やはりあーしの青春ラブコメはどうかしている。   作:Vierres

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第12話 Vacation 2

 

 

「やっはろー!留美ちゃん!」

結衣が気を使ってるのか元気に留美ちゃんを迎える。

結衣?やっはろーってなんだし?

 

 そうこうしていると今日のメンバーが集まった。

ココは稲毛海浜公園の多目的広場入り口。

 

 そう、あーし等の学校の近くなんだけどね?

ここの公園にあるプールは海に出る事も出来て便利なんだよ。

難点は東京からも近く、人が多い事。

比企谷君は人だかりに既に少しゲンナリしている。

 

 今日集まったメンツは雪ノ下さん、比企谷君、小町ちゃん、結衣に相模、沙希は姉弟が総出で四人とあーし。ココに留美ちゃんが加わり総勢で十一人だ。

しかし男子率が低い。

男子って比企谷君と大志君位だもんね?

 沙希の下の弟君は小学三年生で殆どノーカンだし。まあ、留美ちゃんとは歳が近いからそれはそれで良かったかも?

 

「こんにちは、鶴見留美です。」

留美ちゃんは皆の前で礼儀正しくお辞儀をしてあいさつした。

親御さんの躾が良いんだろうってのは、そのしぐさで解る。

ホントにミニ雪ノ下さんだね・・・。

 

 

 

「じゃーん!お兄ちゃん見てみて!小町の水着どう?可愛い?」

「あー、はいはい。可愛い、可愛い。」

「あー、もういいや、その適当な返事・・・。」

小町ちゃんも水着は結構真剣に選んでたんだけどね?比企谷君の反応はイマイチだ。

まあ、兄妹って案外こんな感じなのかな?

 

「比企谷君?私の水着は如何かしら?」

雪ノ下さんは白のワンピースで、パレオが付いているタイプ。

細身のスタイルが引き立ついで立ちだ。

「あ、ああ、似合ってる・・・。」

 

「比企谷君?あたしのは?」

結衣はオレンジのビキニだ。元々胸が大きくウエストもそれなりに細いからビキニは映える。

それに少し、はにかむ表情が妙に色っぽい。

「え、ああ・・・、おお・・・。似合ってる・・・。」

比企谷君は小町ちゃんにさんざんと「女の子の水着を誉めろ」と念押しされていたのを知っているので、比企谷君のドギマギしながらも必死に感想を言っている姿が微笑ましい。

 

 多分、今すぐにでも家に帰りたいって思ってるだろうなぁ・・・。

 

「比企谷君・・・、ゴメンね?ウチさ、良い水着を選べなくてさ・・・。」

相模!

 

 コイツ!

やりやがった!

姫菜の言葉を正面から受け止めたヤツがココに居たよ!

それ、あんたの中学の時のスク水だよね?

胸に『みなみ』って平仮名のゼッケンとかさ!

完全に狙ってるよね?

 ちょっとサイズが小さくなった紺のワンピースの水着は、身体の線が強調されていて妙な色気さえある。

その証拠に比企谷君は相模をみて真っ赤な顔で何も言えなくなっている。

 まぁ、紐みたいな変な水着を買おうとしてたから、あーし等も必死に止めたけどさ?

ホント、コイツも抜け目ない・・・。

 

「はーちゃん!けーかの水着、可愛い?」

けーちゃんはフリルの付いたピンクのワンピース。

「おー!けーちゃん!メッチャ似合ってるぞー。」

ある意味、今日一番の良い反応。

比企谷君?

ホントはロリコンなの?

 

「けーちゃん?ちゃんと準備運動を忘れないでね?」

沙希は黒のビキニ。

沙希もスタイルは結衣に負けていない。

 むしろ身長もあり、すらりとした長い脚にキュッと締まったヒップのラインが大人びていて女のあーしですらドギマギしそうなんですけど?

あーしもスタイルにはそれなりに自信が有るんだけど、総合的に見たらヤッパ沙希には負けてるよね?

「あ、川崎も黒の水着が似合ってるな・・・。」

「あ、アリガト・・・。」

沙希も少し頬が赤い。

 

 うーん・・・。

あーし、身体に巻いたバスタオルを取れないよ・・・。

なんだか、自信が無くなって来た・・・。

着替えるまでは、あーしもそれなりに自信が有ったんだけどねぇ。

「優美子さん!勿体ぶらずに!」

小町ちゃんは、そんなあーしをじれったく思ったのかバスタオルを剥ぎ取る。

「あ!」

思わずあーしは悲鳴を上げる。

 あーしの水着はごくありふれたピンクのビキニでパレオが付いているタイプ。さすがに相模が選ぶような大胆なのはチョット無理だった。

「すっげー似合ってるな・・・、ソレ。」

比企谷君はしっかりとあーしの目を見て言ってくれた。

真っ赤な顔をしながらだけど・・・。

 

 

「高校生の夏休みって毎日こんななの?」

留美ちゃんは少し不満げに呟いてる。

「あ?俺達は夏休みに入って初めて遊んでるんけどな?普段は毎日ほぼ勉強だぞ?」

「そうなの?なんかチャラチャラしててそんな風に見えないけど?」

「小町と大志は受験生だしな。そうそうはチャラチャラしてられん。」

「そういえば留美ちゃんは中学はどうするん?そのまま公立?私立の受験とか考えてるん?」

あーしも少しずつ会話に混ざるようにしている。

 

「中学は公立。私立の受験はしない予定。」

「環境を変えたいのなら私立の学校も選択肢かもよ?」

あーしは一つの解決策として私立の中学進学を提案してみた。

 

「あたし、総武高校を目指してるし。公立で行くの。」

「それだと中学になっても現状のままの可能性が高いぞ?このままで良いのか?」

「あたしもやってたし、自業自得の処あるから・・・。」

留美ちゃんは語った。

 

 

 初めはチョットした遊びだった。

誰かが言い出して始めた遊びはクラスの誰か一人を無視しハブる事。

ハブられた子は訳が分からず焦り、色々な表情を見せる。

それを皆で見て笑った。

 最初の頃は、二~三日で他の子にターゲットを変えていた。

でも、慣れてきて面白さを追求しだすと、ハブる期間が延びて行った。

そして、七月になりあたしが標的になった。

あたしがハブられるのは一ヵ月くらいかな?それとも二ヶ月位?もしかしてこの先ずっと?

ハブられていた子達はみんな、こんな嫌な思いをしていたんだなぁ・・・。

もし夏休みが終わって、あたしから別の子に標的が変わっても、あたしはクラスの子達を、もう友達とは呼べないと思う。

だって、あたしもみんなに酷いことをした。

みんなもあたしに酷いことをした。

こんなのが友達のはずない。

 

 

「おー、良かったなぁお前。その歳で人間関係の真実に気付けて。」

「人間関係の真実?」

「ああ、人の本性と言ってもいい。誰もが我が身が可愛い、自分を守る為なら他人を差し出して自分を守る。お前はその歳でその真実に気が付けた。大したもんだ。」

 

 オイ、比企谷君?

小学生相手になに言ってんのよ?

ま、まあ、あーしも言っていることは解らないではないんだけどね?

「比企谷君?相手は小学生なんだし?もうちょっと言い方とかないん?」

「言葉を変えても本質は同じだろう?なら判り易い方が方が良いんじゃねーの?」

 

「ちょっと?わたしは『お前』じゃない、私の名前は留美。ちゃんと呼んで八幡。」

ちょ!

あーしでも恥ずかしくて、未だ名前呼び出来てないのに!

 

 この子。

末恐ろしい存在かも?

 

「あー、ルミルミ・・・?」

「留美。言い方がキモイよ、八幡。」

なんかこの子、雪ノ下さんに似てヤバイ雰囲気あるよね?

 

「ねぇ、中学生になったらもう一度友達が出来るのかな・・・。」

「さぁな~。俺その時代には友達いなかったしな・・・。」

「じゃあ、今はいるの?」

「あー、考えたら今もいねーなー。」

「友達が居なくても彼女はいるんだ・・・。」

「は?」

「その金髪の人、彼女さんなんでしょ?」

「え?三浦がか?あー、えっと・・・。」

流石にこの前あーしが告っていて返事が保留状態だし、このタイミングでは否定も肯定もしにくいよねー。

 

「なんか、見た目とは違ってるけど結構息がピッタリだし、恋人同士なのかと思ってたんだけど違うの?」

「・・・。」

比企谷君、顔が真っ赤になって返事が出来ない。

おー、焦ってる焦ってる。

 

 もうこの際だから認めちゃいなYOー、あーしの事。

 

「この人が彼女さんじゃないなら、雪ノ下さんだっけ?あの人が彼女?それとも胸のおっきな人?」

「あー、いや・・・。まだ彼女とかも居ないんだけどな・・・。」

「なんか、隣の人落ち込んでるけど?こんな美人早く捕まえとかないと後で後悔するかもよ?」

え?

あーし顔に出てた?

もしかして小学生に気を使ってもらってる?

「わたしは、この人が一番お似合いだと思うけどなー。」

なに?

 この子メッチャ良い子じゃん!

こんな良い子をハブってる連中ってさ、そもそも相手にしなくてもいいよね?

この子はあーしが守るし!

 

 

  ~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「海老名さんがキャンプの時に言ってたんだけどさ、無理に学校の中で友達を作らなくても趣味の合う子を学校の外で見つけるって言うのもアリなんじゃないかな?」

相模?

ソレ言葉の通り受け取ったらダメなやつだからね?

ココじゃ、言えないけど海老名の言う趣味ってアレだからね?

小学生の前じゃ突っ込めないじゃない。

 

 プールで遊び終わったあーし等は夕方にサイゼに居た。

沙希と大志君は弟と妹を家に連れて帰らないといけない為、不参加だ。

 

「まあ、そうだな?最近はネットゲームとかで仲良くなって友達になるパターンも有るらしいしな?」

「あーでもお兄ちゃん、ネットゲームでもソロプレイばっかだよね・・・。」

「比企谷君?そのゲームを教えてよ?ウチもウチの弟を連れて一緒にやるからさ?ウチの弟はゲームだったら大体なんでも得意だしさ?欲しいアイテムが有ったらさ、弟に用意させるよ!」

そう言えば相模の弟は遊戯部のあの子だったよね?

 

「でも、ネットゲームというのは小学生には少し早いのではないのかしら?ソレだったら今度一緒に、ななはちゃんのブルーレイの鑑賞会をするのはどうかしら?三浦さん?比企谷君?」

「あー!それならアリかも?何時やる?今夜?比企谷君も良いよね?」

あーし、それなら無条件で参加したい。

当然、比企谷君も誘う。

「おお!いいな!ソレ。一期から三期までフルマラソンでも付き合うぞ?」

「では、お盆休みのタイミング辺りで予定を組みましょうか?」

「うん!あーしその予定を最優先にするから!」

盛り上がる三人。

 

「ね、ねぇ・・・、結衣ちゃん?『ななは』ってなに・・・?」

「あー、最近さ?優美子とゆきのんが嵌ってるアニメなんだよ・・・。比企谷君が凄く好きみたいで・・・。」

「そうなん?帰ったら弟に聞いてみるよ。ウチの弟もそういうの詳しいし。」

 

「あー、みなさん?留美ちゃんの事を相談してたんじゃ・・・?」

小町ちゃんの声に一同がハッとなる。

でも、留美ちゃんにも『ななはちゃん』のアニメとラノベは勧めたい!

そして、どんなに苦しくても諦めず前を向いていて欲しい。

そう、アンジュちゃんのように!

あーしや雪ノ下さんはななはちゃんの様にずっと支え続けるから。

 

「でも、なんだか楽しそう。高校生になったらわたしもこんな風に成れるのかな?」

 

「留美ちゃん?あんたはもうあーし等の仲間なんだし。高校生にならなくても、それこそ今からでも一緒に色々やろうよ?楽しもう?」

 

「うん!」

ようやく留美ちゃんが笑顔らしき顔を見せてくれた。

 

 明日からは留美ちゃんも夏休みの宿題を持って雪ノ下さん家の勉強会に参加する事になった。

 

 

 帰り道。

今日は小町ちゃんが留美ちゃんを家まで送ってくれる事になった。

初めは結衣と相模で送ろうとしたのだが、二人は千葉村で一緒に過ごしていたので、他の子の手前、留美ちゃんだけをエコ贔屓しているように思われたら後々不味いのではないかとなり、小町ちゃんにお願いする事になった。

 

 あーしと比企谷君は久しぶりに二人で自転車を漕いで帰路についた。

国道をを幕張の方に向かって進む。

花見川の手前の小路から入り、花見川の方に向かう。

その先の突き当りの道が花見川サイクリングコースとなる。

四季折々にコースの脇の木々や花々が辺りを飾る素敵な場所だ。

まあ、風が強いから雨の日は危ないんだけどね?

 

 あーしの家はそのコースからほど近い、京成千葉線とJR総武線に挟まれた小さな住宅街にある。

比企谷君もお気に入りの、カレーで有名なシタールも徒歩で五分と掛からない位近い。

 

 

「そういえばさ、夏休みに入る少し前なんだけど雪ノ下さんが比企谷君の脚の事を知ってたのってどうして?」

「あー、それか・・・。」

「なんかさ、雪ノ下さんってかなり前から知ってた素振りも有ったけど、比企谷君を試すような事もしてたと思うんだよね?どうしてなんだろうって思っちゃって。」

「実は、俺が轢かれた車に雪ノ下が乗ってだんだよ。」

「え?」

「ただな?アイツはその車に乗ってただけで、俺がアイツに轢かれた訳じゃない。俺が車の前に飛び出したんだからな?」

「でも、でも・・・。」

「まあ、運転手は大通りを通ろうとしてたみたいなんだけどな?アイツが周りに気を使って人通りの少ない小路を通って欲しいと言ったんだそうだ。それで事故に出くわした。だからアイツは俺に直接謝りたかったそうなんだけどな、親が俺との接触をしないようにとキツク言いつけたそうだ。まあ、家庭の事情ってやつだ。でも納得いかなかったアイツは自分が乗ってたクルマが撥ねた人物を探していたらしい。相手が総武高校の生徒で入学式に来ていた人物という事で直ぐに調べられると思ったらしいけどな?相手が俺だったからな、中々見つけられなかったそうだ。」

そう言えば、そうだよね?

 あーしも四月の半ばに何度かクラスを訪れたけど誰も彼を知らなかった。

クラスに居る事さえ知らない様子だった。

名前やクラスが解っていたあーしでさえ簡単には彼を見つけられなかったんだ。

学年や名前、クラスが解らなければ雪ノ下さんが一人で探すのは難しかっただろう。

 

「あと、学校の方も事故の事はトップシークレット扱いだったしな。」

そう言えばそうだ。

 普通通学途中の生徒が事故に遭えば、ホームルームなり全校集会で注意喚起がされるハズだけど、入学式の後にそういった注意がされた覚えがない。

「この辺は、雪ノ下の家の方から圧力が有ったんだろう。」

「確かお父さんが県議会議員だっけ?」

「ああ、雪ノ下の方に非は無い事故だけどライバルに知られたらスキャンダルになりかねないからな。その辺の事情も理解はできるさ。だから、探すのは結構苦労したそうだ。なんせアイツは友達が居ないからな。」

あー、なるほど・・・。

 

 入学式直後から事故で休んでいる男子生徒という事ならば簡単に絞り込めるハズと思ってんだろうけど、相手が悪かった訳だ。

 

「で、ようやく見つかられたのは二学期になってからだそうだ。それもほんの偶然の出来事だったらしい。」

「え?どんな偶然なの?」

「相模も前に言ってただろう?俺入学式で躓いて、数学がダメだったからな。授業中に寝てたら数学の教師に職員室で怒鳴られたんだけどよ、その時の教師が『四月に長期入院してたからって言い訳にはならんぞ!』と言っていた場面に偶々居合わせたそうだ。俺、数学の教師には良く呼び出されて怒鳴られてたからな。」

えー!

 

 そんな事が一年の時にあったん?

知ってたら、数学をネタにもっと早く近づけたのに!

「で、俺の体の具合とかを観察するようになったんだとさ。時々脚を庇って引きずる様子が違和感あったらしい。体育の授業では普通に走ったりしていたからな。」

「でも、初めて奉仕部の部室に行った時は知らない様子だったんじゃ?」

「家からは接触禁止を強く言われてたろ?どう接していいか判らなかったらしい。けど同じ部活をする以上は何時かお互いに解ってしまうだろうって事で、入部して直ぐ位に家を探して謝罪に来たんだ。丁度小町は塾で俺しか家に居なかったけどな。」

 

 そうか・・・。

雪ノ下さんも彼の様子を知り悩んでいたんだね・・・。

ちょっと接し方が斜め下だけど・・・。

けど、だからと言って彼は譲れない。

この先を一緒に歩むのは、あーしだ。

 

 

  ~~~~~~~~~~

 

 

「へぇ、ホントにシタールの近くなんだな。」

「だっしょ?」

今日は比企谷君が自宅前まであーしを送ってくれている。

小町ちゃんのフォローで、帰りはあーしを必ず自宅前まで送るようにと言い聞かせてくれたからだ。

 

「あれ?優美子?お帰り、そちらは?」

丁度、家の前近くまで来た処で買い物に出掛けていたママが声を掛けてきた。

「あ、ママただいま。こちらが比企谷君。今日はわざわざ送ってくれたの。」

「まあ!あなたが比企谷君?」

ママは興味津々で彼を観察している。

「あなたの事はいつも優美子に聞いていてね?それに娘の命の恩人なのだし、このまま帰す訳にはいかないわ?ちょっと冷たいものでも飲んでいってね?」

そしてそのまま自宅に連れ込んでくれた。

ママ、グッジョブ!

 

 

「・・・。」

比企谷君は固まってしまった・・・。

「えー、あーしの部屋、変・・・、かな?」

「え、い、いや・・・。妹以外の女子の部屋に入るのが初めてで・・・。」

「え?でも雪ノ下さんのマンションには行ってるじゃん?」

「でも、リビングとキッチンだけだろ?個人の部屋には入ってないぞ?」

そう言えばそうだよね?

寝室とかプライベートの部屋には誰も入っていない。

けっして中に入るなと厳重に注意されているし、カギも掛かっているようだ。

 

 ということは、比企谷君が初めて入った女の子の部屋ってあーしの部屋なんだよね?

姫菜じゃないけど、滾る!

 

「突っ立ってないで座って?」

「え?ドコに・・・。」

あ、しまった。

普段友達とかも呼ばないからこの部屋にはベットと勉強机のセットしかない。

「しかし、ホントにマジなんだな・・・。この部屋・・・。」

比企谷君は本棚を見て感心している。

そう、この処友人を部屋に入れていないのは、この本棚が有るから。

本棚の約半分はラノベが占めている。

あと、ななはちゃん関連のフィギュアも。

あーしは比企谷君の手を取り、自分のベットに座ってもらう。

「なんかラノベの趣味がほぼ俺と被ってるんだが・・・。」

「あー、あーし良く解ってないからさ、ネットの評判とかで気になったのを買って読んでるだけなんだけどね?」

そう、比企谷君の後ろを付けて彼が買った本を同じように買っているとは決して言えない。

「そうだ、今度は比企谷君の部屋のラノベも見せてよ。オススメの本が有れば教えて欲しいし。」

「ま、まあ小町の勉強も見て貰ってるしな、それ位はイイぞ?」

とはいえ、夏休みになってから勉強会で雪ノ下さんの家に土日も関係なく毎日集まっているので小町ちゃんの専属家庭教師も休止状態だ。

もしかして、コレも雪ノ下さんの計略?

 なんとか比企谷君の家に遊びに行く口実は無いものだろうか?

幸い合鍵は貰っているので口実さえあれば何時でも行けるんだよね・・・。

 

 コンコン。

ノックの音。

ママはノックの後二呼吸程おいてから戸を開ける。

いや、ママ。

あーし等まだそこまで行ってないから!

そんな気を使わなくても大丈夫だから!

「冷たいものを持ってきたんだけど?いいかしら?」

ママは持ってきてくれたオレンジジュースが入ったコップを机の上に置くと、そのまま比企谷君の隣に座ってしまった。

「あら?優美子?立っていないで貴女も座りなさい?」

しょうがない。

あーしはママと比企谷君を挟む形で隣に座る。

比企谷君は顔を真っ赤にして身動きが取れなくなる。

どう動いても、あーしかママの身体に強く触れてしまうからなんだけどね。

ってか、もう体が密着してるけど?

 

「そうだわ?比企谷君、ご自宅の電話番号を教えて?親としてもご両親にちゃんとお礼を言いたいの。」

「いえ、それには及びません、先日、優美子さんがウチに来られた時に両親には言ってもらいましたので。」

「でも、それでは私たちのメンツが立たないわ?一度は主人と一緒にご挨拶にも行かないと私達だけじゃなく、優美子も世間知らずと笑われるもの。」

「あー、でも俺が優美子さんを助けたのは偶々偶然です。感謝されたいとかそういうつもりは無くてですね・・・。」

「だからこそよ?相手が誰か解って助けるのって打算よね?あなたは誰とも知らない人や子犬を助けるために自分を犠牲に出来る人なの。だからこそ優美子もあなたに惚れたのよ?その優美子や私達親の顔を立てさせて欲しいのよ。」

ママ・・・。

あーしの事を応援してくれてるん?

 

 ママは比企谷君から自宅とご両親の電話番号を聞き出し、部屋を出て行った。

夕食を一緒に食べましょうと言って。

これには比企谷君も抵抗したのだが、妹の小町ちゃんも呼ぶ事で手打ちとなった。

比企谷君のご両親は共働きで平日の帰りが遅い。

この処は比企谷君が小町ちゃんや両親の夕食の用意をしている。

専業主夫を目指すって言ってたけど、半分はもう専業主夫だよね?

 

「なんかさ、ママが強引でゴメンね?」

「いや、大丈夫だ。もう慣れた。」

「へ?」

「いや、ホント母娘って似るのな。三浦が二人いるみたいだった。」

ちょ!

それ誉めてるの?貶してるの?

 

 

「ごちそうさまでした!ホント美味しかったです。いつも優美子さんには勉強も教えてもらってて、ホントに良くしていただいているのに夕食まで呼んでいただけるなんて夢みたいです。」

小町ちゃん、ちょっと大げさすぎない?

比企谷君も緊張していたけど、小町ちゃんも初めは結構緊張しての夕食だったけどママとも打ち解けて話をするようになった。

 

 二人が帰る時には、ママがプラスチックの容器に今日の夕食のおかずとかを詰め合わせて用意して手渡してくれていた。

コレから帰ってご両親の夕食の用意は大変でしょうと言って。

 

 ママの気遣いには、あーしも当分は頭が上がらないな・・・。

 

 

 その日の夜。

あーしは小町ちゃんから衝撃のメールを受け取った。

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