やはりあーしの青春ラブコメはどうかしている。   作:Vierres

1 / 19
 えーっと、あーしさんがもしも奉仕部の二人より先に八幡と出会っていたら?あーしさんのアノ金髪の髪型の秘密は・・・?
 って、妄想で書き始めた物語です。

 特定の誰かをディスったりする内容ではございませんが、話の流れ上そう勘違いさせてしまう部分は、少し我慢して数話先までお待ちくださいませ。




第0話 Beginning

 

 

「ねぇ、優美子?今日さ帰りにアイス食べに行かない?今サーティーワンで、ダブルが安いんだよー。」

 昼休みのいつものメンツでの、いつもの会話。

今日は珍しく、結衣からのお誘いだ。

 

「ごめーん、結衣。今日はあーし、ちょっと都合が悪くて。」

「えー、優美子さー最近付き合い悪くないー?彼氏でも出来たん?」

結衣はお団子頭をぴょこぴょこさせて、こちらを突いてくる。

「ちょ、やめてよー。そんなんじゃ無いって。ほら、あーし最近部活始めたっしょ?入って直ぐなのにサボりとか印象良くないじゃん?」

「あーそう言えばそっかー。じゃあ、姫菜は?」

「ごめーん!結衣。私も部活ー!」

姫菜は美術部に所属していて、美大を狙っているから放課後はめったに一緒には遊べない。

「じゃあ、隼人君達は?」

「俺達も部活だよ。結衣も暇なら、なんか部活をやったらどうだ?」

葉山隼人、戸部翔、大岡、大和の四人はそれぞれ運動部に所属していて、雨でもなければ放課後は別行動だ。

 

 

 

 放課後。

あーしは特別棟の一室に居た。

特にこれと言ってヤルことがあるわけでは無いので、今は携帯で占いのサイトを巡回して時間を潰している。

 

「こんにちは。」

ノックの音の少し後に戸が開き、雪ノ下さんがやってくる。

「あら?今日は三浦さんだけなのね?あの胡乱な男はどうしたのかしら?」

「雪ノ下さん?何度も言ってるけど、そういうのホント良くないよ?比企谷君なら家庭科の鶴見先生にレポート提出してから来るって。」

「ご、ごめんなさい。彼とは本気で言い合える分、ついつい言い過ぎてしまうようね。私もまだまだね・・・。でも、家庭科の授業でレポートの提出なんて有るのかしら?」

彼女の名前は雪ノ下雪乃。

この部活動の部長だ。

今、この場に居ない比企谷君とは、いつも口喧嘩をしている犬猿の仲だ。

まあ、彼女が面と向かって本音で言いたいことを言えるのは、彼だけのようだけど。

あと、彼女と比企谷君の間には何か秘密がありそうなんだけど、今は未だ解らない。

ただ、時々雪ノ下さんは比企谷君を張り詰めた表情で見つめることがある。

 

「ん、ああ、今日の四時間目の家庭科の授業でさ、気が付いたら実習室を抜け出して調理実習をサボってたんで、その罰。」

「あの男は、一体何をやっているのかしら・・・。」

 

 

 

 そうこうしていると、話題の人物がやってくる。

「うーっす。」

「こんにちは、比企谷君?ちゃんと挨拶位はできないの?」

「そうだよ?あんたクラスでも喋らないんだし、もっと喋らないと声帯が退化するんじゃないの?」

「そうね、三浦さんの言う通りよ?もう少し会話の練習をしてみてはどうかしら?」

「全く、挨拶一つでエライ言われようだな。気心知れた部活仲間への挨拶なんて、大体こんな感じじゃないのか?知らんけど。」

比企谷君は悪びれず、あーしや雪ノ下んさの小言に言い返す。

「え。気心知れた・・・?」

あーしは、ついドキっとしてしまう。

「ま、まあ、そうね。そういうことなら、仕方ないわね・・・。」

雪ノ下さんもなんかモジモジしてるし。

 

「とはいえ、家庭科の授業をサボるとかどういう了見なのかしら?貴方この前までは専業主夫志望とか言ってなかった?それとも料理位は今更なのかしら?」

そう、彼こと比企谷八幡は将来の職業希望に堂々と〈専業主夫〉と書いて、担任の平塚先生から呼び出しを受けていた。

まあ、平塚先生も専業主婦が夢だそうだから、勘に触ったのかもしれない。

 

「ちげーよ。ほら、4人で班を作ってってアレ。俺は料理は一人で作りたい派なんだよ。俺はかーちゃんをリスペクトしてるからな!集団でなんてやってられるか。」

「要するに、一緒の班になってくれる人が居なかったから、いたたまれなくなって実習室を抜け出したのね?」

「比企谷君?アンタが居なくなったお陰で、あーし等の班3人で大変だったんだけど?そのせいであーし等まともなお昼食べられなかったんだけど?」

「なんでも人のせいにするなよ?三浦。大体、俺がお前らリア充と一緒に居られる訳が無いだろう?そんなことをする位なら、サボって補習のレポートを出す方がまだマシだ。」

 

 いつもの様に、彼は適当なことを言ってあーし等を煙に巻く。

そして、いつもの部活の時間が始まる。

 

 

 

  ~~~~~~~~~~

 

 

 コンコン。

 

 ノックの音。

「どうぞ。」

 

 戸を開けて入ってきたのは

「あのー、平塚先生に言われて来た・・・、あー!優美子!え、なんで?こんなとこで何してんの!」

「あ、結衣。うん、実はあーしココで部活やってたんだ。」

「三浦?あの煩いの、お前の知り合いか?」

「って!えぇぇぇぇぇ!ヒッキー!なんでココに居るの!」

「2年F組、由比ヶ浜結衣さんよね?三浦さんと同じクラスの。」

「ちょっと、同じクラスになって何日経ってんのよ?いい加減、クラスメイトの顔と名前位覚えなよ・・・。」

あーしは、そっとこめかみを押さえた・・・。

 

「どうぞ?座って頂戴。平塚先生の紹介ということは、何か依頼なのでしょう?」

 

「あー、えっとー。いやー。優美子やヒッキーが居るとか思わなかったから、やっぱ、その・・・。」

「おい、そこの煩い奴。ヒッキーって誰だよ?もしかして俺の事か?俺はボッチだが引籠りじゃ無い。趣味はラーメンを食べ歩くことだ。どちらかというとアウトドア派なんだ。訂正しろ。」

「え、え、え、だってヒッキーは・・・、比企谷だから・・・ヒッキーでイイじゃん!」

 

 もう一人頭痛のネタが増えたよ・・・。

この子、普段はイイ子なんだけどニックネームとかのセンスが壊滅的なのだ。

あーし等女子がお互いに名前呼びしてるのは、そのせいでも有るんだけど。

 

「由比ヶ浜さん?一般的に言ってヒッキーと言うのはね?引籠りの人に対する蔑称なのよ?止めた方がよいのではなくて?」

「別称?違う言い方があったんだ?」

結衣は訳が分からなのかキョトンとしている。

「ちょ!お前本当にこの学校に入試で合格出来たのか?別称じゃない。蔑称とは、平たく言えば侮辱する呼び方って意味だ。」

 

「え?」

結衣~。あんた今、目が泳いでるよ・・・。

 

「とりあえず、普通に苗字で呼べ。」

そう言えば、あーしが前に『ハッチー』って呼んだ時も「俺はミツバチじゃない。」と言ってメッチャ怒ったっけ。

 

「う、うん。ゴメン・・・。比企谷君・・・。」

結衣がモジモジしながら、チラチラと比企谷君を見ている。

「で、依頼は何だ?男の俺が居たら言いにくい事か?そう言う事なら、今日は帰らせてもらうけど?イイよな?雪ノ下部長?」

 

 更に、結衣はチラチラとあーしの方も見てくる。

「え?結衣?あーしにも言えないことなん?あーし等友達じゃん?」

「えっと、その・・・、誠に持って、なんと申しますか・・・。」

 

「解った。」

あーしは席を立つ。

 

「え、え、優美子・・・?」

「雪ノ下さん。あーしと比企谷君はちょっと自販機で飲み物を買ってくるよ。結衣?その間に雪ノ下さんに相談しておきなよ?あーしや比企谷君が聞いて不味いって言う依頼だったら、携帯に連絡頂戴よ。あーし等今日は帰るし。でも、手伝うことが有りそうなら、遠慮なく言ってよね?」

 

 

 あーしと比企谷君はカバンを持って部室を出た。

 

「なぁ、三浦?俺このまま帰った方がいいんじゃないか?なんか悪い予感というか、悪寒がするんだよなぁ・・・。」

「あ、ちょっと待って。今、雪ノ下さんから着信が・・・。メモの材料を買って、家庭科の実習室に来いだって。」

 

「それって幾ら位すんの?経費で落ちるよね?俺、自転車だから買って来るけど。先に家庭科室へ行っておいてくれ。」

「あー、一応足りないとイケないから千円渡しておくよ。清算してから返してくれたらいいから。」

 

 

 

「で?お礼がしたい人が居るから、手作りクッキーを作るのを手伝えって?」

 

 雪ノ下さんの話によると、以前助けてもらった人が居て、その人にお礼がしたかったけど、中々機会がなくてお礼が伸び伸びになっていたそうだ。なので、市販の菓子折りではなく自分が作ったお菓子を渡してお礼を言いたいって事らしい。

 結衣もやっぱ乙女じゃん?そういうことなら、あーしもしっかり結衣のサポートをしなきゃね?

 

 

  ~~~~~~~~~~

 

 

「で、どうしてこうなるのかしら・・・?」

雪ノ下さんが頭を抱えている。

 雪ノ下さんの説明を聞きながら作っていたハズなんだけど・・・。なんか、お皿の上には食べてはいけない禍々しいモノがある。

 

 結衣?誰か毒殺したいの?

 

「俺、コレだけは絶対に試食しないぞ?まだ、死にたくない。」

「う、うん。食べない方が良いと思う。」

コレを食べるとか絶対に無理。

 

「ゆ、優美子~。」

 

「あら?あなたの役目は試食係なんだけど?いきなり職務放棄かしら?」

 

 ちょ!何を言い出すの?雪ノ下さん。

 

「おい、雪ノ下。いくら何でもコレを食ったら、死ぬだろう?お前は俺を何だと思ってる。」

「只の穀潰し?かしら?」

雪ノ下さん、可愛く小首を傾げてもダメだよ!

 

「言っておくが、俺はタダの穀潰しではない。これでも専業主夫を目指しているんだからな?一応小学6年レベルだが家事全般は出来る男だ。料理もそこそこは自信がある。」

「何気にレベルが低いわね・・・。そんなこと自慢になると本気で思っているの?」

「ふふん!見てみろ。どう見ても俺の家事能力はこの二人よりは上だろう?」

 

 ちょ!ふざけるなし!あーしだって料理以外はソコソコ出来る女なんだから!

 

「そうね・・・、そこは同意せざるを得ないわね・・・。」

えー!雪ノ下さんまで!

 

「えっと・・・、ひ、比企谷君って雪ノ下さんや優美子とは良くしゃべるんだね?教室だと誰とも話さないのに。」

「ああ?まあ、コイツ等の前で黙ると更に容赦ない暴言が飛び出すからな。」

「ちょ!あーしそんなにひどい事言った?」

「ほら、自覚がないこと自体が既に酷いだろ?」

がーん!雪ノ下さんは兎も角、あーしまで同列だったなんて・・・。

 

「でも、ほら、なんか楽しそうな部活だね?優美子も教室と違って活き活きしてるっていうかさ?楽しそう?で、雪ノ下さんももっと取っ付き難い人かと思ったけど、結構毒舌な割にやさしいよね?ほら、ツンドラって言うんだっけ?なんか楽しそう。」

 

 結衣、それツンデレだから!あーしでも知ってるよ・・・。

 

 

 

「なぁ、雪ノ下?一つ一つ目の前で実演しながら、説明した方が良いんじゃないか?由比ヶ浜はなんだか、かなり手際も悪いし。」

「そうね・・・、もう一回手本を見せながらやって見せるから、同じようにやってみてくれるかしら?」

「ねぇ?あーしもそのクッキー作るの一緒にやってみて良い?考えたら、あーしもお菓子とか作った事ないし、雪ノ下さんの説明だけじゃピンと来ないんだよね。あ、それとさ!比企谷君。あーしのスマホで動画を撮影してくんない?そうすれば後で観なおせるしさ!」

「材料は余裕があるから、問題無いようね?三浦さんもやってみて、解らない事があれば質問してもらえれば、その方が良いかもしれないわね。」

 

 

「うーん、ずいぶんと良くはなったけど・・・。結衣さ?家で料理とかやった事ないん?」

雪ノ下さんが目の前でやってくれている作業の真似をするだけのハズなんだけど、その作業自体がぎこちない感じがする。

 今日の4時間目の家庭科の調理実習でも、あーし等の班だけがちゃんとカレーを作ることが出来なかった。幸い、姫菜が居てくれたおかげで、時間ギリギリでご飯とカレーもどきは作ることが出来たんだけど・・・。

 あーしも家では殆ど家事とかしないけど、それでもまだ、あーしの方がましだった。

とにかく結衣の料理スキルは壊滅的だった。

 

 そして、何度か雪ノ下さんの注意を受けながら、ようやくクッキーと呼んでもよさそうなモノが出来たのだが・・・。

 

「やっぱり、あたし料理の才能ないのかなぁ・・・。初めて作る優美子の方が上手に出来てるし・・・。」

 

「でも、一応食べられるモノにはなってるんだし、コレで良いんじゃないのか?」

比企谷君は、結衣のとあーしのを一口ずつ食べて感想を口にした。

 

「でも、見栄えがねー。あーしも雪ノ下さんみたいに上手く作れないんだよねー。ちょっと粉っぽいしー、何でだろう?」

「どうして上手く作らないといけないんだ?手作りクッキーなんだろう?」

「あのねー。そこは女の子の意地とか有るじゃん。」

「でも、旨さとか見た目なら市販のヤツには早々勝てないぞ?雪ノ下のクッキーは有る意味、規格外だ。」

比企谷君は、あーしや結衣のクッキーでも充分だと説明する。

「で、でもさ・・・、変なのを渡しちゃったら・・・、やっぱり嫌だよ。」

けど、結衣は納得できていない。まあ、あーしもだけど・・・。

 

 

「なら、三0分後に俺が本当の手作りクッキーを振舞って差し上げよう。三0分したらもう一度ココに来て欲しい。」

そういって、あーし等三人は家庭科室を追い出された。

 

 

  ~~~~~~~~~~

 

 

「え?あーしにも有るの?」

 

 比企谷君は、結衣の他にあーしにもクッキーを振舞ってくれた。

いつの間に用意していたのか、綺麗な紙袋に入れられラッピングされている。

 雪ノ下さんが、あーしと結衣を睨んでいるようなんだけど?雪ノ下さんの分は無いんかな?

 

「ほら、二人とも雪ノ下のクッキーと食べ比べてみてくれ。」

そう言うと、お皿に乗った雪ノ下さんが作ったクッキーも目の前に差し出した。

 どうやら、比企谷君は雪ノ下さんの作ったクッキーと比較させる為にあーしと結衣の二人に振舞ったようだ。

 

「で、私の作ったクッキーと比較してどうしたいの?」

雪ノ下さん、なんだか頬がヒクヒクしてるけど?

 

 

「雪ノ下さんのクッキーと比べればいいんだよね?」

あーしは綺麗にラッピングされた袋からクッキーを取り出し、まじまじ眺めるけど、さっきあーしが作ったクッキーと見た目は代わり映えしない。

 

 味は?

 

 うーん・・・。

さっきあーしが作ったクッキーとあんま変わらないよね・・・。なんか、粉っぽいし・・・。

 見た目も味も雪ノ下さんの作ったクッキーとは雲泥の差だ。

 どちらが美味しいとか、上手とか聞かれたら間違いなく雪ノ下さんのクッキーが勝るんだけど・・・。

 

 でも、比企谷君があーしの為に作ってくれたと思うと・・・。

どうしてだろう・・・。

 

 胸が熱くなる。

 

 この気持ちの高ぶりは、雪ノ下さんのクッキーでは感じられなかった。

 

「うーん、見た目も味も雪ノ下さんの方が上だけど・・・。」

結衣は雪ノ下さんのクッキーの方に軍配を上げている?

「でも・・・、比企谷君も初めて作ったんだよねクッキー・・・。」

結衣も少し嬉しそうにクッキーを見つめている。

 

「で、どうだ?」

 

「うーん、味とか見た目は雪ノ下さんの方が上なんだけどさ・・・。男子から手作りのクッキーを貰うとか初めてだし、コレはコレで嬉しい・・・かも?」

 

 うん。

あーしも同じ意見。

 

「そ、それにさ。美味しくないっていう訳じゃないよ?雪ノ下さんのが美味しすぎただけだからさ。コレも十分においしいよね?優美子?」

「うんうん、これなら専業主夫合格レベルなんじゃ?」

 

「だとさ、雪ノ下。」

「納得いかないわね。私にも味見させてもらえるかしら?」

「ああ、どうぞ?食べてみてくれ。」

雪ノ下さんは、結衣からクッキーを分けてもらい、それを食べた。

 

「?、こ・・・、これ。」

「気が付いたか?雪ノ下?」

「あ、あなたね!コレは卑怯だわ!」

 

 え?どうしたん?雪ノ下さん。

 

「これ、さっき由比ヶ浜さんと三浦さんが作ったクッキーじゃない!こんなの反則だわ!」

「何が反則だ?俺は手作りクッキーを振舞うとは言ったが、作るとは一言も言ってはいないぞ?」

 

「えええええ!」

「こ、これ、ヒッキーが作ったんじゃないの!?」

「おい、お前、その呼び方は失礼だと言っただろう。」

あーしも結衣も雪ノ下さんと比企谷君の会話に唖然となった。

 

「こんな小手先の事で由比ヶ浜さんの依頼に応えたというの?」

雪ノ下さんがキレかかってる・・・。

「大体、由比ヶ浜の依頼の本当の目的は何なんだ?美味くてキレイはクッキーを作る事なのか?それなら、こんな所に来ず料理教室に通えば良いだけだろ?違うか?」

「そ、それはそうなのだけれど・・・。でも・・・。」

「由比ヶ浜の依頼は、延び延びになっているお礼を言うために、手作りのクッキーを作って手渡し、お礼を言う事なんだろう?だったら、お礼を言うための足掛かりであれば良いはずだ。一生懸命作りましたってのが伝われば美味しい必要すらない。」

 

「でも、美味しくないクッキーなんて貰っても迷惑なんじゃないの?」

「実際、三浦のも由比ヶ浜のも不味い訳じゃない。ちゃんと食べられるクッキーになってる。これ以上時間をかけるより、早く手渡してお礼を言う方が大事なんじゃないのか?まあ、渡す相手が雪ノ下みたいな完璧主義の女だったら、ダメだろうけどな?普通の男だったら、お前らが心を込めて作ったって言ったら、大抵は毒でも喜んで食うぞ?」

「毒いうなし!」

「だから、それは例えだ。男心ってのは単純なんだよ。自分の為にわざわざ作ってくれたと知っただけで、プラス補正が振り切れるんだよ。心が揺れるんだよ。コレは俺の友達の友達の話なんだが・・・。」

「あら、あなたに友達なんていないでしょう?」

「いいから聞けよ。で、その友達なんだが、中学の時に図書委員に指名されてな?女子のなり手が中々決まらなかった時に立候補した子が居たんだよ。」

「あら?よっぽど早く帰りたかったのね?」

「ちょ!いちいち話の腰を折るな。で、俺は思った訳だ。この子絶対に俺の事が好きなんだと。で、ある日聞いたんだよ。好きなやつのイニシャルを、そうしたらHって言われてさ、『それって、もしかして俺の事?』って聞いたら、メッチャ冷たい声で『え?ナニ?マジキモイんだけど?』って言われてな?翌日の朝にはクラスの全員が知ってたんだよな・・・。」

 

 ちょ!なにそれ!

その女の名前を教えて!

今から、ちょっと〆てくるから!

 

「比企谷君?そのあなたの辛い過去とどう関係が有るのかしら?」

「だから、俺じゃない。友達の友達だ。で、要するに男ってのは単純なんだ、ちょっと優しくされただけで、舞い上がり自分に惚れてるとか勘違いするんだよ!だから、相手が男なら、味とか形よりも頑張って作りましたってのが解る方が良いんだよ。」

 

「えーっと、比企谷君とかも揺れたりする?」

結衣も上目遣いで聞いてくる。

「俺か?俺なんて今まで家族以外の女から手作りのお菓子とかもらった事がないからな、超揺れるな。揺れすぎてそのまま告白して振られるまである。」

 

「「振られちゃうんだ?!」」

あーしと結衣は思わず、ハモった。

 

 

 

 結局、結衣は納得して帰って行った。

比企谷君が撮影してくれていた調理の動画をコピーして。自宅でもう一回チャレンジしてみるらしい。

 

 

 翌日の放課後、結衣はキレイにラッピングされたクッキーを人数分持ってあーし等の部室にやって来た。

 

「いやー、料理ってさ、やってみると何か嵌まるよねー。」

「そうね?昨日のより更に美味しくなっているわよ?」

「ホント?まあ、いくら美味しく無くても良いって言われてもねー、あたしにも女の意地があるし?」

「で、結衣?お礼を言いたい人にはクッキー渡せたん?」

「んー・・・、一応?」

「お!じゃあ良かったじゃん!」

「なら、依頼は達成ということで良いのかしら?」

「うーん、まあ・・・、そう、かな?」

「結衣?ちゃんとお礼も言えた?アンタ結構抜けてるからさ、大丈夫か心配だよ。」

「あー、はは・・・。えーまぁ・・・。でも優美子ってば、ホントにママみたいなんだから・・・。」

 

 

「でさ?姫菜は美術部じゃん?優美子も部活始めたしさ、あたしもこの部に入ろうと思うんだけど、イイかな?」

 

 こうして部活仲間が集まり、あーし等の物語が始まった。




えっと、こちらでは初めまして。
こちらではずっとROM専だったのですが、pixivの方に連載させてもらってたあーしさんのif物語を微修正してこちらへアップしてみようかと・・・。

pixivの方は見てないよー、と言う方がいらっしゃいましたら以後よろしくです。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。