やはりあーしの青春ラブコメはどうかしている。 作:Vierres
「でさぁ!ななはちゃんが言うわけよ!『私は絶対に諦めない!アンジュちゃんを絶対に助ける!』って!」
「ああ!あのシーンな?もう胸熱だったよな、あのシーンの後さ、スクリーンが涙で霞んで良く見えないのな!」
クラスの青砥君?と小岩君?がななはちゃんの映画の話で盛り上がっている。
うー!
ワカル!
ワカルよ!
あーしも封切以来、毎週一度は映画を見に行ってるし!
あーしも話に加わりたい!
一緒に『ななはちゃん』を讃えたい!
でもクラスではあーしが『ななはちゃん』の熱狂的なファンだという事は一人だけを除いて秘密だ。
「でさ・・・、三浦さん?聞いてる?」
三郷君に声を掛けられて、あーしはハッとなった。
「どうしたん?俺達の話聞いてくれてた?」
八潮君も突っ込んでくる。
アニメの話題が気になったとは言えない。
「あーゴメン。ちょっと週末の予定を考えててさ。」
「予定何かあるの?出来ればさ、今度の土曜日に俺達の練習試合を応援に来て欲しいんだけどさ?」
「あーし、土曜日は朝から外せない用事があってさー。多分夕方位までは無理なんだよねー。」
今度の土曜日と言えば、『ななはちゃん』の映画を観に行く日。
しかも、比企谷君と一緒に行く約束を小町ちゃんの協力で再び勝ち取ったのだ。そんな大切な用事と、たかがバスケ部の練習試合とでは比べるまでもない。
あーしバスケとか興味ないし。
「えー。ずっと前からお願いしてたのにー。由比ヶ浜さんはどう?」
八潮君は結衣にも食い下がってるけど。
「あ、ゴメン。あたしその日は雪ノ下さん家で勉強を教えてもらう約束なんだよ。期末試験が再来週だからね?」
「じゃあ、海老名さんは?」
三郷君は中々引き下がらない。
「私、土曜日は美術の研究所で一日課題だね。」
姫菜は国公立の美大を目指しているので、毎週水曜日の夜と土曜日は終日美術研究所で課題に取り組んでいる。
「あー、折角また仲良くなれたのに三人ともつれないなぁ・・・。」
三郷君は残念そうに落ち込む。
そう、四月の始業式の日の席替えで席が近くになったのもあり、初めは葉山、戸部、三郷、八潮の四人があーしら三人の女子と良くつるんでいた。
けど、バスケ部の二人は部活が忙しく朝練、昼練も有って少しずつ距離が離れていった。
なので、今でもこういったダベりは主に授業の合間の僅かな時間だけだし、休み時間ごとに毎回と言う訳ではないんだよね。
あーしとしては、バスケ部の二人と話をするよりも青砥君や小岩君と熱く『ななは』談義を行いたいんだけど!
休み時間ごとに熱く語りたい!
いや、本音は比企谷君と休み時間ごとにアニメやラノベの話で盛り上がりたい。
けど一応、あーしはこのクラスのカースト上位に居る存在だ。
まあ、最近はそんなことはくだらないって思えるようにはなって来ているんだけれど、そう簡単に上位の座を譲れない事情がこのクラスには有る。相模南と取り巻きの子らを、あーしが牽制しないといけないのだ。
ゴールデンウイーク明けに起きた悪質なチェーンメール事件。
チェーンメール自体は収まり、一か月程経ってクラスの雰囲気も少しづつ良くはなって来ているけれど、クラス内では未だに疑心暗鬼の空気がある。
けれど、その騒ぎの中に属さない人間が二人居る。
そう、比企谷八幡君と川崎沙希。
川崎沙希は孤高の狼のような威風だけど、実は弟妹想いの熱い姉であーし達の部室では一番の常識人だが、クラスの中では未だに打ち解けられず誰とも話をしない。
で、比企谷君はあーしの想い人。
けれども彼はその独特の立ち振る舞いのお陰で、やはりクラスの誰とも打ち解けられていない。
むしろ、あの事件まで彼はクラスの多くの人から認識されていなかったにも拘わらずその窮地を雪ノ下雪乃が助けに来た事で、彼に近寄り難い空気を感じてしまったようだ。
もっとも、彼自身が人との交友というものに固執しない為、彼はかえって今が居心地の良い場になっているのかもしれない。
クラスの中で彼に声を掛けているのは、戸塚しかいない。
彼は今の休み時間も机に突っ伏してイヤホンでアニソンを聞きながら寝たふりだ。
結衣も彼が気になるのか、さっきからチラチラとみているけどね?
比企谷君からは、クラスの教室では特別な用事が有るとき以外は極力話し掛けるなと釘を刺されている。
とはいえ、部活中も彼は会話には自らは入ろうとしないんだけどね?
まぁ、いいや・・・。
今週の土曜日は再び比企谷君と映画を観る約束を取り付けた。
彼と二人きりの時間は週末まで我慢だよね?
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「ふははは!八幡よ!我を助けてくれ!」
「はぁ?なんだよ、いきなり。お前なんて知らん。他所を当たってくれ!」
「そう言うな、八幡よ!ここは奉仕部なのであろう?であれば、おぬしが我を助けるのは義務ではないのか?」
ああ・・・、五月蠅いのがまた来たよ・・・。
で、話は比企谷君としか出来ない。
材木座義輝。
自称、剣豪将軍・材木座義輝。
コイツもう、奉仕部の準レギュラーだよね?結衣の誕生会の時も何故か居たし。
まあ、あーし自身はそんなにイヤな奴とは思ってないよ?
なんせ、比企谷君との距離を縮められたのはコイツの変なラノベのお陰なんだし?
コイツ、なにげに『ななはちゃん』にも詳しいし?
「比企谷君、そこの物体?読書の邪魔なのだけれど?早く話を聞いてお引き取りいただいてもらってね?」
雪ノ下さんは、もう毎度の事なのでいちいち反応しない。
「中二、勉強の邪魔。」
「相談事なら、もう少し小さい声でやってくんない?」
ついでに結衣も沙希も容赦なかった。
「はぁ?遊戯部?そんな部活あんの?」
あーし、初耳だよ?
まあ、奉仕部なんて怪しい部活をやってるあーしが言うのもなんだけどさ?
なんでも、行きつけのゲーセンでラノベの話からゲーム制作の話になり、材木座が何時もの様に上から目線でゲームのシナリオ作成を語り、作家デビューした後はゲームのシナリオも作っちゃうゾー!とか言って遊戯部の二人をディスったらしい。
で、話の流れで遊戯部とゲーム対決をしてどっちがゲームの本質を理解してるかを競う事に成ったんだけど、材木座には友達がいない。
結局は奉仕部というか、比企谷君に助けを求めて来たわけだ。
「アンタねぇ・・・。理由はどうあれ後輩をディスってイザコザを起こしてんのはどっちなのよ。大体さ、アンタまだ作家デビュー出来てないじゃん?今から未来の読者を敵に回してどうすんの?あーしが付いて行ってやっからさ、謝りに行こう。」
そうだ、こんなバカなことを受けて毎度協力する事が奉仕部の理念では無いはず。
「いやしかし、三浦殿。あ奴らには上下関係をキッチリと教育しる必要もあると思うのだ。なので拙者はあえて、敢えて心を鬼にしてだな?」
「上下関係とか言うなら、上の者が度量を見せて非礼を先に詫びるべきっしょ?」
「あはははは、三浦さすがだな。よし、俺も付いて行ってやろう。この馬鹿にはいい機会だしな。その遊戯部の連中さ、もしかして将来はゲーム会社に居てお前のクライアントになるかもしれんだろう?ココは三浦の言う通りキッチリとゴマを擂って置け。」
「フム。そうか。ここは引いて勝利を掴む訳だな?よし、では参ろう!遊戯部へ!」
「だから煩いって言ってんでしょ!早く出ていけ馬鹿!」
とうとう沙希が切れたので材木座を引き連れてあーしと比企谷君は遊戯部へ向かう。
ほー。
本当にあったんだねー。
張り紙だけどちゃんと、遊戯部と入り口に書いてる。
正式な部活なんだねー。
奉仕部とかさ、あーし達が入部する前は雪ノ下さんが一人だったんだけど、正式な部活なん?
一応、クッキーを作った時は経費の精算してたから部費も有るんだろうけど?
ウチの学校謎が多すぎるよ。
「で、そちらのお二人が助っ人さんですか?」
「思ったより早く助っ人を見つけられたんすね。」
遊戯部には二人の男子がいた。
二人とも眼鏡を掛けていて、いかにもって感じがする。
「でも、お一人はゲームとか縁がなさそうですけど?大丈夫なんですか?俺達、自分のフィールドでは絶対に手抜きしないですよ?」
「あー、俺達はお前らと勝負しに来たわけじゃないんだ。」
「ん?どういうことですか?確か比企谷先輩ですよね?」
あれ?比企谷君が下級生から認知されてる?
「ああ、俺と三浦はコイツの付き添いだ。今日はコイツに謝罪をさせに来た。」
「三浦先輩・・・?F組の?」
「え?あーしの事知ってんの?」
「ええ、俺達オタク界隈では有名ですしね。大体、リア充風情のイケイケギャルのクセに俺達のアンジュちゃんと同じ髪型、髪色とかふざけ過ぎてんでしょ。」
「はぁぁぁぁぁぁ?あーしのアンジュちゃん愛は本物だよ!アンジュちゃんとななはちゃんはね?あーしの心の親友なんだ!この髪型も色もマジでやってんだよ!」
「「「え?うそ・・・。」」」
比企谷君以外全員が絶句した。
「まぁ・・・、比企谷先輩と三浦先輩がこの人をちゃんと諭してくれたようなので、此方も水に流しますよ。」
秦野という縁の太い眼鏡のフレームの子が言った。
「ああ、そうだな。俺も個人的には比企谷先輩には借りってかチョット有るんで、今回は手打ちに応じますよ。」
ん?
この子、相模って言ったけどなんか見覚えが・・・?
「俺、お前の事なんも知らんけど?なんの借りだ?」
「いや、それはこの場じゃちょっとなので・・・。」
相模はそう言うと口を閉ざす。
その後、あーしと比企谷君は遊戯部の部室で『ななはちゃん』談義で楽しいひと時を過ごした。
あれ?あーしこっちの部活の方がイイじゃね?ってくらい盛り上がった。
帰り道。
「そういえば、比企谷君最近は自転車じゃないんだね。」
あーしと比企谷君はバスで駅に向かっている。
「ああ、梅雨だしな。自転車は辛いだろ?今の時期。」
「あー、だよねー。花見川のサイクリングコースも結構風が強いし、雨だと危ないもんねー。」
「あれ?俺、お前にソコ通って通学してる事を前に言ったっけ?」
「あー。」
ヤバイ!
あーしが比企谷君を放課後にコッソリと尾行していたのを知られてしまう。
そう、あーしは花見川のサイクリングコースの近くにに住んでいる。
彼を見かけたのは本当の偶然。
一年の時、放課後に私の自宅近くを自転車で走る彼を偶々、そう偶々見つけてから時々、後を付けるようになった。
学校帰りに学校近くのレンタルサイクルを借りて後ろを走ったことも何度かある。
実はそのお陰で、あーしは比企谷君の家も既に知っている。
あーしの家と彼の家は自転車なら5分と掛からない距離。花見川を挟んでの隣町なのだ。
それを知った時、あーしは軽く小躍りした。
「あーほら、実はあーしさ花見川の近くに住んでるんだよ。でね?前にアンタが自転車で走ってるのを見たんだよ。それだけだよ?」
「そうなのか?そういえば、電車だと一個前の駅って言ってたよな。」
「うん、家が検見川神社の近くなんだよ。」
「おお?じゃあ、シタールの近くか?」
「うんうん!あそこ美味しいよね!あーしん家、二ヵ月に一度は行くよ?」
「おお!ウチも三ヵ月に一度は行くな。小町も好きだしな。」
うん、良い事聞いた!
今度、小町ちゃんも誘って一緒に行こう!
翌日の放課後・・・。
「で、財津君の依頼は完了したのね?」
「ああ、そうだな。多分完了だ。」
「そう、では今回は三浦さんのポイントね。」
「まあ、そうだな。」
ちょ!財津じゃなく材木座なんだけど?二人とも解ってて敢えて間違ってるの?
この二人の思考パターンは時々驚くほどピッタリの時が有るから、あーしは置いてけぼり感を感じて焦るんですけど。
「それにしてもジメジメしてて鬱陶しいよね、毎日。」
「だよね。もうさ、毎日の洗濯物が乾かなくてさ、今度のバイト代が出たら衣類乾燥機を買いたくなるレベルだよ。」
結衣と沙希の会話がもう主婦なんですけど?
「あたしさー、誕生日が六月じゃん?でさ、大体誕生日前後に梅雨入りするからさ、六月って微妙なんだよねー。」
「あー、でもさ?ジューンブライドってあるじゃん?なんで六月なんだろうね?」
あーしは前々から気になっていたことをつい言葉にした。
「そうね?所説有るのだけれど、ヨーロッパでは六月が気候が良い時期だとか、農業の作業時期の問題で四月と五月に結婚するのを禁止されていたからとか、ローマ時代の結婚と子宝の女神、ユノに因んでいるとか有るわね?」
雪ノ下さんのその知識量ってなんなん?
もしかして、ジューンブライドに憧れて、調べてたなんてのは無いよね?
「出たな、ユキペディア。さすがだよ、この中で一番縁遠いのにな。」
比企谷君、言っちゃったよ・・・。
「そうね、結婚だけが女の幸せでは無いものね。仮に結婚して子供が生まれても貴方みたいなのが生まれたら、やりきれないものね?」
「おい!それは俺の親に失礼だろ!まあ、確かに親にいらん心配を掛けている自覚は有るんだけどよ。」
だったら、もう少しなんとかしようよ!
あーしも頑張るから!
とりあえず、週末は映画を一緒に観たらお昼はあーしの手作りのお弁当を持って比企谷家に突入だ!
彼のご両親も少し安心させてあげないと!
早速、今夜小町ちゃんと作戦会議だよ。
コンコン。
あーしが乙女全開の妄想に浸っていると突然のノックの音。
「どうぞ。」
雪ノ下さんの涼しい声に戸が開くと・・・。
「はろはろー!」
姫菜と、
「こ、こんにちは・・・。」
部室に来たのは、なんと相模南だった。
どの面下げてココに来たんだよ。
そう思ってしまうと、あーしはつい相模を睨んでしまう。
相模はあーしの視線に気が付き、ビクビクしながらも姫菜に手を引かれながら中に入ってくる。
「あー?相模?なんか用なん?」
「ほらほら、優美子ってば落ち着いてよー、南ちゃん怯えてるからさー。」
「そう?あーし何時もどうりだけど?」
「まあ落ち着いて頂戴、三浦さん。何か相談事かしら?相模さんでしたっけ?」
「え、あの平塚先生に相談したらココに行けって言われて・・・。」
相模はそこまで言うと俯いて口を閉じた。
「ちょっとアンタらさ、色々言いたいことは有るんだろうけどさ、奉仕部としての仕事は忘れないでよね?部外者のあたしが邪魔なら今日は帰るからさ?」
「えー、沙希は半分関係者じゃん?一緒に居てもいいよね?ゆきのん。」
「そうね、それは相模さんの相談の内容次第なのだけれど?いかがかしらね?相模さん。」
「あー、川崎さんにも聞いて欲しい・・・、かも・・・。」
「では、聞きましょう。二人とも椅子に座って頂戴?」
~~~~~~~~~~~
あーしは相模の携帯のメールをみて絶句した。
「こ、この内容は・・・。」
結衣も絶句している。
「ここに書かれている内容は本当の事なのかしら?」
雪ノ下さんの声が冷たい。
「ち、違う!た、確かに初めにチェーンメールが来たときはウチも面白がって他に回したけど!ウチが発信元じゃない!ホントに犯人だったらディスった大和君や大岡君達とつるんだりしてないよ!」
相模の携帯には匿名のメールで、この前のチェーンメール事件を糾弾する内容が書かれていた。けれど、そこに書かれている相模の動機が少しおかしい気がする。
『相模。お前の目論見は見事に破綻した。ヒキタニを犯人に仕立て上げて葉山、三浦のグループを潰してクラスのカースト上位の座をもぎ取ろうとしたが残念だったな。肝心の葉山を取り込めず、結局取り込めたのはカスの二人だけだった。俺はお前のやったことを忘れない。』
「間違いないな。コレは。」
比企谷君はこの文面で何を感じ取ったん?
「ええ、そうね。おそらく、コレを出した者が真犯人ね。」
「おそらくは自分の描いた結果にはならなかったからイラついてるんだろうな?」
思い描いた結果って?
相模がクラスのカーストトップになる事?隼人を取り込んで?
どういう事なんだろう?
「なぁ?川崎。今回の騒動でウチのクラスで誰か得をしたか?」
「え?さぁどうだろう?あたしもクラスの中では特に誰ともつるんでないしねー。痛み分けかな?大体さ、そのメールってのあたしにも届いて無かったんだからね?」
そうだ、あの日女子の携帯を確認した時に沙希の携帯だけは家族とバイト先の分しか連絡先が無く、学校関係では一年の時と二年の担任の連絡先しかなかった。
良く考えたらあの時の連絡先をあーしが覚えていれば、沙希の深夜バイトの件はもう少し早く片付けられたんだよね・・・、てへっ。
「そうだな、そんなところだろうな。結局誰も得してはいない。」
「では、損をしたのは誰かしらね?」
「うーん・・・、戸部っちと隼人君?かな?特定の居場所無くなっちゃってるし?」
「え?じゃあ、犯人はやっぱ隼人か戸部?」
「いや、八割がたその二人じゃないな・・・。なにせ犯人はこのメールで致命的なミスをしている。葉山の名前を挙げた事だ。」
「へ?」
あーしは思わず間抜けな声を上げた。
「チェーンメールの内容を思い出してみろよ、あのメールには葉山の名前が無かっただろう?で、葉山の携帯が壊れた日にメールが止まった。もしかして犯人は本当は葉山に罪を着せたかったんじゃないか?」
「でも、携帯を壊したのは戸部っちだよ?隼人君の犯人の線は無いの?」
あー、結衣も疑ってたんだねー。あーしもそう思ってたんだけど・・・。
「あ、あたしそのことで気になることが有ってコッソリと姫菜に聞いたことが有るんだけどさ?」
沙希が言葉を挟む。
「え?ナニかあったん?」
「初めてそのメールが来た日時だよ。姫菜は水曜日の一時間目が始まった直後って言ってたよね。結衣と優美子は?」
姫菜はコクリと頷く。
「あー、あたし直ぐに消しちゃったからハッキリとは覚えてないけど、確か差三時間目の授業中だったかな?」
「あーしは四時間目だったと思う。」
「相模は?」
「え?ウチ?確か・・・、木曜日の・・・、二時間目位?」
「どう?なんかおかしいと思わない?雪ノ下さん、比企谷?」
「なるほど、初めは三浦さんのグループを狙い撃ちしていたけれど、反応が無いから他にばらまき始めた。けれどクラス全員のアドレスは解らないから拡散には時間が掛かったと言う訳ね?」
「そう、それとコレは戸塚に調べて貰ったんだけどさ、メールの受信頻度なんだけど水曜は少数の者だけが受信していて実際クラス中に出回ったのは翌日の木曜日の午後の授業中。で、その週の土曜日が一番多くてそこから受信回数は減り、あの日の前日には2件位しか受信していなかったそうだよ。」
「んー、なら犯人は金曜日か土曜日にはメールの発信を止めて、履歴を予め消して置けたのか。ずいぶんと頭が良いな・・・。」
「だね、まるで誰かさんみたいに悪知恵が働くヤツだよ。」
「となると、わざわざあの騒ぎの当日に携帯が壊れて証拠を隠滅する必要は無かった訳と言う事ね?」
「そうなるなー。となると、やっぱ動機が解らんとなー。犯人は結局何がしたかったんだ?相模に何を期待した?」
比企谷君はアホ毛をぴょこぴょこ揺らしながら首をひねっている。
うん。
可愛い。
「と言うことは、やっぱ隼人君と戸部っちは犯人じゃないの?」
「まあ、全くないとは言い切れないけどな?でも、元々仲が良かった由比ヶ浜や三浦が疑っている位なんだ。この時期にこんな匿名のメールを出す必要が無い。」
「そうね、コレは恐らく相模さんを精神的に追い込んで自滅させることが目的なんのではないかしら?そうして相模さんの失言や暴言の機会を伺っているのでしょうね?そうすれば疑いが相模さんに集中するから、自分が疑われることは無くなるもの。」
「多分そんな処だろうな。それともう一つ。おそらく犯人は葉山か戸部が邪魔なんじゃないのかな?チェーンメールでは戸部に対する中傷が何気に酷かったしな。葉山には一切触れずにいたのも場合によっては葉山を犯人に仕立てるつもりだったのかもしれんしな?今も二人はどこのグループにも属さず、それでいて一定の人気を保っている。それが気に入らない・・・、か?」
「あー、そうだね。特に一番疑われている葉山なんかは、なんだかんだ言って女子の人気が未だに高いし、クラスではまとめ役って感じだよね。」
「それに隼人君も戸部っちもクラスの男子達ともそれなりに仲がいいよね・・・。それが気に入らないのかな?」
「ああ、あの二人のどちらか、もしくは両方を蹴落としたいけれど自分では出来そうにないから、相模を追い込んで相模と心中させようとしてるのかもな?」
「う、ウチが何をしたっていうの?そりゃ、三浦さんにはウザい絡み方をしてるかもしれないけどさ?他のクラスの子には何も迷惑かけてないじゃん!」
相模は涙を流しながらあーしに訴えてきた。
「ひ、比企谷君・・・、ゴメン、また・・・ウチを助けてよ・・・。」
へ?
今、何と言った?
相模南は何を言った?
また助けて?
え?
え?
え?
比企谷君は苦い顔をして、相模を見ていた。