これは私が繰り返してきた記憶だ。これまでの旅路を振り返っていこう。
一番最初は仲間と共に神骸を巡る旅路の果てに、イオがヴェインを維持することになった。その身を依代に。
このときの私は、継承者たちに記憶を変換し、イオとは伴侶たちの記憶を共に紡いだ。これが一番良い結末を導くと信じて。結果的に、継承者は暴走が収まり、イオは心を持った。
これが正しいか間違いかなんて分からない。私は正しいと思ってやったことだけど、イオが依代にならない結末もあるんじゃないかと、過ぎたことを後悔していたことを覚えている。
私は身を張ってくれたイオのために、イオの願いを叶えようと思った。託された金色の血涙を持って仲間と共に。
そんな時一つの血英核を手に入れた。
私の血にはクイーンの血が流れている。そのおかげで、他人の血英核から記憶を巡り、ブラッドコードもとい冥血を使うことができた。血英の修復はイオが一緒でないとダメだけど、血英核のままで残っているのなら別。
私が拾った血英核は“機械仕掛けの神(デウスエクス・マキナ)”
この時、記憶を巡ることがなかったことに違和感を覚えたけど、気にせず冥血の確認を行った。
これが私の運命の岐路だったんだろうね。冥血を確認しなければ、ううん、そもそもこの血英核を見つけさえしなければ、私は先を見て歩むことが出来たんだから。
このブラッドコードに刻まれていた冥血は一つだけ。
”リスタート(始めからやり直す)“
これを確認したときは思わず笑っちゃったよね。
”そんな都合の良いことあるか“ってね。
でも間違いじゃ無かった。たしかに私はやり直すことができた。記憶を保持したままで、しかも、最初(1週目)に手に入れた武器やブラッドコードを受け継ぎながら。
この時私が戻ったのは、イオと最初に出会うところまで。思わずイオのことを抱きしめたのは許してほしい。なんてたってもう会うことが出来ないと思ってたんだから。
その後気づいたことだけど、イオに託された金色の血涙が無いことに気づいた。焦って探し回ったけど、結局見つけることができなかった。
この時は気づかなかったことだけど、イオは常に私の側に居てくれたんだ。
イオと出会ったあとは、あの横柄な吸血鬼に捕まることにした。理由は最初の流れを変えたくなかったから。ただ違うことがあるとするなら、このときは私の意識があったことかな。
ともかく、私は、ルイやヤクモたちと合流する過程を変えたくなかった。
こんな感じで、私は1周目の過程を大事にする行動をとったわけなんだ。だから、2周目でなら、助けられたヒト(吸血鬼)を見捨てたし、知らないフリもした。
その最たる例がオリバー。私はオリバーのマスクが壊される過程を知っていたけれど、助けなかった。
非情だと罵ればいいさ。それでも私は、最初の過程を大事にしたかった。
この2周目において私は、継承者たちに記憶の返還を行わなかった。つまり、継承者たちの持つ神骸を私に取り込んだんだ。ジャックの持つ神骸を除いて。
結果として私は暴走してしまった。かつてはクイーンの依代がイルスだったけれど、それが私に置き換わったイメージかな。
シルヴァの神骸を受け継ぐ前から限界が近いことは分かっていたけど、それでも取り込んだ。シルヴァがまた復活してしまう前に。
暴走した私を止めてくれたのがルイだった。私の後ろから心臓を突き刺してくれたおかけで、私は自分の意識を取り戻すことが出来た。それと同時に"リスタート"を発動した。
戻った先はイオと初めて出会った場所。私は疲労感から、うつらうつらしながら、血涙の泉を目指した。
奇しくも1周目と同じ始まりだったわけだ。
3周目でもまた、ロストに成り果てるオリバー見殺しにした。心がチクリとしたけど、我慢した。まだ確認したいことがあったから。
オリバーと別れた後、ブラッドコードの確認をした。2週目で私は、灰になる直前とはいえ、神骸を受け継いだまま“リスタート”を行った。
武器やブラッドコードを受け継いでいるのなら、神骸を受け継いだまま戻ってきてしまった可能性が否めなかった。
結論を言うと、受け継いだ神骸のブラッドコードが確認できた。しかもシルヴァに取り込まれていた神骸も加えて。
ただ、現段階で苦しいってこともないし、暴走しそうだっていうこともない。あの時の内側から溢れ出る破壊衝動が嘘のようだった。
だからといって油断は出来ないけどね。
自分の身体のことだけど、この段階で私の中に計7つの神骸が取り込まれているかは分からなかった。ブラッドコードが使えるから、恐らくは取り込まれてるんだろうけど、やっぱり憶測に過ぎない。
あと懸念事項として、私がジャックが持っている神骸以外は持っているとして、“リスタート”したこの世界で、この世界の神骸をどう扱うかも重要だった。
私が取り込むとしても、同じ神骸を2つ所有することになって、私がおかしくなっちゃうかもだし、かといって破壊は出来ないだろうし。
そう考えたら、継承者に記憶の変換を行って、神骸を維持してもらうのが良い選択だと思える。でもそうはしなかった。前回同様、私は自分の体に神骸を受け入れた。
結果からいえば、特に何の影響も起きなかった。元々身体に残っていた神骸に統合されて出力が上がったかと言われれば、そんな事はなかったし、何だったら、一番最初に神骸を受け入れたときの、圧迫感のようなものもなかった。
だからこれは根拠のない予想になるんだけど、私の身体が神骸に適応していて、同一の神骸を取り込んだら、「もうそれ持っとるやん。しかもそれ旧バージョンやん。しゃーないから、それこっちで対処しとくで。感謝しいや」みたいな感じになっているのではと思うんだ。
実際どうなのかは分からないし、こんなにフランクではないと思うけどね。
ともかく、私はこの時、今後「リスタート」を使って神骸を回収する機会があれば、取り込むことにしようって決めた。
神骸の問題が解決した後、この後の行動を決めた。
それは、継承者の一部に記憶を返還すること。こういう誰かを見捨てて、誰かを助けるっていう選択はあまり好きじゃないけど、結末がどうなるかは見ておきたい。
私は、エヴァに記憶を返還することに決めた。理由は、私たちの継承者巡りの最後のヒトだから。
最終的に、この選択は良いとも悪いとも言えない微妙な結末になった。継承者として、私を含めた仲間たちが継承者になることになったんだ。エヴァは生きているから、引き続き神骸を継承することになったんだけど、多分死んでいたら、ジャックが引き継ぐんだろうなっていうのは想像がついた。
この結末が良いか悪いかは見るヒトによるんだろうけど、私にやり直す手段があることを考えれば、こんな終わりは認められなかった。だって、これはただの「停滞」だから。前に進むことを「継承者」っていう鎖が縛るのは、なんとも言えない皮肉だね。
さてと、私の旅路は今の所はこんな感じ。ここまでは、流れを崩さず、私の選択によって、どう変わるのかを確認してきた。そして今、主要な結末(分岐)は確認できたと思う。
ここからは、お行儀の良い選択はしない。最良を目指すために、最悪を為す。
想定された結末(原作)を壊すために。
”リスタート”