2年2組、教室
僕らが走って、着いた先は、その教室だった。
少し先に着いていた、風夏は扉を開けた。
「田中真由ちゃーんって子、いるー?」
初対面の人にフレンドリーに接する、女の子は、
僕の知っている人の中では、ただ一人、
潮田風夏だけだと、思うようになった。
「…私だけど」
「真由ちゃん!バンドとか、興味あったりしない?
今、絶賛ぼしゅーちゅう!」
いきなり、初対面の人に、バンドの話を、
持ちかけてくる人って、初めて見た気がする…
「いきなり何?私、あんた達の事知らないんだけど、誰?」
「えぇ!同じクラスで、転校してきた、潮田風夏だよ!?
ギターが得意って、愛理ちゃんから、聞いたから、
誘ってきちゃった!バンドやらない?」
「まぁ…一応、いいけど、条件がある」
「えっ?」
「やるからには、全力でやる、途中で投げ出したり、
中途半端な覚悟だったら、すぐに辞めるから…
最後まで、やり遂げるなら、加入してもいいけど?」
「アタシ達も、本気だから…それに…叶えたい夢があるから…」
「えっ?」
「ううん、なんでもない!
それで、本当にやってくれるの?」
真由は、僅かならが、微笑むのだった。
「何回も言わせないで、やるって言っているじゃん!」
「や、やった!後はドラムだ!」
僕は思い出した、目立ちたがり屋の、あの人にやらすのは、
どうかと、思うようになった。
「ドラムだったら、あの人にやらせた方が良いかと…」
「唯くん、ドラムが得意な子、知っているの?」
「そうでもないけど、前から、バンドに興味がある人がいて、
その人にやらせるのは、どうかなって…」
「それで、その人は?」
「このクラスにいる、後藤誠一だ」
しかし、彼は、悪い奴では、無いが、
いい話が聞かないので、僕も多少は不安になる。
「じゃあ、その人を誘ってみよー!」
試しに話してみると…快く承諾を得た。
「ドラム?いいぜ!俺もバンドがやりたかったんだ!」
「ホント!?嬉しい!これで、五人揃ったよ!」
「メンバー名は、決まっているの?」
「あっ、そうだった!唯くん、何か、いい名前とか、無いかな?」
「メタモルフォーゼとか…」
「おぉ!何かよさそう!」
「変化って意味なんだ、僕たちは、日々変化し続ける、
そういう意味で、metamorphoseって、いう、名前はどうかな?」
「唯くん、すごーい!じゃあ、今日から、あたし達は、
メタモルフォーゼだ!」
こうして、バンド名が、決定して、
僕たちは、毎日、放課後の音楽室で、練習漬けの日々を送るのだった。
結成してから、三週間後、僕たちに合同ライブの
お知らせが、舞い込んでくるのだった。