心からの喜びが溢れる!
樹海から現実の世界に戻ってきた勇者たち6人は大橋の近くにある祠の前に立っていた。
「ここは…」
「大橋やな」
「外とか最悪だな」
「カゲさん、どうして~」
「足下を見てみろ」
「アッ!?上履きのままだ!!」
「本当だー!そっか~。学校に戻るわけじゃないんだ」
「……」
元の世界の光景に戻ったのを確認した勇者たち6人はそれぞれが思ったことを口にしている。
そんな中で鷲尾須美だけは先ほどのお役目について考えていた。
「あ!そうだ」
「どうしたんですか銀ちゃん?」
嬉々とした表情をした銀が何かを取り出す仕草に一輝が気になって聞く。
「樹海撮ったんだったー♪」
「そういや吾もやな」
「一応確認しとくか」
銀、凉哉、千景の3人は樹海で撮った写真を確認しようとスマホを開く。
「……あれ?」
「嘘やろ!何やねん!?」
「あー、そういう感じになるのか」
三者三様の反応をした。
「どうしたんですか?」
「樹海じゃなくなってる!」
「吾もや!」
一輝が聞くと銀と凉哉が叫びながら答えた。
「写らないんだね~」
「みたいだな」
園子は近くにいた千景のスマホを見て言い、千景も諦めてスマホを仕舞う。
銀と凉哉は諦めきれないのかスマホと睨めっこをしていた。
「おーい、鷲尾さーん?」
「………」
「返事があらへんな」
園子が須美に声をかけるが返事がなかった。凉哉ようやく諦めて無反応の須美を見て気付いていないことを察した。
「すみさーん?………すみすけ?」
「すみすけは斬新な渾名だな」
「そ、そうですね」
ついには園子は須美によく分からない渾名を付け、千景と一輝が微妙な表情をしていた。
「………」
それでも反応を見せない須美。
「反応がないな」
「まさかすみすけが気に入ったんか?」
「マジか!?」
「流石にないとは、思いますけど」
「気に入ってくれたんなら嬉し~んよ~♪」
反応を見せない須美に対して5人はそれぞれの思ったことを口にしていた。
「なぁ、これって迎えが来るまでここで待機なのか?」
「そうなるでしょうね」
「面倒なー」
「それは同感だな」
「あちこち傷だらけだねー」
上履きのままで外に移動させられたこともそうだが、この後をどうするかを決めれてないからこそ彼ら彼女らは大赦からの使いが来るのを待つことになっていた。
それから約30分後
「あなた達~~!」
それから少ししたら6人の担任の安芸先生がやって来た。
「やっと迎えが来たか」
「お、安芸先生やな」
「授業は大丈夫なんでしょうか?」
「そういえば、これって授業の時に来たらどうするのかな?」
「確かに~」
それぞれが迎えが来たことで身体の傷を治せることに安心し、会話が緩くなった。
「最悪だと補習だろうな」
「最っ悪だぁぁ!?」
千景の考えに銀が頭を抑えて心からの叫びを言った。
「ど、どうしたの!?」
そんな銀を見て心配した安芸先生はこちらに急いで来た。
「気にせんでいいよ」
「よくある悲鳴だしな」
「あはは」(;゚∇゚)
「え?……え?」
流石に状況が全く分からずに混乱する安芸先生。
「ぽわ~」
「……うぅぅ」
「………」
これはまさに混沌と読んでもいいような場面であった。
──そして彼ら彼女らは勇者としてのお役目が本格的に行われる
──その先にどれ程の困難と苦難が待ち受けようとも
──彼ら彼女らには、もう……立ち止まることは許されないのだから
バーテックスの水を顔面に受けた千景とそれを飲み込んだ凉哉は体内に異常がないかの確認のために他の4人よりも精密検査をしてからの帰宅となった。
その中で、一人の少女は誰よりも憂鬱な気持ちになっていた。
家にある清めの水場で傷付いた身体に桶に入れた水を浴びる。
「うっ……!?」
傷に水が染みるのも厭わずに二度目も浴び、桶を置いて少女は──鷲尾須美は憂いていた。
(辛勝だった………私1人だったら確実に勝てなかった)
今回のお役目について考えていた。
自分一人ではバーテックスのジェット噴射や水球による動きの阻害に呼吸困難などの対処も出来なかったことが須美の中で重く乗し掛かっていた。
(それに何よりも私では決め手に欠けている!)
そして、それらを対処できたとしても自分にはバーテックスにトドメを刺せる火力がないことがよく分かった。
須美がそのように考えていた頃、他の勇者たちは、
「……怠い」
千景は早々に眠りに就き、
「バクバクバク……ッ!勝利の後の飯が上手い!」
「お代わりいるかい?」
「いる!」
凉哉は飯を食い、
「キモいよ!兄貴!」
「そんなことを言わないでよ~!?」
「だーかーらっ!抱き付くな!?」
「グェッ!?」
一輝はシスコンを誇示られせて妹にアッパーカットされていたり、
「よーし、頑張るぞ!」
銀はやる気を漲らして、
「スピ~…スピ~…スピ~」(´ω` )zzZ
園子はサンチョの着ぐるみを着て寝ていた。
勇者達は、それぞれに一先ず乗り切り……守った日常を過ごしていた。