〇〇の(ポケモン)トレーナー   作:カナーさん

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記念作品の二つは消えます。


一月三十日 事件当日前

 

チームスピカのお参りを見届けて、これからの予定を擦り合わせてこのタイミングでしか聞けないと判断してあなたは質問する。

 

 なぜまだあの娘は__サイレンススズカは車椅子なのか、と。

 

 しばらく風__ハルウララのことに専念したく、トレセン学園にいない期間があったとはいえそれでもサイレンススズカの話題はあなたの耳に入ってきた。それなのにサイレンススズカは今尚車椅子での移動を使用している。

 

「それはですね__」

 

 このウマ娘が語るに、普通に歩くことは出来るがなにもない場所で転けたり、唐突な痛みが走る。あまりにも速い回復のこともありまだ安静に、とのことだった。

 あなたは断りを入れて件の状態をみる。不服だがウマ娘のトレーナーとしてもポケモントレーナーとしてもあなたは問題も危険も見つけられなかった。

 

 普通に歩けるなら普通に歩けるものと脳が認識しているなら幻肢痛の可能性は低い……はず。

 あなたから見ても盛大に破壊された惨状ではあったがいくらなんでもおかしいという違和感をあなたは拭えずにいた。

 

 ……いや違和感事態は昔から感じていた。

 最初に感じ取ったのはこの世界の空気を吸った時。

 ウマ娘の足を心配した時。

 ウマ娘の名前を呼んだ時。

 まだまだ沢山あるがやはり理事長に誘われた時が強烈だった。あんな、部外者を受け入れるなんて行為、まるでご都合主義の洗脳。カラマネロの暗躍かと疑うほど。

 

 ガラスの靴に例えられるウマ娘の足。それでも危険を指摘しただけで話が進み過ぎである。まるで元々手続きされていて後はたづなさんの案内待ちのようなスムーズさ。

 そこであなたは明確に浮き彫りとなった目立つ存在に目がいく。

 ……だれ?

 あなたは『たづなさん』と呼ばれる存在を知らない。

 

 駿川たづな。ウマ娘と関わる上で、いやトレセン学園と関わる上で外せない人物。あなたは実際には聞いたこともあるし見たこともある。だがトウカイテイオーの名前すら満足に覚えれないあなたが覚えているはずなく忘れているのは当然で。なのにそんな存在にさん付けの親しみを込めた名前を平然と。自己紹介すら行っていない相手に親しみ。

 メジロマックイーンについては心当たりがあるのにそのたづなさんには一切の思い当たりないのがあなたを混乱させる。

 

 けど、あなたは全てを納得"させる"。

 ひとまず全ての問題をある一点になすりつけることで冷静になる。

 

 忘れていることを不快に思うことはあれど忘れていることに深く感謝する日がくるとは思ってもいなかった。

 

 はぁと溜め息を溢すあなたを見て、周りに緊張が走る。

 

 あなたは今の状況がこのウマ娘の足を触診して出た溜め息に見える、つまりとても不味い状況だと気付いて取り繕う。

 足の方は問題も危険もないと告げる。おそらく意識的なもの、と伝えるも忘れない。

 

「本当ですか?今凄い溜め息でしたけど」

 

 色々思い出してしまってと目を逸らすあなた。

 それを見て、確かゾロアークが過去に怪我をしていたこと(嘘)を思い出すウマ娘一同。

 本当に大丈夫だと念押しをして今度は相槌をもらえるあなた。

 そのままじゃーとチームスピカから離れようとするあなたをメジロマックイーンとトウカイテイオーとゴールドシップが捕らえる。

 自分がなにをしたというのか。

 その日もあなたが自由になることはなかった。

 

 

 あなたはこの後に予定が控えているので解放してほしいのだが唐突にいなくなった前例があるため監視の目がきつく、あなたは脱出せず拘束されることを選んだ。あなたが大人しいのはそういう理由もある。

 振り解いて逃げることは難しいが可能である。それを実行に移すかは置いといて、あなたは気になっていたことを質問する。対象はゴールドシップだ。

 

「あん?なんだよう」

 

 なんであなたは過去に追いかけられたあの後もウマ娘と校内で鬼ごっこをしなくてはならないのか。そもそもなんであの時追いかけられたのか。当時から拭えぬ疑問だった。

 

「別にいいじゃねぇか。あの時は逃走中で後に戦闘中になったんだ。ボール扱いはお手のもんだろ」

 

 途中からボールが飛び交うようになった理由はそれか。モンスターボールなら今のあなたなら、というかほとんどポケモントレーナーなら扱えて当然のものだ。

 悪の組織のボールなら追尾機能が備わっているがトレーナーがポケモンを捕まえるためにはボールを当てることは必須条件。これが疎かならトレーナーとしてスタートにすら立てない。なので大抵のポケモントレーナーならボールの扱いは慣れたものだ。

 

 組織の下っ端はそもそも支給されて戦うため奴らはトレーナーではない。負けた理由をポケモンにすりつける奴らは断じてポケモントレーナーではない。

 

 慣れたものだが野球選手ならテニスやラグビーも上手いだろ?と理論と同じで、んなわけない。ボールが違えば使う筋肉や負担はまったく違うものになる。

 あなたがボールを避けるのとキャッチするのが上手いのは単純に野生のポケモンの攻撃を緊急回避することに慣れているから。キャッチは戯れる時に自然と身についた能力だ。落とすと爆発するから当然である。

とはいえそれをどう説明したものか。幸いボールの扱いに違いなかったわけだが……いやそもそもあなたが外でボールを使ったことなどあの山でゾロアークを出したタイミングぐらいしかない。それにその時はゴールドシップはメジロマックイーンに意識が向いていたはず。いったいどのタイミングであなたはボールの扱いが上手いとゴールドシップは判断したのか。

 

 すぅと眼光と思考が冷めていく感触。

 手のまめや段違い平行棒のあざで体操をやってると見抜くようにあなたの行動や癖でなにかスポーツをやっていると考えることは別に不自然ではない。

 けれどあなたは格好はシンオウ地方を旅したときの長袖長ズボンのまま。身のこなしもポケモンの攻撃を避けることを念頭に置いているのでスポーツの振る舞いとは少しズレている。

 はてさて、どういった理由であなたがボールの扱いが上手いとゴールドシップは判断したのか。答えによっては__いやそもそも追いかけた理由がまだ不明だ。はぐらかされて、こいつなら、と納得しかけていた。

 

「なんでボールの扱いが上手いかわかったのか聴かれてもなーなんとなく?あっこいつは絶対に曲芸がうまいってあたしのゴーストが囁いたんだよ」

 

 道化師ではないとペシとはたく。

 あなたの過去についての質問は答えてくれないとわかったのであなたは今新たに生まれた疑問をぶつけてみる。オメーそんなキャラだっけか?

 

「あぁー?あーなんかあんたと一緒にいると調子が狂うつーかこっちの方がいいって気がしたんだよ。こればっかりはこのゴルシちゃんにもわかんねけどな?なんか怒ってる、じゃなくて殺気だってる、も違うな。スペがスズカさんは落ち着かないとクルクル回るって言ってたけどそんなんだろ」

 

 緊張、焦りだろうか。

 それならあなたは納得できる。このゴールドシップの対応については判りかねるが勘という点ならこの対応は正解だ。今のあなたは女性で子供であるという観点で見逃せるほど緩くない。普段の理解を拒否するような行動なら迷わず鎮圧の為、あなたは背後からヤクザキックを選択する。

 

 これは組織の人間がポケモンを……柔らかい表現で、道具の様に扱っていた時の話だが、それに色々タイミングが重なり激情状態だったあなたは繰り出されたポケモンにも目をくれず真っ直ぐ組織の人間に歩みより片した。

 

具体的になにをやったのかは伏せるがそれにひどく怯えた人間()は逃げ出し、しかし悉くがあなたの手に掛かった。公式の記録として大きく残っているのはやはりジュンサーさん達機関の助けを求めた組織の人間を目の前でモンスターボールで殴打したことだろう。

 幸いボール側が保たず、即座に周りが止めに入ったこともあり一命を取り留めた。おかげで過剰防衛にならなかった。

 

 そんなことを仕出かしてきたあなたの暴力性は高い。とても。極めて。普段は鳴りを潜めてそのしぶとさが際立つあなただが相手が格上であってもその屈強な肉体を的にするやべーやつでもある。

 

「この人が焦りですって?」

「一番程遠い言葉じゃん。だってなにもしていない時はぐでーって溶けたみたいだっただよ」

 

 オグリキャップにもレース前のタマみたいだと……不名誉?な事を言われるあなたの姿だがそれはやることはあるがやりたいことがなくて伸びてるだけである。本質がタマモクロスと違う。

 

 それが必要と判断したのならあなたは二十四時間イッシュ地方のギアステーションを走り回れる人間だ。

 ギアステーションというのはドーナツ型の地下鉄駅であり、ぐるっと一周出来るため走り続けることができる。

 これは誇張でもなんでもなく本当に休息も睡眠も食事もなく走り続けた実績がある。あのヒカリですら「頭おかしい」と呟いた所業であるが走り終わった後、そのまま息抜きかのようにバトルサブウェイ(バトル施設)に向かう姿が、あれくらい'規制用語'じゃないとヒカリには届かないんだな。→ヒカリもヤバいなと風評被害を生んでる。

 

 そんなあなたなので例えぐでーと溶けていたとしても精神性は変わらないのでキュウリに飛び上がる猫のように俊敏に動く。

 そうとも知らずそんなあなたで遊ぶウマ娘がいるわけだが怖いもの知らずと言う他ない。

 それはそれとしてあなたはあの溶けた状態は好きであったりする。のんびり時間を浪費するのは幸せな気分である。この世界で浸れた試しはないが。

 

「なんかおじいちゃんみたいなこと言ってるけどキミまだまだ若いでしょ」

 

 学生からのおっさん扱いは慣れているのでそれはいらないフォローだ。

 

「どちらかというとゴールドシップの様に子供に紛れて遊ぶタイプですよね貴方」

「心はまだ子供でいたいんだアタシも」

 

 あなたも。

 あなたは集団の纏めにはならないがゴールドシップは集団を引っ張りそうではある。

 

「寂しいならいれるぞ?」

 

 そうではなく。なぜあなたはそんな目に晒されるのか。

 

「だっていじられて笑われて終わりそうだし」

 

 

 

 

 

すぅと辺りは暗くなり椅子に座ったあなたが浮き上がる。

__あなたにとって遊びとは?

 バカになれる時間。トレーナーとか役割とか外見とか関係なくただ楽しめた者が勝者のパーディ。

 

すぅとサングラスを掛けて同じく椅子に座ったゴールドシップが浮き上がる。

 

 命がけ。油断しているやつからやられていく。

 

 

 

「なにしているんですの貴方達は……」

「マックイーンもどこから椅子が出てきたとかのツッコミはないんだね」

「遺憾ながら慣れましたの」

 

 頭を押さえながら呟く令嬢を挟んで二人のガキは真面目に進めていく。

 

_意気込みのほどは?

 勝ちます。それ以外ありえません。

 敗者の顔に書く文字を考えてる。

 

 

 二人は唐突にガシっとお互いの肩を掴むとマックイーンとテイオーを置いて同時に走り出す。

脚を縛っているわけでもないのにまるで二人三脚のように阿吽の呼吸を思わせるようなフォーム。

 

 二人のウマ娘の声はまずは羽根突きで勝負じゃあ!!という二人分の咆哮に掻き消された。

 

「どうする、取り敢えず露店ではちみーでも買う?」

 

 平常運転(ぼうそう)した二人を見送ってあははと乾いた声を出しながらそんな提案をすれば、ストッパー(あなた)のいない為、既に両手一杯の食べ物が。

 そこでテイオーは気付く。

 あっこれ三人だ。

 

 

「そういえばもう三ヶ月前の話になるんだねぇ彼がいなくなったのは」

 

 懐かしむような声色でバーネットはそんな言葉を溢す。

 




カラマネロ ぎゃくてんポケモン。
現在判明されているポケモンの中で一番のさいみんじゅつを操る。スリーパーは?……。
タイプはあく、エスパー。このポケモンは進化方式が特殊で一定以上のレベルアップをした上で3DS、Switch本体を逆さにすることで進化する。ぎゃくてんってそういう。姿を一度確認してほしいのだがイカ娘よりイカ要素が強い。さかさ。
歴史を変えるような大事件の裏には、カラマネロの催眠能力が関わっていると図鑑に記載があるが特殊個体なのかあなたが出会ったカラマネロはポケモン、人間問わず洗脳し配下にし、更にトラックを運転する知性をもっていた為、実は主犯がこいつではないかという疑いをあなたはもっている。なおジュンサーさんが洗脳というあなたに新たな境地を教えてくれた存在でもある。
ついでにエスパータイプな上参謀という役回りだった為あなたが特殊アタッカーかサポートだと予想していたが蓋を開ければ馬鹿力で脳筋するパワーポケモンだった。そこまでぎゃくてんしなくてもいいのよ。
なお本作においては世界を傾けるとか無理なので、通常育成での進化が存在しない裏設定が。たまごはマーイーカが生まれるため混乱した住人もいるだろう。

天皇賞(春)アニメでは飛ばされたけど本作も出番なし大。

緊急回避に慣れ
アルセウスやってるなら回避行動は必須だとわかってもらえるだろう。モンハンの感覚だとボタンを間違える。

ナーバスタマちゃんと瓜二つ
カフェが初めて目撃した時はタキオンの薬を疑われた。後に本当に作られた。

ギアステーション
廃人ロードの一つ。廃人ロードというのはポケモンのたまごは歩数により孵化するため、ポケモンをひたす孵化させ厳選するために走る道が廃人ロード。当時はジャッジと呼ばれる人物にしかポケモンの強さが確認できなかった為その人物が近くにいるギアステーションはまさにうってつけであった。育て親はヒトモシかウルガモス。

バーネット
ポケモンARサーチャーの博士。
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