「沈むわけには行かないンだ」
--みほちん------------
新「艦娘」グラフティ6
第8話<黒煙>
---------(第17部)---
「オー!」
叫びつつ必死に車窓に張り付いて視認を続ける長波。彼女も私と同じ量産型だと思うけど根性は有りそうだ。
だが敵の攻撃も、なかなか収まらない。ちょっと不安になった。
私の念波を感じたのか視線は反らさずに長波が呟く。
「沈むわけには行かないンだ」
「ん?」
その真剣な表情に私はハッとした。
(確かに、そうね)
ここは戦場だ。弱気になったら敗けなのだ。
その時、車内では、いつもと違うアラート音が鳴る。
「艦砲射撃初弾、来るわ。皆さん観測お願いね!」
『はい』
振り返った大淀の言葉に私達は腹に力を入れた。
風切り音と共に弾着の土煙が上がる。轟音と振動。クルマが揺れる。
「ひゃあ」
「なのです!」
駆逐艦達が叫ぶ。
車体にはゴンゴンと無数の砕石がぶつかる。
「アァ、地上戦は苦手だなあ」
観測しつつ長波がボヤく。
確かに海上とは勝手が違う。
だが、力みつつも私は周囲の木陰に意識を集中する。
(着弾地点の、あのどれかに敵が居るんだ)
……そう思うと緊張した。
指揮を執る大淀の後ろ姿から彼女も警戒しているのが分かる。
視界が回復し、私は気付いた。
「左舷、黒煙!」
報告した直後、火柱が上がった。
「オォ!」
長波が歓声を上げる。私も思わず握り拳(こぶし)に力を込めた。
「なかなか良いわね」
爆発地点を監視しつつ大淀も微笑む。
私たちの艦砲射撃による反撃で敵の攻撃が怯(ひる)んだ。戦場の雰囲気は重要だ。
モニターをチェックした大淀が指示を出す。
「電ちゃん、微速前進」
「はい!」
周囲を警戒する中、装甲車は前へ進む。
「二人は警戒を怠らないでね」
『ハイ!』
鎮守府と交信しつつ大淀が命令する。
「電ちゃん、前方の黒煙を目指して」
「はい!」
危険は有るが、あの着弾地点は誰でも気になる。
ほどなく装甲車は現地に到着した。
「目視!」
私は直ぐに黒煙の主が分かった。
「確認! ドローンです」
大淀が聞き返す。
「ドローン?」
改めて私は追認。
「間違いないです」
顔の前に軽く拳(こぶし)を握った大淀は、少し間を置いてから言った。
「回収します」
「え……」
思わず聞き返す私に彼女は強く命令した。
「聞こえた? ドローン回収!」
『はい!』
こりゃマジだわ!
参考文献:
・北村恒信著「戦時用語の基礎知識」光人社 2002年
・井上和彦著「こんなに強い自衛隊その秘密99」双葉社 2009年4刷
・かわぐちかいじ著「空母いぶき 第1巻」小学館 2019年初版
・かわぐちかいじ著「空母いぶきGREAT GAME 第2巻」小学館 2020年初版
・軍事研究2013年9月号より三鷹聡著「台湾で激突!日中戦車部隊」ジャパンミリタリーレビュー
以下魔除け
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほちん」とは
「美保鎮守府」の略称です。