新「艦娘」グラフティ6(第17部)   作:しろっこ

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取引成立と同時に緊迫する周辺状況。いけいけドンドンになって来た。



第4話(改1.3)<いけいけドン!>

 

「招かれざる客よ」

 

--みほちん------------

新「艦娘」グラフティ6

第4話(改1.3)<いけいけドン!>

 

---------(第17部)---

 

オッサンが若者に促すと彼は部屋の隅から玉手箱みたいな機械を持ってきた。

 

『あれは何?』

無表情の長波がD帯無線で聞いてくる。

 

『お札を数える機械よ』

そう応答しながら、知らないのも当然かな? と思った。

 

日々、戦闘に明け暮れる艦娘にとって大量の現金を扱うことは滅多に無い。

 

不思議そうな顔になった長波に視線を送り私は無線で付け加えた。

 

『大淀さんが知ってるのは当然。私も立場上、資材仕入れで業者と取引するから』

そして指を丸めてお金の形を作ってみせた。

 

それを見た彼女は小さく頷く。

『なるほど』

 

姐さんが封筒を開け札束を鷲掴みにすると機械にセット。ガサガサーッという感じの音を立て、お札が読み込まれる。

 

やがてカウンターには<600>というデジタル文字が表示された。

 

「んしょ」

念のため彼女は再セット、機械は最初と同じく<600>を指して止まった。

 

オッサンと姐さんが互いに頷く。

「確かに」

「よし」

 

いちばん緊張する瞬間が過ぎた二人は私たちに笑顔を見せた。

 

彼が言った。

「では、取引成立ということで」

 

「そうですね」

珍しく緊張したのか大淀は硬い表情をしていた。

 

彼女は私をチラッと見る。

「明石、鎮守府まで長波を、お願いね」

 

「あ、はい」

私は慌てて敬礼をすると<取引成立>信号をB帯で流す。直ぐに鎮守府から返信が来る。

 

『ん?』

思わず無線で呟く。電文の最後に良くない報(しら)せが混じっていた。

 

(ははぁ、さっきの大淀の顔は、これか)

私もピンと来た。

 

「どうしたの?」

空気を察した長波が口頭で聞いてくる。

 

「招かれざる客よ」

私は、わざとその場の全員に聞こえるように言った。

その言葉で急にオッサンたちの表情が強張(こわば)る。

 

業者の二人も、ようやく何かを悟ったらしい。

「やっぱり来たンか?」

「だからアイツら、ヤバいって言ったでしょ?」

 

慌てている。彼は急にブルブルと震え出す。

「まさか、本当に来るのか?」

 

どうやら私たちより先に彼らにコンタクトした何者かが居たようだ。

 

大淀は淡々と別の帯域で指示を出している。

 

その時、急に外から振動が伝わって来た。

室内の小物がビリビリと震え、室内に緊張が走った。

 

続いて、複数の帯域で無線が入り始めた。

 

私は直ぐに自分のメモリー比を工作・作業から巡航・待機モードへと切り替える。こんな時は大淀の余裕ある作戦処理能力が羨ましい。

 

(ま、設計思想が違うからな)

私は苦笑した。

 

「あ、陽炎?」

そのとき長波が反応した。

外の戦闘が激化して、うっかり通常帯域で発した無線を拾ったらしい。

 

「そう、私。うん、気を付けてね。人間も混じっているから」

私と大淀は、その何気ない一言が引っ掛かった。

 

(これは、かなり拙い状況かもしれない)

もちろん司令部も把握しているだろう。

 

「あ、あのォ」

オッサンが手を上げる。さすがに危険が迫りつつある状況が分かったようだ。

 

大淀は、ため息をつきながら言った。

「こうなることは分かっていました」

 

『ゴクリ』

……っていう音は聞こえなかったけど。彼らには針のムシロだろう。

(汗かいてるし)

 

恐らく意図的に大淀はオッサンたちに間合いを詰め人差し指を立てた。

「以後、くれぐれも艦娘を確保したら直ぐ私たちに知らせること」

 

「は、はい!」

大金が入って表情が緩んでいた彼らは肝を冷やして青ざめている。

 

かわいそうに。

(真っ正面から大淀に詰め寄られると艦娘でも胆が冷えるんだ)

 

ましてや相手は人間様。私は不謹慎ながら、ここに連れて来られるまでの扱いを思い出して<ザマミロ>と言いたくなった。

 

「さて」

気持ちを切り替えるようにして呟いた大淀は直ぐに司令部に報告をしてからコード信号を流す。数秒と経たずに返信。並列処理を繰り返す彼女。

 

駆逐艦の長波は相変わらず、きょとんとしている。

 

少し落ち着いた大淀は改めてオッサンたちに諭すように言った。

「今回は私たちで対処しますが。本来なら……分かっていますね? タイミングがずれたらビジネスどころじゃなかったのですよ」

 

「あ、ははい」

彼らもタジタジである。

 

「やっぱり、アレが来た?」

ここで確認するように長波が聞く。

 

私は工具を片づけながら大淀に代わって答えた。

「そう、あなたを横取りするつもりね」

 

大淀は並列処理を継続していた。その表情から作戦は滞りなく進展しているようだった。

 

安心した私も工具箱を閉じて長波に言った。

「でも大丈夫。貴女は渡さないから」

 

ここで一段落ついた大淀。

業者の二人を振り返ると微笑んで軽く頭を下げた。

「では私たちは失礼します」

 

「あ、直ぐに送らせ……」

言い掛けたオッサンに彼女は手を上げて制した。

 

「この周辺は既に戦闘状態です。危険ですから鎮守府から迎えに来させます。後は大丈夫です」

 

「え?」

納得行かない表情のオッサン。

 

それを代弁するように姐さん。

「あの、ここの住所が……」

 

大淀は真面目な顔になる。

「目隠しをしても、ここは私たちに特定されていますよ」

 

「……」

唖然としたオッサンたち。

 

「それに今、外に出たら色々なものが飛んできますし。私たちも装甲の厚い車で帰った方が安心できますので」

言うと同時に大きな音と地響き。

 

「ひ!」

頭を押さえる彼。応接室が揺れる。

 

「皆さんは当面、ここで待機して下さい。防空壕は有りますよね」

既に建物の構造も把握した大淀は言った。

 

「は、はぁ」

弱々しく答える彼に姐さんがヘルメットを渡した。

(こんな時は女性の方が心強いな)

 

そのとき私の無線にも信号が入る。

 

「あ、終わったわね」

私が言うと大淀は緊張が解けた顔でVサインをして見せた。

 

「今回は長波の姉妹が頑張ったわよ」

「やれやれ、仕事が増えるわね」

工具箱を抱えた私は笑った。

 

長波も、ちょっと嬉しそうな顔になっていた。

「美保の陽炎か……どんな奴かな」

 

 

以下魔除け

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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほちん」とは
「美保鎮守府」の略称です。
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