やはりあーしの青春ラブコメはどうかしている。   作:Vierres

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第13話  Vacation 3

 

 

「では、今日はこの辺にしましょうか?」

八月になって少しずつ日が短くなっていると言うけれど、まだこの時期はそれを体感出来るほど日が短くなってはいない。

 

 時刻は午後6時過ぎ。

小町ちゃんと大志君が自転車で留美ちゃんを家まで送る為に、先に雪ノ下さんのマンションを出た。

あーし達は雪ノ下さんの家の片付けを行ってから、それぞれの家に帰宅する。

 

「そうだわ?大切なことを言い忘れていたのだけれど、明日と明後日は用事が出来てしまったので勉強会をお休みさせてほしいの。」

雪ノ下さんの声に結衣も相模もうなずく。

「じゃあ、大志君には沙希経由で連絡しておくね。」

「留美ちゃんにはウチが連絡しておくよ。」

 

「ごめんなさいね?急に用事が決まったモノだから皆に伝えるのを忘れていたの。」

「もー、ゆきのんも結構オッチョコチョイなんだからー。」

 

 ふーん、そう来たか・・・。

 

「あー丁度良かった。あーしもその日は用事が有ったんだー。比企谷君、数学教えられないけどゴメンねー。」

「あら三浦さんも?奇遇ね?」

「雪ノ下さんもね・・・?」

 

 ふふふ・・・。

 あははは・・・。

 

 二人は怪しく笑いながらも部屋の片付けを行い、三十分ほどで完了すると皆雪ノ下さんのマンションを後にした。

 

 

 この処、あーしと比企谷君は自転車で家路につくのだけど、ママが夕食のオカズを作っておいてくれて、家まで送ってくれた比企谷君に持たせてくれている。

 初めは比企谷君も断っていたけど、小町ちゃんの為という言葉に負けて大人しく持って帰るようになった。

「いつもいつもすいません。本当に助かります。」

「あら?気にしないでね、八幡君。大したものは作ってないしね?」

「いえ、小町もすっげー喜んでますし、両親も恐縮しっぱなしで・・・。」

「いいのよ。ご挨拶も遅くなっているんだしね?だから食べたいものとかのリクエストが有れば、遠慮なく言ってね?」

 

 明後日の土曜日はあーしの両親が比企谷君のお家にご挨拶に行く予定だ。

そして、小町ちゃんから聞いた衝撃の事実。

 なんと明後日、八月八日は比企谷君の誕生日でもある。

 比企谷君は小町ちゃんに自分の誕生日の事を黙っているように言っていたのだけど、あーしの両親が挨拶に行くという事で、黙っているのがバレたら困ると思った小町ちゃんが夜にこっそりメールで誕生日の事を教えてくれた。

 

 なので、あーしもコッソリとサプライズでお祝いをしたいと考えているんだけどさ?

今日の雪ノ下さんのアノ態度が気になる。

 

 ってか、何か企んでいるよね?

 

 ってか、比企谷君の誕生日をどうやって知ったんだろう?

 

 本当に雪ノ下さんは侮れない。

とはいえ、あーしだってそれなりの対策はしているつもり。

その為の秘密のアイテムだって有るんだし?

 

 

「おーい、小町。風呂あがったぞー。お前も早く入れ・・・は?」

「あら、比企谷君。こんばんは。」

「え?なんで居んの?」

「あー、お邪魔してるねー。」

「ええ?三浦まで・・・。いったいどうして・・・。」

 

「そんなの、小町さんとの女子会に決まっているでしょう?」

「そんなの、小町ちゃんとの女子会に決まってるし?」

 

 

 実は、あーしと雪ノ下さんは比企谷君の自宅前で鉢合わせしてしまっていた。

 

「は?雪ノ下さん?こんな時間にココで何してんの?」

「それは、此方のセリフなのだけれど?三浦さんこそこんな時間に何をしているのかしら?」

「あーしは小町ちゃんの専任家庭教師だし?いつでも来てくれて良いって、お母さまから合鍵も預かってるし?」

「な!なんですって?合鍵?」

「だから言ったっしょ?あーしはもうご両親にもご挨拶してるってさ。」

 

 と言う一悶着を経てあーしと雪ノ下さんは比企谷君の家に入った。

勿論、あーしが持っている合鍵でだ。

 比企谷君の家は一階が車の車庫とお風呂、トイレに物置部屋でリビングやキッチンは二階にある。

比企谷君と小町ちゃんの部屋は三階に有るのだ。

 あーしと雪ノ下さんが玄関に入った時はタイミングよく(?)、比企谷君がお風呂に入った処だった。

なので比企谷君は来客に全く気が付いていなかったのだ。

 

 

「で、小町はどこだ?」

「あ、おにーちゃん。お風呂あがったんだね?じゃあ、優美子さん、雪乃さん。私達もお風呂に入りましょう。」

小町ちゃんは用事が有ると言って自室に戻ていたんだけど、リビングに帰って来た。

そこからは小町ちゃんの仕切りで小町ちゃん、あーし、雪ノ下さんと順番にお風呂に入る。

 

 それにしても小町ちゃんの胆力は凄いと思う。

あーしは一応、前もってメールで泊まりに行く旨を伝えていたんだけれど、雪ノ下さんは完全にアポなしだ。

 けれど、小町ちゃんはすんなりと状況を受け入れて雪ノ下さんを招き入れてしまったのだ。まあ、勉強会の主催者を追い返したら後で困るってのは少し有るかもだけどさ?それよりも小町ちゃんにとっては、雪ノ下さんも姉候補の一人だ。

 比企谷君は中学時代、不毛というか暗黒の刻を過ごしていたんだけど、中一の小町ちゃんにとっても辛い時期だったそうだ。

だからなのか、今の兄の周りの状況がキラキラしていて嬉しいんだそうだ。

そう言われると、あーしも小町ちゃんに文句が言えなくなる。

 

 

  ~~~~~~~~~~~

 

 

「コレが男の子の部屋なのね?」

雪ノ下さんの目が獣だった。

 

 まあ、あーしも男の子の部屋って入ったのは初めてかも?

幼稚園くらいの時は有ったのかもだけど、覚えてないしさ?

それに、比企谷君の部屋・・・。

あんまモノが無い。

 

 大きな本棚には文学書からラノベまで節操がないし?あと、フィギュアが少し有るけどさ?しっかりとアンジュちゃんとななはちゃんが居る!

うんうん!

比企谷君、解ってる。

 

「あら?このポスターは・・・。」

 ん?

あ、ベットの上の天井にアンジュちゃんのポスター・・・。

比企谷君、毎晩このポスターを見ながら寝てるんだ・・・。

 

「おい!お前ら小町の部屋に行ったんじゃないのかよ!」

実はあーし等は比企谷君が帰宅したご両親の夕食の用意をしにキッチンに行ったのを見計らって、部屋に突撃していた。

「ご、ごめん・・・。高二男子の部屋って前々から興味が有って・・・、つい。」

「あら?ではお詫びに今度は私の寝室に招待するわね?」

「いや、そういう事じゃなくてだな、雪ノ下・・・。っておい!なんでベットの下をゴソゴソしてる!」

どうしたん?雪ノ下さん。

今夜は落ち着きがないけど?

ってか、テンションがメッチャ高いし?

こんな可笑しなテンションの雪ノ下さんは初めて見たよ。

 

 でも、あーしは天井のアンジュちゃんのポスターを見て思う。やっぱり比企谷君もアンジュちゃんのファンだよね?

 

「可笑しいわね?何も無いわ?男子高校生ならばエッチな本がベットに下に隠しているというじゃない?そう聞いていない?三浦さん。」

「いや、流石に男の子の前でソレは引かれるんじゃ・・・、特に雪ノ下さんの普段のイメージが音を立てて崩れてるんですけど?」

「そういえば、三浦さんは何度か此方にお邪魔しているのよね?比企谷君の部屋は普段からこうなのかしら?」

「いや、あーしも比企谷君の部屋に入るのは初めてだし?それに男の子だからこそ女子には見られたくないモノもあるんじゃないん?ソコは気を遣おうよ雪ノ下さん。」

「ご、ごめんなさい・・・、つい舞い上がってしまっていたわ・・・。」

「と、兎に角お前が探しているような物はこの部屋にはないから落ち着け雪ノ下。」

「あら?ではパソコンの中かしら?」

雪ノ下さんの目が獲物を物色する獣の目だった。

比企谷君も思いっきり引いてるし・・・。

なんかさ、雪ノ下さんの今日の雰囲気ヤバいよね?

明後日の比企谷君の誕生日のプレゼントに自分にリボンを付けて、どうぞとか言いそうな雰囲気なんですけど?

 

「なぁ、雪ノ下?突然家に来てその異常なテンションはどうしたんだ?普段のお前らしくないぞ?」

比企谷君がため息交じりに呟いた。

 

「どう接して良いのか・・・、解らないのだもの・・・。三浦さんとの差は開く一方なのよ・・・。」

雪ノ下さんは寂しそうに呟く。

「今までに気になった異性は居ないのよ。私はコレが愛情なのかどうかも解らないの、でも比企谷君の事を考えると胸が苦しいのよ・・・。」

「おい・・・、雪ノ下・・・。」

「あー、もしかして雪ノ下さんってば初恋なん?」

「ええ、そうかもしれないわ・・・。でも解らない・・・。」

 

 そう言えば平塚先生が以前に言っていた。

この二人は他人との接し方が解らないのだと。

 だから自分一人の問題にはしっかりと立ち向かえるけど、他の人を巻き込む問題には自分を犠牲にしないと立ち向かえないんだ。

 

どんな苦難でも自分自身をベットして賭けに臨む。

それは危ういと思う。

 

「雪ノ下さん?そういうコイバナは小町ちゃんとあーしの三人でしよ?」

あーしは雪ノ下さんの手を引き、小町ちゃんの部屋に行った。

 

 結局、あーしら三人は朝まで話し込んでしまったんだけどね?

 

 あと、あーしが明け方にウツラウツラしてる時に台所でご両親の朝ご飯を用意するとか卑怯じゃない?

一人だけポイント稼ぐとかさ?

 

 で、あーしと小町ちゃんが気が付いたら帰ってしまっているし。

まあ、明日にはあーしん家の両親が来る予定なんて知らなかっただろうしね。

彼女には、ちょっと悪い事をしたかもしんないな・・・。

でも、おかげで比企谷君の貞操の危機は回避できたはず。

 

 まあ、結局翌日はあーしも両親が来てのご挨拶だったり、一緒に外食したりと忙しい一日だったし、前々夜の徹夜とかが響いて誕生日プレゼントとかもちゃんとしたのは渡せなかったんだよね・・・。

 せめて後一週間時間が有ればと悔やまれる処だけど?

 まぁママが気を効かせてくれてバースデーケーキを持ってきてくれたので、両家を挙げての誕生日会にはなったんだけど。

 

 

  ~~~~~~~~~~~

 

 

「で?なんで全員いる?みんな花火大会?」

 

 8月9日の日曜日の夜。

この日は千葉みなとのポートパークで花火大会がある。

 小町ちゃんが気を効かせてくれたのか、花火大会で売っている物がいくつか欲しいと言い出してくれてあーしと比企谷君の二人で買い出しのついでに花火を見に行く事になった。

 で、朝から雪ノ下さんのマンションで勉強会に臨み、帰りに二人で花火を見に行く約束だったんだけどね?

 こういうイベント事には抜け目のない相模が皆を扇動して、比企谷君には内緒で勉強会に参加している全員で行くことになってしまったんだけど、待ち合わせ場所に集合していたら、呆然としている比企谷君の第一声がそれだった。

 

「ってか、なんで小町が来てんの?俺来る必要なかったよね?コレ。」

 元々は小町ちゃんがあーしに気を使って買い出しの名目でセッティングしてくれた花火デートだったもんね・・・。

 

「いやー、まあ色々とありまして・・・。小町も来年以降の人間関係を考えると、こういうことになっちゃいました。てへっ。」

小町ちゃん・・・、比企谷君も頭を抱えてるけど?

 

 

 待ち合わせ場所は稲毛海岸駅南の藤棚の下。

 ココはベンチとテーブルが有り、地元の人達が夕方には集まってマリンピアで買って来たお摘みとお酒でプチ宴会をしている姿をよく見る処だ。

 

 女子は皆集合まで短い時間だったけど、ちゃんと浴衣に着替えて来てるんだけど、男子の比企谷君と大志君は昼間の格好そのままじゃん?

 

 比企谷君?一応元々はあーしとのデートだったんだよ?

まあ、このメンツでならその普段着の方が安全だから良いんだけどさ?

 

「わたしが来ても良かったの?」

留美ちゃんは相模と結衣が誘って連れてきていた。

「留美ちゃん、あーし等の間柄なんだし気を遣わないでよ?」

まあ、この子もあーしの妹みたいなもんだよね、もうさ。

勉強会にも毎日来てるしね。

 

留美ちゃんはデジカメとかも持ってきてるんで皆で一緒に記念撮影とかもした。

「帰ったらお母さんにも見せる。」

留美ちゃんは嬉しそうにはにかむ。

 

 

 結局は総勢十二人。

あーし、比企谷君、小町ちゃん、雪ノ下さん、結衣、姫菜、留美ちゃんに沙希の姉弟達のフルメンバーだ。

「こんなにメンツが多いと誰が誰だか判らんな・・・。」

比企谷君、それはちょっと・・・。

 

 とはいえ、流石に十二人で一緒に行動は難しいので四人ずつ三つの班を作って会場まで移動する。

沙希の妹と下の弟は沙希と大志君が手を引いている。

 もしも途中で逸れたらドコで待ち合わせをするのかとかは綿密に打ち合わせもした。

一番危ないのは言うまでもなく雪ノ下さんなんだけどね?

 

 その雪ノ下さんは今回はなんと、実家に掛け合ってくれたおかげで花火大会の貴賓席に入ることが出来るんだそうだ。

 人混みの中で汗だくになりながら花火を見上げるのではなく、開けた小高い丘の処での花火鑑賞って、なんかワクワクするよね?

 ただ、問題はその場所には雪ノ下さんのお姉さん『陽乃さん』が居るんだよね。

今から対策を考えておかないと・・・。

そうだ、イザとなったら旨く相模をけしかけよう。

 

千葉みなと駅を出ると、既に人だかり。

花火会場までの途中の道では、脇に色々な屋台の出店が並ぶ。

こう言う処で食べる、たこ焼きとか焼きそばってどうして美味しいんだろうね?

あー、でも今夜はあーしは我慢するよ?

だって、歯に青のりとか付いてしまったら困るでしょ?色々と。

 

「ほら、三浦さん?たこ焼きは如何かしら?とっても美味しいわよ?」

って!

雪ノ下さん、無防備過ぎ!

 そう言えば、雪ノ下さんは今まで友達と一緒に花火とか観に行った事が無いという。

 彼女は自身の戸惑いに面食らってしまって、おおよそ普段はしない突飛な行動を執ってしまうんだろう。

「雪ノ下さん?ほらお水。一口含んで口の中を良く濯ぎなよ?美少女の歯に青のりと

かって、百年の恋も冷めるからね?」

あーしは手に持っていたペットボトルのミネラル水を雪ノ下さんに手渡した。

「え、ええ。ありがとう。気が付かなかったわ・・・。」

口の周りにソースや青のりが付いた雪ノ下さんって、初めて逢った時の深窓の令嬢感が完全になくなってるんですけど?

 それ、女子力低すぎるよ?

ラノベとかだと、別の意味での需要は有るけどねー。

 

 

 そんなこんなが在りながらも、花火会場の公園の入り口に来た処であーし等は思い掛けないトラブルに遭遇してしまった。

 

「おい、お前らちょっとこっちに来い。」

数人の女の子(?)達が三人組の男に因縁を付けられている。

その子たちの顔が街頭に照らされた時、留美ちゃんが「あっ」と小さく声を上げ、相模と結衣もその子達に気が付いた。

千葉村で留美ちゃんをハブっていた子達のようだ。

 

「おめーら、なんか調子乗ってんな?ちょっと痛い目に遭わんとダメなんじゃね?」

「だな?コイツ等小学生か?世間の怖さを教えてやろうぜ?」

「あと三~四歳上だったら、痛い目には合わなかったんだけどよ?」

男たちは下卑た笑いで、小学生達を威嚇し始めた。

「ご、ごめんなさい。悪気があったんじゃないんです・・・。」

「も、もう生意気な口をききませんから、帰してください。」

 

 

「あー、やらかしちまったなー。」

「どうしたん?比企谷君。」

「アイツ等千葉村で上手く八潮達をやり込めたんだろう?それで気が大きくなったんだろうな。この人混みだし何かあれば周りの大人が何とかしてくれるとか考えていたんじゃないか?学校行事じゃないからな。周りの大人は見て見ぬふりだしな。まあ、アイツ等にはいい薬にはなるだろうけどな。」

「でも、放置して大丈夫なん?」

「そうだな、少し様子をみて考えよう。」

「警察とか近くにいる人を呼ぼうか?」

「いや、警察とかが直ぐに出てきて助かったら、下手すると余計につけ上がるぞ?そうなったら今度こそ取り返しが付かなくなる。」

 

 あーし等は様子を見守りながらも、会場を警備している警備員や警察官を探しておくイザという時には、そういう力を借りないといけないからだ。

 

 

「ユカがあんな事言ったからだよ!」

「違う!ヒトミが先にいったからだよ!」

「そうじゃないよ、モリちゃんの態度が悪かったからだよ。学校でも先生に何時も生意気な態度をとってたじゃん!」

「そんなの今関係ないでしょ?」

「そうだよ!ユカが失礼なことを言ったんだよ!」

彼女たちは怖さのあまりとうとう仲たがいを始めた。

けれど三人組の男たちはお構いなしの様子だ。

 

「そろそろ頃合いだな・・・。留美?これはあいつ等に復讐するいい機会なんだが、お前はどうしたい?」

 

「・・・、助けてあげて・・・。」

「解った。」

比企谷君は何かを留美ちゃんに囁くと相模と結衣に警察官を呼んでくるように言いつけて騒動の渦中に向かって行った。

 

「あのー、スイマセン。その子達ちょっとした知り合いの知り合いでして・・・。」

 

「あー?おめーコイツ等の保護者かぁ?」

「あー、いや・・・、知り合いの知り合いって言うか?全く知らん子っていうかね?でもまぁ、この状況は放っておけないというかですね?」

「やんのか?おい!」

そのタイミングで比企谷君の陰から留美ちゃんが出て。

「あの!」

留美ちゃんが手に持っていたデジカメのストロボを連射モードで光らせた。

 

「うわ!」

「まぶし」

「目が!」

男たちが怯んだスキに留美ちゃんが女の子達の手を取り、駆け出した。

 

「留美ちゃん!こっち!」

「お巡りさん!コッチです!」

相模と結衣が女の子達を逃がすように駅の方に連れて行き、駆け付けた警察官達が男達を取り押さえる。

 

「まあ、人間は窮地に追い込まれると本性が出るし、他人なんてどうでも良くなるモンだ。これで留美の周りの奴らの人間関係がバラバラになっただろうから問題の解消はできると思うがな・・・。」

「解決ではないのね・・・。」

「解決ってのは当人同士で折り合いをつけるしかねーだろ?そう言うのは俺らの役目じゃねーよ。」

 

 

「とりあえず、あの子達を駅まで送って電車に乗せてきたー。」

「おー、相模。すまんな。」

「相模、お疲れ。」

あーしはペットボトルの水を手渡した。

 

「花火を見たいってダダこねてた子も居たけどね、あの男達に見つかったら今度こそ酷い目に遭うよって言ったら、しぶしぶ帰っていったよ。」

結衣もちょっと疲れてる。

ホント駅まで結構な距離を下駄で往復してくれたのには感謝。

「まあ、四人とも気まずそうにはしてたけど、留美ちゃんには助けてくれて有難うって言ってたから、二学期からはちょっとは雰囲気良くなるんじゃないかな?」

相模、よく見てるよね。

 

「留美ちゃんもお疲れ。さあ、今度こそ花火を見に行こう。」

あーし達は会場の貴賓席に向かって、もう一度歩き出した。

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