やはりあーしの青春ラブコメはどうかしている。   作:Vierres

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お待たせしました。

あーしさんと八幡の出会いの秘密が語られる今回のお話。
色々とわかりにくい伏線が交錯して申し訳ありません。

よろしければ暇つぶしついでに読んでいただければと思います。


第3話 Class change 1

 

 

 

 二年F組。

 

 あーしは中庭の掲示板に貼り出された、クラス別けの発表を見て心のザワツキを抑えられない。

 なぜなら、彼が同じクラスに居るのだから。

 一年の時はクラスが離れていて、しかも向こうのクラスはトイレからも一番遠い教室だったから、わざわざそのクラスの教室に行くわけにもいかず、そのクラスの女子と仲良く成れないかと必死だった。

 

 友達さえいれば、別のクラスでも遊びに行くことは可笑しなことではない。とはいえ、そのクラスにはあーしの中学からの知り合いは誰も居ないし、あーしのこのズケズケと物を言う性格が原因でもあるんだけど、そんな都合よく友達も出来なかった。

 

 いや、クラス内では普通に友達も出来たからね?

 

ホントだよ?

 

 あーしは、誰にも相談できず一人モンモンとした生活を一年過ごしてきた。

でも、そんな生活とも今日からはオサラバだ。

 

「では、私がこのクラスの担任を務める現国の平塚だ。一応この学校の卒業生でもあるから授業の事以外でも悩み事とかあれば、気兼ねなく相談してくれたまえ。」

 

 担任の教師は凄くキレイな女の人だ。

見ると、男子の何人かは平塚先生の胸を凝視している。ホント男子って・・・。

 

 で、あの人は・・・?

 

は?

 

 なんか、一人、船を漕いでるんだけど・・・。

昨日遅くまで勉強してたとか?

確か、風の噂では文系科目の成績が凄く良いらしいとか聞いた。

 

「うーん、どうも退屈そうにしている者も居るようだし、一人ずつ前に出て自己紹介をしてもらおうか?ついでにクジを作って来たからな、改めて席替えをしようか。出席番号順の席ほどつまらんモノもないからな。」

 

 あーし等は一先ず、出席番号順に指定された席に座っていた。

そのお陰で彼とは遠すぎず、近すぎずの微妙な位置関係だった。

 おお?これは運が良ければ隣の席とかに成れるチャンスかも?

 

 あーしは机の下で密かに拳を握る。

 

 見ると、周りの女の子達も気になる男子が居るのか、ソワソワしだしている。

うんうん、解るよ。その気持ち。

 

 

「おい、そこの居眠りをしているヤツ!君の番だ。前に出て自己紹介したまえ!」

 

 順番に自己紹介が進む中、彼は完全に寝落ちしていたようだ。

平塚先生の怒鳴り声でようやく目を覚まし、周りをキョロキョロと見渡している。

 

「起きたのなら前に出て自己紹介してから、教卓の上の箱からクジを引きたまえ。」

 

 彼はコクリと頷き、席を立った。

 

「へぁ、あっと・・・、ひ、ヒキガヤハチマンです。よろすく・・・。」

 

 彼は思いっきり噛みながらしどろもどろに自己紹介を終えると、クジを引いてから元居た席に戻っていった。

 

 

 彼こそあーしが入学以来、いや一年半前のあの日から密かに想いを寄せている人物。

 

 比企谷八幡。

 

~~~~~~~

 

 アレは一年半前、総武高校の文化祭を観に行った帰り道。

 あーしは同級生の女友達と二人で、駅までの道を楽しくおしゃべりしながら歩いていた。

 

 話題の中心は講堂のステージで大取に行われた演奏だ。

 

 凄い美人のお姉さんが中心となって演奏された曲はオリジナルの曲なんだろうか?

あーしが密かに総武高校の受験への闘志を燃やしていたその時・・・。

 

 

「あぶない!」

 

 叫び声に振り向くと、クルマがあり得ない方向から道路を横切り、あーし達の方に向かって突っ込んでくる。

 

「どいて!」

自転車に乗った男の子が、そう叫びながらあーしと友達を突き飛ばしてくれて・・・。

 

 がっつしゃーん!!

 

 大きな音が響いて、自転車がおかしな形にひしゃげているし、カバンの中身?が辺りに散らばっている。

 

 幸いあーし等を突き飛ばしてくれた男の子も、大きな怪我はしていないようだったけど、少しビッコを引きながらも壊れた自転車を見て呆然としている。

 

「あ、あの助けてくれてありがとう。あーしは三浦優美子といいます。で、こっちの友達は、下田真理ちゃんです。あなたの名前と連絡先を教えてください。」

「え、あ、いや・・・。」

「壊れた自転車とか、弁償させてください。あーし、パパとママに相談するので。」

「あ、そ、それは多分、クルマの運転手の方からの補償でなんとかなるかも?だし、気にしなくても良いと思う・・・、ケド・・・。」

「あ、でも服も破れてるし、擦り傷だって・・・。」

「ふ、服はユニクロの安い奴だし、傷はほっときゃ治る・・・、から・・・。」

「じゃあ、せめて名前と連絡先だけでも・・・。」

あーしはポーチから携帯を取り出したのだけど・・・。

 彼は無言のままケガをした脚をひきづりながら、地面に散らばったカバンの中身を拾い集めている。

 見ると文庫本のカバーが外れて、表紙に金髪の美少女のイラストが描かれた本が数冊散らばっている。

 こういう小説とか好きなんかな?

 あーしと真理ちゃんも散らばったカバンの中身を一緒に拾い集めて、彼に手渡した。彼は文庫本を受け取るとき、ばつの悪そうな顔をして恐る恐る受取り、カバンに仕舞い、携帯電話を手に取った。

 

「あ・・・、お、俺・・・、携帯の電池切れてる・・・。」

 

 

 結局、彼、比企谷八幡君は自分の携帯電話の番号を覚えていなかったので、あーしの番号をメモに書いて手渡した。そうこうしているうちに、警察もやって来てあーし達は状況の説明をした。

 幸い、あーしも真理ちゃんも突き飛ばされたときににも尻もちを着いただけで、大した事は無かった。けど八幡君は少し脚を引きずっていた。軽い掠り傷だと言っていたけど・・・。

 そして八幡君は事故の目撃者という事で、警察官から色々と質問を受けていてあーしはそれ以上彼と話すことが出来ず、気が付いたら彼は自転車を置いていなくなっていた。

 

 帰宅して両親に事情を説明したら、どうして自宅の電話番号を聞かなかったのかと小一時間説教をされた。

 でも、こちらの連絡先を渡しているので、そのうち連絡をくれると思っていたんだけど、彼から電話が掛かってくることはなかったんだよね。

 

 

 で、次に彼を見かけたのが入試の時。

校門で同じ学校の子らと待ち合わせしていた時、あーしの目の前を無言で横切った。

お蔭で、休み時間の時トイレに行く振りををしてアチコチの教室を覗いて回る羽目になったけど、彼は見つけられなかった。

 

 合格発表の時なんて、自分の番号を探すより先に彼の名前を探して、合格を知った時は思わず「やった!」なんて叫んでしまって、一緒に来た子におめでとうって言われて焦ったっけ・・・。

 

 まあ、あーしもなんとか合格は出来ていたけど。

 

 

~~~~~~~~~~~

 

 

 席替えは最悪の結果だった。

結局、出席番号順の方が席が近かったじゃん!

 男女がランダムで席を割り振られたのもあり、あーしの周りには可愛い女子が多い。

 隣の席のお団子頭の女の子は・・・、由比ヶ浜結衣さん。何故か、一年の時から良く見かける子。って言うか、何故かあーしの視界に入ってくる不思議な子。

 で、あーしの後ろには、赤い縁のメガネのコレも可愛い子。海老名姫菜さん。

 後はバスケ部の男子二人とサッカー部の男子が二人。

 三郷(みさと)君と八潮(やしお)君。

「三浦さんだったね、一年間よろしくね!」

「いや、出来れば卒業までよろしくしたいよね!」

 この二人は県内でも有名なバスケのプレイヤーで、去年は一年ながら大活躍で県大会で八位まで躍進した、総武バスケ部の二枚看板だ。

 

「ナニナニ?俺、周りに可愛い子ばっかでぇー勝ち組?」

「おいおい、戸部。そんなにはしゃぐなよ。」

「えー、隼人くーん。俺らの席ってハッキリ言って勝ち組じぇね?ね?」

この煩いのが、サッカー部の戸部。そして、その相方が葉山隼人。こちらも一年の時から女子の人気が高く、サッカーでは地区予選で一人でハットトリックを決めるなどの活躍をした。

 まあ、戸部も頑張ってるみたいだったけど残りのメンバーに足を引っ張られてしまい結局は県大会の一回戦で敗退したそうだ。

 

「なーんか、騒がしい席だね・・・。」

由比ヶ浜さんが遠慮がちに話しかけてくる。

 

「まーまー、メンズはコレ位元気が有り余ってる方が色々と捗るんだよぉー。」

メガネの子。何を言ってるのか良く解らない。知ってても解らない。

 

「あーし、三浦優美子。よろしくね?」

「あ、あたし・・・、由比ヶ浜結衣です。よろしく。」

「私は、海老名姫菜。一年間よろしくね~。」

「あ!俺、戸部!戸部翔。でー、こっちに居るのが葉山隼人君ね!」

「さっきも挨拶したけど、よろしくね。」

おー、ちょっとさわやかで結構イケ面。

 一年の時から女子達に人気の人だよね。

まあ、頭が金髪でちょっとチャラそうなのは、あーしも人の事は言えないか・・・。

 

 

 あーしは周りの人たちと直ぐに打ち解け、女子同士互いに名前呼びしあうほど仲良くなったんだけど・・・。

 

 肝心の彼との距離が全く縮まらない。

 

 ってか、休み時間になると机に突っ伏して寝てるし、なんなら授業中も寝てる。

昼休みになると直ぐに居なくなる。

放課後になると、そっこー消える。

 

 特に彼の席が出入り口に近いことも有り、此方が近づく前に文字通り消えるのだ。

 

 

 

 せっかく同じクラスになったものの、なんの接点もないまま既に二週間が過ぎた、ある日のホームルーム。

 

「比企谷!今日、放課後に職員室に来るように。」

いきなり、平塚先生からの呼び出し。

 

 コレはチャンスなんじゃ?

 

 

「ねぇ、優美子?今日さ帰りに何処行こうか?」

「ゴメン、結衣!ちょっとあーし職員室に行かないといけないの忘れてて!先に帰ってて!」

あーしは、結衣の誘いを断り職員室に向かう。

 一応、現国の教科書とノートを持って行く。

 これなら、授業で解らなかった処を聞きに行く風で、クラスの誰からも怪しまれないハズ。

 

 

「しつれいしまーす・・・。」

 

「なんだ?コレは!キミはテロリストなのか?それともバカなのか?」

職員室に入って直ぐに、平塚先生の怒鳴り声が。

職員室の奥、衝立の向こうから声が聞こえる。

 

「いや、最近の若者って大体こんな感じじゃないでしゅか・・・。」

「黙れ小僧。」

「いや、そりゃ先生から見たら・・・。」

 

 何やら、衝立の向こうから言い合う声が・・・。

そっと、覗いた瞬間。

ビシッという風を切る音と共に先生の右手の拳は彼の頬を掠めた。

 

 え、今の見えなかったんですけど?

 あーし、これでもテニスで鍛えているから、動体視力はかなりのモノなんだけど?

 

 今のなに?

 

「ん、どうした?三浦。何か用事かね?」

「へ?あ、ちょっと授業の内容で聞きたいことが有ったんですけど・・・、失礼しました!」

 

「まあ、待ちたまえ。このまま帰られて誤解が有ってはイカン。最近は色々面倒だからな?そう言えば三浦も部活動はやっていなかったな?丁度いい。二人ともついて来たまえ。」

「え?俺もですか?」

「むしろ、君への罰だ。女性に対して失礼な事を言ったのだしな?君には罰として奉仕活動を行ってもらう。」

 

 

 平塚先生について歩く道すがら、

「ねぇ、なんで呼び出されてたん?」

「今日、4時間目に現国のレポートをだしただろう?その内容が気にいられなかったんだよ。」

「で、さっきはどうして殴られそうななったん?」

「いや、つい歳の事をな・・・。」

色々と話しかけているけど、ずっと下を向いたままボソボソと返事を返すだけ。

もしかして、あーしのこと解らないのかな?

 

 まあ、前に助けてもらった時は、テニスで真っ黒に日焼けしていたし髪の毛も染めてなくて黒だったし、胸も今よりは慎ましやかで、テニス部では先輩達から『ゴボウちゃん』って呼ばれてたけど・・・。

 

 

「入るぞ!」

特別棟の一室の戸をいきなり開けて、平塚先生は中へツカツカと入って行く。

 

「・・先生。入るときはノックをとお願いしているのですが。」

「まあ、君はノックしても返事をした試しがないじゃないか。」

「それは平塚先生が返事をする前に戸を開けるからです。」

えぇぇぇぇ・・・。

平塚先生、それって女としてどうなの?

さっきのグーパンと言い、色々大丈夫なの?

 

「二人とも入ってきたまえ。」

 

「失礼しまーす。」

「・・・。」

部屋の中に入ると、そこには一枚の絵画のように風景に溶け込んだ少女が・・・。

 

 雪ノ下雪乃。

 

 二年J組、国際教養クラスの子で入学以来ずっと主席の成績を維持していると言われる子だ。

 

「こんにちは。二年F組の三浦優美子さんよね?」

「え、あ。うん。」

「で、そちらのぬぼーっとした男は?」

「あっ、二年F組の比企谷八幡です・・・。」

「彼は入部希望者だよ。雪ノ下。かなり捻くれた性格でな、その上友達が居ない孤独な奴だ。そのねじ曲がった性格の矯正をこの部で行って欲しい。それが私からの依頼だ。」

 

 

「で、三浦さんは?」

「まあ、彼女は今のところは、ただの付き添いだな。」

 

「では、お断りします。その男との二人きりでの部活では身の危険を感じます。」

「ほほう、さしもの雪ノ下でも怖いものがあるらしいな。しかし、まあ安心したまえ。この男は確かに小悪党だが、リスクリターンの計算だけはしっかりしているよ。決して刑事罰に問われるような事はしない。」

「そうですね・・・。見た限りでは眼つきは悪いですが、小心者のようですしね。」

 

 ちょ!二人とも酷い!

 あんたら彼の何を知ってるっていうの?

 何も知らないくせに!

 

 気が付いたら、あーしは二人に向かって言葉を発していた。

「二人ともなんなん?彼の事をずいぶん言ってるけど、そんな見た目で判断して!何が解ってるっていうの?」

「ほう?」

「そうね。見た目だけでその人の事を決めつけるのは確かに間違いね。ただ、人は見た目で相手の7割を判断するとも言うわ?であれば、私の判断も7割は正しいのではなくて?」

「それ、あんたの判断が間違ってるとか考えないん?それとも、自分の判断が世の中の基準だとか思ってる?だとしたら、かなり痛いけど?もう少し相手の内面を見ようとか思わないん?」

「彼の内面を知れ、と言うの?それって拷問ではなくて?三浦さんって結構マゾなのね?」

「え、あ、いや・・・、あーしが言いたいのは・・・。」

 

「黙って聞いてりゃ・・・、お前ら・・・。お前らに俺の何が解るって言うんだよ。確かに性格は多少捻くれて見えるかもしれんが、孤独の何が悪い?性格の矯正?それこそ要らんお世話だ。俺はこの性格が気に入ってる。」

「それでは、問題は解決出来ないわよ?自身を成長させないで停滞したままで良いのかしら?社会に出たときに大変よ?」

「そこだよ。成長とか変われとかさ、俺は他人にとやかく言われたくないんだよ。大体、今の自分が好きで何が悪い?過去の自分を認めてるのは間違いなのか?」

「そんなの只の逃げよ。」

「逃げとか言うのなら、変わるってことも今の自分からの逃げだよな?」

 

 えーっと・・・。なんか凄い口論なんだけど、あーしどうすれば?

 

「ホント。あなた腐っているのは目だけではなく、根性迄腐っているのね?」

「はぁ?なんだよそれ。自分は可愛いからって、俺の外見をディスるのは卑怯だろ。親からの遺伝なんてどうしようもねーだろ。このまな板女。」

 

「ちょっと!二人とも!口論は仕方ないけど、お互い相手の外見を貶しあうのは止めなよ!」

あーしもつい、口を挟んでしまった。

 

「ほほう・・・。」

平塚先生はイヤーな笑顔であーしを見据える。

「うーん、そうだな・・・。そういう事なら、一つ勝負をしようじゃないか。三人でバトルロワイヤルだ。」

「勝負?」

「バトルロワイヤル?」

「はぁ、くだらない・・・。」

「まぁ、そういうなよ。雪ノ下?三人で勝負して勝てば総取りだ。負けた二人になんでも、一つだけ命令できる権利を与えよう。」

「先生?教師がそういう賭け事のようなことを提案するのは如何なんでしょうか?」

 

 うんうん。

そうだよ、雪ノ下さん。

 まあ、あーし比企谷君になら何をされても良いんだけどさ?

こういうのはチョット違うっていうかさ?

でも、あーしが勝てば比企谷君を自由に出来る?

 あれ?要は雪ノ下さんにさえ負けなければ、実質コレあーしの勝利なんじゃ?

平塚先生!

そのアイデアナイスです!

 

「まぁ、勿論公序良俗に反することは許可出来ない。無論、命令の内容は私の許可が必要だ。」

 

 ひ、比企谷君!そこで残念そうな顔するの止めて?

まあ、あーしもちょっと残念だけど・・・。

 

「先生、でもこの男はナニか良からぬことを考えていそうです。ですので、その提案は却下です。」

 

「いや、ちょっと待て、男子高校生が皆エロい事を考えてるわけじゃないぞ?そもそもココは何をする部なんだよ?勝負って何を競うのか解らんのに俺も同意出来ん。」

 

「だから言っただろう?比企谷。君には奉仕活動をしてもらうと。」

 

「は?あーしは?あーしレポートもちゃんと出したし、先生の歳の事も言ってませんよ?」

 

「三浦?今言ったな?私の歳の・こ・と・を。」

 

「あ!」

ずるい!

 

「で、ここはナニ部なんだよ?」

 

「じゃあ、クイズよ。当ててみて?ココはナニ部でしょうか?」

雪ノ下さんは意地悪そうにほほ笑む。

 

「ねぇ・・・、雪ノ下さんってさ、チョット危ない性格?なんか意地悪そうな笑顔でノリノリなんだけど?」

あーしは小声で比企谷君に話しかける。

「だな、多分この調子だとアイツもボッチだろう?適当にやり過ごそうぜ?」

比企谷君もささやき返してくる。

 

「あら?二人仲がいいのね?相談?」

「ちげーよ・・・。」

 

「ねぇ、奉仕活動と関係あるんかな?」

「どうだろうな?ボランティア部なんてこの学校の部活に有ったっけ?」

 

「まあ、正解としましょう。そう、ここは奉仕部。」

 

「「奉仕?」」

 

「そうよ?持つ者が持たざる者に慈悲の心でもってソレを分け与える。人はその行為を奉仕と呼ぶの。そして、この奉仕部は持たざる者の自助努力を助けるために活動をするの。飢えた人に魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えるのが基本理念よ。」

 

「ほー、すげーなー。」

「でしょう?」

「ああ、すげー。俺には無理だ。帰らせて貰う。」

比企谷君が踵を返した瞬間。

 

「いててて!肘が!!」

平塚先生が、比企谷君の関節を決めていた。

 

「勝手に帰ることは許さん。君には罰と言っただろう?少なくとも君の孤独体質とひねくれた性格が改善されたと、私が判断するまでは勝手に退部は許さんしサボることも許さん。」

「ちょ!先生!体罰です、それ!」

あーしが叫ぶと平塚先生は、比企谷君の肘を解放したけど、手は未だ放していない。

 

「解った、三浦。お前もコイツの性格の矯正に協力してくれないか?」

「え?あーしですか?」

「そうだ、お前なら先入観無しでコイツといい関係を築いて行けそうなんだ。どうだ?彼を助けてやってくれないか?どうも雪ノ下では無理そうなんだよ。どうやら勝負は三浦の独り勝ちになりそうだしな。」

え?あーしの勝ち確定?

 

「先生、その安い挑発に乗って差し上げます。彼を我が奉仕部の部員として迎え、私がきっちりと矯正して差し上げます。」

 

「あ、あーしもやります!」

思わず言っちゃった・・・。

 

「いや、俺の気持ちは?俺の人権は?」

「そんなもの、この部屋で有るわけないでしょう?ようこそ奉仕部へ、比企谷君?」

「あ、あーしも一緒に入るし!大丈夫だから・・・、多分。」

 

 

コレがあーしと雪ノ下雪乃との出会いであり、奉仕部との出会いだった。

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