〇〇の(ポケモン)トレーナー 作:カナーさん
あなたは瞳を上げる。
そして瞬時に身体に神経からの伝達により力み強張る。
肌触のいい寝床から毛布ごとあなたは飛び跳ね、もとい飛び起きる。
あなたが意識を覚醒させた。
それはつまりあなたは意識を失っていたことに他ならない。
場所は沖野トレーナーのトレーナー室によく似ていることからトレセン学園の無数にあるトレーナー室の一つなのだろう。
明かり一つない暗闇でもあなたであれば行動に支障はない。
カチカチと動く時計の針に焦らされながら壁まで無音で移動し、背を向けて重心を移す。
洞窟探索で培った能力。それによればここは良い日差しの当たる昼寝スポットであることくらいしか特徴がなかった。
ここから差し込むならば、と注釈ははいるが。
移動している最中にデスクトップや棚や壁に何やら写真や物、おそらくは盾などが飾られているのが目についた。
あなたは今まで獲得してきたジムバッジをシンオウ地方にある秘密基地に飾ったりするので気持ちはわかるがあなたが目を集めたのはそんな理由ではない。
数。
数が多すぎる。
ジムバッジは地方におおよそ八。実際にはそれより多くのポケモンジムが点在している。だがポケモンリーグに挑戦するだけならば挑戦券である最低個数の八つで問題はないわけで、リーグ側もそれを参照しているのかバッジケースは八のみの枠。
あなたは学校に通ったことがないのでこの世界のストリートビューの画像で校長先生室から近くにある表商品が飾られた棚を拝見したことがあるがそれに近い物がこの部屋にはある。
流石に写真の人物など詳細な情報は暗さによって得られない。
デスクトップにある写真も同様に。
カチッと電気を入れることは簡単だ。
だがそれはできない。スタートの時刻は日を跨いだ深夜丁度。状況把握の間に進んだ時間を合わせれば目覚めたのはそのくらいと予想できる。
トレーナー室の明かりがこの時刻まであるというのは毎日はないがそれほど珍しい、という光景でもない。
沖野トレーナーの姿どころか杖が必要なトレーナー以外では学園にいるトレーナーはほとんど網羅してしまった。最近見かけたのは才女と呼ばれるトレーナー、
そもそもこの学園は理事長が理事長だからなのか深夜の活動は申請さえすれば学生だけでも通る。せいていさい?ハロウィンのやつ、でさえ残って作業しているデジデジ師匠(学園)がいたり、緑(教員……?)が遅くに他のトレーナーと一緒に学園に帰還するなどアクティブがすぎる。
眠らない街ヒウンシティかゲノセクトの舞台かと思う。
言うまでもなく、なぜそんなことをあなたが把握しているかは明白で、夜に活発に活動する社会不適合者だからであるとあちらでも思われていた。
マンハッタンカフェはともかくアグネスタキオンからは自身と同じタイプであると思われているあなた。
あながち間違いでもないのがあなたの否定の言葉を堰き止めている。
惹かれない、と溢れた言葉にアグネスタキオンは濡れる。そこまで言わなくてもいいじゃないかと、床に伏せる。
ウマ娘の育成、方針をあなたならどれほどの考える時間作るかはウマ娘のトレーナーではないあなたには測りかねること。だがポケモン考察ならばあなたもこんな遅くまで時間を割り振ることは容易く想像できる。
同期のヒカリと同列で界隈からは廃人扱いされているあなた達は、そういう考えている時間が嫌いではない。
実際に実行に移さず、あーならいい、いやこーじゃない?あのポケモンのこの構成ならヤバイなんて意見だけを言い合えるあの時間はなかなかに至高。
えっあのポケモンの進化が発見された!?奇石いけんじゃん。
えっあの地方であのポケモンのメガシンカ使えるって!えっしかも剣舞したらほぼ全抜き行けるくね?
こーゆーことを想像して話すのは本当に楽しい。育成を始めるまでは。
活躍させる為の育成ではなくて勝利の為の育成はやはりあなたでも精神を擦り減らす行為である。
擦り切れてもはや光を反射するレベルであるのがあなた達廃人であるがそれでもダメージはある。
これがないのが悪の組織のボス達である。全員がそうとまで断言はしないが少なくともゲーチスはその類いであるとあなたは考えている。
逸れた話を戻してポケモントレーナーの癖というか愛の深さ故か時間を忘れてのめり込む為気付いたら寝ずに朝日を拝むというのはあるあるである。少なくともヒカリ、メイ、セレナ、何故かリオルまでも大きく頷いて共感してくれているのであるある認定にしている。
この世界のトレーナー達も過去のレース映像を入り浸ったり、走法理論を見返したり漁ったり、相手や世界が違えど行きつく考えや行動は同じなんだと感慨深くなったものである。
なので仮定としてここでライトを照らしたところで問題はないように見える。
ただあなたは自身に毛布が掛けられていた事実が動きを止めさせる。
あなたが行き倒れに思われ、ここまで運ばれたなんて憶測は消した。
思考をクリアにする。
そんな幼稚は考えが出てくる以前の話。
知らない場所で目を覚まして即時に厳戒態勢に移行したことで軽んじられた、あなたが意識を落とす前の記憶の重要性が増した。
そもそもあなたはなにをしていたのか。
トレセン学園にあなたをトレーナー室に招き入れる物好きは、三名ほど心当たりがあるがそのどれとも部屋が一致しない。理事長があなたの為に用意したとも思えないのでここは賞のケースを含め、誰かのスペースであることは間違いないのだ。
そしてあなたに毛布を掛ける精神の持ち主。
キングさまのトレーナーなら直接はないが間接ならありえなくはない。一撃必殺当てるよりもかなり低い確率なのだけど。毛布を掛けそうという点はキングさまは春の世話焼き具合でありそうと思う。あるだろ。
ただ、まもる三回連続成功より低い可能性を通したくない。他候補も同様に。
壁につけた耳がようやく遠くの喧騒を拾う。
近くからは蛇口から垂れる水音が聞こえるほど静寂。
少なくとも周囲に気配はない、と断定したあなたは意識が落ちる前の記憶を探ることにした。
最後の記憶はスペちゃんとブロワイエというウマ娘のレース……?いや、結果はそうだがなにかおかしい。
もっと前に。
どうにか切り抜けて……次の記憶はスペちゃんの実家にお邪魔した記憶に繋がる。いやその前にメジロ家のおばあさまとのお話だった……?素敵な方だったがともかくスペちゃんの実家の記憶はスペちゃんのお母ちゃんに男を連れて帰ってきたと思われたせいであなたとしても印象がある。
スペちゃんは割とモテるとあなたも思うし、デートに誘われたら嬉しいがそれでもないない、とあなたは首を横に振る。
もちろんスペちゃんに魅力がないということではなくてむしろ魅力は割高。苦手意識があるであろうあなたでもスペちゃん自身の長所は失われなかったので決して娘に魅力がないのか、とそんな言葉を引き出すための"ない"ではない。どう転んでもアウトやん、と当時と今も思う。
同行の理由は監視一割、個人的九割だった。
そもあなたは北海道という土地に感心があった。だって明らかになにかあるとわかる場所であったから。テンガン山の頂きに空間の亀裂が入ってる並のイベントの予感。
ただ理屈は不明なのだがあなたは解答があるであろう方向に突撃せず、関西や中部、四国に九州など日本の下側に何故か今まで歩みを進めていた。マッピングの感性ならゴール前に埋め、制覇を狙うのは理解できるのだがこの危機的状況化でそんな悠長な選択はおかしい。
普段であれば道具が落ちていないか道中調べる。誰か落としたからわからないモンスターボールや回復薬。
個人的見解であるが落とし過ぎだと思う。
監視というが多分それは沖野トレーナーの建前でスペちゃんとの関係性の落とし所を見つけてほしいということを察せられないほどあなたの人間性は破綻していない。
結果的にスペちゃんの発言を否定するような言葉が多いあなたに苦手意識を持たれても嘆くことはないし悲しむこともない。
昔なら全人類は仲良くできるものだと思っていたが旅を続けている内にどうやっても相反する相手という存在を見つける。どちらの色も悪くなく、ただ合わない。それだけだった。
そんな相手にあなたが見出した対応は避けると単純なものだった。距離を開けるともいう。
ただやはり大人の世界で教育という分野ではその対応は好ましくないのだろう。
挨拶も会話も軽めの討論ができるなら問題ないと考えていたのだがそこはチームの色が仲良しだからなのだろう。
チームだからといって皆仲良しではないのは四十八人のアイドルグループを見ればわかりそうなものだが。
ただスピカというチームは仲の良さも合わせながら競い合う精神も褪せていない。
あなたも納得したので元々いつかは向かう場所だった為、スペちゃんに着いていった
北海道。
空気は違うものだがそれでも酷く似ていた。
匂いを通じて故郷のことを想起して、肌を撫でる風は体に馴染む。
瞳から流れ出たものを拭いながら、地元あるあるトークで意外と盛り上がったスペちゃんに心配されながらあなたは一旦スペちゃん宅にお邪魔した。
誤解を電話でスピカのトレーナーを呼び出し解いて本当にお邪魔だと思うので早々に監視の仕事を放棄してひとまずテンガン山に足を向ける前に走ろうとするスペちゃんを軽トラに二人で突っ込む。
この傾向だと家に絞りつけるまでは安心しているスペちゃんを安心できないのでちゃんと縛り付けて、悪の組織相手にやるような縛り方を慌てて解いて軽く結んで、失われていない土地勘を頼りに冒険ではない真面目モードで歩こうとするあなたを今度はスペちゃんのお母ちゃんが止める。
娘からの手紙で近況は把握しているようだがそれでも近くにいたあなたからも話が聞きたいのだろう。
ポケモンの育て親でもあるあなたにはその気持ちは痛いほどわかるのであなたのレポートを取り出しながら本人がいることを考慮せず話を聞かせる。
そうして夕方を超えて、用意されたご飯をありがたく頂いて少しくらいなら走ってもいいと告げてあなたは行動を開始する。なぁに隠密行動は得意なところ。
なんの成果を得られませんでした!(やけっぱち)
えぇ……(困惑)
一応、本来テンガン山頂上がある場所に大きな違和感は残っていたがこれはおそらくだが"今"という時間の問題ではないなというのがあなたの結論。
あなた自身なぜそんなことがわかるのか疑問ではあるがあなた以外でも後輩のメイも感じ取れるようなのでそんなもんかとスルーしている。おそらく考えても答えは定かではない。
なのでなにも得られてないに等しい。
久しぶりの登山であったがこんなことならカフェでも連れてこれば良かったと、そう考えていたからか。
ギラティナが嫉妬で特性はテレパシーなのに通常特性のプレッシャーをまるで死神のようにあなたの周囲に重圧を放つほどカフェと遊んでいた。
カフェ以外にも、ウマ娘に推しを見つけて応援していたり推しの勝負服をきて応援しにいったり、この世界の推し活をご教授してくれたデジタル先生と共に励んだり、バクシンと朝の挨拶運動したり、マーベラスとマーベラスしてナイスネーチャンが頭を抱えたり、風と交わったり、風水の布教を躱したり、自暴自棄とは違うがやけっぱちに近い状況にあなたはあった。
こうやって大雑把にイベントを思い出せば中々充実しているとあなたは感心した。
そうして天皇賞。そしてジャパンカップの時期になって__そう、ジャパンカップ__
○
多くのファンが待ちわびた日。功績を立てたウマ娘のみが集うジャパンカップ。その場は異様な空気が流れていた。
割れんばかりの大歓声。空気が歪むほどの熱。
全ての声。全ての目。全ての思い。
会場から集った感情が会場を溢れ、いやそれだけでは留まらない。日本全国の人々から発せられた応援が線となって会場に集まり、道となりウマ娘を押した。
もはや会場の許容など軽く突破して、それでもなお収まることなくウマ娘を包み、風で空に流れていく。終わることなんてないと思わせるその波。
それは日本総大将と欧州最強が握手をすることでより大きくなり、その瞬間を多くの人々が目撃し、心に刻まれ、また誰か夢となって繋がっていく。
そうなるはずだった。
勝者と敗者が手をとった瞬間。
空間が歪んだ。
蜃気楼のような、空気が熱によって人間が観測できる、そんな言葉の比喩ではなく、文字通り空間が歪み捻れ空に黒い影が明暗を伴って現れた。
その現象に歓声がどよめきと悲鳴に変わる事はなかった。重加速が展開されたように時間が惰性に、スローモーションをかけられたが如くゆったりと進む。
それでも上空の変化はとまらない。
空に奥行きと影ができて__震える。地球という地盤が動かされたように揺れる。
そして風船に空気を入れ続ければ破裂するように捻じれた景色が一周したそのタイミング。広大な上空に亀裂が走りながら蒼いワームホールのような穴が開き、体表が黒い光沢の
コンコン
○
「トレーナー_
あまりに衝撃な出来事にあなたは反射的にニャースのように飛び上がり、そのまま窓をぶち破って逃走した。
残されたのは月明かりに照らされて靡くカーテンと呆然とするウマ娘、ただ一人。
同じタイプ 惹かれ合う
スタンド攻撃を受けているに違いない。
始める前は楽しい
ポケモンSVも発売前の予想を言い合ってる間。
ウマ娘もチャンミ育成の情報を集めている間。
新ポケモンの個体値(非公式用語)予想
新ウマ娘の能力(脚質スキル相性)予想
スルーされたレース
スピカとリギルからスペ、覇王出走。
軽トラ
もちろん二人乗りなので折りたたみ式自転車で並走。
メジロのおばあさま
他メンバーにマックイーン、ライアン、ドーベルを相手にするので仕方ないので女装で対応。余談だがかなりタイプだった。
ナイスネーチャン
ナイスネイチャ。毎回訂正しているが別のウマ娘が上書きしている。
風
ヤマニンゼファーが風ならあなたは色で世界を表現する。目の色を変える、褪せるなど。
本来前書き部分
投稿時間三分くらいミスってる。11月22日であり、11月18日でない意味はあります。本編を読むうえで必要のない裏設定というやつですが。できれば21日が良かったけど新作面白いからネ。
本作を読む方がいるなら久しぶりです。8月以来ですね。忙殺でした。ハーメルンで他作品が読めないのは辛いですね。
今回は振り返りというかダイジェスト。新作発売前にアニメ一期を終わらせる予定でした。なので終わらせました。もちろん嘘です。絶望的な展開という意味ならそうです。そこは予定通り。
はい、ルザミーネ(Boss)登場です。じゃあ未来の作成者にあとは任せます。パルデア地方に行かないと。あっチャンミはライスが獲ってくれました。