〇〇の(ポケモン)トレーナー 作:カナーさん
○カロス地方
「まさか私とバトルしたあの街でディアンシーと出会っていたとは……羨ましい!私も一緒に旅をしたかったなー」
金髪のロングヘアを揺らしてケーキを頬張る女性。ブレザーのような上着とミニスカートにちょこんと髪に紫色のヘアピン。出で立ちはよく見るエリートトレーナーの服装。その女性が他のエリートトレーナーと違うとするなら光を反射するそのイヤリング。
そのワンポイントが女性の力量を示していた。
_今一緒にいるのは不満ということでしょうか?
その対面で行儀よく座るポケモン。その周囲に人影はなく、メレシー達が護るように辺りを見渡していた。
淡いピンク色の結晶がツインテールのように映え額には同色のブリリアントカットされたダイヤ。
胴体は白いシュミーズドレスのような外装を纏いそれが下半身のメレシー達と似た鉱石部分を覆いスカートのように見える。
「そのようなことはございません。ただ今が楽しいなら、前から出会えていたならもっと楽しかったんだろうなってそう考えちゃっただけだよ」
_そうですね。わたくしもそう思います。
王子様ともっとはやく会えていたなら。もっと一緒の時間を過ごせていたなら。そんなことを最近は考えてしまう。あの時間がなによりも尊かったものだと王国のダイヤの輝きを失ったときに学んだはずなのに。
いつもの思いの循環が起こる。
「乙女だねお嬢様。恋する乙女。いいね」
キラーンと輝きそうな瞳隠さずディアンシーに向けるアヤカ。あなたなら年頃など呟くところだがアヤカにいたってはそのとおりである。
「他の人はちゃんと名前で呼んでいるのに一人だけ王子様って隠す気ないのも意外な大胆さがあっていいね。私は応援するよディアンシー」
_ありがとうございます。アヤカが私を応援することを許します。
「えへへ。そういえば話は変わるけどここ、アゾット王国に来たのはなにか用件があってのことなの?私は個人的な観光だけど」
見渡せば、ガタガタと街の至るところに歯車。歯車。古く奥ゆかしい街並みにも関わらず最先端の街の技術力に負けない……らしい。そこはシトロンの受け売りだ。でも活気だけを見るなら確かに負けてないと思う。
無意識の呟きを眺めながらディアンシーは隠す理由もないので目的を告げる。
_アゾット王国には友達に会いに参りました。
アゾット王国、神秘科学の大家エリファスによって築かれた超カラクリ都市。そのエリファスが王家に献上した神秘科学の結晶。人の手によって生み出されたポケモン、マギアナ。
今は王家の手から離れネーベル高原にボルケニオンと元来の世話好き故、そこに暮らすポケモン達の相手をしながら過ごしている。
なのでアゾット王国はあくまで中継地点でここからディアンシーはキミア王女の力を借りて高原を目指す。彼処に住むポケモン達はみな訳ありで人間を恐れているのでキミアの手で向かうのはあまり良くはないのだがここまでの旅で疲れたディアンシーはそのありがたい申し出を断る気はなかった。
人間を恐れているネーベル高原のポケモン達だがそのポケモン達の少ない関わりがあるのがキミア。キミアならあまり驚かないはずなのでディアンシーは遠慮はしない。人間嫌いのボルケニオンはいい顔をしないことは想像に容易いが受け入れてくれるだろう。
「ふーん。友達ね。ねぇそれって私も一緒に同行しちゃだめかな?」
マギアナは断らないがボルケニオンはいい顔をしない。性格上すぐに追い出されるということはないが高原のポケモン達が懐くのをボルケニオンは恐れている。それにポケモンハンターのこともある。
それらの事情を説明して申し訳ない気持ちでディアンシーは断る。
「そっかー残念。いやいや無理を言ったのは私だからそんな気にしないで。こうやって喋り相手になってくれただけ嬉しいからさ」
_それはわたくしもです。街を周っていたわたくし達に声を掛けていただきありがとうございます。
ディアンシーが頭を下げるのと同じく護衛のメレシー達も体を傾ける。
「いいっていいって。お互いに楽しいならそれで。おっちょうど時間もいい感じだし今日はお開き。えっとベストウイッシュ!良い旅を」
ゴーンとなり響く鐘。それに合わせて休憩を切り上げそそくさと観光の準備を終わらせるアヤカ。
それに手を振って答えるディアンシー。そして呟かれた単語に反応して、固まる。
その反応に引っ掛かってアヤカはなにか失礼なことしちゃったかなと焦るがディアンシーの瞳が自分を見ていないことに気付いて後ろを向く。
鐘。時間の境界、神秘。境界を超えるもの。
そんな役割は普段の生活になにもうまない。
けれど、それを利用することでなにか起こすことは可能であり、それを増幅させることもまた。
ディアンシーもアヤカもアゾット王国の人々もネーベル高原のポケモンもカロス地方に生きる生命がいや、この星に住むいきものが上を見上げていた。
それは青だった。それは○だった。それは星だった。
一様に間抜けずらを晒してポケーと口を開けて空を、宙を見ていた。
この世界に起きた超常の例を挙げるならディアルガとパルキアの降臨による空を覆うゲーミング空間。その時の人々は驚愕と動揺に呑まれた。
しかし今回は違う。
星の上に漂う星。空の八割を覆う広大。
シンオウ地方の奇妙さと違い、明確な危険が目に見える問題が人々を襲った。
それが特に酷かったのはシンオウ地方の人々だった。なぜならその形に覚えがあるからだ。TVでタウンマップでポケモンセンターで見かけるもの。それは向こうの星で日本列島上部に位置する島。
奇しくも北海道とシンオウ地方の形は同じであった。
○
マグナゲートの光により白に包まれる視界。
身体がすっぽりと中に入ると刹那にその視界黒く塗り潰される。
目を開けばそこは入る前に感じた希望とはうって変わった海底のような重く深い空間。
スッーと身体が落下するように引き寄せられる。自分の身体が動いていると認知できたのはそこに泡のように浮かぶ景色が通り過ぎてゆくからだった。
それに光景達に心踊る自分に、荒んだ心に冒険の心が残っていたことにまだ良かったと泣きそうになりながら身体は進んでいく。
そうして一つの泡に吸い込まれて、白に染まる視界。それが何なのか気付いたのは目を焼いたのが久しく浴びていなかった太陽光だったから。
| ________!!? |
叫び声を出さなかったのは眼下に映る光景故か。それとも培った経験からか。
雲の隙間から太陽光が照らすのは見慣れない街並み。角張った四角が陳列する建造物。知らない世界に放り出されてしかし赤く興奮はせずむしろ青く焦りが頭を充満していく。
先程落下するような浮遊感とは違う身体を襲う暴風と近付いてくる白い雲。
現状、落下して終わると把握するまでおおよそ四秒。とても助かる高さじゃないと悲愴な確信を持ち、パンッと自分の頬を叩く。
__どんなにくすぶっていったてどんなに堕落していたって自分は、あのリオルのチームなんだがらと呼応させる。
| ▶10まんボルト | |
|---|---|
| でんこうせっか | |
| すいへいぎり | |
| でんじは | |
自分の使えるワザを思い浮かべ、即座に決断を下す。チャンスは一度きり。今までそんな使い方考えたこともなかったけれど二段ジャンプもできないのでそれしか方法がないと悟っていた。
星に導かれて引かれて加速する身体。幸いだったのが身体のバランスが安定していること。災いだったのはぶっつけ本番ということ。
でもそこに心を惑わす大きな不安はない。小さな不安はあるけれどそんなのいつもの冒険と同じだと笑って、あの滝の時のように信じるだけだ。あの時はリオルを。今は自分を。
| __いま! |
建造物に近付き、その屋上部分の位置が平行になったタイミングででんこうせっかをその建造物に向かってくりだす。
今まで身体を引き寄せていた力は感じさせず真っ直ぐに軌跡を描いて建造物の縁にガシッと捕まる。
そのまま登り、一旦呼吸を落ち着けて、眼下に広がる景色を見る。
知らない景色。ダンジョンとも違う、時空ホールでの暗黒の未来の世界とも違う全くの異世界。
地面を移動するのはポケモンではなく見たことのないいきもの。様々なオシャレをしている。他にも四角い箱が道を走り、壁もピカピカと輝く。
まるで夢の世界に飛び込んだように思えるけど見上げれば自分をここに連れてきた出口が見え、ここが現実なのだと突きつける。
それに疎外感のようないろんな感情に揉まれる。でも確信した。ここなら、こんな想像もつかないような場所なら見つかるはずがなかった。でもそれはいまは違う。
同じ世界にいるなら必ず。必ずキミを見つけて見せる。
| _ねぇ、リオル。 |
ピカチュウが感傷に浸っている間にマグナゲート、いやウルトラホールはゆっくりと閉じられる。
それは女神の力が尽きたからではない。いや、おおよそその通りではあるがニュアンスが違う。
女神が空けた穴は女神が容認しているからこそ存在を維持できるためよほどのことがない限り消えることができない。だがそのよほどのことが起こった。
ただ繋げただけ。一匹の、か弱いいのちだけしか通れない小さな繋がり。それはダンジョンの入口、マグナゲートとなったことでウマ娘の世界はダンジョンという側面をもつだけにいたる。
だけど表現したがこれは大事だ。なんせポケモンという概念の受け入れ体制が整っていた土壌にそんな豆を撒けばそう、よくある現実世界をポケモンが侵食するだけに至る。
ウマ娘ポケモンダービーが始まるだけ。
けれど事態はそれだけに留まらない。マグナゲートとして開いた入口。しかしその出口はウルトラホール。
そして宙に鎮座するもう一つの星。
女神の意識は一つのいのちではなくあの大きな星に向けられた。事態を収束させるため奮闘してあの星をうまく隠す。世界情勢はパニックとなるためそこにも力を尽くす。そうなるならウルトラホールが維持されないのも必然。奇跡的に維持されなかった。いいニュースである。なのでわるいニュースもある。
「べのべのん……!」
落下スタート
マグナゲートにて主人公も落下から始まる。
アゾット王国
マギアナが生まれた場所。元々は囲うように城壁が展開されていたが男心くすぐる変形機能により一部が浮遊、ラピ☓タのような追撃兵器として運用され、あなた達の活躍により消えた。
テレパシー
ポケモンの特性のひとつ。バトルにおいては味方からの攻撃を受けないというもの。そして人間と会話ができる特性である。まるで喋っているように聞こえるが、声を出しているのではなく心に響かせるという表現が正しい。幻、伝説といったポケモンに多い特性であり、その場合は一つの特性しか持てないという原則から外れる。そのため特性を二つもつ個体が存在する。今の所確認されているのはテレパシーとイリュージョンの特性をもつゾロアのみ。親のゾロアークはテレパシーをもっていないため遺伝による受け継ぎは難しいようだ。下記に事実確認はされていないがテレパシーを使え会話できるとされるポケモンを記す。
ルギア・ジラーチ・マナフィ・ルカリオ・ダークライ・シェイミ・ゾロア・ケルディオ・ゲノセクト・ディアンシー・ボルケニオン・フーパ
ゲーミング空間
タイミングによるがフワンテが映る。
でんこうせっか
スマブラの復帰技。建造物と呼称しているのはピカチュウがビルという単語を知らないため。