り札を使ってはいたが、完全には使いこなせていなかった。神託よりも早く敵が来たために切り札の練習が出来なかったのもあるが切り札の使用には体力をごっそりと無くなってしまうのだ。
「それで何か策は出来たんだろうな?」
「勿論なんよカゲさん♪」
「説明すんで」
「そこは園子ちゃんに任せましょうよ凉哉」
「はいはい、早いところ説明を頼む」
その作戦を聞いた千景は発案者が園子ならば確かにこれを思い付くだろうなと思った。
話しを聞いた勇者たち全員がその案に賛成して行動に移そうとしていた。
千景たちはそれぞれの配置に着いて次の行動を開始する。
「準備は大丈夫です!いつでも行けます!」
「じゃあ一発噛ましたれ鷲尾!」
「ッ!?」
一輝と凉哉から声を合図に須美が弓矢をアクエリアス・バーテックスに放ち、直撃する。
こちら側に向こうとするバーテックスに千景たちの存在に気が付いたようだ。
「気が付いた」
「こっち向いたよ~」
「急ぐで!!」
「えぇ!」
樹海への浸蝕が目に見えて加速し始めた。
「ッ!来るぞ!」
「準備はいいな!」
アクエリアス・バーテックスは水球は大量に千景たちへと放つ。
「園子!」
「展開!」
千景は叫び、園子が槍を前に出して、槍の先端部分から形が変わって傘のように開いて展開した。
園子はそれを盾にするように水球を防いでいく。
「この槍、盾になるんよ」
「園子便利~」
「一家に一つ欲しくなる性能やな!」
数多く来る水球を須美と千景に凉哉が撃ち落として捌いて数を減らす。
「オラァ!?」
「ッ!?」
「そのまま前進!」
「次、来ます!」
バーテックスの大きな水球が渦巻くのが見えた一輝は皆に言った。
そして強力なジェット噴射が勇者達へと放たれる。
『ッ!』
アクエリアス・バーテックスから放たれるジェット噴射を園子は盾で防ぎながら前へと進み他の勇者達もそれに続いて園子の背を押しながら前へと動く。
「乃木さん大丈夫!?」
「勇者は根性!」
「押し返すんや!」
「オーエス!」
「その掛け声しないと駄目なのか?」
全員が押し付けられる勢いに身体が吹き飛びそうになりながらも互いに支えあって耐えながら前へと進む。
「当たり前やろ!」
「根性出るしな!」
「そうですよ千景」
「……全く」
千景は呆れたような表情をしつつも嫌がりはしなかった。
「行くんよ」
「「オーエス!」」
一歩前へ。
「「「オーエス!」」」
それでも一歩前へ。
「「「「「オーエス!」」」」」
更に一歩前へと進む勇者たち。
「ほら鷲尾さんも!」
「え!?」
「俺もやってるのにお前だけやらないのは認めん!」
唯一掛け声をしてなかった須美に銀は鷲尾もと声を掛け千景も自身がやってるのだからやれと言う。
「オーエス!」
「……オーエス」
「「オーエス!」」
銀に言われ戸惑いながらも須美も掛け声に参加する。
そうして前へと進んでいく千景たちは敵の攻撃の勢いが弱まるのを感じた。
「今よ!」
その言葉を合図に皆は一気にアクエリアス・バーテックスの元へと飛び上がって近付く。
「「突撃~~!!」」
「鷲尾さん!」
「狙い…づらい」
一輝がアクエリアスの攻撃に対して須美に呼び掛け、須美も弓矢を構えるが空中のために足場が存在せず踏ん張りが出来ずに安定しなかった。
「ミノさん!」
「凉哉!」
「「振り回すよ/ぞ」」
園子と千景がそれぞれの武器を掴んでいる銀と凉哉をバーテックス目掛けて放り投げる為に腕に力を込める。
「行っちゃえーー!」
「やれぇぇぇ!」
「うん、どっこらしょー!」
「しくじるなよ!」
2人の言葉に園子と千景は槍と大鎌を使い、遠心力を最大限に引き出して銀と凉哉を放り投げた。
「っ!?」
そのタイミングで須美も弓矢を複数同時に放ち、水球を破壊した。
「三ノ輪さん!羽場くん!」
そのまま須美は後の〆を決める者達の名を叫ぶ。
銀と凉哉はそれぞれの武器である大斧と棒に火炎を纏わせアクエリアス・バーテックスに叩き込む!
「「おりゃァァァァァァ!!」」
バキャ!!バーーン!!
アクエリアス・バーテックスの強大な水球を銀と凉哉が互いに一つずつ破壊し水の塊は霧散した。
「行くで、銀!一輝!」
「おぅ!」
「行けます!」
アクエリアス・バーテックスの頭上から一輝が、水球を破壊した銀と凉哉は降りてからまた一気に飛び上がり下方から攻撃を仕掛ける。
パギパギパギパギパギパギパギパギ!!
ドドドドドドド!!ドドド!
ザリザリザリザリザリザリザリザリ!!
「これで終わりだァァ!!」
「決めます!」
「消えろォォォ!!」
3人からの連撃を受け続けたバーテックスをその身をどんどん小さく削られていき、最初に見た巨体が小さくなっていた。
そして、銀、一輝、凉哉の3人が最後に渾身の力でアクエリアスに攻撃した!
「ミノさん!リョーさん!サトさん!」
「「ッ!?」」
そして、そのまま落下する3人に園子、須美、千景は心配で見る。
「ウゥ!?」
「ガァ!!」
「グゥ!?」
銀、一輝、凉哉の3人が力を振り絞って攻撃をしたために、上手く着地が出来ずに落ちた。
「「「どうだぁ!」」」
3人は拳を掲げ叫ぶ!
そして、その叫びは神樹にも届いたのか、辺りから鈴の音色が聞こえてくる。
「……これ」
須美はその現象に辺りを見渡しながら呟く。
「鎮火の‥儀」
「やっとか……」
園子も見上げ、千景は怠そうに身体を倒す。
「やりましたね」
「あぁ」
「ミノさん、大丈夫!?」
「うん。ガッツリ弱らせてやった!」
「おかげで始まったよ」
一輝は凉哉の所に、園子は銀の所に足を運んだ。
「……綺麗」
鎮火の儀の綺麗さに須美も見惚れていた。
「……あ」
「消えたか」
そして全員の視界からバーテックスは消える。
「鎮まった……」
「撃退」
「できた?」
銀と園子がポツリと呟く。
「やれたな」
「そうですね」
「さすがに疲れたな」
千景たちも3人が集まり苦労を顔に出していた。
「「やったぁぁぁ!」」
銀と園子は嬉しそうにハイタッチをする。それを見た千景たちは。
「こんな疲れた後によくはしゃげるな」
「無事にお役目を果たせましたからね」
「吾も流石に動く気力はあんまないな」
そうしている内に、樹海に地震が起こる。そして周りから花弁が大量に溢れかえる。
◇
◇
そして、勇者たちは樹海から現実の世界へと戻った。
次は戻った後の話を書く予定です。