「山陰の夏は晴天が多くって、意外に蒸し暑いですね」
--みほちん------------
新「艦娘」グラフティ6
第1話(改1.3)<山陰の夏は晴天が多い>
---------(第17部)---
「ガタゴト」
私たちはワゴン車に乗せられて居る。
「ギシギシ」
(だいぶ、サスペンションが疲れた車ねえ)
なーんて、つい分析してしまう。
本来なら今、警戒すべき場面だけど。
「なんだか、こういう状況って呉工廠を連想させます」
つい、はしゃいでしまった。
いちおう目隠しされているんだけど。
工作船の性(さが)か見知らぬ場所へ行くのは大好きだ。
「あなた、鳥取県は初めてかしら?」
隣の大淀が話し掛けてくる。
彼女も目隠しされていて少し声が上ずっているようだ。
「はい。着任するまで私、一回も来たこと無かったです」
普通に返事をした。
「最初、ここって舞鶴っぽい気候かな? ……って私、勝手に思い込んでました」
率直な感想も付け加えた。
「そうね。どちらも同じ日本海側よね」
私が落ち着き払っているから彼女も安心したようだ。
「えっと舞鶴には技術研修で、たまに京都経由で行くことも有りましたよ」
「アラ良いわね。私、呉と横須賀くらいしか経験無いわ」
まるで目隠しを忘れたように会話する私達。
「山陰の夏は晴天が多くって意外に蒸し暑いですね」
「うふふ。直ぐ慣れるわ」
「目隠しされた二人の日常会話って、ある意味……」
(艦娘ならではだな)
……って喋り掛け、ハッとして止めた。
何となく前で運転している二人、お店の関係者の人間に
余計な刺激を与えるかと思ったから。
「……」
その助手席にいるショップ店長の姐さん。
最初、彼女も心配していたけど私たちの様子に安心したようだ。
そのうち運転中の、同業のオッサンと世間話を始めた。
彼の方は、時おりケータイで連絡をしている。
二人は中古(リサイクル)部品を扱う業者だ。
(呉にも、たくさん居たな)
鎮守府とか大きな工場の周りには大抵、この類の人たちが居る。
(今回の話も呉の知り合いの店長が話を通してくれたから、すんなりコトが進んだ)
そう考えていたら、不意に大淀から無線が入った。
『男性が電話……今回の件を話してるみたいね』
それを聞いた私は『シマッタ』と心の中で舌を出した。
(私たち、最初から無線を使えば良かった)
彼女の観察力は、侮れない。
(おっさん、警戒してるかな?)
チョッと反省しながら、大淀に返信をする。
『そうですね。やっぱり対象は駆逐艦でしょうか』
『先般、日本海で大規模な海戦があったのは知ってるわね』
『はい。主に舞鶴が応戦して……でも急に収束した』
ここで、大淀は間を置いた。
『そう、敵の陽動作戦の疑いも有るの』
やっぱり大淀は洞察が深い。
「着きましたよ」
ワゴン車が何処かに停車したようだ。
姐さんの声で私も思考を現実に切り替えた。
「はい」
「あ、目隠しは取って下さいね」
「はい」
言われるまま私たちは目隠しを外した。
そこは高い塀に囲まれていて視界が利かない。
何となく風が通る感じ。
(平野部の何処か?)
……といった印象。
店長の姐さんが申し訳なさそう。
「ごめんなさいね、こんなことして。ここ、うちの倉庫じゃないんで」
「わかります。大丈夫、私も仕事柄こういうの慣れてますから」
笑顔で返した。姐さんもホッとした表情。
私は密かに大淀に通信する。
『場所は記録しますか?』
『そうね、念のため』
顔は笑いつつ、彼らの前では口に出さない。
それに目隠ししたって私たち艦娘には電探がある。
そもそも、無意味だ。
とはいえ海上用にレンジをとっているから
地上では、かなり誤差が出るのも事実。
どっちにせよバレたら面倒だ。黙っておく。
「ウチも、あなたと知り合えてホント、タイムリーで良かったわ」
そう言いながら姐さん、先に建物の鍵を開けた。
同業のオッサンに目配せしてから手招きをした。
「ちょっと狭いけどね、こっち」
案内されてコンテナを改造した倉庫の中へ。
申し訳程度のLEDライトに照らされた通路を行くと窓がない殺風景な応接室に通された。
(雰囲気出るなあ)
まるで、映画化ドラマに出てきそうな敵のアジトである。
「テキトーに座って下さい」
姐さんに言われて私たちは広い方のソファへ。
私は作業場のノリで直ぐに座る。
几帳面な大淀は汚れを気にしてハンケチで払っていた。
オッサンは中で待っていた若い兄ちゃんに何か指示を出す。
頷いて部屋を出る彼。
『いよいよっぽいわね』
『そうですね』
私たちは平然とした顔で正面を向いたまま無線通信をしている。
私たちのソファの対面に座ってケータイを受けたオッサン。
「もしもし、……あぁ、あなたですか。いえ、その件なら、もう買い手が付いたから。あぁ悪く思わんでな」
誰かに頭を下げている。
帽子を取った彼は頭の上がハゲていた。
さほど極悪でもなさそう。田舎オヤジっぽい。
「美保鎮守府って、規模は小さいですよね」
緊張をほぐすように改めて聞いてくる姐さん。
「はい。所属艦娘が100隻ちょっとで鎮守府では一番小さいです」
かなり軍機に近い情報だけど。仕方がない、世間話だ。
私の答えに安心した姐さん。
「今回もね、つい数日前に話が来て。でもこの山陰じゃ誰も初めての内容で正直、困ってたの」
「困る?」
「うん、艦娘なんて、まさかの想定外。これも時代なのかねえ」
姐さん、隣のオヤジから何か耳打ちされて頷いている。
「直ぐ連れて来ますよ」
話が速い。これも田舎だからな、と思った。
呉だと流通経路が増えるから。もうちょっと手順を踏んだりする。
いきなりノックもなしに反対側の扉が開く。
そこに現れたのは駆逐艦娘だ。
いきなりの展開に、さすがに私も一瞬、驚いた。
部屋に入った途端、焦げ臭さと硝煙の入り混じった匂いが漂う。
彼女は服がボロボロで艤装は着けたまま。特に縛られてない。
言い方は悪いが『出来立てホヤホヤ』感、満載だ。
私は彼女の破損状況を瞬時に分析した。
ここ地上ではなく戦闘の結果としての『中破』だ。
連れて来た兄ちゃん、恥ずかしそうに目を伏せて艦娘の後にいた。
私を見て口を開いた彼女。
「明石?」
私も目の前の艦娘を見て脳内データを検索した。
「えっと長波、ですね? 駆逐艦の」
これが他の艦娘だったら戸惑ったかもしれないが、あの特徴のある髪の毛で直ぐ分かった。
オッサンが口を開いた。
「地元の漁師が美保関で漂っている彼女を見つけたんですよ」
大淀が促す。
「状況を詳しく教えて下さい」
だが、この状況を私は勝手にワクワクしていた。
(これって不謹慎だろうか?)
以下魔除け
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほちん」とは
「美保鎮守府」の略称です。