放課後になり、自分のペースで、話を進めていく、
風夏を横目に、突拍子もないような、言葉を語り、
僕の手を、ギュッと、握りしめるのだった。
「唯くん…?バンド、だめなの?」
「ダメって訳じゃないけど、過度な期待はしないでね…
それに、少し距離が…」
「あっ、ごめん!いきなり、手を握ったりしてごめん!
でも、一緒にやってくれるのは、本当に嬉しい!
ありがとう、唯くんっ!」
「うん、いいよ、別に…これから、よろしく…」
「じゃあ、メンバー探さないとね!
唯くん、他に楽器が弾けそうな人とかいる?」
風夏に、そう言われて、クラスメイトを頭に思い浮かべるが、
見当が付きそうな人が、誰もいなかったので、
僕は、横に首を振った。
「じゃあ、ふたりでしよう!」
「ボ、ボーカルとキーボードだけじゃあ、厳しいよ…」
「やっぱり、ムリか~じゃあ、探すしかないか…」
「そうだね」
「あれっ?唯くん、誰かが、こっちを見ている…」
風夏は、覗いていた女の子に、笑顔で話しかけた。
「ねぇ!ひょっとして、バンドに興味があったりする?」
「ご、ごめんなさい!覗いたりしちゃって…
私、前にベースをやっていて…もうやめちゃったけど…」
「えー!もったいないよー!
じゃあ、一緒にバンドをやってみようよ!
ねぇ、名前は何て言うの?」
「倉谷愛理です…でも、私がやっていもいいの?
後はイラストぐらいしか、できないけど?」
「愛理ちゃん、イラストが出来るの?
じゃあ、宣伝とか出来るかも!
チラシやポスターとか、必要になるから!」
「う、うん…出来ると思うけど…」
風夏のキラキラした瞳を、愛理に向けてる。
愛理は不安そうな表情を浮かべる。
先ほどの、僕同様、無理やり感があったので…
「でも、倉谷さんが、バンドをやりたいって、
まだ、言っていないし…」
「やりたい!私!バンドがやりたいの!
お姉ちゃんが、ステージに立ったように、
私も、ステージで、キラキラ輝きたい!」
僕は、驚きを隠せなかったが、
愛理は風夏と同じく、キラキラした瞳で、
その言葉を投げかけたのだった。
僕の気持ちは、戸惑いと困惑で沢山である。
「うんうん!私は大歓迎だよ!
じゃあ、ぜひ入って欲しいな!
あたしと唯くんのバンドに!」
「うん、私、頑張る」
「それで?唯くんは?」
「バンド…やるよ」
こうして、三人でバンドグループを結成した。
翌日、放課後の音楽室を借りて、
僕たちは、練習を始めるのだったが…
「うーん、やっぱり、三人じゃダメだな…」
「そりゃ、そうだよ…」
「誰かいないのかな…ギターとドラムをやってくれそうな人…」
数分の沈黙の後、最初に口を開いたのは、
意外にも、倉谷愛理だった。
「…あ、一人いるかも」
自信なさげな声色に、風夏は勢いよく、愛理の方を向いて、
期待の眼差しを向けるのだった。
「愛莉ちゃん!それって、誰?」
「田中真由ちゃん、ギターが上手だけど、
あんまり、話したことが無くて…」
「そうと決まれば、今すぐに会いに行こう!」
「あっ、練習は?」
「それは、後で!」
「ハァ…わかったよ」
こうして、ギターのメンバーになりそうな子を、
探しに行くのだった。