新「艦娘」グラフティ6(第17部)   作:しろっこ

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周辺の戦闘は、いったんは収まったらしい。その隙に一行は外へ出て、装甲車へ向かった。



第5話(改1.2)<目覚めた熊>

 

「こんな車輌があるんだ」

 

--みほちん------------

新「艦娘」グラフティ6

第5話(改1.2)<目覚めた熊>

 

---------(第17部)---

 

外の騒動は美保鎮守府の艦娘たちの働きで、いったん収まったようだ。

しかし、ここの事務所の応接室は緊張していた。

 

「はい、大丈夫です」

大淀が何度も帯域を変えて無線でやり取りしている。

 

少しして、ようやく一段落ついた彼女は、天井を見上げた。

「はぁ」

 

「溜め息なんて珍しい」

私の一言に苦笑する大淀。

 

「大丈夫……では、行きましょうか」

その言葉で私達はソファから立ち上がった。

 

「失礼します」

改めて業者の面々に会釈した。

彼らは恐縮した面持ちで慌てたように頭を下げた。

 

「あ、こちらです」

弾かれたように若い兄さんが扉を開ける。

 

彼の先導で私たちは部屋を出ると暗い廊下を一列で行く。

外では、まだ時折、銃撃音らしき音が続いているようだ。

 

歩きながらも大淀には時おり鎮守府から連絡が入る。

「はい、第三警戒体制まで下げても大丈夫です」

 

その時、私にも鎮守府工廠から受電した。

(何かあったかな?)

 

ちょっと心配になった。

「……はい」

 

『……ねえ、倉庫の資材、使っても良いの?』

雑音に交じって入ったのは軽い声。

 

(駆逐艦の……えっと、誰だっけ?)

手順を踏まずに直電か。緊急事態だろうか?

 

取り敢えず返答する。

「在庫の関係があるから、勝手に取らないで」

 

……そうだ、思い出した。声の主は漣だ。

「取り急ぎ夕張に言って。管理は任せてあるから」

 

「りょーかい、以上」

彼女は、いつものアニメ声を出して通信が切れた。

 

(あの艦娘なら、やりかねないわね)

でも、嫌な気持ちにはならなかった。

 

いつもの、あの調子だけど案外しっかりしている子だ。

後は夕張に任せよう。

 

「オッ、お久ぁ」

一部、通信制限が解除され、長波は馴染みの艦娘と通信を始めている。

 

「では、ここで」

廊下の突き当りで先導していた兄さんが扉を開ける。

 

そこは、もう屋外だった。

「わあ」

 

暗い廊下から、お天道様の下へ。

(まぶしい)

 

穴倉から出た私たちは、まるで冬眠から目覚めた熊のようだ。

 

「ふああ」

解放感もあるのだろう。長波は大きく背伸びをしている。

 

来るときに私たちが乗った業者の車の隣に鎮守府からの迎車、つまり装甲車が低い発動機の音と共に待機していた。

 

「へえ」

長波が感心する。

そのゴツイ車両よりも運転している電ちゃんが気になったようだ。

 

「早く」

大淀が急かす。

私達は周りを気にしつつ装甲車に乗り込んだ。

 

「なるほど」

後部座席に座った長波は電ちゃんの座席を見て納得した。

座高の低い駆逐艦娘でも視界が確保出来るように底上げされていたから。

 

「へえ、美保にはこんな車輌があるんだ」

車内をキョロキョロと見まわす

 

「米軍の借り物だけどね」

私は応えた。

 

「電ちゃん、戦術リンクを私に廻してくれる?」

大淀が指示を出す。

 

「はい」

運転手の駆逐艦は慣れた手つきで横のタッチパネルを操作する。

 

「へえ、スゴ。最新型じゃん」

感心する長波。

 

「では、ベルトを付けてください」

電ちゃんの言葉を受けて各自がシートベルトを装着する。

 

「付けました」

「確認、ヨシ」

 

代表して私が応対する。

「全員、装着完了」

 

「了解、出します」

腹に響く低音とともに、装甲車は動き出した。

 

 

以下魔除け

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PS:「みほちん」とは
「美保鎮守府」の略称です。
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