風の旋律と夏の煌めき   作:アッシュクフォルダー

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第十六話 バンドを楽しむには

松野唯吹はライブハウスで睦という、この前であった少女に、

12月27日出会うのだった。

 

(バンドが楽しいと思ったことは一度も無い…)

 

それは、バンドをする前の僕なら、そういう感情を抱いていた。

僕はそう感じた。

 

「どうして、睦さんは、そう思うの?」

 

「やっていて、これだって感じないから。

それに、やる意味はもう無い」

 

「えっ…?」

 

「その…松野さんは、どう思う?」

 

「僕は…」

 

唯吹は思った。最初は楽しくなかったと感じた。

風夏に振り回されては、どうなるかと思いつつ、

何度も辞めようと思ったこともあった。

 

それでも、こころのどこかで楽しいと思う事もあっただから、

彼はこう答えた。

 

「難しい。言葉で表すのが困難だ。それくらい思う事があっても、

難しいんだ。一言では、とても表せないが、

楽しいことがあっても、辛いことはあった。

でも、楽しいことが多い方…かな?」

 

「そっか」

 

「睦さんは、どうして、ギターを始めたのですか?」

 

「わたしは…何が楽しいのか、わからない…

だから、始めた」

 

「それでギターを…」

 

「うん」

 

と、睦は頷いた。

 

「僕は親に習い事として、ピアノ教室に通っていて、

それで、ブランクはあったけど、でも、バンドをして楽しい」

 

「そっか。見つけたんだね。楽しい事」

 

「そうでもないよ。風夏に振り回されてばっかりだよ…」

 

「松野さんは、バンド、やり続けるつもり?」

 

「まぁ…一応は…解散と言われない限りは。はい」

 

その後、僕は睦さんと別れた。

 

彼女は、どこかで寂しいと思い歪んだ考えを持っているかもしれない。

それを救いだすには、どうしたらいいのか?

と、一瞬、思うのだった。

 

松野家

 

「唯!おかえり!」

 

「ただいま」

 

「もうすぐ、年末だね~」

 

「といっても、やることが無い」

 

「唯お兄ちゃんって、風夏ちゃんと、どこかに行ったりしないの?」

 

「行きません」

 

「バンドの練習は?」

 

「明日の28日が、最終日」

 

「そっかー」

 

唯吹は風呂に入り、晩御飯を食べて、

自分の部屋に向かった。

 

彼は思うのだった。ピアノは楽しいと思ったこともある。

楽しくないと思う事はあるが、やめる気は無いと改めて感じるのだった。

 

「風夏なら、睦に何て言っているんだろう…

それに、バンドを一度も楽しいと思ったことが無いって…

どこかで、引っ掛かる…」

 

と、ブツブツと独り言を言っていいた。

ブツブツと言いつつも、就寝するのだった。

 

12月28日 年内のバンドの練習、最終日になっていた。

 

彼は歪んだ何かを思いつつ、感じつつ、年内最後の練習に参加するのだった。

 

 

 

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