「るいこ〜 はやく遊ぼうよ〜」
本棚の後ろからフラフラ揺れながら、フランは出てきた。
見た目は変わらない気がするけど、はっきりとわかるぐらいに広く開いた目は正気だとは思えなかった。
魔理沙もそう感じたのか相手の出方を見ているようだった。
とにかく狂っている。
この一言に尽きる。
「•••あいつが倒してくれたみたいだけどちょっとやばくないか?」
「うん。さっきまでとはまるで別人みたい•••」
「どうする?やるか?」
そう言いながら魔理沙は武器らしき物を構え、態勢を整えている。
私は•••ちょっと迷っていた。
果たしてフランと戦うべきか?
私の場合は壊されないように•••おそらく死なないように逃げ続けるということになるんかな。
それは多分今の魔力と体力の関係上きつい気がする。
逃げたり髪飾りにチャージしたりでもう限界値に近づいていると思う。
それともう一つ。
本当にあれはフランなのかどうか。
あれが能力を使うと出てくるって言っていたのを考えると二重人格みたいなのかも。
ただいつ能力を使った?部屋の壁を壊したのなんてかなり前のはず。だとしたらあの時からすでにおかしかったのか?
いや、だとしたら一緒に歩いている時からおかしくなっているはず。じゃあ別人格が出てくる条件は能力じゃいのかもしれない。それならなんでこうなった?
「なに?やらないならこっちからいくよ?【禁忌】フォーオブアカインド!」
「しかけてきやがったか!涙子はしっかり捕まってろよ!」
「•••うん、わかった!」
スペルを宣言すると、フランは4人に分裂し各々が弾幕を乱れ打ってきた。魔理沙もレーザーを出しながら攻撃するも、本体がどれだか分からないようだ。これじゃあスペルブレイクが出来ない。とりあえず手当たり次第にしたのか、片っ端から攻撃して行く。
そのせいか中々本物には当たらず、分身の1人は倒せたが他の2人と本物にはダメージが通っていない。ただ一人減ったせいか、弾幕は少しよけやすくなった。
フランの弾幕も小さい物からちょっと大きな物を交えながら飛ばしてくるが、魔理沙はそれを上手くよける。微妙な隙間でさえも通って行くのを見ていると、改めて魔理沙もすごいと思った。私じゃそこは通ろうとしないし、通りたくもない。
段々弾幕にも慣れてきたおかげか、3体中2体を仕留めることが出来た。あと残るはフラン本人だ。
「白黒やるじゃん?じゃあ次のスペル!【禁忌】カゴメカゴメ!」
「2枚目か!ブレイクしてやるよ!」
「ブレイク?その前にこの弾幕から抜けることができる?」
「はぁ?」
呆れたような声を魔理沙が出していたけど次の瞬間すぐに真剣な顔に戻していた。
理由は簡単。弾幕が私たちを囲むように網目状に展開されてたからだ。隙間は多少はあるが、かなりギリギリ。これをくぐってフランにダメージを与えないといけないと考えると私じゃキツイ。
「ただ囲んだだけじゃないんだよ?」
「え•••動いた!?」
今度は網目状の弾幕が動き出した。
迫ってくる弾幕に私も空気弾で対応しようと単発で打ち始める。上手く隙間を開けてそこから脱出するも、また新たな網目状の弾幕が展開されて行く。これじゃきりがない。
フラン自身も弾幕を打ち込んできており、神経をすり削っていかないとよけて行くのも難しい。
「レーザーじゃきついな•••ならこれだぜ!」
そんな中でも魔理沙は集中力をきらさずに攻撃を少しずつ加え始めている。弾幕もレーザー状の物ではなくミサイルみたいな形をした弾幕だ。範囲はレーザーよりは広いのかもしれない。
あとは慣れもあるのか魔理沙も私が弾幕を消しているのもあってか、大分楽によけれるようになっていた。やっぱ普段から弾幕ごっこに慣れている人にとって、弾幕の動きやパターンを読むのは朝飯前なのかもしれない。さっきの賢者の石とかいうやつには苦戦してたけどこっちは大丈夫みたい。
「•••白黒、あんた邪魔だね。」
「あぁん?もうスペルブレイクできるぜ?なに言ってる?」
「わたしはるいこと遊ぶんだよぉ!お前は邪魔だ!失せろ!」
「お前に涙子をやらせるかよ!私が倒してやる。」
「うるせぇ!黙りやがれぇぇぇぇ!!【禁忌】恋の迷路!」
元々おかしかったが、さらにぶっ飛んだ様子でスペルを宣言してきた。もはや少し前の可愛らしい少女はそこにいない。
今度の弾幕はまるで隙間がないようなくらいに弾幕が敷かれていたが、所々に狭い抜け道がありそこを抜けて行くみたい。ただ弾幕が迫ってくるスピードが早く、それに合わせながら隙間を見つけて回避していかないといけない。私も弾幕を打ち消そうと空気弾を放って見たけど、1個消したところで私たちが避けれるほどの隙間は出来なかった。
迫り来る弾幕はまるで迷路みたいだ。フランの周りをぐるりと回るように避けている気がする。なかなか近づけないし、魔理沙も攻撃の標準がつけられないからダメージを加えられない。とにかく今はこの迷路を脱出することが1番大事。
「ほらほら!はやくやられちゃいなよ!」
「当たってたまるかって!」
「白黒は黙れよ!お前はもう逝け!」
「くそ!わたしばっかり•••な⁉︎」
ここに来て弾幕のパターンが急に変わった。
今までは隙間が空いてる場所が時計回りの方向にあったが、今度は逆の方向にあった。
魔理沙があわてて逆の方向に飛んでいくも、おそらく間に合わない。多分被弾するのも時間の問題だ。
もうここは髪飾りを使って弾幕を消すしか逃げる方法が•••
「涙子、とにかく逃げるんだぜ!!すまん!」
「はい?って•••うわっ⁉︎」
本日2度目の首筋を掴まれての放り投げ。制服が伸びるからやめてもらいたいけどあと1年しか着ないし今はそれどころじゃない。
投げた張本人の魔理沙に目を移すと、弾幕の壁に被弾し墜落していた。流石にあの量の弾幕をくらってしまった上に墜落による衝撃で魔理沙は失神していた。
やってしまった•••
私が先に髪飾りを使っていれば防げたんじゃないのか?
そうすれば魔理沙はこうにはならなかったんじゃ•••
「キャハハハハ!やっとるいことあそべるねぇ!!」
「あ•••あぁ•••••」
「さぁさぁ!はやく始めようよ!」
足が震えている。1人になったせいか、立っているだけで精一杯だ。正直逃げれるなら今すぐ逃げたい。
魔理沙は私に逃げろ、と言っていた。
なら逃げればいい。無理して戦う必要性はないんだから。
だけど•••魔理沙を見捨てて逃げたくはない。
それに私は魔理沙を助けたいがためにここに来た。
なら、やるべきことは一つだ。
「•••フラン。」
「なぁにぃ!るいこ!はやくしようよ!」
「わかってるよ!絶対に負けない!」
もはや引き返せない。
けど、今はやる時。
フランは私が相手になる。
「なら行くよ!【禁弾】スターボウブレイク!」
弾幕ごっこの第二ラウンドが始まった。