やはりあーしの青春ラブコメはどうかしている。   作:Vierres

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幕間 2 やはり平塚静の婚期は遠い。

 

 

 

「おー、比企谷!三浦!」

 

 なんだか綺麗な女性がコッチをみてるなー、って見とれていたら平塚先生だった。なんか、バッチリとメイクもしててドレスアップもしてて、普段でも美人だけど、もう別人のようだ。比企谷君もボーっと見とれているし。

 

 その日のあーしと比企谷君は、雪ノ下さんのマンションでの勉強会を終えて、プレナに買い物に立ち寄ろうとしていた。

 ちょうどその日は夕方から、小町ちゃんがクラスの友達同士で船橋の花火を見に行くのだとかで、勉強会が終わるとダッシュで帰宅していった。

 大志君も一緒に行きたそうにしていたが、小町ちゃんからは留美ちゃんを自宅まで連れて帰る様に頼まれてしまっていた。

 で、小町ちゃんは今夜は晩御飯は要らないって事だし、比企谷君はあーしの家で夕食を取るように誘ったら、比企谷君は丁度、買いたい本の発売日だったという事で、近場にあるプレナにやってきたんだけどね?

 凄い美人が居るなと思って立ち止まって見てたら、それが平塚先生だった。

 

「げ、先生・・・。」

比企谷君は余程嫌だったのか、絶句してるし?

「こんばんは、平塚先生。」

あーしはちゃんと挨拶するよ?

 

「あー、君達。丁度いいところで会ったな。ちょっと部活の大事な話が有るから、向こうへ行こう。」

平塚先生は問答無用で比企谷君を引き摺って歩き出す。

「あの!先生、あっちにいる人達は大丈夫なんですか?」

なんか、あっちにいる人達が「静ちゃん!」とか言ってますけど?

「いや、あっちは気にしなくていい。とにかく早く向こうに移動しよう。」

平塚先生は、急かす様にあーし等を引っ張って行く。

 

 

「いやー、二人ともすまんな。」

平塚先生はあーし達を駅北口のロータリーにまで連れてくると、ようやく立ち止まった。

「ちょっと、先生。俺ら買い物が有ってプレナに行くところだったんですけど?」

「それに、自転車を向こうに置きっぱで・・・。」

「まあ、細かい事は許せ。デートの邪魔をしたお詫びに、ラーメンをご馳走するからな?な?いいだろ?」

え?デートに見えた?

「いや、デートじゃないんで。」

そこ!

速攻で否定しないでよ。

「雪ノ下ん家でやってる勉強会の帰りに、プレナの本屋に寄ろうと思ってたんですよ。今日は欲しい本の新刊が出てるはずなんで。」

「比企谷。プレナの本屋って『熊笹書店』の事か?それなら先月末で閉店したぞ?」

「「ええ?」」

あーしと比企谷君は同時に驚く。

あーしもソレ、知らなかったよ!

先月の期末試験の後に、普通に本を買ってたけど・・・。

 

「ラノベなら、未来屋が品ぞろえ良くておススメだぞ。幕張新都心のイオンにあるだろ。」

平塚先生、どうしてあーし等がラノベを買いに来たか知ってるんです?

ってか、平塚先生もラノベとか読むの?

 

「解りました。じゃ!」

平塚先生から離れようと比企谷君は踵を返すが、平塚先生は比企谷君の襟首を素早く掴む。

「まあ待てよ。ラーメン位ご馳走するから。」

「いや、それ絶対にメンドクサイ案件だろ。大体、そんなドレス姿で、本当にラーメンを食いに行く気ですか?」

「あー戻って着替えるのも面倒だしな。良いじゃないか!比企谷。両手に花だぞ?」

「片一方が枯れかけてるんですけ、ぐほ・・・。」

「私はまだ二十代だ!枯れかけてなどいない!」

相も変わらず、比企谷君の失礼な言葉に平塚先生の鉄拳が唸る。

 

 

「まーったくもう・・・、従妹の結婚式に来てみれば親戚のおば様連中から、『静ちゃんの式は何時かしら?』の半分嫌味みたいな質問攻めだよ!私だって結婚したいよ!出会いが無いんだから仕方がないじゃないか!教師なんてなサービス残業の塊だぞ?生徒が不祥事を起こしたら夜中でも呼び出しがあるしな!夏休み?そんなの有る訳ないだろ!せいぜい定年が無いくらいだぞ?メリットなんて。」

 

 結局、あーし等は平塚先生に連れられるままラーメン屋に来てしまっていた。

比企谷君が嫌がった通り、あーし等は先生の愚痴の聞き役だ。

「あーでも、産休とかはしっかりと取れるんですよね?」

つい、あーしも聞いてしまった。

「三浦!その産休を取る為には相手が要るだろう?その相手との出会いが無いんだ!どうすれば、出会いがある?この前も陽乃に合コンをセッティングしてもらったけどなぁー。男はみんな年下で私の事なんて眼中に無いんだよ!どうすりゃいいんだよ!これじゃ、何時まで経っても産休を取るどころか結婚が出来ないじゃないか。」

 

 ラーメン屋までの道中、比企谷君はこっそりとあーしに「平塚先生の言葉に突っ込むなよ?俺みたいに鉄拳を食らうぞ?」と注意してくれたけど、あーし、つい忘れてたよ!ラーメン屋で絡まれるとかもう最悪なんですけど?

 

「なあ比企谷、どっかに独身の良い男はいないか?」

「いや、俺に聞くとか、もう詰んでるでしょ。そういうのは葉山とかに聞いて下さいよ。」

「あー葉山なー。アイツは優等生過ぎてつまらんからなー。」

まあ、その気持ちは解らなくはないけど?

「あ、そうだ!どうだ比企谷、お前ウチの両親とちょっと会ってみないか?」

「はえ?」

思わず間抜けな声を出してしまった。

「取り合えずだな、結婚前提の彼氏が居るって事で両親を安心させておいてだな、その間に本命を探す時間を稼ぐ訳だ。」

「そんな先生、比企谷君でなく隼人との方がご両親が安心するんじゃ・・・。」

「いや、葉山あたりだとかえって嘘くさい。その点比企谷は適当に生活に疲れた感じもあるし、スーツでも着せれば十分に社会人で通用するレベルだ。」

「でもでも!そう言うのはちょっと違うんじゃ!」

「何が違うんだ?三浦。とりあえずは問題の先送りをすべきだろ?この場合。」

「まあ、問題を先送りしておいて、その間に次の手立てを講じる。ってのは間違っていないと思いますけどね。ただ、それに俺を利用するとかは勘弁してくれ。」

「まぁそう言うなよ。お前にもメリットが有るぞ?」

「「メリット?」」

あーしと比企谷君が思わずハモる。

 

 

「そうだな・・・、先ずは私の心象が良くなるし鉄拳制裁も無くなるぞ?私だって彼氏に暴力は振るわんしな。」

「いや、そもそも俺への暴力を止めろよ。いい加減、教育委員会に訴えるぞ。」

「そういうなよ。これも愛の鞭だ。」

「そんな愛は、要らない!」

「でも私と結婚したらお前の将来の夢である専業主夫になれるぞ?私は公務員だし産休とか取れるからな、老後も安泰だぞ?」

「先生、なんかさっきから聞いてると結婚する流れになっていませんか?フリなんですよね?」

あーしなんだか不安になって来た。

「三浦・・・。こういう諺もあるだろう?『ウソから出たマコト』。付き合ってるフリをしている間に本当の恋に落ちるとか、SSとかなら定番だろ?」

「そ、それならもう少しガタイがいい三郷君とか八潮君、大和辺りでどうですか?あの三人もおっさん顔ですよ?」

「三浦、お前何気にひでーこと言ってるな。まあ確かに専業主夫は夢ではあるが、フリに対するメリットが無さ過ぎなんでお断りします。」

「そうです。教師と生徒とかってフリでも学校とかにバレたら不味いです。そんなのはナシです。どうしてもっていうなら戸部とかでどうですか?」

「ひ、比企谷は私の事がキライか?私じゃダメか?」

「いや、ダメだろ色々と!俺はタバコをプカプカ吸ってるヤツはダメなんだよ!」

「じゃ、じゃあ、タバコを止めたら付き合ってくれる?」

 

 おいおい!

平塚先生!

 

 そこ、上目遣いで言うなよ!

ドレス姿だから比企谷君もドギマギしてるでしょ?

 

「あと、酒とギャンブルもダメです。少年漫画はイイですけど、もう少し女らしくしてください。そうすれば先生にお似合いの将来有望な奴を、紹介します。それで手を打ちませんか?」

 

「うん・・・。」

 

 ようやく平塚先生が大人しくなった。

 なんか、塩味の美味しいラーメンだったハズなんだけど味がすっかり解らなくなる位には衝撃の連続だった。

 

 ラーメン屋を出て平塚先生から解放されたあーしと比企谷君は、自転車を駐輪場に取りに来た道を戻っていく。

「ねえ、そういえばさ、さっき先生に誰かを紹介するとか言ってたけど、誰かあてでもあるん?」

「あー、まあ、あの場じゃそうでも言っとかないと、俺がヤバかったからな。とりあえずは問題を先送りした。」

なんか、比企谷君らしい対応なんだけど・・・。

「まあ、将来有望とは言ったがどれ位の将来かまでは明言していないしな。イザとなったら、材木座でも紹介しておくよ。アイツも妙におっさん臭いし。」

比企谷君・・・。

 

 いや、なんかあーしも妙に似合ってる絵が浮かぶから!

確かにラノベとかでひと山当てるかもしれないしね。

どれ位先になるかは、あーしも知らんけど。

 

 いずれにしても、平塚先生の婚期はまだまだ遠いんだろうなぁ・・・。

 

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