松野唯吹には、姉が二人、妹が一人いる。
女の姉妹って、ロクな目に遭わない…
「ねぇ、唯吹。今度、私の友達が、
演奏するみたい。クリスマスライブを、
するみたい。行ってみる?」
「まぁ、いいけど…」
唯吹の下の姉は、神山高校の一年生で、
同級生の子が、歌う様だ。
「一緒に行こ!どーせ、ヒマなんでしょう?
文化祭ライブは、盛り上がったけど!」
「まぁ…正月明けまで、何もしないからな…」
「それじゃあ決まり!お姉ちゃんとお出かけしよう!」
「はぁ…」
松野冬子。唯吹の下の姉の名前だ。
「冬子ねーちゃんは、俺をこき使うんだから…」
「だって、ヒマなんでしょう?」
「それもそうだけど…」
ライブハウスへ…
「紹介するね!クラスメイトの白石杏ちゃんと、
私と杏とは、別の高校に通っている、睦ちゃん!」
「初めまして!とーこから聞いているよ!白石杏だよ!」
「睦。ギターをやっています」
「今日はね、あたしとこはねが歌って、
睦がギターで、志歩って子が、ベースをするの」
「バンドをしているのですか?」
「ううん。あたしとこはねは、歌専門だからね。
それに、睦と志歩は、それぞれ、別々のバンドに所属しているの」
「そうなんですね」
「唯吹って、ピアノが得意でね、
バンドでキーボードやっているの」
「へぇ~じゃあ、演奏とかできたりする?」
「賞も取ったことも無ければ、コンクールに出たことは無いです。
ただ、ピアノの教室に、小学生の時から、通っているだけで…」
「へぇ~そうなんだね。
あたしと一緒のチームにも、ピアノが上手な子がいるけどね」
「一度、会って観たいです」
「きっと、会えるよ。
それじゃあ、あたしは、大好きな、こはねにハグしないと!」
と、杏はこはねの元へ…
「アハハ…杏って、よく、こはねちゃんのこと、
話をしていてね。恋人だって、紹介されるの」
「恋人…」
ステージの時間となり…
「みなさん!こんにちは!小豆沢こはねです!」
「白石杏です!こはねと一緒に盛り上げていきます!」
「ギターの睦」
「ベースの志歩です。よろしく」
「それでは、聴いてください!」
と、ギターとベースが音を合わせて、
杏とこはねが歌いだす。
とても、迫力のあるステージだった!
「ふぅ~サイコーに楽しー!
こはね~お疲れ様の、ギューッ!」
「も~う!杏ちゃんったら…」
と、みんなが、キャッキャッしている中で…
「楽しい…?」
「どうしたの?睦ちゃん?」
「ううん、何でもない」
睦という、女の子は、どこかで、暗い表情をしていた。
僕は思わず…
「僕も…同じ気持ちなのかな?」
「えっ?」
「楽しい時と楽しくない時って、やっぱり、必ずある事だと思う。
でも、いつでも、楽しいとか、いつでも、楽しくないとか、
それは、無いかもしれない…」
「うん。少し考えないとね」
「えっ?」
「ううん、何でもない」
「そうですか…」
複雑な気持ちに、唯吹と睦は、何故か、そうなっていた。