〇〇の(ポケモン)トレーナー   作:カナーさん

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個人的なショックと世間的なショック。投稿が止まるくらいショック。bw2記念の話とかもあったのにタイミングがないからお蔵入り。それでも戻ってきた。ストーリーのストックはなし。悲しいね。
追記 何故か同じ話が連投されてましたので削除しました。今回に関しては意図はマジでありません。


働き者

 

どこかとおく

 

それいじょうはもういけないというほどとおいばしょ

 

そこにさんにんの_三柱の女神がいました

 

息が荒く とても疲れている様子の女神の三柱がいました。

 

星と星の接触。そんな未曾有の大災害なんてとても許容できるものではありませんでした。

 

そんな悲劇しか呼ばないイベントを回避するため、とても頑張りました。

 

もちろん頑張らなくてもよかったのです。

 

星を運営し直した女神からすれば、また作り直すだけ。

その余裕な顔色は直ちに曇ることになります。

欠けていたのです。

 

なによりも大切なウマ娘の思い出、走り出した思い。胸に残る大切なもの。この星の基盤とした前の、メジロマックイーンが主軸となったあの時の情報が欠けていたのです。

 

それも女神が我慢できず演算を走らせた未来の、アフターストーリーのその最核。メジロマックイーンという宝が残した宝石。その存在がスッポリ欠けていたのです。

 

推しが残した大切なもの。様々なウマ娘の轍を見送ってきた女神でもそのストーリーは強烈でまさしく黄金の記憶でした。

 

元にした情報が欠けている以上、今の星の情報を失えば、もう二度とそのウマ娘と出会うことはありません。今生きているそのウマ娘は正真正銘今を生きているのです。

 

今の星を情報にして保存する案もありました。しかし、既に星は目撃されている。更に様々な問題が起こることは確実でした。

 

女神はその日の記憶を消すのではなく、意識を逸らす方向で動きました。無くなってしまえば違和感が残ります。その違和感は徐々に浸透して致命的な結果を生むでしょう。

 

だから虚構にするのではなく、切って捨てるのではなく無視を女神は選びました。

 

そうして、新たな事象が起こりました。

それはサイレンススズカの故障が回避されようとしていた時と同じでした。過去の怒りが再熱したわけではありませんが、結果は変えないように女神は簡単な仕事を終えました。

 

 

 

 

 

「「……………………」」

 

 ぐでーと溶けたシャワーズのように伸びる二人を住処から眺める。

 

「最近……いや前からだがモルモット君が冷たい気がする。最初はかなり熱意が感じられたというのに私への扱いが雑になっている」

「タキオンさんはいいじゃないですか……実験だと言えば強制招集できるぶんまだ。私なんて店巡りする時間や朝にコーヒーを分かち合うのも含めて一緒の時間がないんですよ」

「私が遊びで彼を実験に呼んだことなどないよ。それはそうと呼び込んでも実験対象にした相手に興味が惹かれることがまま合ってだね……委員長の時など実験は成功したのにバクシンバクシン煩く__」

 

 言外にバクシンと名前で呼んでいることが気に食わないと吐き捨てる。自分がネスオンと覚えられて、呼ばれるまでにかなりの時間を要したというのに、となかなかお可愛い嫉妬が透けて聞こえる。

 

「それはあなたと実験に魅力がないからでは?」

 

 スパッと容赦ない言葉。間隔のない喋りはあなたに気に入られる為……というよりいないから普段通りになれてないって様子。ダメージの影響が垣間見える。

 

「ほう?ここに君が寝ているモルモット君の隣に幸せそうな表情で」

「今日はタキオンさんの実験に付き合いたい気分です、なんの薬を飲みましょうか」

 

 タキオンの手にした写真がもぎ取られて中断されたので私が繋げるがこのカフェは態々隣に陣取り、もとい独占している。私が何度引きずり込もうと思ったことか。あなたの腕にしがみついて肩に頭をのせて、私達が過剰に見えているかもしれないがとても甘えている様にしか見えない。あなたが目を開ける前に腕を名残惜しそうに離すのも私の見間違いだろうか。尻尾を巻きつける行為はウマ娘的にどんな意図があるだろうねぇ?

 ポケモン的には愛情表現だからギルティなんだけど、ウマ娘であることに、あなたと仲が良いことに感謝するといい。

 

 まぁあなたは睡眠を取らないのでもちろんカフェの行動は把握している。あなたが寝ているように見えるのは対外的なアピールでしかない。昔はあんな暗闇の虚無の中で数時間過ごしていたようでそれが精神的なダメージを蓄積していたと私はにらんでいる。防御は下がらない。

 今は年中活動している私が話相手……は言葉が違う。思いを送信しているが正しいかな。

 

 なので私の嫉妬にも似た感情を受け取っている筈なのにあなたは笑っている。この世界でほぼ笑みは見られないけど割と私達相手だと見えるのはやはり信頼されているのだろう。心が満たされる。

 おっとカフェの話に戻ろう。

 カフェの行動は把握している。把握していることはカフェ自身もその友達も知らないように見える。もしかしたら友達はわざと教えていない可能性もある。トランプで相手の札のジョーカーをさもアタリ、安全だと教えて引かせるとかカフェにイタズラをするので掴めない。

 

 ジョーカーを掴まされたその反応にあなたと友達が煽るのはもはや定番である。背後にいるため、見えない筈の友達と同じ行動を取るのは仲の良さがわかる。友達が現役だったらカフェ以上に警戒が必要だったかも知れない。

 

「カフェがやる気になってくれるのは嬉しいがあいにく私も気分が沈んでいてね。ご覧の通り空腹で動けないのだよ」

 

 元気よくお腹が鳴る。あなたの食事はあくまで楽しむ為に用意するもので、オグリキャップでわかる通りを誰かが食べているのを楽しめる人間なので自分用のご飯も要求されれば差し出している。

 その都度、アグネスタキオンから小言を貰う。やれ好み味付けではない、やれ栄養が偏っている。箸を使うのは手間。

 アグネスタキオンの為に用意したものでないのにも関わらず律儀に話を聞いているあなたは私は偉いと思う本当に。話を聞いているだけで改善をしないのはあなたらしい。

 ちなみにポケモン達の要望については誠心誠意に応える。新入りのあのドレスみたいなコはかなりの偏食家で素材がないなかでしっかり対応している姿は久しぶりにポケモントレーナーらしいなんて思ってしまった。ツンデレ気質のポケモンだと私でも反応がどちらなのかわからないので新入りはそれを含めて好感。

 嬉しい時はクルクル回るし、嫌だと女の子が風で帽子が飛ばないように抑えているアクションを起こすので機会があれば話したい。まだリオルの事を警戒しているのも可愛らしい。あのコ怖いわよね。

 

 新入りのことを思うと少し気分がよくなったのでこちらの世界からいくつかのきのみを送り出すことにする。

 口の周りのアーマーを展開して添えられたきのみを咥えて、空中に投げ込む。この世界では重力も不安定なので落下することなく宇宙空間のようにふわふわゆっくりと進んでいく。

 

 その軌道上、きのみが向かう先の空間を繋げる。意図的に引き起こされた空間の歪みにきのみが吸い込まれて、アグネスタキオンの頭上に開いた歪みから脳天にきのみが複数直撃する。

 

 アイタ!?といい反応をウマ娘を尻目に私は私の大切な人の元に向かう。昔話はあまり興味がなかったのでこちらに顔を出したけど正解だった。

 あっそういえば投げ込んだ物の中にスナップで使われている直撃すると発光するボールがあったからもう少し眺めていよう。

 アグネスタキオンが発光するという珍しい光景が見られるのだから。ついでに音でも鳴らそうか?

 

 

 

 

 バスがホテルの前に停車する。

 指示を飛ばす為にトレーナーが席を立って口を開こうとしたタイミングで彼は窓を開いてそのまま車外に飛び出してしまった。

 難なく着地してそのまま海の方向へ向けてダッシュする彼。

 「ウオォォ」と開けられた窓から彼にしては珍しい声だと思えばバスの近くに停車していた車から同じく飛び出して全力疾走しているゴールドシップの声__バクシンバクシン__それに割り込むさらなる声。ある生徒を彷彿させるような元気な声が届く。

 

 二人は並び、そして同時に大きくジャンプすると両手をまるで海賊王になるとでも言うように上げると「海だぁぁ!!」と咆哮をあげる。

 

 一連の流れを遠巻きに固まったまま私達。

 

 その間に男子小学生のようなウェ~イと軽いノリで讃えあいながら駐車スペースまで戻ってきた二人。

 

「やっぱり海に来たならやらないと行けないよなー!」

 

 それに大きく頷く彼に「だよな!」とそのまま談笑する二人。

 

 秋川理事長がゴールドシップをまともに相手できるとおっしゃっていたがあれは相手というより一緒に遊んでいるのでは。

 理性があるゴールドシップなど普通のゴールドシップよりも末恐ろしい。実際苦情も減ってきてはいるが代わりにみな一同に「助かってはいるんだけど」と口を揃える。つまり助かったから文句をいうに言えないというジレンマは絶対彼の入れ知恵だろう。苦情よりも感謝の言葉が多いことは私の胃に優しくて助かる。

 

 弁償金を先に払ったから壊してもいいというわけでもないのだが、以前の彼の行動をみるに絶対影響を受けている。実際になにかを破壊したと話を聞くわけではないのだが。

 

「電波……?いや行動自体はやりかねないから違和感はないけど、なんでゴルシも一緒にやってるの?それに感染し(うつっ)た?いや逆???」

 

 未だに二度見をせざる得ないゾロアークと呼ばれたテイオーと瓜二つのウマ娘。

 意外だった。彼女なら飛び出して行った彼を追いつくくらい容易いはず。それが私達と同じように呆然と悩みのタネである二人を見送っている。

 ……こう、勝手のイメージなのだが。ゾロアークは出掛けていた主人が帰ってくると駆け出して飛びつく犬のような印象があった。ゴールデンレトリバーとか。タイキシャトルのような。

 

 割と彼が容赦なくゾロアークに制裁を与えていても構えて貰えて嬉しそうに見える。

 彼の後をトテトテと付いていくのを見たときは兄妹の姿を幻視したほどだ。

 

「まぁ調子が戻ってきたって前向きに考えよう」

 

 はいはいみんな出ようね〜そうだよねーと固まったトレーナーの代わりに指示を飛ばしてバスから追い出すゾロアーク。その指示にとくに不満も間違いもないので素直に従って。

 そうしてバスから降り立ったゾロアークは近くにまでやってきたタネ二人に体を向ける。

 

そい!

 

と掛け声と共にゾロアークがどこからか取り出した黒い球を投げる。それと同時に強く一歩踏み込む。

ガシっとウマ娘の力で投げ込まれた球を当然のようにキャッチする彼にゾロアークが飛び込む。

 

 ヘイ、パスと球をゴールドシップに軽く流して蹈鞴を踏むことなく顔面に飛び込んでいったゾロアークを受け止めて両手を回して捕まえる彼。しゃがみ込むゴールドシップ。

 

「トレーナー。トレーナーはポケモン(ボク)達のことが?」

 

 抱き止められたゾロアークがその状態のままそんなことを唐突に問いかける。

 それに刹那の間をおいて大好き?とさも当然のように応える彼に周囲がどよめく。

 

「えへへ〜ボクも」

 

 彼もよくわかってなさそうまま満足そうなゾロアーク。

 

「それで本音は?」

 

 その声のトーンが変わる、揺れていた尻尾が力なく垂れる。

 彼は先程とかわり即座にマーベラスと口にする。

 

「やっぱりさっき一瞬言い淀んだのはそういうことじゃん!汚染されてるー!!!」

 

 


 

 

 彼の行動はいつも驚かされてばかりだ。

 おそらくはマンハッタンカフェの為にネイルの勉強で知り合ったのであろうトーセンジョーダンに施された自身のそれを自慢しに来たり、スマートファルコンのライブ(許可していない)宣伝を手伝ってそのまま観客に混ざっていたり、ナカヤマフェスタと負けたら明日から『手前の制服は裸エプロンだ』という賭けを仕出かして、委員各位、生徒会、たづなさんなど各所が動く事態に発展したりと。

 ……本当に驚かせてくれる。

 

 だがこれは、それは違うんだ。

 グラスワンダーの横にいるマスクをしたウマ娘を見て、これは私自身の頭が茹だっておかしくなったのではないと認識する。

 

 必要だと思ったからやった、と鼻につくような言動でもなくて当然だと言わんばかりの自然体でバスに乗る前に彼はそう告げた。

 

 国外にいたエルコンドルパサー。

 

 それを必要だから。という理由だけで夏合宿の初日、それも態々バスに乗って一緒にいく為にどれほどの労力が必要なのか。いや、本当にどうやって連れてきたんだ。

 

 終わった凱旋門賞。

 

 結果は彼女が求めたものに届かず彼女の夢はブロワイエが手にした。

 他愛もない雑談をしていた時にふと、このトレーナーから見て凱旋門賞はどのように映るのか気になり質問してみた。

 その返しにまだ時期じゃないだろう、と言われてそこで私の思考はストップした。

 

 その言葉を普通に受け取るなら時期を勘違いしていたと至るのが普通なのにそこで私は止まってしまった。

 理由はわからない。わからないまま間をおいて違和感を抱くことなく、自然と話が続く。

 

 彼にしては珍しくレースの概要を把握していたが時期ともう一つ、出走者の一人を間違えていた。

 顔を忘れたことがない私でなくともその顔を、名前を強烈に覚えている人は多いだろうそのウマ娘を彼はモンジューと、ブロワイエを他のウマ娘と呼び間違えていた。

 

 バサバサと羽ばたく音が耳に届く。私達がいるトレーニング場に後学のため、見学していた彼に近づく立派な鷹。

 

 エアグルーヴとテイエムオペラオーを避けてウマ娘個人に自身の所感を伝えていた彼は腕を肩と平行に上げ、そこに降り立ちそのまま肩に移動し留まる鷹。

 それに自然体のままごはんを差し出す彼。

 マンボー!?と驚きを示すエルコンドルパサー。

 手慣れた様子で、そのまま自然体で会話を再開する彼。

 

 当然ツッコミが入る。

 どうやら彼は鳥を、それも推定マンボーよりも大きい鳥を飼っていて手慣れていたのはそういう理由らしい。

 説明を求めたのはそこではないのだが。

 いや、賢いのはわかった。起こした問題を引き受けるのも構わないのだが……。

 

 私の視線がエルコンドルパサーに向いていることに気付いて、連れてくる途中で懐かれたとそう説明され、暑さのせいか少し頭がクラクラしてきたのでひとまずは納得をする。

 

 そのまま彼は後回しにした二人にもちゃんと話をしてから、鷹を連れたままチームスピカの方へ行ってしまった。

 

 私にはなにも言ってくれなかった。

 それは、違うよ。

 

 

 前々からスピカのトレーナーから相談されていたあなた。だがあなたはずっと疑問符しかなかった。

 

 治療に長い時間をかけて長年使わなかったので感覚が違うという話ならあなたも理解できた。

 

 しかしサイレンススズカは数日で全快。更に多くの時間を病院に縛られていたとはいえ動かさせなかった、ということもないのになぜ本調子でないと相談を受けるのか。

 

 精神的に全力を出せない。もう一度壊れるのが恐ろしい。

 もし、そんな理由ならあの時に既にサイレンススズカは折れている。それでも恐いと感じるのならそれはあと一歩が足りてないのだろう。

 

 あなたもこの目で確かめたかったのだが、メジロ家にサトノ家でかましたハッタリを現実のもの、最低でも口裏を合わせる為に赴いたりと様々な用事に予定が詰まっていて、口頭で側で支えてやれというアドバイスしか送れなかった。

 

 そうして夏合宿。体に自分以外の体重が加わるという向こうでは日常な感覚が今、エルコンドルパサーから預かったマンボーを通じて懐かしさにあなたは触れている。

 

 その感覚のままチームスピカが練習している場所にあなたは辿り着く。

 

 トレーナーは確か怪我が治っても走れるかはわからないとあなたにも態々説明していた。肉体的、精神的のどちら、または両方のどれを指してそう発言したのか。

 

「やっぱりわかってるよな。全部だ。全部あると考えてる。だけどできねぇな。それをわかった上でスズカの容態を把握してなお、スズカはまた走れると今の俺には心の底から断言できねぇ」

 

 取り巻く法則と過去の経験の差だろう。

 スペシャルウィークのあれは崇拝に近い。別のものだが無自覚な信頼はエアシャカールならロジックじゃねえとでも言うだろうか。

 

 あなたも割とロジックでなく感覚でものを言うタイプだが根っこはギチギチの論理タイプだ。

 今でこそトリッキーな代表みたいな扱いだがあなたも昔はヒカリのように堅実に強いタイプだった。

 あなたは堅実に計算して、完璧な管理ができる人だから放任主義になったタイプの人。

 

 リギルとスピカのトレーナーのいいとこ取りみたいなのがあなただ。けれどどちらもおそらくサイレンススズカに対してはあなたと違う反応を示すだろう。

 

 ポケモンは人間とは時間の感覚が違う生き物である。ほんのちょっと拗ねて口を聞かなくなって早一年とかそういうのがザラにあるのがポケモンである。ギラティナは神話に語られるディアルガ・パルキアの同期とあなたは思っているので時間に対する尺度はやはり違う。あっちにとってちょっと口に閉ざしたのが年単位とか。えっそんなに経ってたの、と驚かれる。まぁ長命種にありがちな反応。

 

 そんなわけで精神が持ち直すのに二年ほど歳月を要したとしてもあなたは気にしない。強さというのはそれぞれだからサイレンススズカにはそれだけ必要だったとあなたは受け止めるだけである。

 

 やっぱりスゲーよ、とトレーナーから言葉をもらったが信じて待つと決めたなら二年程度待ってやれなくて何がトレーナーだというのかあなたの感想だ。社会的なしがらみがないあなただからこその特権だと言える。

 

 なのでサイレンススズカのことはとくに心配していなかったのだがその走りを見てあなたは思わずあぁ、と言葉を出して納得してしまった。

 

 調子が良くない。走りにキレがない。

 

 そのままサイレンススズカとメジロマックイーンと彼女達がいる場所でトレーナーを捕まえて、宿泊地で話を聞く。とりあえず現状をお互いがどう認識しているのか知りたかった。

 

 全力で走れない。もしもう一度ケガしてしまったらという気持ち。

 それにトレーナーは精神的と判断するのも間違いではない。

 

 ただあなたの結論が二人と違うだけだ。

 

 サイレンススズカは全力で走れないと言った。それは以前のように、ということかあなたは確かめる。

 それに肯定をされ、あなたは小さく嘆く。

 

 そうだったこの世界に進化という一律の、あなたからすれば当然の概念が浸透していなかった、と。

 

 あたりまえだ。言葉を溢して、二人の視線があなたに向く。

 

 以前のような走りを目指して走り続けていたのなら全力で走れるわけないとあなたは強く断言する。

 トレーナーに声で遮られないように言葉をそのまま踏み倒していく。

 

 なぜなら今のサイレンススズカは一歩進んだ、進化した状態なのだ。進化、つまり生まれ変わったと言ってもいい。そんな体に以前のような走りを求めている時点でお笑いものである。

 なんせ以前のそこはもう通過点なのだ。肉体は既に先に進んでいるのに精神が昔を引きずっていれば肉体と精神の齟齬が生まれるのは当然だ。

 

 昔の限度で走っていれば物足りないと感じのは必然。それを繰り返せばタイムも落ちる。

 全力で走れない。それはそうだ。そこはもう全力のラインじゃないのだから。

 

 以前のように走っている。それが一番の原因だとあなたは宣言する。以前のように走っていれば以前のようにしか走れない。だが今のお前は違うのだ。

 

 実際にタイムを測れば一発だろう。受け取った側が間違えることはあれど、数字は嘘をつかない。

 

「うそでしょ……」

 

 念の為ゾロアークに後ろから追走させていたが一応仕留める気持ちで走れと告げていたのでレースさながらの気迫が後ろから感じられただろう。

 その成果もあってスズカのベストタイムは軽々と更新された。

 殺気を感じれば嫌でも本当の全力で身体は走る。それが再現性のないものなら意味はないがこれはある。

 

 放心しているトレーナーを復帰させてトレーニングメニューの見直しと、あと一歩の精神的なものを取り除けばスズカはとても素敵になるだろうとアドバイスを終える。

 

 後日のゴールドシップとダイワスカーレットとサイレンススズカの走りを見て、精神的なもの、ももうないようなものかと判断する。よほどあの走りはサイレンススズカの後押しになったようだ。

 

 それでもまだ残っている。まっそこは時間の問題だなとそう考えていたあなた。

 

 日を改め、トレーナーによってトライアスロンが決行された。

 あなたもホテルのスイーツはコンプリートする気満々だったのでそれが景品になることに文句はない。

 

 ただ残念ながらあなたはトライアスロンには不参加だ。リギルのチームがいない上に広々とした空間が使えるチャンスをあなたが見逃す筈もなく、あなたはてもち全員を開放してスイーツを楽しむ予定だ。

 

 なお、ゾロアークはスピカのトライアスロンに参加を指示されてハブられているので少し不機嫌である。溺れたりといったヘルプに力を貸すという名目に不満はない。普段からあなたと行動を共にできるから不公平だーと声があったのも知っている。でも納得できない。でーきなーいー!と。どこかの魔女っ子ウマ娘のようにやだやだやだー!と。それでもあなたの決定は変わらない。あとその姿でやるな、と注意する。

 

 そんな抗議を受けながらあなたは今、愛しいポケモン達、リオルとゾロアークを除き、五匹と共にスイーツを味わっていた。

 あなたの手から食べたいコが多いため全くスプーンは進んでいなかったがサーナイトが口に運んでくれるため満足。

 

 こおりタイプが苦手なのにアイスはいいのかとそこはあまり突っ込まない。昔なら知らずもう疲れたのである。ほのおタイプが溶かしてしまったこともあるが慣れたものでコントロールして迷惑を掛けずに集団に馴染んでいる。

 

 シュミーズドレスから名前をとった新入りのシューちゃんもてもち達の空気に慣れたようであなたは安心している。

 

 制限はあれど、この世界でここまで伸々と過ごせたのは初めてなのでてもちの嬉しそうな表情にあなたも嬉しくなる。

 

 けれど楽しい時間は終わるのが早いのはどこでも同じようで事前に連絡を入れるように伝えていたゾロアークからではなく、周囲をグルグル回っていたギラティナからあなたに近づいてくる仰せが届く。

 

 あなたの動きは迅速だった。

 食べ終えたものから順次にボールへ戻して最後にシューちゃんを残して、チームスピカが食堂にやってきた。

 

「ただいまートレーナァ!!?」

 

 少し疲れた声色でゾロアークが驚く。

 それは連絡を忘れていたのを思い出したのではなく、あなたの姿を見てそんな声を出したのだとあなたは察する。

 

「スイーツですわ……?貴方はなにを被っていらっしゃるの?」

「新作の帽子__でもこの前買い物に行った時はあんなの売ってなかったし」

 

 あんなの。

 ぐさっとダイワスカーレットの発言がシューちゃんに矢印が突き刺さる感覚がする。ついでにあなたの脳天にも貫通する感覚。

 あなたは今の格好は変わらずクソ暑そうな服装だがそれに加えてシューちゃんを被っていた。

 あのサトノダイヤモンドが泣き散らす捕食スタイルを奇抜な帽子という体を装ってあなたはこの場を乗り切ろうとしていた。

 無理がある。

 




覚えたウマ娘の名前。
トウカイテイオー
マンハッタンカフェ カフェ
アグネスタキオン ネスオン
シンボリルドルフ 皇帝
エアグルーヴ 女帝
サイレンススズカ ススズ→スズカさん

覚えているウマ娘の名前
メジロマックイーン
     
終わった凱旋門賞
ポケモン世界からの干渉により時期が繰り上がった。
世界の干渉というよりはネクロズマへの対応策がウマ娘世界までに浸透したが正しい。

ブロワイエと_____
あなたが記憶していた名前ではないウマ娘。一つ確かなのは今のこのウマ娘世界の基準はアニメであるということ。

四字熟語を使わないカイチョー
相互理解をしない独り言なら会話しない、と強めの言葉あなたにもらったので矯正中。あなたとの会話に限り、封印。なおあなたが関わらないと普段通り(意味あんの?)。あなたとの会話で誤って発揮されると目を合わせずルナのパカプチを取り出しそれごしに話を続けるためルドルフは頑張っている。

スナップ
ポケモンスナップ。大自然を生きるポケモンの姿を観察、撮影。対戦ではなく世界観を楽しめるのが売り。食物連鎖とか見れる。そこには特殊な道具、アイテムが存在しており、今回投げ込まれたのはそのスナップ産の物。
タマザラシがかわいい。

しゃがみこむゴルシ
軽く渡されたボールが黒い鉄球だったので激重でびっくり。

シューちゃん
ウツロイドの名前決定。シューマイからも持ってきている。

『キミの制服は裸エプロンだ』
4枚中2枚のカードを引き当てるとナカヤマフェスタが裸エプロンというところまで接戦していた。
横槍が入ったことで白け、勝負は流れたがあなたは別に裸エプロンで登校しろとは命じていない。
あなたにとって勝負に勝てば相手が約束を守ろうが破ろうが関係ない。守れば言うことなし。着替え直して普通に登校すればいい。破れば相手は永遠の敗北というあなたにとって美味しい展開しか残っていない。
『ニット帽の着用だけは許可しよう!』

女神の検閲
__一馬身、余裕を持つなら更にほしいとそんなことをトレーナーに告げていた。
幸い、対戦相手と同じタイプの脚質や実力が揃っているので模擬戦には困らない。私がその相手を提案されるのは視線でわかっていたことだが、まさかエアグルーヴにも頼むとは。
プライベートならいざ知らず、トレーナーとして私情は持ち込まない、『必要だから』、か。
まあ、女帝とは後輩の面倒も見れないほど窮屈なのか?と煽っていたがあれがエアグルーヴとの、憎まれ口を叩きあう関係。
アグネスデジタルの言葉を借りるなら尊い、と言うのだろうか。
ダイワスカーレットとウオッカの良きライバルとも違うそんな関係__
女神の仕事により、エルコンドルパサーの勝敗は変わらず……そこだけは仕事ができる女神である。
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